2002年度公務員連絡会情報 32 2002年7月12日

公務員労働組合連絡会

2002人勧期第1次中央行動に800人参加−7/12
−書記長クラスが勤務条件局長と交渉−

 公務員連絡会は、12日午後、2002年人勧期要求の実現に向けた第1次中央行動を実施した。この中央行動は、6月19日に人事院に要求提出して初めての行動となるもので、社会文化会館ホールに800人が参加した中央集会を皮切りに、書記長クラス交渉委員による人事院勤務条件局長交渉やそれを支援する行動などが繰り広げられた。
 人事院は現在、民間実態調査の集計作業に入っているが、その結果は民間給与実態を反映して相当厳しいものとなることが予想されている。一方では、公務員給与抑制に向けた政府・与党の動向も次第に強まりつつある。12日に行われた中央行動では、こうした厳しい情勢を踏まえつつ、公務員労働者の生活防衛に向けて闘い抜く意思を再確認するとともに、集約日が目前に迫っている公務員制度改革の1千万請願署名の目標達成に向けて全力で取り組む決意を固め合った。また、この日行われた勤務条件局長との交渉では、集計結果がまだでていないことから人事院側から具体的な見解は示されなかったものの、厳しい勧告を予想する考え方が示され、公務員連絡会側はあくまで生活防衛できる給与水準の確保と十分な交渉・協議による勧告の実現に向けて努力することを強く求めた。
 人勧期の取り組みは、本日の第1次中央行動を皮切りに、人事院との交渉・協議が本格的に進められることとなる。公務員連絡会としては、7.30第2次中央行動ではわれわれの要求を反映した勧告の全体像を提示するよう取り組みを強めていくこととしている。

 午後1時30分から行われた中央集会では、足立副代表委員を議長に選出。冒頭主催者挨拶にたった北岡代表委員は、公務員制度改革を求める1千万請願署名運動の重要性を強調するとともに、「今年の勧告はわれわれの経験したことがないマイナス勧告も予想されるが、あくまで交渉・協議によって納得のいく勧告とさせていくことが必要だ。政府に一方的な公務員給与抑制を行わせないためにも、しっかり人勧期の取り組みを進めよう」と、マイナス給与勧告も予想される厳しい情勢の下で生活防衛に向けて闘いを強化することを訴えた。
 続いて激励挨拶にかけつけた連合高橋副事務局長は「今年の賃金闘争はまだ終わっていない。連合は皆さんの闘いが終わるまで先頭で闘う」と、連帯の意を表明。現在、中労委の場での闘いを進めている国営企業河田労働条件対策委員長も「今月末までに調停委員長見解を引き出すことが、仲裁制度を維持する闘いでもある。人勧の闘いと連帯しつつ取り組みを進めていきたい」と、連合官公部門連絡会が一体となってともに闘う決意を述べた。
 集会はその後、山本事務局長が「本日の交渉を皮切りに中旬からは配分交渉に入る。7.30第2次行動から8月上旬が最大の山場となる。デフレ経済の下で政府・与党が公務員給与抑制の政治的動きを強める情勢にもあり、極めて困難な闘いだが要求を堅持して最後までがんばろう」と、人勧をめぐる情勢と取り組み方向を提起するとともに、1千万人署名の完全達成に向けて最後の奮闘を訴えた。
 構成組織決意表明では、国税労組・忠平中央執行委員、税関労連・山崎東京税関労組副委員長、日教組・小西書記次長、全水道・上村東水労執行委員が登壇し、最後まで闘う決意を表明した。

 集会を終えた参加者は、台風一過の炎天下の中、午後2時45分から行われた勤務条件局長交渉を支援する行動に移り、人事院前で「生活防衛できる給与勧告を実現せよ」「誠意ある交渉・協議を行え」と、声をからしてシュプレヒコールを繰り返した。
 勤務条件局長と書記長クラスの交渉経過は次の通り。

<人事院勤務条件局長交渉の経過>
 公務員連絡会書記長クラス交渉委員は、12日午後2時45分から、人勧に向けた現段階の見解を引き出すため人事院大村勤務条件局長との交渉を行った。
 冒頭、公務員連絡会山本事務局長が、「6月19日に人勧期の要求書を提出し、人事院としても民調作業も進んでいると思うが、その進捗状況を踏まえ、現段階の考え方を示す」よう求めたのに対し、勤務条件局長は、概要、次の通り応じた。
(1) 6月19日に要求書の提出を受けて以来、現在まで各種の検討を続けてきている。
 公務員の給与改定については、民間準拠の原則に従い、官民較差を算出し、較差に基づき適切に対処すべきものと考えている。
 民調については、民間の実態をより正確に捉えられるよう調査事業所の選定の見直しを行い、その結果、中小事業所が増えた。調査の実施率を心配していたところだが、調査票の回収率は昨年とほぼ同様となっている。
 現在その集計作業中であり、どのようになるかその結果を待っている段階である。ただ、調査員から聞き取りをおこなったが、非常に厳しい状況であると一様に答えており、また発表されている各種指標を見る限り、従来にない極めて厳しい事態が想定される。
 特別給についても同様に厳しい状況にあると考えている。
(2) こういう事態の下では、その配分については俸給だけでなく諸手当についても、幅広く厳しい状況を想定した検討が必要と考えている。
 なお、特別給については、民間の支払い方法・回数について調査したところだが、3月期の特別給の支払いについてこれを前倒しし、6月及び12月に振り分けて支給する方向で検討している。その際、民間の支給状況等を勘案して、期末・勤勉手当の割合についてもあわせて検討したい。
(3) 昨年の報告で表明した「公務部内の給与配分の在り方の見直し」については、今般「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」(6月25日閣議決定)でも同様の検討の方向が示されたところであり、今年の報告で考え方や手順などについて触れ、検討に着手する予定である。
(4) なお、ここ2、3年の俸給等の状況を見れば、俸給の調整額に関わる平成8年の改正時に行った経過措置について、見直す必要があると考えている。
(5) 育児休業の男性取得促進に係わる要求等については、局長通達等を出して促進方を各省に求めているが、今後とも所要の検討を続けていきたい。

