2004年度公務労協情報 36 2004年6月15日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員連絡会

公務員連絡会が総務省人事恩給局長と交渉−6/15
−「骨太方針2004」に関わる政府の考え方質す−

 公務労協公務員連絡会は6月15日、午後4時より、総務省人事・恩給局交渉を実施した。本日の交渉は、6月4日に政府が閣議決定した「骨太方針2004」において、地域における国家公務員の給与のあり方や地方公務員の給与のあり方について見直すよう要請されていることから、その真意を確認し、使用者としての人事・恩給局の考え方を質す目的で行われたもの。公務員連絡会からは山本事務局長ほか、書記長クラス交渉委員が臨み、人事・恩給局からは戸谷局長等が対応した。
 冒頭、山本事務局長より「骨太方針2004には、地域における国家公務員の給与、地方公務員の給与の見直しが言及されている。谷垣大臣、竹中大臣には、労使関係を超えて一方的に政治的方向付けを行わず、当該関係者の意見を十分聴取するよう強く求めたが、そうした最低限の手続きさえ無視し、閣議決定されたことは甚だ遺憾である。公務員の賃金・労働条件について当事者の意見も聞かず政府が一方的に見直しの方向付けを行うことは、労働基本権制約の代償機能としての人勧制度への介入にあたるのではないのか。事態の真意と骨太方針2004の意味を説明していただきたい」と人事・恩給局の説明を求めた。

 これに対し、総務省側は「内閣官房聴取したところによると」として、次の通り骨太方針の趣旨を説明した。
(1) 地域における公務員給与については、地域の民間給与の実情を十分に反映していないのではないか等の指摘がある。こうした状況の下、経済財政諮問会議においても、民間議員から地域毎の実態を踏まえた国家公務員給与のあり方の見直しについての問題提起がなされているところである。
(2) 上記の「基本方針2004」の記述は、こうした状況を踏まえてなされたものであることに鑑みれば、その具体的意味内容については、次の点に留意して、これを理解する必要がある。
 @「地域における官民格差を踏まえて」とあるが、その具体的手法としては、国民に対する分かりやすさという観点も踏まえ、調整手当等の手当の見直しによる対応にとどまらず、より抜本的に地域毎の民間給与の実態を踏まえた地域別の俸給表の導入も含めた対応を視野に入れているものである。
 A「早急に具体的措置を取りまとめる」とあるのは、本年夏の人事院勧告において、地域における国家公務員給与の抜本的な見直しに向けての少なくとも第一歩となるような具体的措置の勧告をお願いしたいという意味である。

 これに対して公務員連絡会側は、次の点について人事・恩給局の考え方を質した。
(1) 説明にあったAについては政治圧力以外の何ものでもなく、労働基本権の代償措置としての人勧制度を否定するものである。政治のリーダシップもいいが、直接内閣が物申すということであれば、労働基本権を返して、われわれとちゃんと交渉すべきではないのか。今回のように、政治に名を借りたルール無視の政府内の動きについては絶対に認められない。
(2) 閣議決定された骨太方針2004について、内閣官房から各省庁人事担当者に説明があったとのことだが、経済財政諮問会議での議論経過などのバックグラウンドを説明したものなのか、それとも政府の方針を説明したものなのか、はっきりしてほしい。骨太方針2004の文言からAのような方針を導き出すことはできないはずである。もし、後者であれば大問題である。
(3) 公務員の賃金・労働条件は内閣官房の所掌ではなく、中央人事行政機関の補助部局としての人事・恩給局の所管のはずである。内閣官房の説明に対して人事・恩給局はどういう考え方にたつのか、各省庁の意見を集約するなどして、明確にすべきである。使用者としての立場を代表する人事・恩給局を越えてこのような事態が起きていることに、人事・恩給局としてアクションを起こさないのか。

 これに対し人事・恩給局は次のとおり答えた。
(1) 経済財政諮問会議では様々な議論が行われているが、議論の一つとして、地域における国家公務員の給与、地方公務員の給与の見直しが話題にあがったものと考えられる。地域別の俸給表の導入については、選択肢の一つであると理解している。これらの課題については、一昨年、昨年と人事院が報告で指摘しており、骨太方針2004の閣議決定を受け、一義的には人事院がどのように対応するかということである。人勧制度への介入であるとは考えていない。
(2) 内閣官房の説明は、骨太方針2004のバックグラウンドを説明したものと考えている。
(3) 人事院勧告の前に、人事・恩給局が使用者の意見を取りまとめたことは過去にない。現段階で人事・恩給局として、ブロック別俸給表の可否など個別手法について使用者としての意見をとりまとめる考えはない。総務省としては、人事院の具体的検討を待って、勧告の取り扱いについて検討するという立場だ。

 このように、人事・恩給局の見解は、公務員の使用者としての立場をまったく自覚しない無責任なものに終始。そのため公務員連絡会は「骨太方針2004の閣議決定に対して、地域に勤務する国家公務員、地方公務員は非常に不安に感じている。内閣官房からの説明は、政府としての方針でないことを隅々まで周知すべきである。さらに、内閣官房に対し、本日の交渉の趣旨をきちっと伝えてほしい。そして、内閣官房が各省庁の使用者に対して行った説明を、被用者側であるわれわれにも直接行うよう申し入れる」とし、内閣官房が政府の考え方を公務員連絡会に直接説明するよう申入れ、交渉を打ち切った。

以上