2003年度公務員連絡会情報 13 2003年1月8日

公務員労働組合連絡会

地方財政審議会第5回地方公務員共済組合分科会開催される−1/7

−総報酬制導入などに伴う関係政令改正、地方公務員共済年金の物価スライド等について議論−

 1月7日、地方財政審議会第5回地方公務員共済組合分科会が開催され、協議事項として「地方公務員等共済組合法施行令等の一部を改正する政令案(別紙1)」の概要(平成15年4月の総報酬制導入等に伴う改正)が提案された。
 また、報告事項として、@地方公務員等共済組合法施行令の一部を改正する政令、A健康保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令、B健康保険法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令、C平成15年度の地方公務員共済年金の改定内容について(別紙2)、D国共済と地共済の長期給付に係る財政単位の一元化について(たたき台)、E年金改革の骨格に関する方向性と論点、F「医療保険制度の体系の在り方」等について、報告が行われた。
 分科会では、最初に、「地方公務員等共済組合法施行令等の一部を改正する政令案の概要」が提案され、2003年4月から導入される総報酬制に関わる規定の整備として、@期末手当等の範囲として、法律で定められている期末手当、勤勉手当、期末特別手当のほかに、寒冷地手当等とすること、A短期給付及び介護給付金の納付に係る掛金の算定方法を総報酬制ベースに改めること、B市町村連合会が行う財政調整事業及び特別財政調整事業に係る基準を総報酬ベースに改めること、C短期給付等に係る掛金の標準となる期末手当等の最高限度額を200万円とすることが説明された。また、地方議会議員年金の一部改正についての規定の整備についても説明が行われた。
 これに対して、吉澤特別委員(自治労労働局次長)は、@寒冷地手当を期末手当等の範囲とすることに疑問がある。寒冷地手当は、支給される自治体が限定されている。そのため、短期給付に関わっては、各共済組合において賦課方式により特定される保険料の対象の問題であるが、長期給付に関わっては、現在の給料月額ベースが全ての地方公務員等の職種、地域間における手当の種類・水準に配慮しているという趣旨と異なるのではないか、A総報酬制の導入は負担の水準に影響しないことを前提としているが、長期給付にかかわっては、算定要素となる「手当率」、「期末手当等の割合」との関係で、実態的には負担が増加する。これは、2003年度の一時金月数の実態が、4.65ヵ月(年間給料月額割合0.3875)であるにもかかわらず厚生年金が採用した年間給料月額割合0.3を採用し、掛金率を算定しているためである。この点について、実態にあった割合を算定するべきものと考えるがいかがか。地方公務員の給与が減額されていることに配慮した措置が必要である、B市町村連合会の財政調整事業及び特別財政調整事業に係る基準が総報酬ベースに改められた場合、実質的に財政調整事業の基準が引き上げられることになる。この基準は、今まで、事実上の掛金の上限として機能してきた。そのため、総報酬ベースに改めることが、組合員、単位共済組合の財政に与える影響をどのように考えているのか、と質問した。
 この質問に対して、長谷川幹事(総務省福利課長)は、@寒冷地手当は、従来の特別掛金でも期末手当等の範囲としてきた。その意味では、従来と同様の措置である、A期末手当等の年間給料に対する割合については、厚生年金と同様の0.3を用いざるをえない。なお、負担が上昇する分は、当然、給付に反映されることになる。また、平成16年に予定する財政再計算においては、一時金を含めた総報酬をベースとして算定するため、平成15年度に限定したものになると考えている、B財政調整の掛金の上限が実質的に上がるという点については、掛金をあげることが目的ではなく、短期給付での整合性を図ることが目的である。組合員の負担に大きな変更がないようにしたいが、長期給付同様に0.3という割合を使うため若干の差が生じるが、制度的なものとしてご理解をお願いしたいと答えた。
 協議事項は、この質疑応答をもって確認されたが、政令の具体的内容については、今後検討されることが明らかにされた。
 続いて、報告事項として、@地方公務員等共済組合法施行令の一部を改正する政令(特例一時金に関わる規定の削除)、A健康保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令、B健康保険法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令、C平成15年度の地方公務員共済年金の改定内容について(物価スライドの凍結解除による年金の引き下げ)、D国共済と地共済の長期給付に係る財政単位の一元化について(たたき台)、E年金改革の骨格に関する方向性と論点、F「医療保険制度の体系の在り方」等について、順次報告が行われた。
 これに対して、吉澤特別委員は、@平成15年度の地方公務員共済年金の改定で、厚生年金の物価スライド実施(▲0.9から1%程度)と同様に地方公務員共済年金においても給付の引き下げを実施するということだが、年金受給者の生活に重大な影響を及ぼすことになる。従来の経済政策を今回転換して、物価スライド凍結を解除する理由は何か。また、この間の物価スライド凍結に関わって、「後世代に負担を転嫁しないための措置を講じる」とされてきたが、具体的な措置や財源の特定はどのように図られるのか、A「医療保険制度の体系の在り方」等で、保険者の再編・見直しが検討されているが、この再編・見直しに対して、地方公務員制度の一環としての共済組合短期事業について、これを堅持することが必要である。この点について、総務省の見解を明確にするとともに、堅持にむけて格段の努力をお願いしたいと質問した。
 これに対して、長谷川幹事は、@物価スライドについては、厚生年金と同じ対処をしたい。平成14年は、現役の地方公務員の給与が低下しているのは明らかであり、高齢者・年金受給者に配慮しつつも、現役との均衡を図る必要がある。また、過去の凍結に関わる措置については、厚生年金がどのような措置をとるかを見ながら対応させていただきたい、A総務省としては、地方公務員制度の一環としての共済組合制度を堅持していくことが基本的な立場であると答えた。
 これらの質疑を行い、第5回地方公務員共済組合分科会は閉会された。
 なお、公務員連絡会地公部会として、引き続き総報酬制導入に伴う課題について総務省対策などの対応をはかっていく予定である。