 こうした局長見解を受けて公務員連絡会側は、次のように考え方を提示し、人事院側の見解を質した。
(1) 今年の勧告は、経済がデフレ化し、マイナス較差の危険性が現実味を帯び、また、公務員制度改革が進められる中で労働条件決定制度も変えられようとするなど、われわれがかつて経験したことのない事態の中で行われる。その中で人事院が代償機能の役割を果たせるのか、組合員の生活感覚からして極めて不安なものに感じ取られている。したがって、代償機能である人事院勧告が機能するためには、職員の納得性が極めて重要だ。われわれとしても、春闘結果等からして相当厳しい官民較差となるであろうことは認識しているが、一方で公務員の生活防衛の課題も重いものがある。まだ集計作業中とのことだが、一時金を含め、是非、ぎりぎりの努力をしてもらいたい。また、官民較差が明らかとなり次第、早急にその内容を提示し、協議を行っていただきたい。
(2) 配分について「俸給のみでなく諸手当についても」検討するとのことだが、基本的にはこれも較差によって大きく様相が異なってくると考えている。われわれとしては@俸給と諸手当の配分比をどうするかA俸給表をどう配分するかB諸手当の何に手をつけるのか、様々な課題があると考えており、是非、早めにその考え方を提示し、十分な交渉・協議だけでなく、合意に基づくものとなるようにしていただきたい。
(3) 3月期特別給の割り振り、期末・勤勉手当の割合、俸給の調整額の経過措置の見直しの問題は初めて聞いた。俸給の調整額の問題は当事者にとっては、大きな問題だ。これらについては部内でよく検討させてもらい、公務員連絡会としての考え方も示すので、十分な交渉・協議を行ってもらいたい。
(4) 公務部内の給与配分のあり方の見直し問題については、重みのある問題だ。俸給の在り方をめぐっては、99年に人事院は俸給体系の見直しを報告し、昨年の報告では、公務部内の配分問題として俸給のあり方を取り上げている。また、行革事務局は能力等級制度を打ち出している。給与制度は人事院や政府のおもちゃではない。拙速をさけ、見直しの必要性などを含めわれわれと十分交渉・協議、合意の上で検討作業を行うべきであり、したがって、本年の報告でメニューやスケジュールなどわれわれとの交渉・協議を拘束するような内容は盛り込むことは認められない。
(5) 育児休業の男性取得促進策については、さらに検討を進めてもらいたい。
(6) 政府・与党の公務員給与をめぐる政治的な動向もこれあり、本年の人勧は内外から注目されている。しかし、決定制度として存在する限り、それは適正に機能すべきであると考えている。そのためには、勧告に対する職員の側の納得性が最も重要であり、その納得性は十分な交渉・協議からしか生まれないと考える。是非、最大限努力してもらいたい。

 これに対し、局長は@交渉・協議の枠組みについては、今までも誠意を尽くしてきたし、これからもやっていく。この考えに変更はない。較差については数字を勧告前に示すことはできない。しかし、ある程度、その前提に立った話を進めることはできると考えている。なお、勧告日については、事務的には8月上旬を目指しているが、今年が極めて異例の事態であることや相手の日程も考えていかねばならないので、いまの段階で確実なことはいえない、A配分については、現在、俸給と諸手当の配分比率が85:15程度となっており、仮にマイナスとなった場合、すべてを俸給に持っていくことはできないのではないか、B公務部内の給与配分のあり方の見直しの問題は、連絡会ときっちりと話し合いを行っていくが、人事院としては早急な対応を求められていることは承知しておいてもらいたい、C 勧告制度においては、公務員給与の水準は、民調を実施して出てきたものを出すということであり、それが国民にも職員にも最も納得してもらえることだと考えている。そのルールは変えることはできない、と配分や制度見直し問題については今後十分話し合っていくことは約束したものの、水準問題についてはルールに従って淡々と作業を進める、との見解を示した。

 最後に連絡会側は、「18日に審議官と幹事クラスの交渉が予定されているが、そこでは配分等について一定の考え方を示してもらいたい」と要請し、本日の交渉を終えた。

以上