連合官公部門情報
2002年10月31日

退職手当見直しで総務省人事・恩給局長に要求書提出−10/31
 連合官公部門連絡会に設置された退職手当見直し対策委員会交渉委員は、10月31日午後13時15分から総務省人事・恩給局長と交渉を行い、退職手当の見直しに関わる要求書を提出した。

 交渉では、官公部門側が、別添の要求書を久山総務省人事・恩給局長に手交するとともに、「退職手当の水準見直しにあたっては、過去の経緯を踏まえ、退職手当法の本則ではなく、附則(20年以上勤続の定年・勧奨退職者の特例で、勤続期間全期間を100分の110の調整)で対応すべきであり、水準見直しに際しては、充分な経過措置を備えるべきである。また、キャリア公務員の天下りに対する世論の批判に応えること、さらには、国家公務員の在職期間の延長という政府の方針を踏まえ、早期退職者に対する特例措置を抜本的に改正すべきである。退職手当法改正法案の国会提出時期や施行時期については、前回の交渉でも強調した通り、われわれとの合意に基づき行うこと」等を強調し、現段階における総務省側の作業の進捗状況を質した。

 これに対し久山局長は、「ご案内の通り、退職手当法改正法案については、9月27日の閣議において、通常国会に法案を提出するとされたところであり、また、9月20日に退職手当支給水準の官民較差について調査結果を明らかにしたところであり、現在はこれらを踏まえ検討作業を進めている。退職手当の見直しに関しては、皆さんが重大な関心を持っていることは承知しており、今後とも充分意見を聞いていきたいと考えている。しかし、前回にもお話した通り、われわれを取り巻く状況は厳しいということを、皆さんにおいてもご認識いただきたい」とした上で、次の通り、現段階の検討状況について回答した。
@本則か附則かについては、前回(1981年)の水準見直しの時は、附則の調整率の改定をおこなった。こうした事実であったことを踏まえ、具体的な検討を進めている。
A早期退職特例措置については、7月23日の閣僚懇談会において、早期退職慣行を是正するため、早期退職特例措置の在り方について見直しを進めるようにとの総理の指示があったことを踏まえ、検討を進めている。なお、行革推進事務局が進める公務員制度改革において、給与・任用制度の見直しについて検討が進められているが、この動向を踏まえて検討を進めていきたい。
B実施時期については、9月20日に公表した官民調査の対象が平成11年度に支払われたものであったことから、早期に較差を解消することが必要だと考えている。かつ、実施時期については、われわれを取り巻く環境は厳しいことを重ねて強調しておきたい。
C退職手当支給水準の見直しに関して、基本ルールを確立せよというご指摘であるが、従来より、数年に1回の頻度で調査を実施してきたのであり、透明性や信頼性を確保するため、今後とも定期的に調査を実施していきたい。
D退職手当制度の見直しに関して、昨年12月に閣議決定された公務員制度改革大綱においても記述があるところだが、現在検討が進められている給与・任用制度の見直しを踏まえ、われわれも検討していきたいと考えている。

 官公部門側は、「本日は要求書を提出した段階であり、具体的な回答は求めないが、情勢は厳しく、残された時間は少ない。今後はこの要求事項に基づいて実務的交渉・協議を重ね、われわれが合意できる改正法案とするよう努力してもらいたい。その上で、しかるべき時期に局長から回答を示してもらいたい」とし、総務省人事・恩給局側もこれを了解し、本日の交渉を終えた。


<資料>

2002年10月31日


総務大臣 片山 虎之助 殿

連合官公部門連絡会   
代表委員 北岡 勝征
代表委員 榊原 長一
代表委員 石川 正幸
代表委員 橋爪利昭紀
代表委員 丸山 建藏


退職手当の見直しに関わる要求書


 退職手当の見直しに関わって政府は、去る9月27日に、「民間企業退職金実態調査に基づき支給水準を見直すこととし、これに伴う関係法律の改正案を次期通常国会に提出する」との基本方針を決定しました。
 いうまでもなく退職手当は、公務・公共部門に働く労働者の退職後の生活設計の根幹をなすものであり、その水準見直しは労働条件の大きな変更となります。したがって、その見直し内容についてはわれわれと十分交渉・協議、合意すべきものと考えます。
 以下に、連合官公部門連絡会としての要求事項を提出しますので、その実現に向け最大限努力されるよう、強く要求します。



1.退職手当の水準見直しは、退職手当法の本則ではなく、附則の改正とすること。

2.早期退職者に対する特例措置については、国民の「天下り」に対する厳しい批判、在職期間の延長等の政府方針を踏まえ、抜本的に見直すこと。

3.退職手当の水準見直しに関わる経過措置については、退職者の生活保障、中高年公務員の期待権等にも考慮し、過去の経緯・実績を踏まえたものとすること。

4.退職手当改正法案の国会提出時期、改正法案の施行時期等については、われわれと合意すること。

5.今後の退職手当の水準見直しに当たっての基準、基本ルール等を明確化することとし、それについてわれわれと十分交渉・協議し、合意すること。

6.退職手当制度の見直しについては、内閣官房で新人事制度の検討が進められていることも踏まえ、慎重に対応すること。

以上