2004年度公務労協情報 35 2004年5月31日
公務公共サービス労働組合協議会

谷垣大臣に「2004骨太方針」に係る賃金・労働条件の扱いで申入れ
政治的に賃金抑制を一方的に求めるのは問題と閣議決定前の意見聴取を要求

 連合と公務労協は5月31日、谷垣財務大臣に対し、2004骨太方針に係る公務員の賃金労働条件の扱いに関して申し入れを行った。6月4日に閣議決定を行おうとしている「2004骨太方針」(経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004)原案では、「地方公務員給与適正化の強力な推進」や「地域の国家公務員給与の早急な見直し」など公務員賃金の抑制方針が打ち出されている。こうしたことから、交渉では、@労使関係を超えて一方的に政治的方向付けを行うことは問題であり、A組合の意見を十分聴取するよう、強く求めた。先の竹中経済財政諮問会議担当大臣への申入れに続くもので、組合側から草野連合事務局長、丸山連合副会長(公務労協副議長)、人見公務労協議長、山本公務労協事務局長が参加、羽田孜民主党公務労働問題議員懇談会会長が立ちあった。
 はじめに、羽田公務労働問題議員懇会長が、「公務員の賃金問題については労使間で十分話し合うことが必要だ」と要請した。草野連合事務局長から申入書(別記)を谷垣大臣に手渡し、その趣旨について、「現在、政労協議の場で公務員の労働基本権の在り方について検討しようとしているが、公務員の賃金労働条件については、当事者間で十分話し合うことが必要だ。働く者の意見を聞く場を設け対応すべきだ」と求めた。これに対し谷垣大臣は、「骨太方針は竹中大臣の管轄であるが、公務員の賃金については、人事院の勧告制度があり、これを尊重するというのが政府の基本的考えである」との見解を示した。
 組合側からは、@地方公務員給与の適正化や地域の国家公務員給与の見直しなどが明示されているが、これは第三者・中立機関である人事院に賃金抑制を求めるものであり問題がある。公務の労使関係上の問題ととらえ、一方的に決めるのでなく労使交渉として取り扱うべきだ、A地方自治体については、すでに町村段階では国とのラス比較で80〜90%と落ちてきている。政府が一律削削減などを決めず、あくまで地方自治体の労使間の交渉などの自主性に任せてもらいたい、と求めた。
 谷垣大臣は、「地方公務員の給与については、三位一体の改革として地方財政の厳しい状況のもとで、ここ数年、スリム化すべきとして見直しが提示されてきている。公務員の給与については、人勧制度を尊重する姿勢で対応したい」と述べ、骨太方針には言及せず、従来の政府見解を示すにとどまった。



(別記)

2004年5月31日

財務大臣
 谷 垣 禎 一 殿

日本労働組合総連合会     
事務局長  草 野 忠 義
公務公共サービス労働組合協議会
議  長  人 見 一 夫


2004骨太方針に係る公務員の賃金労働条件の扱いに関する申入れ


 貴職におかれましては、日頃より労働組合に対しご理解を賜り敬意を表します。
 さて、経済財政諮問会議では、2004年骨太方針の取りまとめに向けて精力的な審議が行われ、作業も大詰めを迎えていると報道されております。
 公表されている議事概要、骨格案、民間委員連名による意見書等には、公務員労働者の賃金抑制等に向け再三言及されるとともに提言もなされております。
 現下の厳しい経済、財政状況にあって公務員労働者の賃金等について議論されることを一概に否定するものではありませんが、その帰趨は公務員労働者の生活と勤労意欲に重大な影響を与えるにとどまらず、社会的にも大きな影響をもたらします。
 公務員制度改革に関わって出された累次のILO勧告において、日本の公務労働関係は国際基準を満たしていないことが指摘され、その改善が求められていることは、国際的にも注目されております。
 つきましては、以下の点を申し入れますのでご理解いただくよう要請いたします。


一、賃金問題は最も基本的な労働条件であり、第一義的な労使交渉事項であることは国際的にも確立された原則であることを踏まえ、労使関係を超えて一方的に政治的方向付けを行わないこと。
一、労使交渉事項であることを踏まえ、見解取りまとめに当たっては、当該関係者の意見表明の機会を保障し、十分意見を聴取すること。

以上