2003年度公務員連絡会情報 16 2003年2月13日

公務員労働組合連絡会

地公の退手見直しに関わる総務省公務員部交渉実施−2/10

 公務員連絡会地公部会幹事クラス交渉委員は、10日13時30分から、国家公務員退職手当法改正案が閣議決定されたのを受けて、地方公務員の退職手当の見直しに関わる総務省公務員部給与能率推進室交渉を行った。
 給能室からは、齋藤室長、相馬定員給与調査官、長谷川補佐が出席した。

 交渉の冒頭、別紙要求書を手交し、公務員連絡会側は「国家公務員退職手当法改正案は2月7日に閣議決定された。上程時期は国会情勢もあり不透明のようだが、少なくとも6月までの今通常国会会期中に成立させるものと聞いている」として、次のように総務省側に要請した。
@ 地方公務員の退職手当については、自治体に対し貴職の助言等具体的な対応が行われるものと考えられるが、退職手当の見直しは、退職公務員の生活保障の観点から慎重に取り扱われる必要があること。
A したがって、退職手当見直しにあたっては、十分な労使交渉を行うべきものであり、自治体当局により一方的な条例化を行われないようにすべきである。また、退職手当支給水準の見直しにあたっては、少なくとも改定後の国の支給水準を下回ることのないようにすべきであり、経過措置についても同様のものと考える。こうした考え方に沿って、今後の作業を行うこと。

 これに対し齋藤室長は「2月7日に閣議決定された国家公務員退職手当法改正案の国会審議状況については注意深く見守っていきたい」として、次のように応じた。
@ 地方公務員の退職手当は条例に基づき支給され、条例は議会の議決を経て改正される。退職手当は、地方公務員法24条3項の趣旨に則り、国と均衡すべきもので、国家公務員退職手当法改正案が成立した場合には、それに準じて速やかに条例を改正していただきたい。なお、総務省では、従来より条例(例)を提示しているところだが、各地方公共団体では改正法律事項だけでなく、政令事項も含めて条例において措置していることから、これまでと同様に政令の制定をまって、速やかに条例(例)を示すこととしたいと考えている。
A 今回の国の改正は、民間との支給水準の較差を早期に是正することを目的としており、国の施行時期とあまり違わない時期に地方公共団体でも速やかに条例を改正し施行できるよう準備を進めていただきたい。

 こうした回答に対し公務員連絡会側は、@政令が固まってから具体的な条例(案)を示すということか、A国と同様の趣旨で対応するということから察すると、今回の国の見直しは水準問題が主であるから、その他の課題は見直しの対象とはならないと考えられるが。Bいくつかの自治体で、財政事情を口実として国に先んじて見直しを行おうとする動きが現れているが、均衡の原則からしたらおかしいのではないのか、C自治体の条例改正は国の法改正を受けたものとなるとすれば、周知期間も必要なので、国と同じ実施時期とはならないのではないか、と総務省側の考え方をさらに質したのに対し、齋藤室長は、@国の改正案は政令に委任している部分があり、これを踏まえて条例を改正することとなるのではないか。なお、政令については速やかに制定されると聞いている、A例年、人勧の取扱方針が閣議決定されるおり事務次官通知を発出しているが、その中で、いわゆる「中膨れ」問題や国を上回る退職時特昇について触れ、その早急な是正をお願いしている。これらは新しく取り上げる課題ではない、B財政状況の悪化に対しては、個別の地方公共団体で臨時的な方策がとられているところがあるが、いずれにせよ地方公共団体が独自の判断と責任で行うものである、C国の改正案が想定している程度の周知期間は必要ではないか、と応えた。

 最後に公務員連絡会側から、「今後とも適宜交渉を進めてもらいたい」と要請し、この日の交渉を終えた。


【別紙】

2003年2月10日

総務大臣
 片山 虎之助 様

公務員労働組合連絡会地方公務員部会
全日本自治団体労働組合     
中央執行委員長 北岡勝征
日本教職員組合         
中央執行委員長 榊原長一
日本都市交通労働組合      
中央執行委員長 松島 稔
全日本水道労働組合       
中央執行委員長 足立則安
全国自治団体労働組合      
中央執行委員長 武田幸男


地方公務員の退職手当見直しに関する要求書


 貴職の地方自治確立、地方公務員の処遇改善にむけたご努力に敬意を表します。
 さて、国家公務員退職手当法改正案が2月7日に閣議決定され、この通常国会に上程されようとしております。
 このことにより、地方公務員の退職手当について、自治体に対し貴職の助言等具体的な対応が行われることになると考えております。退職手当の水準引き下げは、職員の退職後の生活を不安に陥れ、また期待権を侵害するものであります。したがって、退職手当の見直しは、退職公務員の生活保障の観点から慎重に取り扱われる必要があります。
 貴職におかれましては、下記事項の実現に尽力されますよう要求します。



1、地方公務員の退職手当の見直しに当たっては、国家公務員退職手当法改正案の趣旨を踏まえ、支給水準および経過措置は国と同等とすること。

2、退職手当条例の改正に当たっては、労使交渉を前提とし、自治体当局による一方的な条例化を行わないこと。

以上