2005年度公務労協情報 10 2004年11月25日
公務公共サービス労働組合協議会

公務労協が11.24中央総行動を実施

良質な公共サービスの確立を求めるキャンペーンを開始

デモ行進する公務労協役員
 「異議あり、公共サービスと国民生活を破壊する小泉構造改革」をスローガンに、公務労協は11月24日、中央総行動に取り組んだ。午前中、自民・公明・民主・社民の各政党に対して「良質な公共サービスの確立を求める申入れ」(別紙1)を行い、午後からは、組合員500人が参加して、国会議員に対する要請行動を実施した。午後6時からは、全国から5,000人が参加して、日比谷大音楽堂で「国民生活の安定・安心を支える良質な公共サービスの確立を求めるキャンペーン開始宣言11.24中央集会」を開催した。

 中央集会では、「良質な公共サービスの確立を求めるキャンペーンに立ち上がろう」をメインスローガンとし、「公共サービスを私的利益の道具にする市場化テスト反対」など5本をサブスローガンに掲げた。11月上旬から取り組んだ職場決議や都道府県での地域集会を集約し、「良い社会をつくる公共サービスキャンペーン」の開始宣言集会として開かれた。
 菰田副議長(JPU委員長)が開会挨拶、丸山副議長(国公連合委員長)を集会議長に選んで始まった。
 主催者を代表して、人見議長が挨拶し、本集会の意義について「国民生活の安定、安心を支える良質な公共サービスの確立を求めるキャンペーンの開始宣言である」とのべ、「『小泉構造改革に異議あり』を確認しよう」と訴えた。そして、「小泉改革のもたらしているものを中央・地方で検証し、連合民間組合にも協力を呼びかけて、連合のめざす『活力ある労働を中心とする福祉社会』の実現に、ともに答えをだしていこう」と呼びかけ、キャンペーンに公務労協として総力をあげて取り組む決意を表明した。
 連合の笹森会長及び来賓として参加した民主党・川端達夫幹事長、社民党・福島みずほ党首からは、それぞれ次のような挨拶を受けた。
笹森清連合会長
「本集会スローガンに『平和』を加えれば、日本の社会・経済・政治をめぐる小泉内閣への『異議あり』のすべてとなる。小泉政権は、イラクへの自衛隊派兵の延長に何ら説明責任を果たしていない。連合は平和の危機に厳しく対峙していく。この9年間、橋本・小渕・森・小泉と続いた政権は、国民生活を破壊し、社会の二極化を押しつけてきた。もはや小泉内閣そのものとの闘いである。国民生活の安定・安心を支える良質な公共サービスの確立と、労働基本権の保障された民主的な公務員制度改革を求めていく闘いの第一夜に、この『キャンペーン開始宣言集会』をしよう。」
川端達夫民主党幹事長
「公務員制度改革は、皆さんの力強い闘いにより、時代に逆行する政府の制度設計の流れを押し戻してきた。労働基本権を保障した改革を実現しアジアの手本としなければならない。新潟県中越地震の災害対策における、寝食を忘れた取り組みに公務・公共サービスの原点があると思う。小泉政権は、国民生活を破壊し、大義のないイラク戦争に荷担しており、自衛隊のイラク派兵延長に反対していく。」
社民党・福島みずほ党首
「小泉政権になり、一段と所得格差が拡大し、社会の二極化が進んでいる。強者が残り、弱者切り捨ての政治を続けさせるわけにはいかない。いま、公共サービスの民営化が行われてきているが、これは、国家の責任を放棄し、金儲け・利潤追求の手段とさせるのもである。改憲の動きが強まってきているが、自民党は、25条に掲げた生存権の見直しを行おうとしており、認めるわけにはいかない。」

