2002年度公務員連絡会情報 28 2002年4月23日

公務員労働組合連絡会

人事院が本年の民調作業に関する方針を回答−4/22
−公務員連絡会は趣旨不明の本年夏季一時金調査に反対を表明−

 人事院は、22日、本年の民調作業に関する方針が固まったとして、公務員連絡会労働条件専門委員会に対して、春季要求に対する回答として提示してきた。これは、2002年春季要求事項のうち、3月19日の回答から除かれていたもので、人事院が毎年その年の民調の進め方など勧告作業に向けた基本方針を固める時期に合わせて行われてきたもの。
 本年の民調作業をめぐっては、昨年の勧告に基づき、民間賃金調査と官民比較の基礎の前提となる層の組み方や抽出方法などの技術的問題が課題とされ、公務員連絡会としては2月6日に団体審議官交渉を実施し、これら技術的問題について人事院として作業を進めることについてやむを得ないものとして決着してきたところである。今回は、その他民調の基本事項について人事院が具体的方針として回答してきたもので、総務局の深串参事官は「民調作業についてはいろいろとご要望をいただいているが、基本的骨格は例年通りである」として、次のとおり内容を明らかにした。

(1) 調査時期については、5月7日(火)〜6月14日(金)の39日間。調査対象事業所は、企業規模100人以上、事業所規模50人以上とする。母集団34,000事業所から抽出した7,900事業所を対象に、昨年実績を踏まえれば実人員約44万人を調査したいと考えている。
(2) 調査職種は94職種であり、そのうち初任給を調べるのは19職種で、昨年と同様である。
(3) 調査は、初任給、個人別給与、事業所単位の給与総額、賞与等の支給状況、給与改定状況、厳しい状況における雇用調整状況等を調べる。また、最近における民間賃金動向把握のための制度調査を実施する。
(4) 調査項目については次のとおり。
@家族手当について、例年同様の調査に加え制度の見直し状況を調べる。なお、本年は、通勤手当、住居手当の調査は行わない。
A一時金については、昨年の支給状況を精確に把握するとともに、年間の支給回数、支給月、平成13年における配分として一定率分・考課査定分の割合、本年夏季の支給状況を調べる。
B寒冷地手当については、支給月、支給方法を調べる。
C本年は春闘状況が厳しかったので、給与改定の有無、定昇制度、賃金カットの状況などを詳しく調べる。
D雇用調整状況についても例年通り調査するとともに、ワークシェアリングの状況も調べることにしている。
(5) また、 本年は試験的に、企業規模100人以上で、事業所規模30〜49人の事業所について初任給と個人別給与を調査したい。

 これらの回答に対し、連絡会側は@民調方法の技術的見直しに伴って調査実人員が2〜3割減るのではないかといわれていたが昨年と比べると2万人減の予想にとどまっているが、大きくは減らないと理解してよいかA一時金について、支給回数を調べた結果として勧告することも想定しているのか。また、新たに本年夏季の支給状況を調べるということだが何のために調査するのかB寒冷地手当は支給方法・支給月の調査で支給額は調べないと理解してよいかC昨年までは特別調査として100人未満企業規模の調査を行っていたが本年の試験的調査はどのような位置づけなのかDワークシェアリング調査の中身はどのようなものか、などと人事院の見解を質した。
 これに対し参事官は、@去年は7,500事業所を調査していたが、本年は7,900事業所に増やしていることもあり、やってみないとわからない面はあるが、調査人員が2〜3割も減ることはないと考えているA一時金に限らず、実際に勧告するかどうかは調査結果次第である。支給回数は国会でも論議があり、総裁が「民間の状況を把握して対応したい」と答弁したこともあることから、まず調査することにしたもの。本年夏の支給状況の調査は、民間の変化が激しい中で、7月末のギリギリまで調査して最新のデータをきちんと把握したいということである。前年5月から本年4月までの民間における支給実態と比較するという基本は変わらない。調査結果をどうするかについては、調査結果がどうなるかということもあり今の段階ではどうするともいえないが、いかなる場合でも対応できるようにしたいということであるB寒冷地手当の調査も国会論議を踏まえたものであり、支給額については調べないC試験的調査は小規模企業を調べた特別調査とは異なって、あくまで企業規模100人以上について、調査効率の関係からこれまで調査してこなかった30〜49人以下のところについて試みに調べるものであって、比較対象にするものではないDワークシェアリングについては「いわゆるワークシェアリング」ということで、一般的にその目的、対象人員、給与、所定労働時間を調べるものである、との考え方を明らかにした。
 このうち、本年夏季の一時金調査結果の扱いについて、参事官が調査結果によっては従来の比較方式(前年5月〜本年4月の1年間の比較)に関わらず何らかの具体的措置を勧告する可能性を否定しなかったことから、連絡会側は「今までのルールに基づいて勧告すること、及び本年夏季の一時金調査結果は勧告には反映させないことを約束しなければ、新たな調査の実施は認められない」と厳しく追及した。追及に対し参事官は「5月〜4月の前年1年間の一時金を比較するという原則は変えない。しかし、民間一時金をめぐる事情が大きく変化することが想定されるので、特別に調査して最新の状況を把握する必要があると考えている。調査結果を踏まえた対応についてはその際改めて相談したい」との見解を示すにとどまった。
 このため連絡会側は、「調査結果の扱いについて納得ある説明のない調査には反対せざるを得ない。必要があれば、99年のボーナス研究会報告を踏まえ、われわれとの交渉・協議を行った上で別途特別調査を実施して対処すべきである。なお、昨年の人勧ではわれわれに全く説明することなく、一時金の削減や特例一時金の支給が一方的に勧告され遺憾であった。本年はそういうことのないよう、調査結果をきちんと説明することを基本に話し合いに基づいて対応するよう強く求めておきたい」と、何らかの対応を前提とする新たな一時金調査にはあくまで反対であり、その旨を人勧期の要求で明記することを表明し、今後とも十分な話し合いに基づいて勧告作業を行うよう求め、民調作業の回答交渉を打ち切った。

以上