2005年度公務労協情報 5 2004年11月8日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

2004地方確定推進・地方財政確立を求める中央行動実施−11/2

 公務労協公務員連絡会は11月5日、地公部会を中心に2004地方確定推進・地方財政確立を求める中央行動を実施した。
 この行動は、11月8日からの集中交渉ゾーンに向けて、情勢の確認と取り組みの意思統一を行うために実施されたもので、中央集会および国会議員要請行動のほか、委員長クラスによる各政党要請、書記長・幹事クラスによる地方6団体要請が取り組まれた。
 なお、この行動に伴う総務省公務員部長交渉については12日に実施することとしている。
 午後1時30分から社会文化会館で開かれた中央集会は、500人の参加のもとに、久保田地公部会幹事の司会で進められた。
はじめに主催者を代表して挨拶にたった松島地公部会議長は、「今年の人事院、人事委員会の勧告では、年収マイナスは阻止することができたが、寒冷地手当見直しなど大変不満な内容だ。また、公民較差がありながら、給与勧告をしない自治体があるなど大きな問題だ。直面する2004確定の課題は山積しているが、市労連など地公の共闘態勢を強めて集中ゾーンを精一杯闘おう。三位一体改革で地方財源を大幅にカットする動きがあるが、これは国の暴挙だ。交付税の総額確保など地方財政の確立に向け、いっそう取り組みを強化しよう」と訴えた。
 続いて公務労協山本事務局長が特別に報告、公務員制度改革の取り組み経過と現状、良質な公共サービス確立キャンペーンについて、取り組みの意義とその方向について提起した。
 次に岩本地公部会事務局長が基調報告(資料1)を行った。
 構成組織決意表明には、自治労・大門政治政策局長、日教組・星生活局次長、都市交・古後副委員長、全水道・林東水労書記次長、自治労連・水本書記長、日高教・小林書記長が登壇し、それぞれの取り組みを報告し、ともに闘う決意を述べた。
 最後に集会決議を藤川幹事が読み上げ、これを満場一致で採択(資料2)、松島議長の音頭で団結がんばろうを三唱して集会を締めくくった。

 中央集会終了後、参加者全員で共産党を除く全国会議員に対して、良質な公共サービスの確保、地方税財政の確立を求める要請行動を実施した。
 この日、中央集会に先立ち、地公部会委員長クラスにより政党(自民党・公明・民主・社民)申入れを行った。また、集会終了後、地公部会書記長クラスが全国知事会など首長3団体へ、幹事クラスが全国都道府県議長会など議長3団体へそれぞれ要請を行った。要請行動の経過は以下の通り。

<各政党要請の経過>
○自民党要請
 自民党への要請は、5日10時30分より党本部で行われた。公務員連絡会地公部会からは、森越日教組委員長、佐藤全水道委員長ら4名が参加し、自民党からは長勢甚遠労政局長(衆議院議員)、大野松茂衆議院議員が対応した。
申入れ(資料3)を受けて、長勢議員からは「現在行われている官たたきに対しては、現場をよく知る皆さんから、もっと反論のアピールをした方がいい。三位一体については、自民党も独自案をつくることになっている。共闘できる部分は共闘できればと思う」との意見が出された。
大野議員からは「今行っている分権改革は明治以来の大改革をやっており、今までとは違う状況になるのは当然。現場は大変だと思うが、評価する部分は評価して協力して頂ければと思う。昨年からの三位一体改革議論は、選挙目当てに感情的になっているところもあり、今後は落ち着いた本当の意味での改革議論が必要である」との意見が出された。

○公明党要請
公明党への要請は、10時30分から、松島都市交委員長(地公部会議長)ら地公部会代表4名が参加し、衆議院第1議員会館で行われた。公明党からは山名靖英政調・総務副部会長、田端正広衆議院議員(前総務副大臣)が対応した。
地公部会の申入れに対し、公明党側からは大要次のとおり見解が示された。
@財政と税財源をめぐる「三位一体改革」は、今月中旬にタイムリミットを迎える。党としては、財政論だけでなく、地方自治・住民自治の本旨、国と地方の役割分担をふまえて対応していく。
A交付税総額は最大限に確保し、財源調整も必要だと考える。自治体予算編成に混乱を来した昨年の二の舞はさせてならない。中旬をめがけて党内論議をすすめ、与党の協議でも至上命題として申し入れる。
B市町村合併はあくまで自主的にやっていただく必要がある。ただ、今後を考えると、現状でやっていけるのか、合併は進めざるを得ないのでないか。
C公務員制度改革は、来年の通常国会をめざしてもういちど原点に立ち返った論議が必要で、労働基本権の扱いについても組合の意見をしっかりと伺いたい。

