2002年度公務員連絡会情報 42 2002年9月9日

公務員労働組合連絡会

人勧の取扱いについて総務省人事・恩給局と交渉−9/9
−退手見直しに関わる総務大臣国会発言に強く抗議−

 公務員連絡会は、8月8日の人事院勧告を受けた政府の検討状況を質すため、9月9日午後1時30分より、総務省人事・恩給局と交渉を実施した。公務員連絡会からは幹事クラス交渉委員が出席し、総務省人事・恩給局からは花角人事・恩給局次長らが出席した。
 冒頭、公務員連絡会側は、退職手当の見直し問題に関わって、片山総務大臣が9月6日に行われた衆議院総務委員会で「退職手当の民間調査の集計は最終段階にある。退職手当の引き下げのアクションを起こす。法案については通常国会に提出する」との趣旨の発言を行ったことについて、「われわれと調査結果の取り扱いや官民比較のあり方の交渉・協議を行っている最中に、突然国会で大臣が退職手当の引き下げの法案を通常国会に提出すると答弁することは一体どういうことなのか。われわれとの交渉・協議の軽視ではないか。明確な説明を求める」と、総務省の姿勢を質した。
 これに対して人事・恩給局次長は、「調査については現在集計中のため、水準が上がるか下がるかについては現段階では申し上げられない。大臣が言いたかったことは、諸般の情勢を判断して現段階での見込みを示したものと理解している。いずれにしても、調査結果については、まとまり次第公表し、それに基づいて見直し内容を検討していく考え方に変わりはない」と答えた。
 公務員連絡会側が、「形式的な話をしているのではない。退職手当見直しに向けた枠組みや手順が、われわれとの協議抜きに、別途進められていると受け止めざるを得ない。国会で大臣が発言し、既成事実化するようなことについては厳しく戒めていただきたい。退職手当の見直しについては、過去の経過から考えても、われわれとの十分な交渉・協議を尽くすべきである。退職手当の見直し内容については、今後、われわれと交渉・協議していく姿勢に変わりはないのか」と質したのに対し、人事・恩給局次長は、「総務省としては退職手当の改正法案は通常国会に提出したいとの見通しは持っているが、それは固まったものではない。当然、職員団体との協議を前提に検討していきたい。大臣の発言もこのことを踏まえたものと理解している」と述べ、見直し内容については今後十分交渉・協議することを約束し、退職手当改正法案の提出時期については現段階では固まっていないと答えたことから、この問題については打ち切り、本題の人勧取り扱いをめぐる交渉・協議に移った。

 公務員連絡会側が現段階の検討状況を質したのに対して、人事・恩給局次長は「8月8日に勧告を受けて同日に第1回目の給与関係閣僚会議を開き、政府としての検討に着手した。今後、政府としては、人勧尊重の基本姿勢の下、国政全般を考慮しながら国民の理解を得られるような結論を得ていきたいと考えている。総務省としては、民間の経済状況など公務を取り巻く状況は非常に厳しいものがあるが、人事院勧告が労働基本権制約の代償措置の根幹であること、労使関係にも重大な影響を与えることなどを踏まえ、人勧通り実施すべく最大限努力していきたい」と、現段階の見解を述べた。また、閣議決定の時期については「検討中であり、確定的なことは申し上げられない。10月中旬までなだれ込むとは考えにくい」としたのみで、それ以上明確な見解は示さなかった。
 続いて、減額調整阻止の問題についての政府としての検討状況を質したのに対して、次長は人事院勧告の考え方に沿って縷々説明したが、結論としては「政府・総務省としての考え方は現在検討中であり、まとまっていない。初めてのこともあり、慎重に検討している」と答えるに止まった。そのため公務員連絡会側は「勧告を受けた段階でこの問題の責任は政府に移っている。われわれとしては、減額調整措置問題は不利益不遡及の原則に照らして違法性が疑いが強いことから、これについては実施しないことを求めている。したがって政府・総務省がわれわれに納得いくよう明確な法的見解を示すことが求められており、閣議決定までの間にその政府見解をわれわれと十分交渉・協議する期間を確保した形で提示すべきだ」と、減額調整阻止問題についての公務員連絡会側の考え方を述べ、「明日閣議決定するという段階で見解が示されても議論する時間は確保できない。諸般の情勢を考えれば遅くとも9月17日の人事・恩給局長との交渉・協議の場で総務省の統一見解を示してもらいたい」と求め、総務省側が「政府としての見解は内閣法制局とのすりあわせも必要なのでその段階には間に合わないが、17日の会見で総務省としての統一見解は示したい」と、これに同意したため、この日の交渉・協議をうち切った。

以上