2004年度公務労協情報 23 2004年3月12日
公務公共サービス労働組合協議会

寒冷地手当要求実現中央集会に700人が結集−3/12
−人事院と交渉し中間集約分112万筆の署名を提出−

 公務労協及び全国寒対協は、12日午後、社会文化会館で「寒冷地手当要求実現中央集会」を共催で実施した。また、これに先立って、午後1時から人事院と交渉をもち、1月末から取り組んできた「寒冷地手当見直しに関する要請」署名の中間集約分(3月12日現在)1,120,142筆分を提出した。

 午後2時から行われた中央集会は、全国から700名が結集し、堀田全国寒対協事務局長の開会挨拶のあと、岩間全国寒対協副会長を議長に選出して始められた。
 主催者を代表して公務労協から山本事務局長が挨拶にたち「公務員給与バッシングの中での寒冷地手当見直しの取り組みは、単に寒冷地だけの問題ではなく公務労協全体の問題だ。そうした位置づけで、情勢は極めて厳しいが公務労協として、寒対協と協力して最後まで闘う」と闘う決意を述べ、全国寒対協を代表して挨拶にたった山口副会長も「急逝した大場会長の意志は、寒冷地手当制度を死守することにある。寒冷地で働く労働者の生活防衛と制度維持に向け、断固がんばろう」と、闘いへの決起を呼びかけた。
 続いて岩岬公務労協副事務局長が、これまでの取り組み経過と今後の方針を提起、「現状では人事院の民間準拠を基本とする考え方には堅いものがあるが、3月31日に春の段階の山場の交渉を行い、生活防衛と制度維持についての明確な回答引き出しを図りながら、4月以降の地方自治体や地域を巻き込んだ闘いに結びつけ、その闘いの盛り上がりで地域指定の具体的な線引きや支給額の交渉・協議でわれわれが合意できる決着を目指そう」と、呼びかけた。
 決意表明には、公務労協を代表して太田全郵政中執が登壇し「全国の仲間と連帯して闘う」と力強く述べ、全国寒対協からは北海道(高倉・全開発書記長)、東北(野呂・青森県寒対協)、中部(高橋・新潟県寒対協)、関西(桜井・鳥取県寒対協)の各ブロック代表が登壇、それぞれの寒冷積雪地に生活する大変さや、どのような寒冷地であっても公共サービスを提供しなければならない公務・公共部門の特性を訴え、最後まで闘う決意を表明した。
 集会は、最後に真鍋全国寒対協事務局次長が決議文(資料参照)を読み上げ、満場一致でこれを採択したあと、公務労協河田労働条件専門委員長の音頭で団結がんばろうを三唱して締めくくった。
 寒冷地手当見直しに関わる人事院との交渉経過は次のとおり。

 公務労協及び全国寒対協は、12日午後1時から、人事院総裁宛の「寒冷地手当見直しに関する要請」署名1,120,142筆を人事院の山野勤務条件局長に手交するとともに、鈴木職員団体審議官交渉を実施した。署名提出行動には、組合側から公務労協山本事務局長、岩岬副事務局長、小林公務員連絡会賃金労働条件専門委員長や構成組織代表が出席。全国寒対協から、山口・岩間副会長、堀田事務局長や北海道、東北、中部、西日本ブロックの各代表が出席した。人事院側は署名提出には山野勤務条件局長が、交渉には鈴木職員団体審議官が対応した。
 署名提出にあたり、山本公務労協事務局長が「寒冷地手当見直し問題については、公務労協と全国寒対協がスクラムを組んで取り組んでいる。今お渡しした署名は短い期間の取組であるにもかかわらず、公務を取り巻く厳しい状況や5年連続年収マイナスの中、組合員の関心が高く、前回(93万筆)より多く集まった。制度創設の歴史的経緯を踏まえていただいて、公務員たたきの中で何でも民に合わせていかなければならないとの風潮があるが、われわれの要請内容を受け止めて対応していただきたい。十分な交渉・協議を行って、納得のできる結果に結びつくよう尽力をお願いしたい」と、また堀田寒対協事務局長が「2月24〜25日には支給地の代表が、実情を訴えるため人事院要請を行った。組合員の声は、なぜ今見直すのか、寒冷地の生活実態がわかっていないのではないか、労働基本権制約の代償機関である人事院は一体どっちを向いているのか、というものだ。全国の組合員が注目しているので、代償機関としての使命を果たしていただきたい」と、それぞれ要請した。
 要請に対し山野局長は、「署名は重く受け止めたい。別途、話し合いを行うが、公務を取り巻く厳しい状況の中で見直すことをご説明するし、十分に話し合い、なんとか解決点を見いだしていきたい。公務員の生活に重大な影響を与えることなので、組合の意見を聞きながら、勧告に向けて作業をしていきたい」と答えた。
 署名提出後、鈴木職員団体審議官交渉に移り、組合側は@2月24〜25日の要請内容についてどう受け止めているか、A寒冷地手当の趣旨をどう考えているのか、について見解を質した。

