2005年度公務労協情報 18 2005年2月22日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員連絡会

「評価の試行」で総務省人事・恩給局長と交渉−2/22

−公務員制度改革との関わりなどで明確な回答求める−

 公務員連絡会は2月22日午後1時30分から、総務省人事・恩給局と交渉を行った。本日の交渉は、政府が昨年12月に閣議決定した「今後の行政改革の方針」において、公務員制度改革の当面の取り組みとして「評価の試行」を総務省人事・恩給局が中心となって進めるとされていることから、その説明を求めて行われたもの。実際に総務省人事・恩給局は、年明けから人事管理運営協議会幹事会等で「評価の試行」に対応していくことを確認している。
 この交渉には公務員連絡会からは、書記長クラス交渉委員が臨み、人事・恩給局からは、戸谷局長等が出席した。
 冒頭、戸谷局長は、「評価の試行」について次の通り総務省の考え方を説明した。
(1) 公務員制度改革の今後の取組については、昨年12月に閣議決定された「今後の行政改革の方針」において、@改革関連法案については、制度設計の具体化と関係者間の調整を更に進め、改めて提出を検討する、A現行制度の枠内でも実施可能なものは早期に実行に移し、改革の着実な推進を図る、とされた。
(2) 総務省としては、同方針において、総務省が中心となって取り組むべきとされた事項などについて、各府省や職員団体等の関係者の理解・協力を得つつ、改革の着実な推進に尽力していきたい。
(3) このうち、「評価の試行」については、公務員制度調査会(以下、公制調)の答申以来その必要性が謳われている新たな人事評価システムの構築を目指し、公務部門の各職場等に定着し、人事管理の基盤的ツールとして機能する人事評価システムを、実際に動くところまで取り組みたいと考えている。
(4) 試行の具体的内容等については、今後、検討することとしているが、関係者の理解を得つつ、多様な職場や職種等に適用すべき評価手法等の開発と、関係職員の訓練・習熟等を図り、段階的に範囲等を拡大していきたい。その過程においては、各府省等と連携し、職員団体とも十分に意見交換を行いながら検討を進めていきたいと考えており、ご理解、ご協力をお願いしたい。

 このような総務省の説明に対し、公務員連絡会は「いまの説明では公務員制度の抜本改革との関わりが明確ではない」として、次の点について総務省人事・恩給局の考え方を質した。
(1) 「今後の行政改革の方針」においては、改めて改革関連法案の提出を検討するとされており、行革推進事務局も存置されている。公務員制度改革については、引き続き、行革推進事務局が担当し、改革の重要課題である評価制度については総務省人事・恩給局が担当するというのは、一体どういうことなのか。行革推進事務局で検討されていた能力等級制の考え方は継承されているのか。「評価の試行」と公務員制度改革との関わりを明らかにすべきだ。また、「評価の試行」を総務省人事・恩給局が担当することとなった経緯を明らかにされたい。
(2) 人事評価制度は、人材育成、任用、給与・処遇のいずれのためのツールとして位置づけることを考えているのか。総務省としての考え方を明らかにしてほしい。

 これに対し、総務省人事・恩給局側は次の通り見解を示した。
(1) 閣議決定の中では、行革推進事務局で「制度設計の具体化」や「関係者間の調整」を進め、「改めて法案の提出を検討する」こととし、一方で改革の着実な推進のため総務省等が中心となって「現行制度の下」で「実施可能なもの」について重点的に取り組むこととしている。総務省としては、公務員制度改革については、閣議決定に沿って、引き続き行革推進事務局との連携の下で協力をしたいと考えている。
 人事評価については、公制調の答申以降、総務省人事・恩給局が中心となって新たな評価システムの検討を進めたが、公務員制度改革大綱で行革推進事務局が公務員制度改革と一体で行うこととなった。しかし、先般の閣議決定で公務員制度改革本体とは、一旦、切り離して、再び総務省人事・恩給局において、新たな評価システムの検討、試行への取組みを進めることになった。「評価の試行」については、総務省人事・恩給局が行うことについては、行革推進事務局との間で合意が取れている。
 今般の取り組みは、公務員制度について、特定の制度改正が前提となっているものではなく、今後の国家公務員の人事評価としてあるべき姿を検討するものである。昨年の閣議決定については、諸般の情勢を勘案して、人事評価については、公務員制度改革本体とは一旦切り離して取組みを進めるほうが適当であるということでの位置づけと考える。
(2) 人事管理のトータルシステムの中のサブシステムとしての評価システムについては、任用・給与等の制度の在り方と完全に切り離して論ずることはできないものであるが、当面、評価は評価として検討することとし、それを任用や給与にどうつなぐかはまだ先の検討課題だと考えている。その際、現行勤務評定制度に対していろいろな意見があることも踏まえ、新たな評価システムを考えていきたい。

 これらの見解に対し公務員連絡会側は、さらに「評価の試行」と公務員制度改革との関わりを明確に示すよう迫ったが、総務省の見解は「公務員制度改革については、総務省としても退職手当、天下りをはじめ部分的に取り組めるものから取り組んできたという経緯もある」「評価制度については、これまでいろいろな勉強をし、試行錯誤する中で、今般のような結論になった」との曖昧なものにとどまった。
 そのため公務員連絡会は、「今日の局長の見解では到底納得できない。評価の試行の位置づけの入口部分をしっかり整理し、お互いに確認する必要がある」とし、次の4点について総務省人事・恩給局としての見解を示すように求めた。

(1)「評価の試行」と公務員制度改革との関わりについて明確に説明すること。
(2)「評価の試行」を行政改革推進事務局に代わって総務省人事・恩給局が担当することとなった経緯を説明すること。
(3)評価の理念・目的、基本的な枠組み等についての考え方を明確にすること。
(4)評価制度のあり方、試行のスケジュール等について公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意の上で進めることを約束すること。

 これに対して局長は「申入れの4点について検討したい」とし、次回の交渉時に回答する意向を示したことから、公務員連絡会側は最後に「われわれの立場は決して『評価の試行』に難癖をつけようというものではない。しっかりした評価制度をどう作るかという観点で協議を進めたいし、そのためには公務員制度改革全体との関わりを明確に整理し、抜本改革に資するものでなければならないと考えている」とし、総務省側に誠意ある回答を求め、この日の交渉を終えた。

以上