2002年度公務員連絡会情報 30 2002年6月19日

公務員労働組合連絡会

人事院総裁に人勧期の要求書提出−19日
−委員長クラスが十分な交渉・協議を強く要請−

 北岡・丸山代表委員ほか公務員連絡会委員長クラス交渉委員は、19日午後1時から、人事院中島総裁に対し2002人事院勧告に関わる要求書を提出し、@公務員が生活防衛できる勧告を行うことAわれわれが納得いく交渉・協議の枠組みを作ること、などを強く求めた。
 本年の人勧をめぐっては、閣僚の一部が公務員給与削減を公言するなど、その前哨戦がすでに始まっている。本年の給与勧告は、マイナスの民間賃金水準を反映して極めて厳しい内容が想定されているが、公務員連絡会としてはこの要求書提出を期に人事院との交渉・協議を開始し、2次にわたる全国・中央行動などを実施しながら、要求実現に向けた本格的な人勧期の取り組みをスタートさせることとなる。

 交渉の冒頭、丸山代表委員は要求書(資料参照)を手交しながら、次の通り見解を述べた。
(1) 2002年の人事院勧告を巡る情勢は、民間において春闘相場が対前年比マイナスとなり、賃金カットや定期昇給制度の見直しが進められるなど、われわれが過去経験したことのない厳しい官民比較の結果が想定される深刻な状況にあるものと認識している。また、政府の公務員制度改革大綱に基づく法制化作業の中で人事院の権限と機能の大幅な縮小が検討されるとともに、閣僚の一部から公然と公務員給与削減の考え方が示されるなど、公務員の賃金・労働条件決定制度としての人事院勧告制度のあり方が根底から問われる情勢となっている。
(2) われわれは、こうした厳しい情勢を踏まえ、春の段階から一貫して公務員の生活を維持・防衛する給与勧告を行うことを求めるとともに、従来の枠組みにとらわれない十分な交渉・協議(意見交換)を強く求めてきた。人勧期を迎え、その必要性はますます高まっている。今日の厳しい情勢の下で人事院勧告制度が労働基本権制約の「代償機能」としての役割を果たしていくためには、単に調査結果に基づいて勧告を行うだけでは十分ではなく、文字通り団体交渉制度の代替機能の役割−決定過程への労働組合の参加をなんらかの形で担保することが重要だと考えるからである。
(3) そうした考え方に立って、本年の人事院勧告に関わる要求書については、例年と異なり、総裁に直接提出させていただくこととした。われわれ委員長クラスも、組織の責任者としての立場で人事院との話し合いの先頭に立っていきたいと考えているので、総裁にも特段のご協力をお願いしたい。勧告内容については、最終的に総裁から直接回答として後日いただきたいと考えているが、その間、実務レベルで水準・配分、制度見直し内容等の万般について、われわれが十分納得いくまで交渉・協議を行うことと、要求の実現に向けて最大限努力することを強く求める。

 これに対して総裁は、「本年の勧告は集計してみないとどうなるかわからないが、各種の指標は昨年より厳しいし、あまり言われていないことでも厳しい内容のものもある。集計結果を正確に反映させていただく。いずれにしろ、皆さんとは十分意見交換させていただきたい」と、厳しい内容が想定される本年の勧告に向けて十分意見交換していきたいとの見解を述べた。
 これを受けて丸山代表委員は、重ねて「かつて経験したことのない事態が想定されるだけに、勧告に至る手続きと内容両面にわたって、われわれが十分納得できるものとなるよう人事院の努力を要請したい」とし、要求提出交渉を締めくくった。



2002年6月19日


人事院総裁
 中 島 忠 能 殿

公務員労働組合連絡会   
代表委員 北 岡 勝 征
代表委員 丸 山 建 藏


2002年人事院勧告に関わる要求書


 常日頃から公務員労働者の処遇改善に向けてご努力いただいていることに敬意を表します。
 さて、2002年の人事院勧告を巡る情勢は、民間において春闘相場が0.2〜0.3%のマイナスとなったことに加え、賃金カットや定期昇給制度の見直しが進められるなど、われわれが過去経験したことのない厳しい民間給与実態調査や官民比較の結果が想定される深刻な状況にあります。また、政府の公務員制度改革大綱に基づく法制化作業の中で人事院の権限と機能の大幅な縮小が検討されるとともに、閣僚の一部から公然と公務員給与削減の考え方が示されるなど、公務員の賃金・労働条件決定制度としての人事院勧告制度のあり方が根底から問われる情勢となっています。
 公務員連絡会は貴職に対して、春の段階から一貫して公務員の生活を維持・防衛する給与勧告を行うことを求めるとともに、従来の枠組みにとらわれない十分な交渉・協議を強く求めてきましたが、こうした人事院勧告を巡る厳しい情勢の中でその必要性はますます高まっているといえます。今日の厳しい情勢の下で人事院勧告制度が労働基本権制約の「代償機能」としての役割を果たしていくためには、単に調査結果に基づいて勧告を行うだけではなく、文字通り団体交渉制度の代替機能の役割、すなわち決定過程への労働組合の関与と参加を保障することが重要だと考えるからです。
 貴職におかれては、こうした点を十分認識し、2002年人事院勧告に関わる下記事項の実現に向けて公務員連絡会との十分な交渉・協議を行うとともに、われわれが納得し、合意しうる勧告を行うことを強く要求します。



一、賃金要求について
1.2002年度の給与改定に当たっては、公務員の生活を維持・防衛するための給与水準を確保することとし、配分を含め公務員連絡会との十分な交渉・協議と合意に基づく給与勧告を行うこと。
2.本年夏季一時金調査に基づく勧告は行わないこと。

二、労働諸条件の改善について
1.労働時間、休暇、休業制度の改善について
(1) 公務員の年間総労働時間を1800時間程度に短縮するため、所定内労働時間の短縮、休暇制度の拡充に向けた検討を進めるとともに、実効ある超過勤務縮減策、年次休暇の完全取得の実現等を図ること。
(2) 少子・高齢社会への対応、公務員としての自己啓発・自己実現、社会貢献等のための休業制度の新設を含め、勤務条件の観点から総合的な休業制度の新設を速やかに勧告すること。

2.男女平等の公務職場の実現について
(1) 男女平等参画促進の観点から、職業生活と家庭生活の両立に向けた支援策として育児休業の男性取得促進のための具体策を報告すること。
(2) 「女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針」に基づいて各府省でとりまとめた計画を着実に実施する体制を確立すること。

3.その他の事項について
(1) 寒冷地手当に関わる調査結果の取り扱いについては、公務員連絡会および寒対協などの関係団体と十分協議し、合意すること。
(2) 公務職場に外国人の採用、障害者雇用を促進すること。そのために必要な職場環境の整備を行うこと。
(3) 公務におけるワークシェアリングのあり方等について、研究・検討の場を設けること。
(4) 勧告日については、公務員連絡会との交渉・協議に必要な期間を十分確保するとともに、協議の上で確定すること。

以上