2003年度公務員連絡会情報 8 2002年11月13日

公務員労働組合連絡会

地公部会が総務省公務員部長と交渉

 公務員連絡会地方公務員部会は、11月13日午後1時から、2002確定闘争の推進、地方財政確立に関わる申入れを行った。
 申入れには、山本公務員連絡会事務局長、岩本事務局次長ほか、君島書記長(自治労)、中村書記長(日教組)、水本書記長(都市交)、佐藤書記長(全水道)ら地公構成組織の書記長が参加、総務省からは荒木公務員部長、上田公務員課長、齋藤給与能率推進室長、田辺高齢対策室長、森課長補佐、長谷川課長補佐らが応じた。
 冒頭、地公部会側が別紙の要求書を手交するとともに、申入れ項目に基づき、総務省の今日段階の考え方を質したのに対し、荒木公務員部長は、概要、次の通り回答した。

1.賃金関係について
(1) 地方公務員の給与改定については、地方公務員法第24条第3項に規定する均衡の原則の趣旨に則り、国及び他の地方公共団体、民間企業の給与との均衡を失われないようにすべきである。国家公務員の給与改定においては、官民の年間給与の均衡を図るとの観点から、法施行日以降の期末手当で調整を行うものであり、このことは情勢適応の原則に照らして十分合理性がある。地方公共団体においても国家公務員に対する措置を同様の措置を講ずべきものと考えている。
(2) 地域における公務員給与の在り方の見直しについては、現在、人事院の研究会において議論されているところである。(今後の推移を注視してまいりたい。)
(3) 退職手当については、均衡の原則の趣旨に則り、国家公務員の退職手当の制度及び運用に準じるよう地方公共団体に対して従来より要請してきており、国の退職手当の見直しが行われた場合には、地方公共団体に対し、国に準じて適切な措置を講じるよう要請していきたい。

2.景気・雇用対策について
 マクロの経済政策、税制度等については、国の責任において対処すべきものと認識しているが、我が国経済における地方財政の役割は極めて大きく、景気対策にかかる公共事業等については、地方団体の理解と協力を得て、必要な地方財政措置を講じることで、円滑な事業実施に努めてきた。また、雇用創出・安定のための対策については、昨年度の補正予算で創設された「緊急地域雇用創出特別交付金」について、地方のニーズを考慮し、その効果的な実施が図られるよう改善が検討されており、この交付金の活用などにより、地域の雇用情勢に的確に対応して、積極的な取組みが行われるものと考えている。

3.地方税財政改革について
(1) 地方における歳出規模と地方税収入の乖離をできるだけ縮小するという観点に立って、自主財源である地方税を充実することが必要である。
 今回の改革は、歳入・歳出両面にわたって地方の自立性を高めていく観点から、国庫補助負担金、交付税、税源移譲を含む税源配分のあり方を一体で検討し改革しようとするもので、まさに三位一体で行うところに意義がある。
 このうち、国庫補助負担金の廃止・縮減は、税源移譲を含む三位一体改革の入口であるとともに、改革全体を左右する鍵となるものであることから、税源移譲の実現に向けて改革を進めていくには、まずは「基本方針2002」に示されている通り、「改革と展望」の期間中に数兆円規模の廃止・縮減が行われるよう、国庫補助負担金の具体的な改革案をとりまとめることが重要である。
 国庫補助負担金の改革案のとりまとめに向けては、さらに経済財政諮問会議において議論が行われるものと考えているが、総務省としては関係省庁間でも十分調整を図りながら、国庫補助負担金の改革案が三位一体の改革につながるものとなるよう最大限の努力していきたい。
(2) 法人事業税への外形標準課税の導入については、本年1月に閣議決定された「構造改革と経済財政の中期展望」で、「今後、各方面の意見を聞きながら検討を深め、具体案を得たうえで、景気の状況等も勘案しつつ、平成15年度税制改正を目途にその導入を図る」とされており、今後とも、平成15年度税制改正における導入を目指し、全国知事会や全国都道府県議会議長会などと連携を図りつつ、関係方面の理解が得られるよう取り組んでいく。
(3) 地方分権の成果を活かし、基礎的自治体である市町村の行政サービスを維持し、向上させていくためには、市町村合併は避けて通れない課題であり、市町村や地域住民と国、都道府県とが一体となって取り組んでいくことが不可欠であると考えている。
 しかし、市町村合併は、地域の将来や住民の生活に大きな影響を及ぼす事柄であるため、市町村や地域住民が自主的・主体的に取り組むことが基本であることは言うまでもない。
 したがって国や都道府県においては、そうした取り組みを積極的に支援することは必要と考えており、市町村合併支援プランなどに代表される行財政措置の拡充を図っている。
 いずれにしても、各市町村においては、市町村合併について、住民に対して積極的に情報提供を行うとともに、住民を交えて具体的に議論を進めていくことを期待している。