○民主党要請
 民主党に対する要請は11時より衆議院第1議員会館で行われた。地公部会からは、松島都市交委員長、森越日教組委員長、玉野自治労連委員長ら6名が参加し、民主党からは仙谷由人政調会長(衆議院議員)、五十嵐文彦ネクスト総務大臣(衆議院議員)が対応した。
 申入れを受けて、五十嵐ネクスト大臣からは「申入れのなかにあるように、市町村合併については自発的でないといけない。今は、特例債によって借金する権利をあげるから合併しなさい、というミスリードが行われている。良くない合併はすべきでない。公務員制度改革にあたっての労働基本権の確立については、当然な話である」との意見が出された。
仙谷議員からは「申入れ内容については、民主党の主張とほぼ同じである。地方税源移譲についても、民主党は地方に自主財源として18兆円を移譲するとマニュフェストのなかに書いてきた。今後は、総論では合致していても各論におとしこんでいくとズレが出てくる場合もある。お互いもっと議論していかないといけない。公務労協のなかでも、地財改革、地方交付税問題について議論を深めていただければと思う」との意見が出された。

○社民党要請
 社民党への要請は、5日午前11時45分から参議院会館第4会議室で行われた。地公部会は松島都市交委員長、森越日教組委員長、玉野自治労連委員長ら6名が参加。社民党からは福島瑞穂党首、又市征治幹事長、横光克彦衆院議員、山本喜代宏衆院議員が対応した。
 地公部会の要請に対して、又市幹事長は「要請の5項目については、社民党としても異論はない。党は皆様方と連携してこれまでも取り組んできた。公務員バッシングの中で、要求の前進をめざしていただきたい」と述べ、社民党として福島党首を本部長に公務員対策特別委員会を設置し取り組んでいることを強調した。
 さらに、「今回の新潟中越地震や台風による被災地では、自らも被災者である公務員労働者が、ライフラインの確保のためにヘトヘトになりながら努力されている姿に接し頭が下がった。住民からも評価されている。良質な公共サービスを守る立場で取り組みたい」と述べた。
 福島党首も「地方公務員制度については、党として全力で取り組む。公共サービスをきちんと位置づけ、民でできるものは民で、という小泉構造改革路線に対決していく。要請の5項目はもっともの要求であるので、戦線を拡大して実現をはかりたい」と応えた。


<地方6団体要請の経過>
○全国知事会要請
 全国知事会に対する要請は、5日15時30分から行われた。地公部会からは、中村日教組書記長をはじめ、各構成産別書記長および山本公務員連絡会事務局長が参加し、全国知事会からは、石上事務局次長および伊東調査第一副部長が対応した。
 中村日教組書記長の挨拶に続き、山本事務局長が別紙要請書(資料4)に基づき7点について要請した。
 これに対し、石上事務局次長は、まず、「知事会はあくまで任意の団体であるということをご理解いただきたいが、一緒に共同できるものは共同し、情報交換していきたい」と回答した。続いて「知事会内でも異論のある中、考え方をとりまとめ『三位一体改革』の提言を行った。国に提案する一方、地方でもやるべきことをやらねばならない。人事委員会勧告に基づく賃金確保は当然だが、当該団体の財政確保も課題。住民の視点を念頭に入れて判断すべきではないか。公共サービスについては、住民へのサービスをしっかり行っていくことが大切。効率性だけをもって民間委託とは考えていない。住民の選択・住民の理解が必要である。学校教職員の賃金については、一般の公務員との差を守らねばならない。要請項目の4点目については同感である。そのような姿勢で対応したい。政府側から7兆円の交付税削減、また補助率のカットという提案を受けているが、一切呑めない。町村については財政力が弱く、住民税でも偏在する。知事会でも交付税制度の堅持と総額確保を主張している。簡素化によって交付税制度がなおざりにされることがあってはならない。7兆円を削減したら、どのような結果になるか都道府県単位で検討した。谷垣財務大臣のお膝元である京都府でも600億円の削減になる。安易に交付税を削減することがあってはならない。市町村合併については、『自主合併の尊重』で地方三団体は統一している。地方公務員制度改革については、簡単には言えない、研究会の中で対応すると考えている。意見交換・協議については、引き続きお願いしたい」との見解を表明した。


