2002年度公務員連絡会情報 44 2002年9月26日

公務員労働組合連絡会

人事院の「地域給与研究会」設置で勤務条件局長と交渉−9/26

 公務員連絡会書記長クラス交渉委員は、26日、13時30分から人事院大村勤務条件局長交渉を実施した。本年勧告の中で「地域における公務員給与の在り方」について、「研究会を直ちに設置し、関係各方面と幅広く意見交換しながら、早急に結論を得ることができるよう、具体的な検討を進めていく」と報告したことを踏まえ、近々に研究会を設置することになったことから行われたもの。
 冒頭、大村勤務条件局長は研究会の設置について次の通り説明した。
(1) 一昨年の給与の勧告で、地域に勤務する職員の給与水準が民間と比較して高いのではないかとの指摘に対応して検討する必要があることを報告した。国家公務員は、給与水準を全国で民間に合わせてそれを配分しているので、地方が高いということになれば東京は低いということになる。これをどう説明し、どう対応するかということだ。
 一つには、民間の地域の給与実態を調査しようということで、今年の民調で行ってきた。
 次に、対処方法はどうかということで6月25日の閣議決定(骨太方針その2)にあるように政府も関心を持っているということだ。政府はどちらかといえば地方公務員に関心をもっているようだ。
(2) 国家公務員の場合、全国を異動する必要性があることを勘案し、地域の民間給与の実情を踏まえて、地域に勤務する職員の給与の在り方を検討する必要がある。給与水準、俸給制度、地域手当を含めて給与制度全般について検討する。給与カーブをどうするかも検討することになると思うので、中高年の給与などにも幅広く関わってくる。そのため、人事院だけで検討するのではなく、学識経験者に検討してもらってから対処したいということで研究会を置くものである。
(3) 研究会の構成は、学識経験者を中心に、地方自治体関係者とマスコミ関係者を含め10名で構成したい。研究会には自立性を持って作業してもらいたいので、委員が推薦する事務局担当者(研究者で非常勤)も委嘱したい。
(4) スケジュールは、30日に第1回を行い、月2回程度開催し、春頃(3〜4月)には当面の結論を報告してもらいたいと思っている。その報告を踏まえて、夏の勧告・報告時に対応したい。

 説明に対し公務員連絡会側は、@閣議決定を受けての話ということでもあるが、政府の意向を踏まえて人事院が給与を検討するというのは第三者機関として筋違いではないか、A内閣官房の推進事務局でも「大綱」に基づいて給与制度の検討を行っているが、研究会における検討はどういう関係になるのか、B給与制度全般の検討を行うということだが、あくまで地域給与の問題に止めるべきではないか、C春に「当面の結論」を報告してもらって、すぐ夏に勧告するのは問題だ、と人事院の見解を質したのに対し人事院は、@これまでは中央人事行政機関である総務大臣を通じての使用者としての政府の人事院に対する要望として出されてきたが、今回は官房長官が閣議決定内容を人事院に伝える形であったが特に問題があるとは思わない。人事院は代償機関として作業を進めるということだ、A人事院としては、今年報告したように職務・職責を基本とする現在の給与制度の基本的考え方に基づいて作業してもらいたいと思っている、B研究会はあくまで「地域に勤務する公務員の給与」を検討してもらうということであるが、議論によってはそれにとどまらない内容が出てくることも考えられるということである、C勧告で対応するというのは、必ずしも具体策を勧告するということではなくて、最低限「人事院としてはこういう方向で検討していく」ということは報告しなければならないという意味である、などと応えたが、推進事務局での検討との関係は明確にしなかった。
 以上の論議を踏まえ、公務員連絡会側は、「官房長官からの要請に対応したということについては整理して問題があれば別途申し入れたい」とした上で、@研究会の審議内容を逐次報告し、資料を提供すること、A研究会の場で、公務員連絡会に十分なヒアリングを保障すること、B研究会とは別に、地域給与のあり方については公務員連絡会と交渉・協議するテーブルを設けること、を約束するよう迫った。これに対し、大村局長が、@審議経過は逐次報告するが、資料については個人名があるものなどを除いて提供したい、A公務員連絡会を始めとする組合、及び各府省からのヒアリングの場はできるだけ早く設けたい、B地域給与のあり方については、研究会とは別に皆さんと協議する場を設ける、と約束したことから、最後に、「研究会の報告を受けた後、人事院としてどう対応していくかについても連絡会と十分な協議を行ってもらいたい」と要望し、局長がこれを確認したことから、本日の交渉を終えた。

以上