2002年度公務員連絡会情報 33 2002年7月18日

公務員労働組合連絡会

幹事クラスが人事院職員団体審議官と交渉−7/18
官民較差厳しい認識、俸給表だけでなく諸手当の引下げも示唆

 公務員連絡会は、7月16日午後3時から、12日の書記長クラス交渉を受けて、人事院職員団体審議官との間で、幹事クラスによる交渉を行った。
 冒頭、公務員連絡会側が「12日の勤務条件局長交渉では、2002人勧に向けた考え方が示されたものの、具体的な回答はなかった。本日はこの間の進捗状況を踏まえ、回答していただきたい」と求めたのに対し、佐久間審議官は、概要、次の通り応じた。
(1) 6月19日に要求書の提出を受け、12日には勤務条件局長との間で、交渉を行った。局長からはその時点での考え方を示させていただいたが、今日段階でも、何がどう進んだかについて、具体的に示せるものはなく、現在も民調の集計を行っているところで、勧告がどんな姿になるのか答えられる状況ではないが、各種統計を見ると相当に厳しいと思っている。
 集計の途中ではあるが、ベース改定を行わない事業所が昨年を大幅に上回っており、また、ベースダウンや賃金カットを行った事業所も相当ある。やはり厳しい結果が出てくるだろう。
 特別給についても昨年5月から本年4月までの民間の特別給の支給状況を現在集計中である。なお、各種調査の指標によれば、昨年夏はそこそこだったが、冬は大幅に落ち込んでいるという状況だ。
(2) こうした状況のもとでは、俸給だけでなく諸手当についても厳しい状況を想定した対応を考えざるを得ない。具体的な内容を言える段階ではないが、生活関連手当を中心とした対応を考えざるを得ない。
(3) 12日の交渉では、勤務条件局長から「特別給については、3月期の特別給の支払いについて、6月及び12月に振り分けて支給する方向で検討している」と申し述べたところであるが、その際、民間の支給状況等を勘案して、期末・勤勉手当の割合についてもあわせて検討している。
(4) また、12日の交渉では、局長から「俸給の調整額に関わる平成8年の改正時に行った経過措置について、見直す必要がある」と回答したが、当時の経過措置の方法がベアを前提としたもので、現下の情勢ではこれを続けることは難しい。したがって、平成8年時の経過措置の方法を見直し、新たな経過措置に改めたいと考えている。その場合、平成8年の見直しから6年が過ぎていることから、今後1〜2年の間に経過措置をおおよその部分が解消できるよう措置したいと考えている。
(5) 育児休業の男性取得促進に係わる要求も踏まえ、我々としても問題意識を持って検討している。なかなか具体案が出てこないが、今後とも所要の検討を続けていきたい。
(6) 昨年の報告で表明した「公務部内の給与配分の在り方の見直し」については、本年は民調設計を変更することでスタートしたところであるが、人事院としても大きな課題であると考えており、今後とも報告で考え方を示していきたい。また、今般「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」で同様の趣旨のことが指摘され、人事院に検討するように閣議決定されたところであり、早急な対応を求められている。そういった視点から本年の報告において考え方や手順を示し検討に着手する予定である。

 上記の見解に対し公務員連絡会側は、次の通り主張し、重ねて人事院側の見解を求めた。
@官民較差について状況が厳しいことはわれわれも十分に認識しているが、生活防衛というわれわれの要求に応えられるようギリギリまで努力してもらいたい。勧告水準についてはできるだけ早期に提示してもらいたい。
 仮にマイナス勧告になった場合の精算方法については、不利益不遡及の原則はゆずれないし、生活が激変するような精算方法を認めるわけにはいかない。いずれにしろこの問題も十分交渉・協議してもらいたい。
A特別給も厳しいというが、4年連続月数減ということであれば耐えられない。俸給月額が下がる時に、特別給の月数もということにはならないことを強く要請する。
B配分については、現行の俸給:諸手当の配分比(85:15)を大きく変更すべきではない。仮に俸給月額がダウンする場合については、組合員層では一率の対応をすべきであることを強く求める。
 諸手当については生活給的手当の引き下げという考え方しか示されなかったが、なにをどのように引き下げるのかについてはわれわれと十分交渉し、合意の上で結論を出すことを強く求めておく。早急にメニューを示してもらいたい。
C3月期末手当の割り振りについても、期末・勤勉手当の割合の大きな変更にならないよう求める。
D俸給の調整額の経過措置の見直しについては、現行の方式が社会経済情勢の大きな変化により成立しなくなっている情勢については認識せざるを得ないと考えている。したがって、経過措置の打ち切りではなく、あくまで情勢変化を踏まえた新たな激変緩和の経過措置を提案しているものと認識する。1〜2年では該当者の生活に大きく影響することから受け入れられない。例えば金額で刻むとか、さらに緩やかな経過措置を示すことを求める。この問題については、別途関係構成組織と十分交渉してもらいたい。
E育児休業の男性取得策は、厚生労働省でも研究会がもたれていると聞いている。今回の報告でその具体策を示すべきではないのか。
と、さらに人事院側の考えを質した。

 これに対し佐久間審議官は、次の通り考え方を示した。
@較差が出てくるのはギリギリであり、したがって最後まで数字は明らかにすることはできないことをご理解いただきたい。ある程度を想定した議論については皆さんと十分行いたい。精算方法については、法制的な検討も必要であり、現在固まっていないが、皆さんの要望は承知した。
A特別給についても、気持ちはわかるが官民比較の結果に従うしかない。
B配分については、厳しい対応を考えねばならない中でも、従来の給与体系のバランスを充分念頭におかなければならない。較差の出方にもよるが、俸給の引き下げだけでは影響が大きすぎるという問題意識をもっている。諸手当の中では、原資との兼ね合いもあるが、仮にマイナスとなれば対象者が多い生活関連手当を念頭に置かざるを得ない。いずれにしろ、この問題は、十分皆さんと意見交換したい。
Cについては、要望として承る。
D俸給の調整額の経過措置の問題は、すでに6年もやってきているという事実も一方にある。皆さんの要求は承ったので、別途十分議論していきたい。
Eについても要望は承った。

 これらの見解を踏まえ公務員連絡会側は、「今日の話では、具体的な姿がまったく見えない、来週中には再度書記長クラスと勤務条件局長交渉を設定したいと考えているので、その段階で較差の姿、配分の考え方についてわれわれが議論できるものを提示してもらいたい」と要請し、本日の交渉を終えた。

以上