○全国市長会要請
 全国市長会に対する申入れは、16時から行われた。地公部会からは、中村日教組書記長をはじめ、各構成産別書記長および山本公務員連絡会事務局長が参加し、全国市長会からは、長江行政部長、定岡財政部長ほかが対応した。
 中村日教組書記長の挨拶に続き、山本事務局長が7点について要請を行った。
 これに対し、長江行政部長は、「全国市長会では、要請があったという情報を全国の市長に伝えるが、労使の意思決定の場ではないと考える」と前置きした後、「地方公務員の賃金については、人事院勧告の仕組みが維持されていれば問題ないが、個々の地方団体の財政状況に差があり、人件費総額と財政がどうマッチングするかが課題である。市町村合併後の賃金をどこに合わせるのかなどの問題もある。賃金の民間準拠といっても新しい見方が出てきており難しい。教職員の給与については、市長会とは直接的には関係ないが、身分は市町村である。一定の中核市には教職員の任命権をおろしてほしいとの要請を行っている。全国的な水準というのは今が過渡期ではないか。また、自治体業務の安易な民間委託を行ってはならないと考えるが、一方で行政改革にも取り組む必要がある。住民の理解と納得を得たうえで、単に効率性を追求するのではなく、サービスの質も含めて考える必要がある。その前提の上で、民間も選択肢の一つと考える。市町村合併については、強制によるものであってはならない。しかし、現在は、かなり住民の民意が反映されていると考える。地方公務員制度改革については、人事院・総務省と中央の労組による真摯な話し合いがされ、地方の条例などによって労使が納得できる形がとられるのが望ましい。意見交換・協議については、共存的な立場であり、本日のような話し合いであれば、積極的に意見交換にあたりたい」と回答した。続いて、定岡財政部長が「交付税総額を7兆〜8兆円削減するとの提案がされている。国と地方の協議の場で反対しているが、この半月が勝負である。是非とも応援してほしい」と発言し、市長会申入れを終了した。


○全国町村会要請
 全国町村会に対する申入れは、16時45分から行われた。地公部会からは、中村日教組書記長をはじめ、各構成産別書記長および山本公務員連絡会事務局長が参加し、全国町村会からは、関場事務局次長、久保行政副部長ほかが対応した。
 中村日教組書記長の挨拶に続き、山本事務局長が7点について要請を行った。
 これに対し、関場事務局次長は、「要請内容を拝見したが、基本的姿勢は変わらない。ここ2週間で地財に決着が付くことになるが、与党の話も進んでいて、どうなるのか予測がつかない。公務員制度の見直しについては、国公の制度改革が地公になじむとは思わず、地方に合った形に置き直していかねばと考える。全国町村会としての意見を申し上げていかねばならない。全国同じ水準でというのは崩れていくのか、地域性が取られていくようになるのか、今後の議論である。市町村合併については、もともと地方分権の受け皿論が出発点である。町村の中には合併積極派、基本的には反対などいろいろある。合併を希望する自治体については条件整備を行うが、合併を希望しないところには強制すべきではないと考える。なんと言っても市町村は住民の意見を尊重すべきである。補助金改革については、皆さんからの協力を頂きたい。あくまで地方のための改革でなければならない。まずは税源移譲ありきが必要だが、財政の偏在性は残る。交付税の機能確保が必要。財務省は交付税のみ削減しようとしているように見受けられる。国民に訴えるところは訴えていくべき」と回答した。


○全国都道府県議会議長会要請
地公部幹事は5日午後3時すぎから、全国都道府県議会議長会に対し別紙「申入れ」(資料5)に基づき、賃金、地財確立について要請した。全国都道府県議会議長会は松岡亘調査一部長らが対応した。地公部会は6項目にわたる要請項目の趣旨を説明、その実現に向けた努力を要請、これに対し松岡部長は、まず「財務省が地公賃金について、さかんに“高い”といってきおり、いろいろPRをしている」と政府による誤った世論誘導の問題を指摘、また三位一体改革にかかる交付税、補助金の措置をどうするか、政府や与党との協議はクライマックが近づいている」と状況を述べ、要請について大要次のように答えた。
@三位一体改革について6団体は、8月に「国庫補助負担金等に関する改革案」を提出し、確実な税源移譲との一体的実施や地方交付税による確実な財政措置などを要求、いわばボールを返している。9月以降「国と地方の協議の場」が設けられ、総務大臣とは地方財政計画の作成に地方公共団体の意見を反映させるべく意見交換会もおこなっている。われわれも11月17日には地方税財政基盤確立にむけ全国大会も開くところであり、交付税の総額確保のためさらに運動を進めたい。
A財務省では、自治体業務の民間移管でもいろいろいってくるが、われわれは、“三位一体改革は国と地方の金のとりあいではなく、あくまで地方分権のためのもの”であることをアピールしている。
B地方6団体の組織だけでなく、地方において「住民を味方につけ」て、交付税確保、税源移譲、地方分権をやらなければならない。


