連合官公部門情報
2002年9月9日

合同専門委員会が退手民間実態調査・官民比較方法などで総務省人事・恩給局と交渉・協議−11日
 連合官公部門連絡会合同専門委員会は、11日15時から、総務省人事・恩給局(上野参事官ほかが対応)との交渉・協議を実施し、4日に示された「民間企業退職金実態調査結果の概要」と「退職金の官民比較の方法」について、問題点を指摘し見解を明らかにするよう求めた。
 冒頭、合同委員会側が「前回の説明内容について持ち帰って議論した結果、いくつか問題点が出てきたので見解を伺いたい」として次の通り考え方を質した。

(1) 企業規模別の人員構成比はどうなっているか。過去の調査と比較して整合性は取れているのか。
(2) 民間の退職金集計に当たって、年金部分はどれくらい上積みされているのか。また、退職慰労金などはどのくらいか。
(3) 民間企業の従業員の退職時の雇用保険部分はどのように扱っているのか。
(4) 国公基準の行政職(一)表のラスパイレス比較に当たって、大卒・高卒が一本化されているが、民間と比べ大卒の割合が多い国公が不利となっていないか。
(5) 国会でも議論があったが、定期的な調査・比較等を行う考え方はあるのか。今後の退手の官民比較のルールをどのように改めるのか。直近の見直しである81年の場合の比較方法(高卒男子について、勤続年数別の実額を比較<官の勧奨と民の定年>)と今回の比較方法は異なっているが、今回の方法を今後のルールとして確定していくのか。
(6) これまでは10%程度の較差があった場合に見直しを行ってきたが、今後については、官民比較の結果に基づいて水準見直しの基準を定めることにするのかどうか。その場合どのようにするつもりか。

 これに対し、人事・恩給局側は次の通り答えた。
(1) 企業規模別の人員構成比について規模別の集計は行っていないが、人事院が前回行った調査と同様と考えている。調査結果は、調査対象となる企業規模100人以上、事業所規模50人以上の全国全事業所という母集団に復元しているので、全国全事業所を代表するものと考えている。人事院の調査もそのようなものであったと理解している。
(2) 年金として支給している部分があればそれを調査して加算するのが基本であるし、功労金などについても名称の如何を問わず支給されているものは調査して加算している。数字はまだ精査中である。
(3) 雇用保険は退職金とは別の制度であるし、民間企業は把握していないので、調査していないし、これを加味した比較は行っていない。
(4) 国家公務員の退職手当制度においては、勤続年数・退職事由別に算定方法が変わってくるが、大卒とか高卒とかは制度に織り込まれていないので、ラスパイレス比較に盛り込む必要がないと考えている。
(5) これまでも概ね5〜6年ごとに調査し、それを踏まえて水準見直しの是非を検討してきたが、間隔が7年の場合もあるなど不安定ではないかとの指摘もされていることから、もう少しきちんとした方がよいのではないかとは思っている。
(6) 10%なら見直すという定まったルールがあるわけではないが、これまでは制度の長期的安定という観点から10%の較差がある場合に見直しを行ってきた。しかし、社会が成熟化し何パーセントも経済成長があるような時代ではなくなってきているので、一定の較差がなければ見直さなくていいということでいいかどうか、考えていきたい。

 これらの見解に対し連合官公部門は、@退職手当はわれわれにとっては重大な賃金・労働条件であるにもかかわらず、これまで使用者である総務省が調査・比較・見直しを一方的に行ってきたことは問題であり、所管をどうするかを含めてルールをきちんと整備すべきである、A雇用保険は退職金とは別の制度であるというが、退職時の所得であることには変わりはないことから、均衡を図れるよう措置すべきである、と重ねて追及した結果、今後の調査、比較、見直しのあり方については話し合っていきたいとの見解が示されたものの、雇用保険の扱いについては「退職金とは別」との見解を繰り返すにとどまった。
 最後に連合官公部門は、「18日には書記長クラスによる交渉を行うので、その際には調査結果、官民較差の公表日程、さらに今後の見直し作業に当たってもわれわれと交渉・協議を行い合意に基づいて進めることを確約してもらいたい」と申し入れ、合同専門委員会としての交渉に区切りをつけた。

以上