2003年度公務員連絡会情報 38 2003年6月23日

公務員労働組合連絡会

労働条件専門委員会が人事院職員団体審議官と交渉―6/23
―人勧作業状況、異動保障、自宅住居手当、通勤手当等で見解質す―

 公務員連絡会労働条件専門委員会は、23日12時から委員会を開催して、「人勧期の当面する課題についての交渉の進め方」等について意思統一を図り、13時30分からは人事院交渉を実施した。
 公務員連絡会は、16日に委員長クラス交渉委員が中島人事院総裁と会い、本年の人勧期要求を提出しており、本日の交渉では、この要求を踏まえ、人勧作業の状況や当面する調整手当異動保障見直し、自宅に係る住居手当、通勤手当の支給方法などについて、人事院の見解を質した。人事院は鈴木職員団体審議官、宮本参事官が対応した。
 冒頭、小林専門委員長が「本日は要求提出以降最初の交渉であり、今年の勧告に向けた考え方を伺いたい」として、次の通り人事院の見解を求めた。

1.勧告に向けた作業状況
 集計作業に入っていると思うが、民調、国公実態の状況はどうなっているか。また、7月の早い段階に較差の概要を提示してもらいたい。
 昨年のような減額調整には、これまで一貫して反対してきた。認められないことを強く申し上げておく。
2.調整手当の異動保障見直し
 国会で論議されたことから見直し作業が始められ、現場の意見を聞いてもらったり、国税労組の署名を提出してきたので、十分に職場実態に配慮し、合意できる見直し内容としていただきたい。
 具体化に当たって、公務員連絡会としては、@期間縮小、支給率逓減は受給している者には大変なことであるので、実態に配慮した合意できる内容にすること、A十分な激変緩和措置(経過措置)を取ること、B将来の異動に伴う手当の在り方と、今回の異動保障見直しの関係を明確にすること、などを踏まえた内容にすべきであると考えている。
 なお、十分検討・論議が出来るよう、7月のできるだけ早い段階で具体案を提示していただきたい。
3.自宅に係る住居手当の見直し
 昨年来の課題であり見直すこと自体は受け止めるが、新築・購入時の手当制度は残すというのがわれわれの要求である。これもできるだけ早く提示していただきたい。
4.通勤手当の支給方法の見直し
 各省の意見を聞いているとのことだが、各省報告の状況を教えてほしい。今年の勧告で行うつもりなのか。行うということであれば、早急に考え方を示していただきたい。それを踏まえて、公務員連絡会として要求を提示し、交渉を行った上で態度を決定したい。
5.「地域給与研究会」の報告について
 われわれも、いつ公表されるのか注視している。地域給与の見直しは重要な労働条件の変更になるので、慎重な対応をお願いしたいし、基本的には、われわれとの交渉・協議、合意に基づいて進めていただきたい。
 公表に当たっては、われわれにも説明をお願いしたいし、報告の具体的な検討については、「交渉・協議の場の設置」を要請したいので、書記長レベル交渉委員と勤務条件局長との交渉を申し入れる。
6.ワークシェアリング、短時間勤務制度等の検討の促進
 春闘回答に基づいて、本年の勧告で一定の考え方を提示し、「研究会」を設置し、来年度には間に合うように作業を進めてほしい。

 これに対し鈴木職員団体審議官は、以下の通りの見解を示した。
1.勧告作業については、例年ペースで進んでいると聞いている。民調は6月13日に締め切って、点検・集計作業に入りつつあるところだ。国公実態の方も例年のペースで進んでいる。
 較差を早く示してほしいということだが、調査は例年通りの設定なので、違った対応は難しい。作業の進捗状況を見ながら検討したい。
 減額調整については、今年も厳しい状況にあるが、昨年来の議論もあるし、国会の附帯決議もあるので、いろいろ考えているがなかなかいい知恵がない。さらに一緒に考えていきたい。
2.異動保障見直しについては、自分の経験からも重要な課題と思っている。問題が出てきた経緯を考えると、公務部内で必要なことも国民一般に理解される形にしないといけないという状況になってきた。そのための知恵を出さないといけないし、見直すべきところは見直す必要があると考えている。
 厳しい指摘に応える必要があることから、激変緩和措置として出発したことを踏まえ、どこまでやるかということを考えなければならない。検討の進捗に応じて、なるべく早く考え方を提示したい。
3.自宅に係る住居手当については、昨年来の経緯に基づいて問題提起を行った。設けられた趣旨と現状がずれてきているので、どう整理が可能か検討しているところだ。その進捗に応じて考え方を出来るだけ早く提示したい。
4.通勤手当の支給方法の問題については、実務的な問題について各府省に調査している。
報告も少しずつ上がってきているが、今、担当のところで整理中であり、内容はまだ聞いていない。担当のところで整理して、どういう問題があるかを踏まえて、検討していくことになる。
5.地域給与研究会報告については、6月13日に研究会で最終議論を行って、7月に入って発表できるよう作業をしていると聞いている。幅広く大局的な議論を頂いたので、報告をもらったら、皆さんに十分説明し、話し合っていきたいと思っている。
6.ワークシェアリング、短時間勤務の課題については、大変大きな問題であり、いろんなレベルでの検討が必要である。国の雇用政策レベルの話、地方公務員、国家公務員それぞれのレベルなどいろいろある。人事院としても問題意識はもって検討している。研究会をすぐに設置することが適当かどうかも含めて、研究・検討をして参りたい。

 こうした見解に対し、連絡会側は@本年の較差はどのくらいか、民調の回収状況はどうか、A異動保障について国税労組としての提案(在職期間に応じた異動保障)をしたが検討状況はどうか、B自宅住居手当は、民調の内容も踏まえて対応し、見直す場合は説明責任を果たすべきだ、C通勤手当が6ヶ月だと職員の負担が大きい。民間の実態をきちんと把握して対応すべきだ、D地域研報告は、給与制度万般まで入っており話が大きい。われわれと十分な交渉・協議を行って進めるというスタンスを明確にすべきだ、Eワークシェアリング等は、国民の理解を得るためにも有識者や組合代表を入れた検討の場を設けて具体化を図るということを報告に書いてほしい、と重ねて要望し、見解を質した。
 これに対し審議官は、@民調の回収状況はまだ把握していないし、本年の較差がどうなるかはこれからだ。ただ、各種調査の結果を踏まえれば、月例給与は昨年と同様の厳しさであり、一時金は昨年以上に厳しいのではないか、A異動保障の提案については担当に伝えており、それも含め具体的見直し案を今検討しているところだが、率直に言って難しいのではないか、B自宅住居手当は民調結果も踏まえて検討したい、C通勤手当は実務上の問題として進めていきたい、D研究会報告については、説明するし意見を聞きながら進めて参りたい、Eワークシェアリング等については研究会を設置すべきという要望は承った、などと抽象的な見解表明にとどまった。
 このため、最後に連絡会側は「賃上げ状況が厳しいというのなら、一層、一緒にどうするか考えないといけない。昨年と同じような減額調整は反対であり、配分を含めて十分議論させてほしい。異動保障、住居手当、通勤手当の見直しについては、痛みを伴う者の要望を踏まえた内容を基本として、われわれが十分に議論し交渉・協議で合意できるよう、なるべく早く具体案を示していただきたい。地域研報告については、書記長クラス交渉委員から勤務条件局長に改めて申し入れたい。次回交渉ではより具体的見解を示してほしい」と要望、審議官も次回交渉を確認したことから、本日の交渉を終えた。

以上