2002年度公務員連絡会情報 35 2002年7月24日

公務員労働組合連絡会

生活防衛求め書記長クラスが勤務条件局長と交渉−7/24
−月例給与(本俸・諸手当とも)の引下げを前提に作業中との見解表明−

 公務員連絡会書記長クラス交渉委員は、7月24日午後4時から、2回目の勤務条件局長交渉を実施した。この交渉は、人事院勧告が厳しい内容となることが明らかとなったことから十分な交渉・協議を行うため、30日の第2次行動時の交渉に加えて新たに設定したもの。
 冒頭、山本事務局長が「かつてない厳しい勧告が想定され、組合員の合意形成を図る必要があることから本日の交渉を設定した。今日段階の検討状況を明らかにしてもらいたい」と説明を求めたのに対し、大村勤務条件局長は、「公務員連絡会のご意見については真剣に検討してきた。今日現在、官民較差が判明していないので断定的なことは言えないが、次のようなことを中心に検討しており、引き続き皆さんの意見も聴いていきたい」として、以下のとおり現段階の検討状況を説明した。
(1) 月例給与については、引下げを前提とした対応をせざるを得ないが、その際、俸給と諸手当の両者が対象になると考えている。
 俸給については、従来からの改定経緯もふまえ、どれくらいになるかは別として、メリハリのある改定を行いたいと考えている。
 諸手当については、生活給的手当を中心に検討している。
(2) 特別給も、非常に厳しいと見ている。なお、3月期期末手当は民間を調査したところ支給しているところが少ないことから、6月と12月に前倒し支給する方向で検討中である。その際、期末・勤勉手当の割り振りについても対応しなければならないと考えている。
(3) 俸給の調整額の経過措置については、給与が上がっていくことを前提に設けられたものであるが、ここ2年ほど給与が上がってないことや本年の状況もあり、廃止せざるを得ないと考えている。代わりに新しい経過措置を設けることとするが、すでに6年も経過措置を行っているので、できる限り早く解消する措置としたい。
(4) 給与以外の勤務条件については、育児休業の男性取得促進策などを勉強しているが、具体的な提言をすることは難しいと考えている。
(5) 給与制度の在り方については、報告で考え方、手順等を示し早急に対応したいと考えているが、内容については検討中である。
(6) 俸給等の改定については、引上げの場合は4月実施を原則としているので、引下げの場合もその考え方を踏まえて処理していきたい。

 説明に対し公務員連絡会側は、「われわれの要求を踏まえた検討になっておらず、極めて不満である」としたうえで、以下のとおり、局長の見解を質した。
(1) 厳しい社会経済情勢であることや公務員批判が強いことは理解しているし、較差がマイナスになった場合、それを埋めざるを得ないということも、気持ちとしては不満であるが、認識している。しかし、埋め方については、われわれとの交渉協議をつくし、合意の上で決めるべきである。人事院が代償機関であるかどうか、組合員は注目している。組合員の生活・権利を守る立場で対応していただきたい。
(2) 官民較差はまだ集計中ということであるが、生活防衛の観点からぎりぎりまで努力してもらいたい。較差はいつ頃どのような形でわれわれに提示するのか。勧告はいつ頃になる見込みか。
(3) 月例給の引下げについては、組合員層は一率の配分がわれわれの要求である。引き上げの場合はともかく、引き下げの場合に「メリハリ」は受け入れがたい。とくに6〜8級の高位号俸層について、平均を上回るようなマイナス配分は認められない。
 手当についても、生活給的手当を中心に検討しているということであるが、配分比(本俸:手当=85:15)を維持する必要性があることから、配分の問題としてはやむを得ないと考えている。しかし、具体的にどうするかについては、十分交渉し、合意に基づいた作業を進めてもらいたい。
(4) 特別給については厳しいということであるが、ダブルパンチは耐え難いというのが組合員の率直な感情だ。正確な比較を行い現状維持となるよう最大限努力してほしい。
(5) 調整額の経過措置については、状況が変化した以上、見直しはやむを得ないと考えるが、昨日提案されたように新たな措置は2年で解消するというのは問題である。新たな措置も激変緩和が目的であり、月例給が下がる中、トリプルパンチになってしまう。規則事項であるので拙速に結論を出すのではなく、交渉協議に基づいて進めてもらいたい。
(6) 給与が厳しいときに、労働諸条件の改善に一歩でも前進するのが人事院の役割だ。ぜひ、育児休業の男性取得促進策などの具体策を提言するよう努力してもらいたい。
(7) 給与制度を検討することを報告すること自体はともかくとして、内容については交渉協議に基づいて進めるべきであり、それを制約するような報告は認められないし、拙速な検討はやめるべきだ。
(8) 較差の埋め方については、不利益不遡及が原則でなければならない。理屈が通って、組合員に説明できるものでなければ受け入れられない。その原則に抵触すると言うことになれば、われわれとしては法的手段も検討せざるを得ないこととなる。
(9) 3月の期末手当は、99年の「ボーナス研究会報告」では維持するということにされていたが、今回考え方を改めて前倒しすることにしたのはどういう理由か。また、期末手当と勤勉手当の割り振りを検討するということであるが、評価制度の話もまとまっておらず継続中であり、成績率の変更を含め、これらの考え方を変えて査定部分を大きく変更することは認められない。本年はあくまで精算の話が主であるし、期末手当で処理すべきだ。