別紙1

地方公務員等共済組合法施行令等の一部を改正する政令案の概要

第1 趣旨
地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律(平成12年法律第22号)第2条及び健康保険法等の一部を改正する法律(平成14年法律第102号)附則第51条の施行により、平成15年4月1日から地方公務員共済組合制度において総報酬制が導入されることに伴い、所要の規定の整備を行う。
 また、地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律(平成14年法律第37号)の施行に伴い、地方議会議員年金について所要の規定の整備を行う。

第2 内容
1 総報酬制の導入に関する事項
(1)期末手当等の範囲を、法律で定められている期末手当、勤勉手当、期末特別手当のほか、寒冷地手当、特定任期付職員業績手当及び任期付研究員業績手当とする。
(2)短期給付及び介護納付金の納付に係る掛金の率の算定方法を総報酬ベースとしたものに改める。
(3)市町村連合会が行う財政調整事業及び特別財政調整事業に係る基準を総報酬ベースとしたものに改める。
(4)短期給付等に係る掛金の標準となる期末手当等の最高限度額を200万円とする。
(5)平成15年4月1日前の組合員期間を有する者について、障害共済年金等に係る所要の経過措置を定める。

2 地方議会議員年金に関する事項
(1)所得制限に係る支給停止基準額を、217万6千円とする。
(2)平成15年4月1日前に地方議会議員であった期間を有する者について、所要の経過措置を定める。

3 その他
 その他所要の規定の整備を行う。

第3 施行期日
 平成15年4月1日



別紙2
平成15年度の地方公務員共済年金の改定内容について


 地方公務員共済年金については、厚生年金と同じく公的年金の一環をなすものであって、その物価スライドは、法律上厚生年金等と同じ制度となっており、これまで厚生年金等において特例措置が講じられた際には同様の取扱いをしてきたところであることから、平成15年度の年金額についても、厚生年金と同様の改定措置を講ずる予定。

◎厚生年金のスライド内容
 平成15年度の年金額等について、平成14年の消費者物価の下落(▲0.9%〜▲1.0%程度)に応じた物価スライドを実施。
 なお、平成11年から13年までの3年間の消費者物価の下落分(▲1.7%)については、特例措置を講じ、引下げを行わない。

◎地方公務員共済年金の影響額(▲0.9%の場合)
                (改定前)               (改定後)
・標準的な年金額(月額)       28.1万円   →     27.8万円
 (夫婦2人、夫40年加入、妻専業主婦の場合)

◎地方公務員共済年金全体への影響額(年間給付費ベース)
         ▲383億円

以上