 一連の挨拶の後、山本事務局長が基調報告を行った。「良い社会をつくる公共サービスキャンペーン」について、「官か民かではなく、公共が問われている」として、キャンペーンの目標を「すべての人が社会的に排除されず、可能性が平等に保障される協力社会の実現をめざす」ことにおき、次のような3本の柱で取り組む考えを提起した。
(1) 小泉構造改革によってもたらされている経済的・社会的格差の拡大、深刻な公共サービスの破壊に対し、学習会、シンポジウムなどを通じ、改革の必要性について中央・地方からキャンペーンを行う。
(2) 市場化テスト、定員削減、地方行革による民営化・地方独法化など、公共サービスから国・地方行政を撤収させ、民間営利事業として開放する政策の問題点を明らかにし、これと対決する取り組みを職場から進める。規制改革・民間開放推進会議による市場化テストの案とりまとめに照準をあわせ、12月初頭に公務労協として申入れを実施、並行して全国の職場から要請打電行動に取り組む。
(3) 各界の専門家による「良い社会をつくる公共サービスを考える研究会」を結成したが、研究会には、構成組織の代表も参加し、また、広く開かれたものとして現場との交流などを積極的に進めることにしている。
 中央集会は最後に、井上国公連合書記次長(政労連書記長)が「キャンペーン開始宣言(案)」(別紙2)を提案し、会場全体の拍手で採択を確認。宮下副議長(全郵政委員長)が閉会挨拶、森越副議長(日教組委員長)の音頭で「団結がんばろう」を三唱して締めくくった。
 集会後、参加者は国会に向け請願デモを行った。

「良い社会をつくる公共サービスを考える研究会」が発足

 「良い社会をつくる公共サービスを考える研究会」が発足した。研究会では、連合がめざす「活力ある労働を中心とした福祉社会」の実現に向けた具体的な政策を確立するため、1年をめどに政策提言をとりまとめることにしている。
 第1回研究会は、11月22日開催され、委員には政治・経済・財政・行政・社会保障・地方自治関係の学者8名が就任、今後、さらに委員の拡大を検討することにしている。
 人見公務労協議長のあいさつの後、公務労協から研究諮問事項として、@ナショナルミニマムとして確保されるべき公共サービスの質と量、A提供されるべき公共サービスの形態と方法、そのなかの行政の果たす役割、B税・財源対策、C必要な法制度の改革、Dなすべき労働運動の役割、などについて提起し、考え方を説明した。井ノ口自治労国際局長から、「PSI(国際公務労連)の良質な公共サービスキャンペーン」について説明を受けた。
 第2回研究会は、来年1月24日(月)に開催することにした。
 なお、次回からは、各構成組織の委員長もしくは書記長も参加、さらに広く開かれた研究会活動とするため、現場との交流を積極的に行うことにした。

(研究会委員)
主査
神野 直彦 東京大学大学院経済学研究科教授
委員
宮本 太郎 北海道大学大学院法学研究科教授
堀越 栄子 日本女子大学家政学部教授
岩崎美紀子 筑波大学大学院社会科学研究科教授
辻山 幸宣 地方自治総合研究所主任研究員(研究理事)
稲沢 克祐 四日市大学総合政策学部助教授
佐藤 学 東京大学大学院教育学研究科教授
間宮 陽介 京都大学大学院人間・環境学研究科教授



(別紙1)