 これらの質問に対し、局長は再度次のとおり考え方を示した。
(1) 較差は勧告で明らかになると言うことをご理解願いたい。勧告作業は、事務的には昨年と大きく変わらない日程で進めている。
(2) 配分については、これまで俸給表の改善は早期立ち上がりで行ってきたし、1号上位昇格の関係で遅れている俸給表については配慮したいと考えている。また、初任給は下がっていないので若年層を含めて配慮する必要もあると考えている。そういう意味で、ある程度メリハリをつけざるを得ないと考えている。公務員連絡会の一率という要求も重く受け止め、どの程度できるかを含めて検討しているが、若干のメリハリは必要と考えている。
(3) 諸手当は何をどうするかということであるが、公務員連絡会の要望も踏まえ、較差もみながらなお検討させてもらいたい。
(4) 特別給の水準については、皆さんの気持ちはわかるが、調査結果にもとづいて勧告する以外ないことをご理解願いたい。ボーナス研究会の報告はあるが、国会の審議状況等を踏まえながら、今回3月期末手当については前倒しで整理したいということである。期末と勤勉の割り振りの問題は、3月分を前倒しした後のそれぞれの期(6、12月)について、民間準拠という大きな手法の中で検討したいということだ。
(5) 調整額の経過措置は、あくまで経過措置なので、ある程度早く解消しなければならない。本俸まで手をつけるというときに長い間やっていくことは理解を得られないのではないか。できるだけ早く解消したいと考えている。
(6) 勤務条件については、すでにこの間相当措置してきているので、今年新たに具体策を提言するのは難しいと思っている。
(7) 給与制度の見直しについては、公務員連絡会と話し合いながら進めていく考え方であり、それを拘束するようなことは考えていない。しかし、そんなに時間的余裕がないので、密度を濃くしてやって行かざるを得ないと考えている。
(8) 不利益不遡及の原則はそのとおりであるが、引上げは4月に遡及して行ってきたということがある。どういう調整措置がとれるか、法制的にも整合性のある方法でキチッとやっていきたい。4月に遡及することは考えていないが、調整はせざるを得ない。

 以上のように、公務員連絡会の要求に対して局長はこれ以上具体的な見解を示さなかった。そのため、連絡会側は重ねて生活防衛に向けてぎりぎりまで努力し、30日の交渉ではより具体的な見解を示すことを強く求め、この日の交渉を締めくくった。

 公務員連絡会としては、本日の交渉で人事院から厳しい見解が示されたことを踏まえ、生活防衛に向けて一歩でも前進した回答を引き出すべく、30日の第2次中央行動や全国統一行動の態勢をさらに強化することとしている。

以上