2002年度公務員連絡会情報 46 2002年9月27日

公務員労働組合連絡会

政府が人勧通りの実施、退職手当見直しの基本方針を閣議決定
公務員連絡会は「声明」発し、抗議の全国統一行動実施−27日

 政府は、27日午前8時45分から第2回給与関係閣僚会議を開いて、「国家公務員の給与については、去る8月8日の人事院勧告通り改定を行う」との取扱い方針(資料1、2)を確認した。また、合わせて退職手当については、「民間企業退職金実態調査に基づき支給水準を見直すこととし、これに伴う関係法律の改正案を次期通常国会に提出する」との基本方針を確認した。これらの政府方針は、その後9時30分から開かれた閣議でも正式に決定された。
 総務省人事・恩給局は本日の閣議決定を踏まえ、臨時国会の早い段階で給与法改正法案を国会提出すべく法改正作業を進めることとなる。また、退職手当についても通常国会に提出すべく、見直し作業を急ぐこととなる。
 公務員連絡会は、26日午後の総務大臣交渉を踏まえて開かれた企画・幹事合同会議で確認したとおり、本日(27日)、抗議の意を表した「声明」(資料3)を発表を発表するとともに、@十分な法的説明がないまま減額調整措置を実施する閣議決定を行ったことA退職手当の見直しの基本方針を一方的に閣議決定したこと、などに抗議し、B今後の秋季闘争後段の闘いの決意を固める、時間外職場集会を中心とした全国統一行動を実施。各級機関名で内閣総理大臣・総務大臣宛の抗議打電行動に取り組んだ。
 公務員連絡会は、今後の給与法改正法案作業の過程において、@総務大臣が約束した減額調整措置についての明確な政府見解を求め、それを行わないよう求めて取り組みを強め、A仮に政府が減額調整措置を実施する給与法改正法案を国会提出した場合はその部分の「修正」を与野党に求め、国会段階の取り組みを継続することとしている。そのため、11月14日には秋闘第2次行動を実施する予定。
 また、退職手当の見直しに関しては、連合官公部門連絡会「退職手当見直し対策委員会」に結集し、通常国会に向けて、見直し内容をめぐる総務省との交渉・協議を一層強めることとしている。



資料1.人勧取扱い等に関する閣議決定内容

公務員の給与改定に関する取扱いについて


平成14年9月27日閣議決定


1 一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける国家公務員の給与については、去る8月8日の人事院勧告どおり改定を行うものとする。
 なお、公務能率及び行政サービスの一層の向上を図るとともに、官庁綱紀の厳正な保持、公正な公務運営の確保に努めるものとする。

2 特別職の国家公務員については、おおむね1の趣旨に沿って、その給与の改定を行うものとする。

3 1及び2の給与改定については新たな追加財政負担は要しないが、我が国の財政事情がますます深刻化していることを考慮すれば、行財政改革を引き続き積極的に推進し、総人件費を極力抑制するとの基本方針は堅持する必要がある。そのため、行政事務・事業の整理、民間委託、人事管理の適正化等行政の合理化、能率化を積極的に推進する等の措置を講ずるとともに、定員については、「国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本的計画」(平成11年4月27日閣議決定)、「新たな府省の編成以降の定員管理について」(平成12年7月18日閣議決定)等に基づき、各府省とも、一層の新規増員の抑制及び定員削減の実施を図ることとし、引き続き国家公務員数の純減を行う。さらに、特殊法人等についても厳しい定員削減を実施する。また、独立行政法人についても、中期目標設定、評価等に当たって役職員数も含めた一層の事務運営の効率化を図る。
 地方公共団体についても、国の措置に準じて措置するように要請する。また、地方公共団体に定員の増加を来し、人件費の累増をもたらすような施策を厳に抑制する。

4 また、国家公務員の退職手当については、民間企業退職金実態調査に基づき支給水準を見直すこととし、これに伴う関係法律の改正案を次期通常国会に提出するものとする。

5 特殊法人等の役員の給与については、「特殊法人等の役員の給与・退職金等について」(平成14年3月15日閣議決定)に基づき、平成14年度から平均1割程度削減したところであるが、特殊法人等においてその役職員の給与改定を行うに当たっては、国家公務員の例に準じて措置されるよう対処するとともに、事業及び組織形態の見直しを通じた給与等の適正化を進めるものとする。また、独立行政法人の役職員の給与改定に当たっても、国家公務員の給与水準を十分考慮し、適正な給与水準とするよう要請する。

6 地方公共団体において地方公務員の給与改定を行うに当たっては、現下の極めて厳しい財政状況及び各地方公共団体の給与事情等を十分検討の上、国と同様、行政の合理化、能率化を図るとともに、既に国家公務員又は民間の給与水準を上回っている地方公共団体にあっては、引き続きその適正化を図るため必要な措置を講ずるよう要請するものとする。 また、地域における国家公務員給与の在り方については、人事院において具体的な検討を進めていくこととされたが、地方公務員給与の在り方についても、国の検討状況も踏まえつつ、地域毎の公務員給与と民間給与の比較方法をより一層精確に示すなどの方法により、地域毎の実態を踏まえた見直しを行うよう要請するものとする。



