2004年度公務労協情報 39 2004年6月28日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員連絡会

国家公務員へのテレワーク導入で政府が「指針」制定へ
公務員連絡会の内閣府交渉で明らかに−6/25

 公務員連絡会労働条件専門委員会は、6月25日午後1時30分より「国家公務員のテレワークに関する指針」についての内閣府交渉を実施した。本日の交渉は、政府の「e-Japan重点計画−2004」おいて「国家公務員のテレワークを推進すること」とされたことから、政府が人事院、総務省と協議し、IT戦略本部が推進している国家公務員のテレワークに関わる人事制度上の諸課題等について、人事院、総務省が「指針」を各府省に提示することを踏まえて行ったもの。公務員連絡会側は小林労働条件専門委員長以下各委員が、政府側は内閣府、総務省人事・恩給局、人事院の担当者が参加した。
 まず、内閣府から「指針」を示すことになった経緯が説明され、その後、内閣府、人事院、総務省から次の通り「指針」(案)の概要説明が行われた。

T.テレワークについて
 従来の定まった場所で定められた時間に働くという考え方から離れて、効率や成果が最も高まるような場所と時間を選択して、ITを活用して仕事をすること。一般的には、別の場所に設けられたオフィス等で勤務するサテライトオフィスでの勤務方式、自宅にスペースを確保して勤務する在宅での勤務方式等がある。
U.人事制度上の留意事項
(1) 職務遂行上の留意事項(職務専念義務の確保等)
 管理職が適宜職員の職務遂行状況を把握し、適切に職務命令を発することができる状態にあることが必要である。また、随時相互に連絡を取り合える体制が整備されていることが望ましい。
(2) 勤務時間管理
 テレワークを行う際にも、勤務時間管理を適切に行う必要がある。出勤簿の取り扱いについては、出張時における処理と同様、テレワークによる勤務が行われたことを明示する。
(3) 公務災害
 テレワークの場合であっても、公務災害補償が適用される。公務に起因するかどうかの事実認定が明確でないケースが多くなると考えられるため、通常の勤務官署以外の場所での勤務時間や通勤時間などの管理の方法や実態把握の方法などにより、「公務」「公務に伴う通勤」と「私的な生活(行動)」とを明確に区分して判断する必要がある。
(4) 調整手当
 所属する官署の所在地に適用される支給区分に従って支給する。
(5) 通勤手当
 所属する官署での勤務とサテライトオフィスでの勤務を行う場合は、それぞれの官署への通勤について手当を支給する。
V.情報セキュリティの確保
 現行の情報セキュリティポリシーを前提に、セキュリティに対する配慮や確保について十分に留意する必要がある。
W.その他
 「指針」については、必要に応じ、見直しを行うものとする。

 説明を受け、公務員連絡会側は、@「指針」は各省におけるテレワークの導入を奨励するものなのか、Aサテライトオフィスでの勤務方式と在宅での勤務方式を検討しているようだが、サテライトオフィスについては府省を超えての共同設置などを考えているのか、Bテレワークはどの程度の頻度で行うことを想定したものか。また、本人申請に基づくものとするのか、Cテレワークを導入するには財政的な持ち出しが生ずるのではないか、とさらにテレワーク実施に関する考え方について示すよう求めた。
 これに対し内閣府は、@「e-Japan重点計画−2004」(平成16年6月15日IT戦略本部決定)では、就業者全体(公務員を含む)に占めるテレワーク人口比率を2002年の6.1%から2005年で10%にすることを目指すとともに、現在未導入である国家公務員におけるテレワークについても、2005年に導入開始することを目指すとされている。公務員のテレワークについては現行法制の下での導入は可能であり、公務能率の向上に資する場合もある。そのため、「指針」等を参考に、各府省は勤務状況等に応じ、2004年度中に試験的な勤務の実施等を行い、テレワーク勤務率の目標設定を行うこととされている、Aサテライト方式か在宅方式がいいのか、サテライトオフィスの府省での共同設置が可能なのかなどの事項については、どのような方式でいけばコストダウンを図れるのかなどの観点も含め、今後議論していくものと考えられる、Bテレワークについては、情報通信手段を週8時間以上活用して、時間や場所に制約されない働き方をすることと定義している。勤務状況等にもよるが、週1回以上、月4回以上というイメージである。本人申請に基づくものにするかどうかは、勤務状況等に応じて各府省が具体的に検討していくことになる、C政府として統一的に予算措置をしていくという考え方には立っていない。各府省が導入にあたって予算措置していくことになる、と回答した。
 回答に対し、公務員連絡会が「各府省が作る具体的計画についてすべてチェックを行うのか」と考え方を質したところ、内閣府は「フォローアップを行っていくことも考えられる」と答え、人事院は「今のところ、すべてについてチェックすることは考えていない。導入にあたって人事給与上の変更等が生ずる場合、個別府省の相談などに対応したい」と回答した。
 最後に、公務員連絡会より「いずれにしても、勤務条件に関する事項は交渉事項であり、今後も必要に応じ、十分な協議・説明を行うこと。また、各府省においてテレワークを実施するにあたっては、当該職員団体と十分話し合うよう内閣府として指導すること」を要請し本日の交渉を終えた。
 「指針」については、月内にも、人事院・総務省連名で各府省に提示される予定。

以上