2002年度公務員連絡会情報 38 2002年8月5日

公務員労働組合連絡会

第3次中央行動実施して書記長クラスが事務レベル最終交渉−8/5
−勤務条件局長交渉で減額調整問題を厳しく追及−

 公務員連絡会は8月5日、人勧期要求実現第3次中央行動を実施、書記長クラス交渉委員が人事院勤務条件局長との最終交渉を行った。

 午後1時30分から社会文化会館で開かれた中央集会には、全国の仲間800人が参加し、田中副代表委員を議長に選出。冒頭挨拶にたった北岡代表委員は、人勧制度の歴史を紐解きながら「今年の勧告は歴史上初めてのマイナスベア勧告となる。政府は公務員給与削減の動きを強めている。地方の人事委員会も地場賃金と比較する動きを強めている。あらゆる意味で人勧制度は曲がり角にあるが、そういう時こそ一致団結して闘う必要がある」と、最後の山場の闘いを全力で進めようと訴えた。
 次に基調提起では山本事務局長が、これまでの取り組みの経過を報告。「本日の勤務条件局長交渉が事務的な最後の交渉となる。明日、総裁との交渉で勧告内容を確定する。残された時間は少ないが、納得のいく勧告となるよう最後までがんばりたい」と提起した。また、公務員制度改革の取り組みでは、一千万署名が本日現在でほぼ95%の達成率であることを発表し、さらにもう一踏ん張りして、100%達成を目指そうと訴えた。
 構成組織決意表明では、国税労組・太田中央執行委員、税関労連・鬼塚横浜税関書記長、日教組・島書記次長、政労連・豊島書記長が登壇し、最後まで闘う決意を表明した。
 最後に北岡代表委員の音頭で団結がんばろうを三唱し、集会を締めくくった。

 集会を終えた参加者は、猛暑の中人事院前での交渉支援行動に移動。書記長クラスの交渉を支援して「不利益遡及はやめろ」「減額調整は行うな」とシュプレヒコールを繰り返した。

 同日午後行われた人事院勤務条件局長との交渉経過は次の通り。

<人事院勤務条件局長交渉の経過>
 公務員連絡会書記長クラス交渉委員は、8月5日午後3時から、第3次中央行動に連動して4回目の大村勤務条件局長交渉を実施した。
 冒頭、山本事務局長が「7月30日の交渉では明らかにされなかった内容、勧告日、較差の埋め方の問題などについて教えていただきたい」と回答を求めたのに対し、大村勤務条件局長は、以下のとおりの考え方を示した。
(1) 勧告日については今週中を予定しているが、明日、総裁からお答えしたい。
(2) 較差は相当厳しい数字になるが、勧告まで示すことはできない。
(3) 較差の埋め方についてであるが、国公法の情勢適応の原則は4月時点で較差を埋めるということであると認識している。改正法については、不利益不遡及の原則を踏まえるとともに月単位とするため12月1日に施行できるようお願いし、仮に4月から施行したとした場合の差額について12月期の期末手当で調整したい。

 こうした回答に対し、公務員連絡会側は、次のとおり問題点を指摘し、あくまで施行日以降の月例賃金から新賃金とするよう強く迫った。
(1) 厳しい勧告になるということだが、これまで引き上げてきた5〜6年分に相当するのではないか。これでは勤務条件を改善するという人事院の使命を果たすことにならないのではないか。
(2) 4月から個人別に計算して調整するのでは、実態としては不利益の遡及に他ならないのではないか。
(3) 月例賃金と一時金はそれぞれ民間と均衡させるのがこれまでのルールだから、一緒くたにして一時金から差し引くというのでは、これまでのルールを変えるということになるのではないか。
(4) 差額をどう調整するかは使用者が判断すべき事項であり、人事院が勧告する問題ではないのではないか。
(5) 4月からの給与は適法に支払われたものであり、一時金から差し引くとはいえ、実態としては支払い済み債権を減額するものであり納得できない。これが認められると同様の手法が特殊法人や独法、民間企業にも波及して大変なことになるのではないか。

 しかし、局長は次のとおりの見解を繰り返すにとどまった。
(1) 上げるときも4月に遡って行っており、下げるのは初めてであるが同様に4月から埋めることが適当と考えている。
(2) 一時金で調整するのはおかしいということだが、月例賃金で調整することも検討した結果、一時金で調整する方が適当と判断したものである。それぞれが一時的に均衡しないということはあるが、年間で見れば均衡することになるので問題はない。
(3) 国会の事情等で勧告通りにならないこともあり得るかもしれないが、人事院としては12月1日までに法案が通って施行できるように責任を持ってお願いしたいということである。
(4) 退職者や異動して基準日に職員でなくなった者からは取らないし、今後調整するということであるので、法律的に遡及するというものではないと考えている。

 このように、あくまで4月に遡って計算し、12月の一時金で調整するという姿勢を崩さなかったことから、公務員連絡会側は「これでは不利益遡及になる。納得できない。再考すべきだ」と迫り、明日の総裁交渉では勧告内容について、われわれの要求を反映した一層明確な内容を示すよう求めて書記長クラス交渉委員による交渉を終えた。

以上