2005年度公務労協情報 50 2005年9月21日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

公務員連絡会2005秋季闘争第1次中央行動実施−9/21
−人勧取扱いを巡る予断許さぬ情勢受け、緊急打電行動実施−

 公務員連絡会は、21日午後、政府に8月15日に提出した要求書−@給与改定勧告の勧告通りの実施A「給与構造見直し」勧告の実施見送り−の実現を求め、2005秋闘第1次中央行動を実施し、中央集会や総務省交渉とその支援行動などを繰り広げた。

 13時30分から社会文化会館で開かれた中央集会には、全国の仲間700人が結集した。
 集会は、加藤副議長(国交職組委員長)を議長に選出、冒頭主催者を代表して挨拶にたった丸山議長は、「小泉内閣は、総選挙の圧勝を受けて、社会保障の切り捨てと公務員の総人件費削減の具体化を強力に進めてくることが予想される。この秋季闘争では、人勧の取り扱いを巡るわれわれの要求を実現するよう政府に求め、仕事や雇用、給与すべてに関わる総人件費削減に対する取り組みをしっかり進めていかなければならない」と、2005秋季闘争の重要性を訴えた。また、労働組合を否定するようなバッシングが行われていることに対して、われわれの基本的人権・民主主義のあり方に関わる問題として闘おう、と呼びかけた。
 このあと、山本事務局長が秋季闘争方針の基調を提起、人勧の取り扱いを巡って、20日に開かれた給与関係閣僚会議で一時金増部分の慎重な取り扱いを求める発言が出るなど、予断を許さない情勢となっていることを踏まえ、公務員連絡会として各級機関単位の緊急要請打電(レタックス)行動を実施することを呼びかけた。
 続いて、構成組織決意表明には国公総連(森下全農林中執)、税関労連(平川名古屋税関労組執行委員)、自治労(中島労働局次長)の代表が登壇し、地域給与・給与制度見直し阻止に向けて最後まで闘う決意を表明した。
 丸山議長の音頭による団結ガンバロウで集会を締めくくった後、参加者は総務省前に移動、人事・恩給局長との交渉を支援する行動を繰り広げた。
 書記長クラス交渉委員と戸谷総務省人事・恩給局長との交渉経過は次の通り。

<総務省人事・恩給局長との交渉経過>
 総務省戸谷人事・恩給局長との交渉は、14時30分から行われ、公務員連絡会からは書記長クラス交渉委員が出席した。
 冒頭、山本事務局長が8月15日の人事院勧告の取り扱いに関する要求書への回答を求めたのに対し、戸谷局長は、次の通り答えた。
(1) 昨日、2回目の給与関係閣僚会議が開かれ、その中で、@人事院勧告制度を尊重するとの基本姿勢を堅持し、勧告どおりの実施を早期に決定することが適当であるという意見がある一方、財政が極めて厳しい状況にあり、総人件費改革が重要な課題とされている中、一時金の引上げについては、なお慎重に検討する必要があるとの意見、A今後、官民給与比較方法の見直しなど更なる改革を進めていく必要があるとの意見もあったことから、結論を得るには至らなかったと聞いている。
 いずれにしても、本年度の国家公務員の給与改定については、人事院勧告制度尊重の基本姿勢の下、国の財政状況や経済財政諮問会議における総人件費改革の議論、民間の経済情勢等、国政全般との関連を考慮しつつ、誠意を持って検討を進め、国民の理解を得られる結論を早急に得るよう最大限の努力を尽くしてまいりたい。
(2) 地域における公務員給与の見直しをはじめとした給与構造の改革については、「地域の公務員給与は地域の民間給与の実情を十分に反映していないのではないか、公務員給与の制度・運用が年功的になっているのではないか」という批判を背景に、専門・第三者機関である人事院において、職員団体等の御意見も十分に伺った上で検討し、勧告がなされたものと認識している。給与構造の改革を含む本年の人事院勧告についても、人事院勧告制度尊重の基本姿勢の下、国政全般との関連を考慮しつつ、対処してまいりたい。

 これらの回答に対して、公務員連絡会側は次の通り、総務省の考え方を質した。
(1) 経済財政諮問会議の議論を見て人勧の取り扱い方針を決定するとの回答だが、労働基本権制約の代償機能としての人事院勧告の取り扱いが経済財政諮問会議の議論に左右されるのはおかしいのではないか。
(2) 労働基本権制約の代償機能が否定されることがないよう、総務省としての人事院勧告の取扱いに対する基本姿勢を堅持し、しっかり対応してもらいたい。
(3) 今後の人事院勧告の取り扱いを巡る段取りを明らかにしてもらいたい。

 これに対し、総務省側は、次の通り回答した。
(1) 人勧取り扱い方針の閣議決定前に、経済財政諮問会議で総人件費改革をテーマに議論したいとの意向だと聞いている。懸念については理解できるが、総人件費削減の流れを踏まえて調和をはかる必要もあろうかと考えている。
(2) 総務省としては人勧尊重の基本姿勢を堅持し、おかしなことにならないよう適切に対応していきたい。今後の議論としては追加財政需要が必要かどうかがカギであるが、今回の勧告はそれを必要としないことも重要なポイントだと考えている。
(3) 12月期の一時金で官民較差の差額調整を行うとすれば、この特別国会に改正法案を提出する必要がある。会期は11月1日までの42日であり、審議日程等を考慮すれば、10月初旬には国会に給与法案を提出できるよう事務的な作業は進めていきたい。したがって今月末には第3回給与関係閣僚会議を開けるよう作業を進めていきたいと考えている。

 これらのやり取りを踏まえ公務員連絡会は、最後に、「地域給与・給与制度見直しに関わる勧告については、われわれと十分交渉・協議し、その実施を見送ってもらいたい。その点を踏まえ、さらに慎重に検討してもらいたい。最終の大臣交渉では要求に対する誠意ある回答を示してもらいたい」と、強く要請し、この日の交渉を終えた。

 人勧の取り扱いを巡って政府は、20日午前、第2回目の給与関係閣僚会議を開いた。その中では麻生総務大臣などが勧告通りの実施を求めたものの、谷垣財務大臣が一時金増部分の慎重な検討を、竹中経済財政担当大臣が官民比較方法の見直しなどを求め、この日は結論を得るに至らなかった。政府は、月末にも第3回給与関係閣僚会議を開く予定でいるが、27日の経済財政諮問会議での総人件費削減の集中議論も見て結論を出したいとしており、人勧の取り扱いを巡る情勢は予断を許さないものとなっている。
 こうした情勢を受けて公務員連絡会は、21日に開いた企画・幹事合同会議で、22日と26日、構成組織の各級機関単位に総理大臣や総務大臣、財務大臣宛の緊急打電(レタックス)行動を実施することを決定した。また、閣議決定日の前日には委員長クラス交渉委員が麻生総務大臣と交渉をもち、要求書に対する最終的な回答を求めることとしている。

以上