○全国町村議会議長会要請 
 地公部幹事は5日4時すぎから、全国町村議会議長会に対し別紙「申入れ」に基づき要請を行った。全国町村議会議長会は鈴木政務部副参事が対応した。地公部会は6項目にわたる要請の趣旨を説明、その実現に向けた努力を要請した。
 これに対し鈴木副参事は「税源移譲や地財確立、地方分権については要請内容のとおり推進すべきであり、努力している。交付税確保、補助金削減は『国と地方の協議の場』で関係大臣と話し合いを進めており、道は険しいが6団体改革案に掲げた財源確保を真剣に取り組んでほしいとして精一杯頑張っている。」「市町村合併は現実には進んでいるが、住民の意向を無視した強制による合併は反対であるといい続けてきた」と、要請内容にかかる議長会のこれまでの努力を強調した。
 また、財務省が10月22日に提出した「当面の地方財政計画について」に関して、「地公賃金についても過大な水準であるといってオルグしている。また交付税を引き下げるとしているが、町村には離島もあり過疎もある。7〜8兆円の交付税削減で町村は立ち行かなくなる。地方交付税のあるべき姿をきちんと議論すべきだ」として問題を指摘。さらに「皆さんと協調できるところは意見交換をしながら取り組みたい」との議長会の姿勢が示された。


○全国市議会議長会要請
 全国市議会議長会への要請は週明けの8日(月)、14時から地公部会幹事クラスにより行われ、市議会議長会は栗下政務第一部副部長が対応した。
 地公部会側の申入れ事項の趣旨説明をうけて栗下副部長は「三位一体改革は国と地方の行政改革であり、地方分権の推進に寄与するものでなけれはならないと認識している。事務だけ移譲して財源は国が握るといった形ばかりの地方自治ではなく真の意味での地方自治の確立が必要であると考えている。2005、2006年度は、補助金削減による財源不足分については交付税でみると閣議決定として約束されている。その後に交付税がカットされれば地方は立ち行かなくなる。さらに住民サービスの低下などが懸念され、地方自治体にとって正念場になる。今年の予算編成は日本の将来を決めるものであると考えている。交付税制度の堅持と総額の確保が必要だ」との見解を示した。


