2005年度公務労協情報 38 2005年7月4日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

人勧期要求で幹事クラスが人事院職員団体審議官と交渉−7/4
−本年の官民較差・一時金、短時間勤務制等で中間見解質す−

 公務員連絡会は、7月4日、午後1時30分より、人勧期要求事項に関わって、人事院職員団体審議官交渉を実施した。交渉には、公務員連絡会幹事クラス交渉委員が臨み、人事院側は、鈴木職員団体審議官、森永参事官が対応した。
 冒頭、岩岬副事務局長が、人勧期要求事項に関わって、以下の通り、現時点での主要課題について人事院の見解を示すよう求めた。
(1) 地域給与・給与制度見直しについては、6月3日の申入れ、6月23日の人勧期要求に基づき、今後とも十分交渉・協議を行うとともに、7月6〜8日のブロック別上京行動時においては、各職場で採択された決議を提出し、地方代表が交渉することとなっているので、地域・職場の声に対して誠実に対応するよう求める。
(2) 本年の給与勧告については、まず、民調や勧告作業の進捗状況につき説明願いたい。また、官民較差に対する現時点での見通しを示してもらいたい。昨年せっかく6年ぶりにマイナス勧告とならなかったことを踏まえ、本年についてもマイナス較差とならないよう努力してもらいたい。さらに、一時金については、諸般の事情を勘案の上、月数増にむけて最大限努力することを要請する。
(3) 労働諸条件については、昨年の報告で示されていた育児・介護を行う職員の短時間勤務制度の導入にむけた作業の進捗状況につき説明願いたい。また、人事院としても、多様な勤務形態に関する研究会として取りまとめられる最終報告の内容を尊重し、施策の検討を行うとともに、われわれと十分交渉・協議を行うよう強く求める。また、常勤職員の短時間勤務制度の実現と、徹底した勤務管理と実効ある超勤縮減策を実施するよう、別途われわれと協議の場を設けるよう求める。

 これに対して、鈴木職員団体審議官は、次の通り回答した。
(1) 給与構造の見直しについては、今後とも、引き続き皆様の意見を伺いながら作業を進めて参りたい。
(2) 民調や勧告の作業状況については、例年ペースで順調に進めているところである。民調の回収率は微減といった状況である。ベアについては、今年の官民較差を判断できる材料をまだ持ち合わせていないが、一般論として申し上げれば、民間の各種調査によれば、民間の相場は前年並みという結果となっている。また、民間企業においては、「ベア据え置き」「定昇確保」というのが現状である。昨年は通勤手当の6ヵ月定期券等の価額による一括支給や国立病院・大学の独立行政法人・大学法人化にともなう行政職(一)職員の減少などの公務側の要因によって、マイナス勧告は回避されたが、今年は公務の側に昨年のような特殊事情はなく、厳しい情勢だ。ある程度のマイナス較差も考えられる。
 さらに、一時金については、大手は良いが、二極化の様相を呈しており、中小の結果次第だ。かならずしも楽観はできない状況だ。
 なお、昨年の報告において、通勤手当を比較給与種目から外す一方、俸給の特別調整額については比較給与種目に加えるなど官民比較方法の見直しに言及したところであるが、これらの影響の有無についてはまだ判断することはできない。
(3) 育児・介護を行う職員の短時間勤務制度の導入については、現在関係省庁と調整中であり、まだその見通しは立っていない。多様な勤務形態に関する研究会においても改めて指摘があるものと考えている。なお、7月6日をもって研究会を終了し、最終報告をまとめる予定となっており、人事院としても、この最終報告の内容を踏まえ、今年の報告で、今後の施策に関する考え方を示すことになる。

 これらの回答に対して、公務員連絡会側は、人事院の考え方を質した。
(1) 民調の回収率が減少している要因について、どのように考えているのか。国家公務員の給与実態はどのようになっているのか。
(2) 官民較差の状況は厳しいものであるとは理解しているが、マイナス勧告というのは容認できない。通勤手当を比較給与種目から外す一方、俸給の特別調整額については比較給与種目に加えるなどの官民比較方法の見直しが行われたところであるが、人事院として、官民較差の内容がプラスマイナスどちらに影響を及ぼすことになると考えているのか。これらの影響度については、これまで中立であると判断していたと思うが、マイナスの影響を及ぼすのであれば、今年これをやることについてはやめてもらいたい。
(3) 育児・介護を行う職員の短時間勤務制度の導入については、昨年の報告の中で示している。制度化の措置を行わないということになれば、約束違反だ。
(4) 非正規従業員に関する実態調査を実施したと聞いているが、どの程度進んでいるのか。

 これらの内容について、人事院側は次の通り回答した。
(1) 減少している要因としては、企業側の集計機械の故障や業務のアウトソーシングなどであり、構造的なものではない。国家公務員の給与実態の調査作業は進んでいるが、結果の傾向までは把握できる状況ではない。
(2) 官民比較の結果は出ていないが、一般論としていえば、マイナス較差もありうる厳しい情勢だという判断になる。一時金の取り扱いについては、慎重に作業の進捗状況を見守りたいということだ。民間における管理職手当が本俸に組み込まれる傾向が強まっていることを踏まえれば、俸給の特別調整額を比較給与種目に加えれば、官民較差が縮小することも考えられるが、いずれにしろ今はわからない。 
(3) 昨年の報告で示された両立支援策については人事院規則の改正などを行い鋭意対応してきたところである。人事院の姿勢としては、早期意見の申出を行うよう積極的に努力するという姿勢に変わりはないが、関係省庁との調整等も時間がかかり、いまのところ見通しが立っていないということだ。
(4) 調査内容は、民間の非正規職員数など職員構成についてであるが、調査結果の取り扱いについてはまだ決めていない。

 これらの回答に対して、公務員連絡会側は、「ベアのマイナス勧告は絶対認められない」とし、重ねて@マイナス較差阻止と一時金支給月数増A短時間勤務制度の早期意見の申出、などについて最大限努力することを強く要請し、この日の交渉を終えた。

以上