2004年11月24日

(各党代表者名)様

公務公共サービス労働組合協議会
議長  人 見 一 夫


国民生活の安定・安心を支える良質な公共サービスの確立を求める申入れ


 政府は6月4日、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」を閣議決定しました。その目指すものは、「構造改革の進展、民間需要主導の景気回復」とし、「官から民へ」「国から地方へ」の徹底を図り、市場化テストの導入により国及び地方自治体の仕事を民営化・民間譲渡することにあると受け止められます。これらの方針は、幅広く多くの関係者や労働組合の意見を聞くこともなく、限られた少数の委員により決定されたものです。
 わが国は、社会の二極化、格差の拡大など「社会的病理」ともいうべき惨状を呈しています。経済はバブル崩壊から10年余を経過しても立ち直らないばかりか、失業者や自殺者などが増加し、急増する犯罪件数とその内容の凶悪化や低年齢化、さらに日常生活に不安を感じる人も増加しています。こうした事態は、市場原理万能主義の拡大によっては解決するどころか、ますます深刻な状況となるのではないかと危惧します。私たちは、このような社会的セーフティネットを破壊させようとする小泉内閣の施策には反対します。
 私たちは、安定して継続的に提供しなければならない公共サービスを市場原理万能主義的にすべて民間私企業に開放する市場化テストや、事務・事業の画一的な民間委託などには強く反対します。先進国の中でも最も公務員の少ないこの日本で、さらに公務員を減らすことは容認できません。
 私たちは、持続可能な社会と地域のために、連合が掲げる「活力ある労働を中心とした福祉社会」の実現を目指し、生活や社会の安定に向け、安定的「公」サービスを確立するために、具体的な政策・制度の対案を提起していきます。そのためNPOを始め幅広く人々を結集する「良い協力社会をつくる公共サービスの確立」フォーラム運動を持続的に展開していきます。
 以上のことから、貴党におかれてはこの運動へのご理解を賜り、下記事項の実現に向けてご尽力を頂きますようお願いします。



1 雇用と生活の格差をなくし、地域経済活性化と国民生活重視の2005年度予算を編成すること。
2 公共サービスを私的利益追求の道具にする市場化テストなど画一的な規制緩和をやめ、国民の健康と安全を確保する「社会の質」に関する規制については強化すること。
3 安心の医療・介護・年金・福祉など社会保障の確立、環境・教育など生活基盤の整備・拡充に向け必要な人員や財政の確保を図ること。



(別紙2)

良い社会をつくる公共サービスキャンペーン開始宣言


 政府は6月4日、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」を閣議決定した。その改革の柱に、「『官から民へ』、『国から地方へ』の徹底」を掲げ、「規制改革・民間開放の積極的推進」として、市場化テストの導入による国及び地方自治体の仕事の民営化・民間譲渡を進めようとしている。
 わが国は、経済がバブル崩壊から10年余を経過しても立ち直らないばかりか、社会の二極化、格差の拡大など「社会的病理」ともいうべき惨状を呈している。失業者や自殺者が増加し、犯罪件数も急増し凶悪化や低年齢化がみられる。さらに日常生活に不安を感じる人も増加している。こうした事態は、市場原理万能主義に基づく施策の結果もたらされたものであり、今後、ますます深刻な状況となることが危惧される。
 私たちは、社会的セーフティ・ネットを破壊する小泉内閣の施策には反対である。安定かつ継続的な提供が求められる公共サービスを、すべて民間私企業に開放し、私的利益追求の手段にしようとする市場化テストや、事務・事業の画一的な民間委託などに強く反対する。
 私たちは、持続可能な社会と地域のために、連合が掲げる「活力ある労働を中心とした福祉社会」の実現を目指し取り組みを進める。そのため、「安心の医療・介護・年金・福祉など社会保障の確立、環境・教育など生活基盤の整備・拡充に向けた必要な人員と財政の確保」などの実現を求めるとともに、NPOを始め幅広く人々を結集する「良い協力社会をつくる公共サービスの確立」フォーラム運動を展開する。
 このフォーラム運動の大きな柱として、一昨日、有識者による「良い社会をつくる公共サービスを考える研究会」が発足した。1年をメドに「良い協力社会をつくる公共サービスの確立」の基本ビジョンをとりまとめ、提言することにしている。この提言をもとに、具体的な政策・制度の対案を提起していく。
 私たちは、本日の中央総行動を契機に、「異議あり!小泉構造改革」を旗印にして、国民生活の安定・安心を支える良質な公共サービスの確立を求めるキャンペーンの開始を、ここに宣言する。
 2004年11月24日

国民生活の安定・安心を支える良質な公共サービスの確立を求める
キャンペーン開始宣言11.24中央集会