資料1.中央集会基調

11.5中央集会基調報告


1.自治体を巡る情勢の特徴について
@自治体を取り巻く情勢の特徴は、骨太方針2004に示されるように、政府の規制改革・アウトソーシング方針の下で、民営化等業務の外部委託の進行です。
また、政府予算編成において、今年度のように補助金削減に見合う税源が移譲されず、交付税が削減される危険性もあり、分権・自治を支える地方税財政の確立が急務です。
A9月末に第2次小泉内閣が誕生しましたが、小泉内閣による行政政策は、行政改革、規制改革として公務部門の縮小、切り捨て、そして市場主義の導入を内容としています。
2005年度予算では社会保障関係費の削減が予定されていますが、市場経済のセイフティネットを取り外そうとするものであり、国民の不安や不信を増大させ社会を混乱させるものです。
 公務・公共部門の縮小は、事業の規制緩和・民間開放として進められており、2005年度からは「市場化テスト」の試行や民間開放に関する数値目標の設定を行うとしています。これは、公共サービスを企業の金儲けの道具にしようとするもので、国民に公正で安定的・継続的にサービスを提供するという立場に挑戦するものです。公務・公共サービスの質、量ともに確保する政策が必要となっています。
B政府は、内閣主導で信賞必罰の公務員制度へ改変するとして、公務員制度改革をすすめています。私たちが掲げる21世紀にふさわしい国民に信頼される透明で民主的な公務員制度改革は、引続き重要な課題です。
 また、骨太方針2004では、賃金水準引き下げの手法として「地域における官民格差を踏まえた給与」への改変を求めています。このように、新たな賃金引き下げ圧力が具体的な形で強まっています。地方公務員の賃金については、総務省に研究会を設置して検討が開始される状況です。
 こうした政府の動向にくわえ、マスコミや一部勢力による公務員バッシング、公務員給与削減キャンペーンにも引き続き警戒が必要です。労使関係を超えた批判・介入には十分な警戒心を持ち、的確な対応を行っていくことが必要です。
C地方財政危機が一層深まっており、自治体サービスの質量の維持、職員の定数・給与水準の確保にとって厳しい状況です。
 国の歳出削減を図るための税財政改革の中で、税源移譲・補助金見直し・交付税見直しが三位一体で進められており、交付税の大幅な削減が懸念されます。今年度の予算では、補助金削減に見合う税源移譲がなされずまた交付税が大幅に削減されたことから、自治体の予算編成は困難を極め、行政サービスや職員の給与をカットする自治体も出てきました。11月中には2005年度予算編成に向けて結論が出されることになっており、地方財政確立、交付税総額の確保の観点からの取り組みが必要です。
D情報公開制度の進展とあわせデフレ化における社会の閉塞状況は、納税者・議会の行政と公務員に対する関心と厳しい批判を招いています。公務の労使関係が置かれている社会的・政治的環境が大きく変化し、説明責任が求められていることを十分認識し取り組みを進めます。

2.2004年確定等の取り組み
 人事院は8月6日、2004年の給与勧告を行いましたが、月例給については官民格差が0.1%、39円であったこと、特別給についても官民均衡しているとして改定を見送りました。その一方で、寒冷地手当について支給地域、支給金額について見直す勧告を行いました。
 政令市、都道府県人事委員会の勧告は9月初旬から順次出されました。北九州市などで扶養手当の改善勧告が行われましたが、基本的には国同様月例給の公民較差や特別給の支給割合が均衡しているとして、勧告は行われませんでした。
 寒冷地手当見直しについては多くの自治体で国同様の措置が勧告されましたが、秋田県、鳥取県など国と異なった扱いをする自治体もあり、また岩手県など来年度から処理する自治体もあります。
 他方、骨太方針2004で「地方公務員の給与適正化を強力に推進する」としており、特殊勤務手当の見直しが大きな課題となっています。
 2004確定においては、以下の課題を重点に取り組みます。
 @年収マイナスにならない基本賃金、一時金の確保の取り組み
 A十分な労使交渉・合意による特殊勤務手当等の見直しへの対応
 B国準拠を基本に自治体の実情を踏まえた寒冷地手当見直しへの対応
 C公教育の社会的役割と教育公務員特例法の趣旨を踏まえ全国統一的な水準を確保する公立学校教職員の給与の確立
 確定の集中交渉ゾーンを11月8日〜11月19日とし、対県共闘、市労連共闘など地公部会の共闘態勢を強化します。

3.地方公務員の給与の在り方見直しへの対応と賃金闘争の推進
 骨太方針2004を受けて、総務省公務員部は「地方公務員の給与のあり方に関する研究会」を設置し、地方公務員給与のあり方について検討を行うとしています。
 研究会は10月18日に第1回会合が開かれ、検討テーマは、@地方公共団体における給与決定の考え方、A人事委員会機能のあり方、B地域の民間給与の状況を的確に反映するための参考となる指標のあり方、C給与構造の見直しの方向性、となっています。
 この研究会における結論が、今後の地方公務員の給与の制度、水準に大きな影響を与えることから、地公部会として最大限の取り組みを行います。
@全体としては、公務員連絡会の闘争本部に結集して人事院対応と運動を推進します。
A地公部会として、「研究会」対応と賃金政策検討を行います。
 地方公務員給与を巡るおもな検討課題として次のことが考えられます。
 ア、地方公務員の給与水準の根拠の在り方
 イ、給与制度をどう構築するか
 ウ、給与決定制度の改革
 エ、全国的な賃金闘争の再構築
 オ、地方財政と地方公務員給与
B当面の運動のポイントを、賃金引き下げ反対、全国統一的水準の確保に置いて取り組みます。