資料2.閣議決定に対する官房長官談話

内閣官房長官談話


(平成14年9月27日)

 政府は、本日の給与関係閣僚会議において公務員の給与改定の方針を定め、引き続き閣議において一般職国家公務員の給与改定について人事院勧告どおり実施することに決定しました。
 本年度の国家公務員の給与改定に関する方針を決定するに際しては、民間が厳しい経済状況にあること及び我が国の財政事情等を踏まえ、政府としては、納税者たる国民の理解の得られる適正な結論を出すべく、慎重に検討を進めてまいりました。
 本年度の勧告は、現下の民間の給与実態を反映し、人事院勧告制度創設以来初めて俸給等を引き下げるとともに、期末手当の引下げを行うことにより、職員の年間給与が4年連続でマイナスになるという厳しい内容であります。これを踏まえ、人事院勧告制度を尊重するとの基本姿勢に立って、国政全般の観点から議論を行った上で、本日、勧告どおり実施することを決定したところであります。
 政府としては、この給与改定の実施については、新たな追加財政負担は要しないが、ますます深刻化している財政事情等にかんがみ、行財政改革を引き続き積極的に推進し、総人件費を極力抑制するとの基本方針を今後とも堅持する必要があると考えております。そのため、行政の合理化、能率化を強力に推進するとともに、定員については、引き続き国家公務員数の純減を行う所存であります。
 また、国家公務員の退職手当については、民間の退職金との均衡を図る観点から、民間企業退職金実態調査に基づき支給水準を見直すこととしたところであります。
 公務員諸君は、今回の決定が現下の厳しい情勢の下において決定されたものであることを十分理解され、今後とも、国民の信頼にこたえ、公務能率及び行政サービスの一層の向上を図るとともに、官庁綱紀の厳正な保持、公正な公務運営の確保に努めるよう強く期待するものであります。



資料3.公務員連絡会の声明

人事院勧告の取り扱いと退職手当見直しの閣議決定に当たっての声明


(1) 政府は本日、第2回目の給与関係閣僚会議を開いて本年の人事院勧告を勧告通り実施する方針を確認し、その後の閣議で正式決定した。また、国家公務員の退職手当を削減する内容の退職手当改正法案を次期通常国会に提出する方針も閣議で決定した。

(2) 本日の人事院勧告に関わる閣議決定については、8月8日の勧告の際にもわれわれの態度を明確にしたとおり、月例給与のマイナスや一時金削減はわれわれ公務員労働者の生活に大きな影響を及ぼすものであり極めて遺憾であるが、それが民間の実勢を正確に反映したものであれば受け止めざるを得ないものである。
 しかし、不利益不遡及の原則に照らして違法性の疑いが強い減額調整措置については、政府から十分な納得のいく法的な説明もなく一方的に決定されたものであり、これを到底受け入れることはできない。本年の勧告の取り扱い方針を決定するに当たってわれわれは、政府に対して「十分な交渉・協議と合意」を強く申し入れてきたが、それが十分に受け止められることなく閣議決定されたことに強く抗議するものである。
 この減額調整措置の問題については、引き続き政府と交渉・協議を継続させ、政府がそれを盛り込んだ改正法案を閣議決定した場合は、減額調整措置を行わないよう修正を求める国会段階の取り組みを進めていくこととする。

(3) 退職手当の見直しに関わる閣議決定についても、官民較差に基づく削減幅と改正法案の国会提出時期を政治的に確定し、われわれとの交渉・協議を実質的に拘束するものであり、極めて遺憾といわざるを得ない。
 われわれは、本日の閣議決定によって退職手当の削減法案が通常国会に提出されることはさけられない情勢となったことを十分認識しつつ、一方的な退職手当の削減には反対の立場を明確にし、政府に対して文字通り見直し内容に関わる十分な交渉・協議と合意を得るよう強く求め、連合官公部門連絡会としての取り組みを一層強化することとする。

(4) 来年度予算編成をめぐって、国民生活関連予算と公務員の総人件費の削減が政治課題に位置づけられ、小泉構造改革路線の具体化が国民と公務員にだけ痛みを強要するものであることがますます明らかとなってきている。
 公務員連絡会としては、連合に結集して国民的な課題の解決に向けた取り組みを進めるとともに、あくまで公務員の生活を防衛する基本的な視点に立って、給与法改正法案や退職手当の見直しに対する取り組み、地方公務員や独立行政法人、政府関係法人の賃金確定闘争など、秋季闘争後段の闘いを全力で進めていくこととする。そのため公務員連絡会は、本日、時間外職場集会を中心とした全国統一行動を実施し、減額調整措置と退職手当の削減方針が一方的に閣議決定されたことに抗議の意を表するとともに、今後の闘いへの決意を固めることとする。
 臨時国会段階の取り組みは、一方で「大綱撤回と民主的公務員制度改革」を求める闘いの大きな山場でもある。公務員をめぐる情勢は引き続き極めて厳しく、かつ課題が山積する困難な局面が継続することとなるが、これらの秋季闘争課題と公務員制度改革の取り組みを結合させ、文字通り21世紀における公務・公共部門の未来をかけ、組織の総力を挙げた闘いを進めていかねばならない。

2002年9月27日
公務員労働組合連絡会


以上