2005年度公務労協情報 35 2005年6月22日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

骨太方針2005閣議決定を受け総務大臣と交渉−6/22
−「人事院勧告制度の尊重が基本」との姿勢示す−

 公務員連絡会委員長クラス交渉委員は6月22日、11時すぎから総務省内で麻生総務大臣との交渉を実施した。この日の交渉は、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」が昨日(21日)閣議決定されたことを受け、17日に書記長クラスと総務省人事・恩給局長との交渉の際に提出した申入書(情報34参照)に対する大臣の回答を求めるために行ったもの。

 まず、丸山議長から「大臣が、この間、経済財政諮問会議で公務員の仕事と処遇を確保する観点から種々ご発言頂いていることに感謝申し上げる」としたうえで、以下の点について総務大臣の見解を求めた。
 21日閣議決定された骨太の方針では、国・地方の公務員給与の見直し方針やこの秋に「総人件費改革のための基本指針」を政府として策定するとある。これは、労働基本権制約の代償機能として、中立・第三者的立場で行われる人事院勧告に対する政府の政治的介入とも受け止められるものであり、われわれとしては極めて遺憾といわざるを得ない。
 骨太方針の総人件費に関わる内容について説明頂くとともに、公務員給与決定に対する政府の基本方針を改めてお聞きしておきたい。
 いま、公務員に対しては、仕事・雇用(人)、処遇のすべてにわたる見直し議論が行われているが、その視点は財政の論理しかない。それでは、この国の将来の姿がどうなるのか、われわれ行政や公共サービスの将来がどうなるのか、まったく描けない。職場ではそこが一番の不安であり、仕事の士気にも影響を与えている。
 また、人事院が給与構造の見直しの検討をしているが、政府が秋に「総人件費改革のための基本指針」をまとめるということになれば、われわれとしては、そこでいったい何が出てくるのかよく見極めないと今年の人事院勧告に対応できない、ということになる。
 政府として人勧制度尊重の姿勢を堅持するとともに、「総人件費改革のための基本指針」策定に当たって、われわれの意見を十分聞いて頂きたい。
 また、賃金・労働条件は、本来、労使交渉で決定するのが原則だ。仮に政府として人勧制度の枠組みを超えるような総人件費削減の施策を検討するのであれば、労働基本権のあり方を含む決定制度の見直しは不可避であり、政府としてその決断をした上でわれわれとの話し合いに臨んでもらいたい。大臣には、この点も念頭に置いてがんばって頂きたい。

 これに対して、総務大臣は以下のように回答した。
 「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」(6月21日閣議決定)の中で、公務員の総人件費については、「総人件費改革のための基本指針」を本年秋までに策定することとされた。
 経済財政諮問会議における同方針の議論にあたっては、国家公務員の給与については、労働基本権制約の代償措置の根幹をなす人事院勧告制度を踏まえる必要があることなどを発言してきた。諮問会議ではどうしても金目の話が先行し、労使関係を軽視した議論になりがちであったが、最終的に、給与は現行制度の下では人事院勧告によることとされたところである。
 「総人件費改革のための基本指針」については、今後内閣府で詰めることになると思うが、人事院の勧告が優先するものである。皆さんのご要望に対しては努力して参りたい。公務員制度改革についても引き続き取り組んでいきたい。
 今後とも、国家公務員の給与改定にあたっては、人事院勧告制度尊重の基本姿勢の下、社会経済情勢や財政事情等の国政全般との関連について検討し、対応してまいりたい。
 さらに大臣は、「定員については、『純減目標』との言葉はいいが数字を示すことは困難」との認識を示した上で、「自治体については市町村合併による規模のメリット、団塊の世代の大量退職など国と違った構造があるが、それにしても純減が厳しいのはよく承知している」と述べた。これに対して連絡会側は、「多くの自治体が給与をカットし、定数も削減してきている。サービス低下を来さないことが重要で、一律削減ということではなく自治体の自主性を尊重してもらいたい」と、大臣の対応を求めた。
 また、公務員連絡会は21日の経済財政諮問会議における総務大臣の退職手当見直しに関する発言について質した。これに対し麻生大臣は、「勧奨退職をなくして定年まで在職するなど公務内の人事管理の変化、民間の退職金制度の変化などに対応して、退職手当についても見直す必要があるとの考えである」と述べた。

以上