4.地方公務員制度改革について
 「公務員制度改革大綱」において、地方自治の本旨に基づき地方公共団体の実情を十分勘案しながら、国家公務員制度の改革に準じ、所要の改革を行うこととされ、そのスケジュールについては、国家公務員法改正と同時期に地方公務員法の所要の改正を行うこととするなど、速やかに改革に取り組むこととされている。
 なお、労働基本権の制約については、今後もこれに代わる相応の措置を確保しつつ、現行の制約を維持することとされた。
 地方公務員法の改正作業については、総務省自治行政局公務員部が中心となって鋭意進めているところであるが、総務省としては、行政改革推進事務局と連携をとりつつ、関係者の意見も伺いながら、適切に対応していく。

 こうした回答に対し地公部会側は、@減額調整措置については、国と同様でなければならないのか。例えば、地方では賃金削減をしているところもあり、また、3月の期末手当がすでにないという自治体もある。一律に国と同様の措置を講じなければならないとすべきではないのではないか、A三位一体の改革というが、この間の情勢を鑑みるに、一方的に地方に財政赤字の漬けを転嫁しようとする動きがあるなど、大変、危うい状況にあるのではないのか、とさらに総務省側の見解を質したのに対し、総務省側は、@減額調整については、国に準じて12月の期末手当で調整するように措置すべきものであるが、本年度についてはやむを得ず国と同様の措置が講じられなければ、別の方法を講じるなど、各団体で考えて措置するよう要請している。人事委員会勧告の内容とは別に、財政事情等の理由により、財政再建団体に転落することを回避するため、緊急避難的に給与を削減しているところもあるが、これは各団体がその独自の判断で実施したものと認識している、A地方の側が具体的な行動を起し、地方の実情を知らせていくことが必要だ。この点で、職員の皆さんも地方行政に携わる立場から、声を出すなど、具体的な行動を起していただきたいと考えている、と述べた。

 最後に、地公部会側が、「現行の人勧制度は、賃金が下がることを想定していない制度だ。ことの是非はともかく、下がるときに下げられる当事者が関与できない決定制度はおかしい。また、地方においては、公民較差に基づく給与改定を行うとする自治体も増えてきており、従来の国公の準拠の枠組みだけでは不十分だ。公務員制度改革に関わってまもなくILOから勧告が出される。これを受けて課題の優先順位をつけ、前進できるよう、協議を進めていただきたい」と要請し、本日の行動を終えた。




<別紙>

2002年11月13日

総務大臣
 片山 虎之助 様

公務員労働組合連絡会地方公務員部会
全日本自治団体労働組合  
中央執行委員長 北岡勝征
日本教職員組合      
中央執行委員長 榊原長一
日本都市交通労働組合   
中央執行委員長 松島 稔
全日本水道労働組合    
中央執行委員長 足立則安
全国自治団体労働組合連合 
中央執行委員長 武田幸男


地方公務員の賃金と地方財政確立等に関する申入れ


 貴職の地方自治の確立と地方公務員の処遇改善にむけたご努力に敬意を表します。
 2002年人事委員会の勧告が出され、自治体の賃金確定は山場を迎えています。行政サービスに従事する地方公務員の生活を保障する立場から賃金の改善と、労使自治を尊重した賃金確定が求められます。
 一方、政府で進められている公務員制度改革も重要な段階を迎えています。
 地方分権一括法の施行を受けて、いっそうの分権の推進と地方自治の確立が求められ、そのための地方税財源の充実が課題となっています。しかし地方分権改革推進会議の最終報告は、財源移譲を明示せず全く不十分です。地方財政は厳しい状況にあることに加え、2003年度以降の地方交付税総額の圧縮も懸念されます。
 また、雇用情勢は悪化の一途をたどり、いっそう重大な社会問題となっています。こうしたことからも、福祉や保健・医療、防災、環境対策など地域が必要としているニーズに対応した雇用創出が必要です。
 貴職におかれましては下記事項の実現に向けてご尽力を頂きますようお願い申しあげます。



1.公務・公共サービスの確保・向上のため、地方公務員の賃金が確保されるよう取り組むこと。
 自治体賃金の確定に当たっては、労使の交渉を尊重すること。また、不利益を遡及する「減額調整」を行わないこと。
 地域における公務員給与や退職手当制度の見直しの検討に当たっては拙速な結論を避けるとともに、私たちとの十分な交渉・協議を行うこと。

2.景気対策にかかる事業や施策の実施については、国の責任と負担により財源確保をはかるとともに、雇用創出・安定の対策を行うこと。

3.法人事業税の外形標準化や国庫補助負担金制度の改革、税源移譲など安定 した地方税財源を確保するための制度改革を急ぎ、地方分権の推進、地方自 治の確立を図ること。また、住民自治の観点から、強制による市町村合併は 行わないこと。

4.地方公務員制度の改革にあたっては、労働基本権を確立し、地方自治の本 旨を踏まえ分権型で開かれた民主的な公務員制度とすること。

以上