4.規制改革・アウトソーシングへの対応
 行政サービスや公共サービスを巡る最大の課題は、規制改革・アウトソーシングへの対応です。骨太方針2004においては国・自治体ともに規制改革・アウトソーシングをいっそう推進するとし、すでに政府は規制改革・民間開放推進会議でその具体化を図っています。
 自治体においては、従来の事業の民間委託に加え、自治法改正による指定管理者制度の導入、地方独立行政法人法の制定が行われるなど自治体業務のアウトソーシングの受け皿が準備されました。
 規制改革・アウトソーシングとは、行政サービスへの市場参入であり、この種のサービスを企業の利潤追求の道具とすることです。利潤動機による企業参入、撤退を自由に行わせることは、全国的な一定の水準を持った安定的、継続的な行政サービスを確保できないことは明らかです。
 こうした状況を踏まえ、行政サービスや公共サービスを確立する運動を進めます。
 @公務労協が進める、「対抗戦略キャンペーン行動」に結集して取り組みます。
 A構成組織が、取り組んできた政策・提言活動をいっそう強化します。
 B個別自治体におけるアウトソーシングについては、自治体の住民に対する行政責任を果たす立場から、住民との連携を重視して取り組みます。

5.三位一体改革・地方財政の確立について
 三位一体改革では、廃止対象とする3兆円相当の補助金の選定が政治的焦点となっています。地方6団体はその総意として3兆2千億円の補助金等の廃止と3兆円の税源移譲を求めています。数字あわせの補助金廃止ではなく、真に地方分権と地方財政確立に資する地方税財源の確保等の制度改革を求めます。
 とくに財源保障が最大の課題となっており、地方交付税の総額が確保されるよう求めていきます。

資料2.中央集会決議

集会決議


 2004年自治体確定闘争は、本格的なたたかいの段階を迎えています。
今年の給与勧告は、国、自治体とも月例給、一時金が基本的に据え置きとなり年収マイナスを阻止することができましたが、寒冷地手当見直しにより支給地域、支給額ともに大きく削減されることになり、生活水準の確保にとって極めて厳しい状況にあります。人事委員会勧告では、引き続き公民較差が自治体間で拡大する傾向にあり、地方公務員の統一的な賃金水準の確保が大きな課題です。
 こうした情勢を踏まえ公務員連絡会地公部会は、年収マイナスにならない賃金改定を基本に、11月8日から19日を集中交渉ゾーンとする2004年確定闘争に全力をあげます。
一方、マスコミなどによる公務員バッシングと公務員賃金引き下げキャンペーンが引き続き執拗に展開され、そのターゲットは地方公務員に当てられており、十分な警戒と対応が必要です。
 6月4日に閣議決定された骨太方針2004は、地方公務員の給与適正化と給与のあり方の見直しを行うとしています。「給与適正化」については、特殊勤務手当の見直しが焦点であり、2004確定闘争の重要な課題となっています。また「地方公務員の給与のあり方」については、総務省に「地方公務員の給与に関する研究会」を設置して検討が開始されました。この研究会の結論が今後の地方公務員の給与制度、水準に大きな影響を与えることから、最大限の取り組みが必要となっています。
 人事院が本格化させている地域給与・給与制度見直もまた地方公務員の賃金に連動することから、公務員連絡会の闘争委員会に結集しその一翼を担って取り組みます。
公務員制度改革に対しては、政府と連合の協議を軸に、ILO勧告の受けいれと労働基本権確立、透明で民主的公務員制度の確立に向け取り組みます。
 地方財政は引続き厳しさを増しています。三位一体改革は、行政サービスの水準を確保することが前提であり、また交付税制度は財政調整機能とともに財源保障機能を堅持し交付税総額が確保される必要があります。年末の予算編成に向け、三位一体改革の議論が政治的にも焦点になっており、関係諸団体などと連携した分権型社会にふさわしい税財政制度確立のための運動の強化が求められています。
 私たちは本日の集会をスタートに、地方確定推進・地方税財政確立に向けた今秋季年末のたたかいに総力をあげて取り組みます。
 以上決議します。

2004年11月5日

2004年地方確定推進・地方財政確立を求める11.5中央集会


資料3.政党への申入書

2004年11月5日

自 由 民 主 党
 総裁 小 泉 純一郎 様

公務労協公務員連絡会地方公務員部会
全日本自治団体労働組合     
中央執行委員長 人見一夫
日本教職員組合         
中央執行委員長 森越康雄
日本都市交通労働組合      
中央執行委員長 松島 稔
全日本水道労働組合       
中央執行委員長 佐藤幸雄
全国自治団体労働組合連合    
中央執行委員長 玉野一彦
日本高等学校教職員組合     
中央執行委員長 早川良夫


