2005年度公務労協情報 49 2005年9月16日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

人勧取扱い方針巡って幹事クラスが総務省人事・恩給局と交渉−9/16
−政府は月内にも閣議決定の意向か、「勧告通りの実施」予断許さぬ情勢−

 公務員連絡会は、8月15日の人事院勧告を受けた政府の検討状況を質すため、16日、13時30分から、総務省交渉を実施した。公務員連絡会からは幹事クラス交渉委員が出席し、総務省からは村木人事・恩給局次長らが対応した。
 冒頭、公務員連絡会が、要求事項の@本年の給与改定勧告については勧告通り実施することA地域給与・給与制度見直し勧告については十分交渉・協議し実施を見送ることB定員削減を自己目的化し公共サービスを切り捨てる総人件費改革の基本指針を策定しないこと、の3点についての検討状況を質したのに対し、村木次長は次の通り答えた。

(1) @及びAの、本年の給与改定及び給与構造の見直し勧告については、人事院勧告を最大限尊重してそのとおり実施するという、同じ考え方で一体で対応していきたい。総務省としてはその立場で政府内の意見調整をはかって参りたいと思っている。
(2) 総人件費改革の基本指針については、政府の窓口は内閣官房行政改革推進事務局であるが、総人件費ということでは給与水準に関わる話であり、その立場で申し上げたい。指針は経済財政諮問会議の議論を経て決まることになるが、給与水準については人事院勧告の水準を守っていくことが公務員制度の基本であり、それに反する方策をとることは困難であると思っている。そういう立場で意見を申し上げて参りたい。

 回答に対し公務員連絡会は、@本年の給与改定についての総務省のスタンスはわかったが、政府部内からは0.05月の一時金引き上げは見送るべきだとの意見もあると聞いている。今後の給与関係閣僚会議の見通しはどうなるのかA地域給与・給与制度見直しについては、われわれは実施に反対のスタンスであり、勤務実績反映に関わっては使用者としてどう対応するかについて議論し、慎重に検討すべき課題だと考えているので、勧告の取り扱いは切り離すべきだ、と重ねて見解を質した。
 これに対し村木次長は、「最近は給与関係閣僚会議を2回開いて人勧取り扱いの結論を出してきたが、公務員給与に社会的関心が強まっている中、財務大臣も慎重な発言をされているし、経済財政諮問会議も開かれることになっており、総務省としては早く決められるよう努力するが、本年はあと1回で必ずしも決めることができないかもしれない。また、一時金の引き上げを見送ることは人事院勧告が労働基本権制約の代償措置であることに反するものであり、総務省としては勧告通りの実施を主張していく。給与制度見直しの内容は、人事院としてある程度皆さんと話し合った上で勧告したものと理解しているし、示された問題意識もその通りだと思うので、先送りはできないと思っている。使用者として皆さんの意見を聞かなければいけないことがあればきちんと聞いていきたい」との見解を示した。
 また、「総人件費改革の基本指針」について、公務員連絡会が「6月の骨太方針決定時に総務大臣交渉を行い、大臣から『政府としては人勧制度尊重の基本姿勢は維持する』との回答を確認している経過もある。指針もそうした枠の下での話でなければいけないと考えている。総務大臣には諮問会議でそうした方向で引き続きの努力をお願いしたい」と要望したのに対し、村木次長は「総務省としては、給与については人勧を尊重していく議論になるよう意見を申し上げていきたい」と答え、大臣発言を踏まえて努力していくことを約束した。
 最後に、公務員連絡会から「地域給与・給与制度見直しは重い課題であり、使用者にとっても同じだと思うので、中身についてしっかり議論し、職場が混乱しないよう慎重に検討していただきたい。指針についても、中央人事行政機関の補助部局たる人事・恩給局という使用者責任を負う立場を貫いていただきたい。21日の局長交渉では誠意ある回答をお願いしたい」と引き続きの努力を求め、本日の交渉を締めくくった。

 ところで、政府は来週早々にも第2回の給与関係閣僚会議を開き、勧告の取り扱い方針を協議する予定であり、その場で財務大臣が一時金等の不実施を主張することも十分考えられる。また、経済財政諮問会議の議論も月内に2回程度行われることとなっており、その中でどのような総人件費削減の議論が行われるかも人勧の取り扱いに影響を与える。国会日程との関わりで閣議決定は月内にも行われるものと思われるが、公務員連絡会としては勧告の取り扱いは「予断を許さない情勢」との認識のもとに、21日の中央行動を実施し、情勢が緊迫する場合にはさらに必要な行動を強め、閣議決定の前日には総務大臣から直接要求書に対する回答を引き出すこととしている。

以上