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公務公共サービス労働組合協議会 地方公務員部会
2022年度 公務労協情報 No. 38

人事院勧告等を受け、地方公務員部会が全人連要請(8/8)、総務大臣申入れ(8/9)を実施

 公務労協地方公務員部会は、人事院勧告・報告後、各人事委員会が勧告作業に取りかかることを受け、8月8日に全国人事委員会連合会に対して「2022年給与勧告等に関する要請」を、8月9日に総務大臣に対して「2022年地方公務員給与改定等に関わる申入れ」を行った。

【金子総務大臣への申入れの経過】
 金子総務大臣への申入れは、8月9日に行われ、二階堂地方公務員部会議長ほか委員長クラス交渉委員が出席した。
 冒頭、二階堂議長は、申入書(別紙1)について、以下のように申し入れた。
(1)人事院は、8月8日、政府と国会に対して、2022年の官民較差に基づく国家公務員の給与等に関わる勧告を行った。今後、都道府県、政令市等の各人事委員会では、2022年の月例給および一時金に関する勧告に向けた作業が本格的に進められているが、地方公務員の労働基本権制約の代償措置である人事委員会勧告制度が機能するよう、総務省として適切な対応をはかるとともに、労使間の十分な交渉・協議を通した自主的な給与改定を尊重するよう要請する。
(2)一方、働き方改革、定年引上げなど大きな課題が山積するなか、自然災害をはじめ、新型コロナウイルス感染症の第7波による爆発的な感染拡大が続いており、各自治体職場においては住民の生活と命を守るため、休日を返上して昼夜を問わず、職務に全力を尽くしているが、その勤務環境は大変厳しいものとなっている。
(3)引き続くコロナ禍において、職員が国民・住民の期待に応え、より質の高い公務・公共サービスを確実に提供していくためには、職員の雇用の安定と賃金・労働条件の改善・確保が不可欠である。本日提出させていただいた、具体的な要求事項の実現に向け、最大限のご努力をいただきたい。

 これに対して金子大臣は、「公務労協地方公務員部会の皆様方におかれては、地方自治の確立・発展のため、また、地方自治体で働く地方公務員のため、その役割を果たしてこられたことに心より敬意を表したい。そして、新型コロナウイルス感染症対策においては、地方自治体の果たす役割が極めて大きいところであり、現場で日々対応にあたられている職員の皆様に心より感謝を申し上げる。要請書については、確かに受け取った。この各要請事項については、検討の上、しかるべき時期に回答をさせていただく」と述べた。

【全国人事委員会連合会への要請の経過】
 全人連への要請は、新型コロナウイルス感染症の拡大状況を鑑み、要請書の送付という形で行われた。8月8日に要請書(別紙2)を送付し、後日、全人連からの回答を受け取る予定である。


(別紙1)

2022年8月9日

総 務 大 臣
 金 子 恭 之 様

公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会議長 二階堂 健男

地方公務員の給与改定等に関わる申入れ

貴職の地方公務員の賃金・労働条件の改善に向けたご努力に敬意を表します。
 人事院は、8月8日、政府と国会に対して 2022年の官民較差に基づく国家公務員の給与等に関わる勧告を行いました。各人事委員会では、2022年の月例給および一時金に関する勧告に向けた作業が本格的に進められていますが、地方公務員の労働基本権制約の代償措置である人事委員会勧告制度が機能するよう、総務省として適切な対応をはかるとともに、労使間の十分な交渉・協議を通した自主的な給与改定を尊重するよう要請します。
 一方、働き方改革、定年引上げなど大きな課題が山積するなか、各自治体職場においては、新型コロナウイルス感染症への対応をはじめ、住民の期待に応えるべく、自らの職務に全力を尽くしておりますが、その勤務環境は大変厳しいものとなっています。引き続くコロナ禍において、職員が国民・住民の期待に応え、より質の高い公務・公共サービスを確実に提供していくためには、職員の雇用の安定と賃金・労働条件の改善・確保が不可欠です。
 貴職におかれましては、下記事項の実現に向け最大限のご努力をいただきますようお願いします。

1.2022年の地方公務員の給与改定については、地公法第24条2項の趣旨を踏まえた自治体の自主的な決定が尊重されるよう対応すること。

2.公営企業および技能労務職員の給与については、当該職員に労働協約締結権が保障されていることを踏まえ、労使交渉に基づく自主的・主体的決定を尊重すること。

3.公務における働き方改革を着実に推進するため、地方自治体における長時間労働の是正については、厳格な勤務時間管理や時間外勤務縮減目標等の設定など、実効性のある時間外勤務縮減策を講じられるよう地方自治体を支援するとともに、休暇・休業制度の拡充、労働時間短縮のための人員確保等の施策を構築すること。