 これに対し審議官は、以下のとおり答えた。
(1) 要請の記録を読ませてもらったが、いろいろお金がかかっていることや生活の苦労が訴えられており、そのことはそういうことだと思うし、しっかりと受け止めている。生活実態は、しっかりとお聞きした。
(2) 寒冷地手当を支給するとすれば、寒冷積雪地における生計費増嵩に対応するという趣旨の手当になる。ただ、そうは言っても、制度創設時には給与水準も低く、扶養する家族や燃料費など個別の生計費を手当で措置するということがあったが、現在のように給与水準が相当のものになるともらう給与の中で、個人のライフスタイルや嗜好に応じて個別の生計費をやりくりするというのが原則になってくる。民間でも、生活手当見直しの動きがある。しかし、民間でも広く普及している手当は社会的に妥当だとの意識は高いので、公務に支給しても納得が得られやすいものと思う。ただその場合でも、民間の支給状況を超えるような個別生活給的手当は納得されない状況になってきている。

 以上のように審議官が、寒冷生計増嵩費に対応する手当であることには変わりはないことを認めながらも民間準拠にこだわったことから、組合側はさらに「民間企業は寒冷積雪地に営業所や事業所を置く必要性が必ずしもあるわけではないが、公務の場合は全国どこでも均一な公共サービスを提供しなければならないことから、寒冷地に勤務せざるを得ないという特性があり、民間準拠だけということにはならない。これまでわれわれが主張してきたように、制度創設以来の経緯や寒冷積雪地の生活実態、現実に支給されていること、そして民間とは違う公務の特性を踏まえるべきである」と追及した。
 これについて審議官は、「寒冷積雪地において生計費がかかることは事実だが、民間でも生計費はかかるし転勤もある。公務だけ特別ということは理解されないのではないか。民間にない手当を支給する場合、生活実態や公務の仕事の特性を国民が納得できるようにどう理論づけていくか、それが今後の作業の焦点になるが、なかなか難しい作業だ」との見解を示した。
 この見解に対して組合側は「今の回答は、『民間準拠を基本』とするとの人事院の考え方イコール民間実態調査結果の数字による支給ではない、との見解が示されたものとして受け止めたい。また、生活実態や公務の特性・実態に配慮して、手当制度を維持する途を見いだしていこうという前向きの考え方であると理解する。是非その考え方に基づきさらに作業を進め、次回、31日に設定される勤務条件局長との交渉では、112万筆の署名の重みを受け止めた明確な回答をお願いしたい。寒冷積雪地の生活防衛と制度維持を基本としたわれわれの要求を受け止め、組合員が納得できる回答をいただいいて、4月以降の交渉・協議が進められるようにしていただきたい」と強く要望し、本日の署名提出行動と人事院交渉を終えた。


資料.集会決議

寒冷地手当要求実現を求める決議


 日本経済は、景気指標に明るさが見え始めているといわれているが、長期の不況から脱しきれず、勤労者の雇用と生活の危機は一向に解消されていない。
 特に、公務員労働者は、5年連続となる年収マイナスの勧告が行われており、人事院勧告制度の信頼は大きく揺らいできている。また、公務員給与に対する「バッシング」と引き下げの圧力はかつてなく強まっており、賃金・労働条件を巡る情勢は極めて厳しいものと受け止めなければならない。

 人事院は、昨年8月の勧告で「寒冷地手当の実態の把握と調査」を行うことに言及し、寒冷積雪地における実態調査を実施するとともに、本年1月26日、公務労協・全国寒対協に対して、「民間支給実態は厳しいものと判断せざるを得なく、支給地域・水準、制度のあり方を含め、抜本的見直しは避けられず、本年には勧告を行いたい」と、寒冷地手当見直しの基本方針を提案してきた。 

 寒冷地手当の見直しは、国家公務員支給対象者11万4千人の冬期生活に直接大きな影響を与えるだけでなく、寒冷積雪地の地方公務員や政府・地方自治体関連職員、農協など団体職員、民間企業従業員など公務に準拠する多くの労働者に波及し、地域経済への影響は計り知れないものがある。

 私たちは、寒冷積雪地の公務員の生活防衛と手当制度の維持をもとめ、人事院に対して、基本的な使命である「公務員労働者の生活を守る」という責任を果たさせ、寒冷地手当の見直しにあったては、十分な交渉・協議、合意に基づく誠意ある対応を求めていく。そして、公務員給与を巡る厳しい情勢を踏まえつつ、本年の見直し勧告は避けて通れないとの認識のもと、公務労協・全国寒対協が取り組む共同の諸行動を中央・地方が一体となって全力で取り組んで行くことを決意する。

 以上、決議する。

2004年3月12日
寒冷地手当要求実現3.12中央集会

以上