2002年度公務員連絡会情報 18 2002年2月6日

公務員労働組合連絡会

民調の技術的見直し問題で人事院審議官と協議

 民調見直し問題について公務員連絡会は、1月24日に人事院から説明を受けて以降、各地方人事委員会との交渉・協議を行ってきたが、その結果を踏まえ、6日、人事院との協議を行った。公務員連絡会は小林賃金・労働条件専門委員会委員長らが協議に臨み、人事院からは佐久間職員団体審議官、深串参事官が対応した。
 まず、公務員連絡会側が各人事委員会との交渉・協議の内容について、「見直し案では大企業の割合が減り中小企業が増えることとなるが、中小企業は総体的に賃金水準が低いことに加えて、事業所間格差も大きく、賃金制度も整備されていないところも多い。調査事業所数は変えないということなので、個人データは当然減ることになる。そうしたことから、年毎の調査結果がぶれる恐れがあり、調査結果の信頼性が損なわれるのではないかとの懸念が、各人事委員会から示されている。また、人事院のわれわれに対する説明では地方の意見を十分聞くということであったが実態は違うという話や、本年から見直すというのでは時間的に厳しいという指摘もなされている」と報告し、人事院としてはどう認識しているのかを質した。
 これについて佐久間職員団体審議官は、「先般見直し案を示し説明を行い、今、検討を進めているところである。各人事委員会からはいろいろ意見・要望が出されており、基本的な懸念としては、今、連絡会からお話があったものと同様である。しかし、基本的な見直しの考え方そのものについての否定的な意見はなく、地域の実情を踏まえた対応を求める意見・要望が圧倒的であった。地域の実情は千差万別であるので、今、担当者がそれぞれ意見交換し対応しているところである。基本から大きくはずれる意見はなかったので、なるほどと思われる意見についてはできるだけ対応できるよう作業を進めていきたい。地方の意見を聞いていないという受け止め方があれば、それは決して本意ではなく、よく聞きながら対応して参りたい。時間の制約については、われわれとしても理解しているが、調査のスケジュールもあるので急いで意見をすりあわせているということをご理解願いたい」と答えた。
 公務員連絡会はこれについて、「われわれが聞いているところと概ね違いないことを確認し、人事院として各人事委員会の意見を十分聞きながら対応してもらいたい」として、次の点を申し入れた。

(1) 層化基準、標本事業所数の設定に当たっては、調査実人員の確保を含めて、各人事委員会と十分協議し、その意見を十分踏まえて行うこと。
(2) 調査の信頼性・継続性を確保するため、具体的な標本事業所の選定についても、各人事委員会と協議の上実施すること。
(3) 標本事業所数や調査実人員など、調査の信頼性の確保に向けた人事委員会の主体的努力に協力・支援すること。
(4) 今回の見直しは初めての試みなので、小さいところへ行って拒否されるなどの結果、調査をやり直さなくともいいような手だてや調査期間の延長などを含め、公正で正確な調査結果が得られるような方針を検討すること。

 申入れに対し審議官は、次の通り答えた。
(1) 各人事委員会と十分協議していくのはそのとおりであるし、層化についても十分意見を聞いて決定したい。層化は「組織別」と「企業規模別」を基本としているが、地域で産業の偏りがあるので産業分類をしてほしいとの要望もあり、そうしたことは十分吟味して応じていきたいと考えている。
(2) 信頼性・継続性の確保に関わって、事業所の選定は無作為抽出なので、特定の事業所を選ぶことはできないと考えている。複数の事業所からなるグループを作ってそこから選ぶのが今回の見直しの基本である。
(3) いろいろシミュレーションをしてみると、サンプルが減るという懸念があることは確かであり、各人事委員会で事情は異なるが、調査事業所数を増やしたいということであれば協力したい。ただ、特定の企業を調べたいという要望は無理であり、層ごとにまんべんなく増やす形としたい。職種(係長、補佐等)ごとの抽出率を大きくし、サンプルを確保するということも考えており、各人事委員会の実情に配慮して進めて参りたい。
(4) これまで調査に行ったことのない事業所に行くことになるので、いろいろ問題が出てくることはあると思っており、調査対象事業所の途中での入れ替えなども含めて協議しながら進めて参りたい。

 これらのやりとりをふまえ「公務員連絡会としては、今進められている民調の技術的見直しについては、結果がどうなるか明らかでない以上、賛否の態度は留保するが、これまで話し合ってきた経過があり、本日、人事委員会との対応についても十分配慮するとの見解が示されているので、人事院が見直しに向けて次の段階の作業にはいることはやむを得ないと考える。しかし、問題は官民較差の出方であり、2月19日には2002年の春季要求を提出することにしており、その中でも『公務員連絡会との十分な協議と合意に基づいて進めること』や『本年の官民較差や給与水準に影響を与えないこと』を求めているので、春闘回答の中で明確な姿勢を示してもらいたい」と求めたのに対し、審議官は「やってみなければわからない部分もあるので、それを含めて了解してもらうということにならないのはそのとおりである。われわれも結果がどうなるか十分検討しなければならないと考えている。しかし、層化の見直しは十分検討してきた結果なので、そういう方向で作業を進めることをご理解願いたい」との見解を示した。

 公務員連絡会としては、昨年末から始まった民調の層の組み方や抽出方法等の技術的見直しに関わる人事院との交渉・協議については、人事委員会との調整等について一定前向きの見解が示されたことをふまえ、ひとまずの区切りをつけることとし、賃金水準や官民較差の問題については引き続き春闘要求を巡る交渉の中で人事院の明確な見解を求めることとしている。

以上