2005年度公務労協情報 41 2005年7月19日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

育児・介護の短時間勤務制度、研究会・最終報告で人事院職員団体審議官と交渉−7/19

 公務員連絡会は、7月19日、午前10時より、多様な勤務形態に関する研究会・最終報告に関わって、人事院職員団体審議官交渉を実施した。交渉には、公務員連絡会幹事クラス交渉委員が臨み、人事院側は、鈴木職員団体審議官、森永参事官らが対応した。
 冒頭、岩岬副事務局長が、「6月23日に人勧期要求で最重要課題とした育児・介護を行う職員の短時間勤務制度の検討状況はどのようになっているのか。また、『多様な勤務形態に関する研究会・最終報告』(以下研究会最終報告)で示された各種施策の提言をうけて、今後どのような検討を行うのか。なかでも、@割り振り制度による弾力化の問題点、A修学およびボランティアのための休業制度早期実現、B常勤職員の本格的な短時間勤務制度の実現にむけた検討促進、C徹底した勤務時間管理の具体的方策、実効ある超勤縮減策の具体化などの課題に関する基本姿勢を明らかにしていただきたい」と述べた。
 これに対して、鈴木職員団体審議官は、以下の通り回答した。
(1) 育児・介護を行う職員の短時間勤務制度の検討状況については、7月4日の交渉時において、経過をご説明したところである。しかし、現時点においては、精力的に制度官庁と調整をしているが、その見通しが立たないのが現状である。したがって、今年の夏の勧告時までに意見の申出を行うことは困難であると言わざるを得ない。なお、7月15日の研究会最終報告の中でも、取り組みについて要請があったことを踏まえ、人事院として引き続き努力していきたい。
(2) 研究会最終報告を踏まえ、人事院としても各種施策の実施にむけて検討を進めた上で、今年の勧告の報告で何らかの言及を行うこととなる。

 これらの回答に対して、公務員連絡会側は、以下の通り人事院の考え方を質した。
(1) 育児・介護を行う職員の短時間勤務制度について意見の申出を行う見通しが立たない理由について、納得のいく説明をしてもらいたい。また、夏までに無理だとしても、いつ意見の申出を行うのか、明確に示してもらいたい。
(2) 研究会報告の中では、@割振り制度による弾力化が提言されているが、業務の都合に応じて一方的に勤務時間が設定されるなど、これまでの画一的勤務時間制のあり方とは大きく異なってくる可能性がある。割振り制度だけで弾力化を進めることについては慎重な検討が必要であり、なんらかの規制のあり方を検討すべきではないかA修学およびボランティアのための休業制度や常勤職員の本格的な短時間勤務制度については、焦眉の課題であるという認識にたって、早急に制度化に向けた検討を行う旨、報告で明記してもらいたいB徹底した勤務時間管理の具体的方策、実効ある超勤縮減策についても報告で具体的に言及すべきだ。
 これらに対して、鈴木職員団体審議官は、次の通り回答した。
(1) 昨年の報告事項のうち、育児・介護を行う職員の短時間勤務制度以外については適宜制度化を行ってきたところである。人事院としても、現在、重要な課題であるとの認識にたって懸命に努力をしているが、制度官庁との調整が必要な課題でもあるという事情についてご理解いただきたい。また、現時点において、意見の申出の時期については、相手との兼ね合いなどもあり、見通しをたてられる段階ではない。
(2) @に関する懸念についてはもっともだと考える。人事院としても、研究会最終報告の指摘と同様に、全府省共通の基準・モデルを示すことを考えており、その際は、職員団体等の意見を踏まえ対応したい。Aについては、人事院としての基本スタンスをいずれ申し上げることになる。Bについては、各府省の業務計画や人員の措置などに関わる大変大きな課題であると考えている。研究会最終報告でも、パソコンやICカード等のITの活用など対応策について示されており、人事院としてもこれらの内容を踏まえ、鋭意検討していきたい。

 これらの回答に対して、公務員連絡会側は、さらに以下の通り迫った。
(1) 勤務時間の問題については、現場では非常に関心の高い課題である。しかし、管理職が職員の勤務実態を把握していないのが現状である。このような状況の中で、勤務時間の弾力化を行おうとしても現場が混乱するだけである。また、超過勤務の具体的な削減策については、国・自治体レベルいずれについても、われわれの指摘が考慮されることなく、明確な施策が実施されていない。人事院として、これらの実態についてどのように考えているのか。
(2) 研究会最終報告の中で、国会業務等の改善について言及されているが、人事院として今後どのような対応をとる予定なのか。
(3) 超過勤務については増加しているが、今後、定員が削減されることを踏まえれば、一層厳しい状況になることは避けられない。具体的対応策を早急に講じないと、労働強化が日常化することが懸念される。

 しかし、審議官からはこれ以上具体的な見解は示されなかった。そのため、公務員連絡会側は、@育児・介護の短時間勤務制度の実現の見通しを示すことA研究会最終報告をうけた施策の取りまとめ方向について十分交渉・協議、合意の上、作業を進めること、などについて、7月22日の職員福祉局長交渉の際には、明確な回答を示すよう求め、この日の交渉を終えた。
 なお、育児・介護を行う職員の短時間勤務制度については、定員の扱いについて総務省行政管理局と人事院の間で調整が行われてきた。定員カウントを勤務時間数も含めて柔軟にすべきとの人事院の主張に対して、純減目標の設定の問題もあり行管側は定員法の基本に関わるとして、現在まで調整がつかない状況だと推測される。公務員連絡会としては、人事院に対して本年の勧告時点までギリギリ努力するよう求めつつ、仮に困難となった場合は意見の申出の時期等が明確となるよう交渉を強めていくこととしている。

以上