地方公務員の賃金と地方財政確立等に関する申入れ


 貴職の地方自治確立と地方公務員の処遇改善に向けたご努力に敬意を表します。
 2004年人事委員会勧告が出され、自治体の賃金確定は山場を迎えていますが、行政サービスに従事する地方公務員の賃金水準の確保と、労使自治を尊重した賃金確定が求められています。
 分権・自治とそれを支える地方税財源の充実が求められていますが、厳しい地方財政の状況に加え、いっそうの地方財政計画の圧縮、交付税の減額が懸念されます。
 高い失業率や地域の雇用情勢は改善されず、雇用、所得、生活の地域間格差が拡大しています。地域における福祉、医療、保健、教育、環境、防災などの分野での雇用創出、住民ニーズへの適切な対応が自治体に求められています。
 貴職におかれましては下記事項の実現に向けてご尽力頂きますようお願いします。



1.地域における公正で安定的・継続的サービスを提供する自治体の責任と役割を踏まえ、市民・NPOとの協働で質の高い公共サービスの確保に努めること。
2.自治体賃金の確定に当たっては、労使の交渉を尊重すること。
3.国庫補助負担金制度の改革、税源移譲など安定した地方税財源を確保するための制度改革を急ぎ、地方分権の推進、地方自治の確立を図ること。国庫補助負担金制度については、国としての最低保障のあり方や国と地方の役割分担を踏まえ、個々の事業を精査し必要な改革を進めること。また、交付税制度を堅持し、交付税総額の安定的確保をはかること。
4.住民自治の観点から、強制による市町村合併は行わないこと。
5.地方公務員制度の改革にあたっては、労働基本権を確立し、地方自治の本旨を踏まえ分権型で開かれた民主的な公務員制度とすること。


資料4.首長3団体への要請事項

1.公務・公共サービスの確保・向上のため、地方公務員の賃金が確保されるよう取り組むこと。
2.公立学校の教職員の賃金については、関係労働組合と十分交渉・協議するとともに、公教育の社会的役割と教育公務員特例法の趣旨を踏まえ、全国統一的な水準確保に努めること。
3.地域における公正で安定的・継続的サービスを提供する自治体の責任と役割を踏まえ、自治体業務の安易な民間への移管(民営化・民間譲渡・民間委託)は行わないこと。
4.国庫補助負担金制度の改革、税源移譲など安定した地方税財源を確保するための制度改革を急ぎ、地方分権の推進、地方自治の確立を図ること。国庫補助負担金制度については、国としての最低保障のあり方や国と地方の役割分担を踏まえ、個々の事業を精査し必要な改革を進めること。また、交付税制度を堅持し、交付税総額の安定的確保をはかること。
5.住民自治の観点から、住民の意向を無視した強制による市町村合併は行わないこと。
6.地方公務員制度の改革にあたっては、労働基本権を確立し、地方自治の本旨を踏まえ分権型で開かれた民主的な公務員制度とすること。
7.地方財政を確立し地方分権を推進するために、共同した取り組みをめざし意見交換・協議を進めること。


資料5.議長3団体への要請事項

1.公務・公共サービスの確保・向上のため、地方公務員の賃金が確保されるよう取り組むこと。
 また、自治体賃金の確定に当たっては、労使の交渉を尊重すること。
2.地域における公正で安定的・継続的サービスを提供する自治体の責任と役割を踏まえ、自治体業務の安易な民間への移管(民営化・民間譲渡・民間委託)は行わないこと。
3.国庫補助負担金制度の改革、税源移譲など安定した地方税財源を確保するための制度改革を急ぎ、地方分権の推進、地方自治の確立を図ること。国庫補助負担金制度については、国としての最低保障のあり方や国と地方の役割分担を踏まえ、個々の事業を精査し必要な改革を進めること。また、交付税制度を堅持し、交付税総額の安定的確保をはかること。
4.住民自治の観点から、住民の意向を無視した強制による市町村合併は行わないこと。
5.地方公務員制度の改革にあたっては、労働基本権を確立し、地方自治の本旨を踏まえ分権型で開かれた民主的な公務員制度とすること。
6.地方財政を確立し地方分権を推進するために、共同した取り組みをめざし意見交換・協議を進めること。

以上