4.臨時・非常勤職員制度について、民間労働法制や改正地方公務員法等の趣旨を踏まえ、雇用の安定、労働条件及び抜本的な待遇改善、休暇制度の改善等、関係法の改正を含むさらなる制度改善に向けた見直しを引き続き検討すること。
(1)会計年度任用職員について、国家公務員の非常勤職員や常勤職員との権衡の観点から、勤勉手当を適用する法整備を行うこと。また、期末手当の支給等に必要な財政措置を行うこと。
(2)引き続き、常勤職員との権衡の観点から、有給を基本とした各種休暇制度の改善を検討すること。
(3)新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、雇用者責任という立場から、臨時・非常勤職員の待遇や雇用を確保するよう地方自治体を支援するとともに、業務の休止や財政の窮迫等により、雇止めや給与の引下げ等、不当な措置が生じないよう、地方自治体への財政支援等を行うこと。

5.パワーハラスメント対策については、改正労働施策総合推進法及び人事院規則を踏まえ、地方公務員における措置について、地方公務員部会との十分な交渉・協議、合意に基づいた対応をはかること。とりわけ、総務省「パワーハラスメント対策の取組状況調査」の結果に基づき、すべての地方自治体におけるパワーハラスメント対策に関する規定、方針等の明確化及び職員への周知・啓発がはかられるよう対応すること。

6.定年の引上げについては、「地方公務員法の一部を改正する法律」を踏まえ、早期に各地方自治体の条例改正が円滑に進むよう、引き続き地方自治体を支援するとともに、定年引上げの実施に伴い生じる諸課題については、円滑な実施に向け、関係組合との十分な交渉・協議、合意に基づき対応するよう地方自治体に対し促すこと。また、定年引上げまでの間は、雇用と年金の確実な接続を図るため、全ての自治体で再任用制度を確立し、職員の希望通りの再任用の実現と高齢期の生活を支える給与、適切な労働条件を確保すること。


(別紙2)

2022年8月9日

全国人事委員会連合会
 会 長  青 山  佾 様

公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会議長 二階堂 健男
(公印省略)

2022年給与勧告等に関する要請書

 

 各人事委員会の地方公務員の給与・労働条件の改善に向けたご努力に敬意を表します。
 さて、地方公務員をとりまく環境は年々厳しさを増し、働き方改革、定年引上げなど大きな課題が山積するなか、各自治体職場においては、新型コロナウイルス感染症への対応をはじめ、公務・公共サービスに従事する労働者として精力的に職務を遂行しています。引き続くコロナ禍において、職員が国民・住民の期待に応え、より質の高い公務・公共サービスを確実に提供していくためには、職員の雇用の安定と賃金・労働条件の改善・確保が不可欠です。
 人事院は、8月8日、政府と国会に対して 2022年の官民較差に基づく国家公務員の給与等に関わる勧告を行いました。各人事委員会では、2022年の月例給および一時金に関する報告・勧告に向けた作業が本格的に進められているものと承知しています。
 職員の士気を確保し、良質な公務・公共サービスを提供していくためにも、専門機関としての機能を発揮いただくとともに、地方公務員が置かれている現状を十分踏まえ、下記事項の実現に最大限の努力を払われますよう要請します。

1.民間賃金実態に基づき、公民較差を精確に把握するとともに、勧告にあたっては給料表の改善を中心に公民較差を解消すること。
(1)月例給については、引上げ勧告を行うこと。とくに、初任給を中心とする若年層における民間賃金との格差を踏まえること。
(2)一時金については、精確な民間実態の把握と公民比較を行い、支給月数を引き上げること。

2.諸手当の改定については、地域の実情及び職員の職務や生活実態を踏まえ、組合との十分な交渉・協議に基づき進めること。

3.各人事委員会の勧告に向けた調査や作業にあたっては、組合との交渉・協議、合意に基づき進めること。

4.会計年度任用職員をはじめとする臨時・非常勤職員の任用や待遇、休暇制度について、働き方改革の推進と常勤職員との権衡をはかる観点から、人事委員会として改善に向けて必要な措置をはかること。

5.公立学校教員の賃金に関わり、引き続き、各人事委員会が参考としうるモデル給料表を作成・提示すること。また、作成にあたっては、関係労働組合との交渉・協議、合意に基づき進めること。

6.公務における働き方改革を着実に推進するため、厳格な勤務時間管理をはじめ、長時間労働の是正、ワーク・ライフ・バランスの実現に資する施策の構築など、人事委員会として必要な対応をはかること。とくに、人事院における国家公務員への対応等を参考として、「他律的業務」や「特例業務」における上限時間を超えて時間外勤務を命じた場合の要因の整理・分析・検証を行うとともに、必要な改善措置等の指導を任命権者に対して行うこと。

7.実効性のあるハラスメント防止策を引き続き推進するため、積極的な対応を行うこと。とくに、パワー・ハラスメント対策について、人事院における国家公務員への対応等を参考として、人事委員会として主体的な対応を行うこと。

8.各種休暇制度を新設・拡充し、総合的な休暇・休業制度を確立すること。

9.公務職場における男女平等の実現を人事行政の重要課題と位置づけ、必要な施策の確立をはかること。

10.定年引上げに係る人事委員会規則の改正については、組合との十分な交渉・協議、合意に基づき進めること。

以 上