2005年度公務労協情報 52 2005年9月27日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

人勧取扱いで委員長クラスが総務大臣と交渉−9/27
−明日、臨時閣議で「勧告通り実施」を決定の見通し−

 公務員連絡会丸山議長他委員長クラス交渉委員は、27日午前11時30分から、総務省内で麻生総務大臣と交渉をもち、8月15日に提出した人勧取り扱いに関する要求書に対する回答を求めた。これに対して大臣は、明日(28日)、第3回給与関係閣僚会議を開いて勧告通り実施することを確認、その後臨時閣議で正式決定する見通しであるとの見解を示した。あわせて退職手当制度見直し方針も決定される見通し。公務員連絡会は、要求を無視して一方的に閣議決定することに遺憾の意を表明、十分交渉・協議を尽くさなかったことに強く抗議した。交渉終了後、公務員連絡会は企画・幹事合同会議に経過を報告し、明日、閣議決定された場合は抗議声明を発し、今後も取り組みを進めていくことを確認した。

 総務大臣との交渉の冒頭、丸山議長は「8月15日に人事院勧告の取り扱いに対する要求書を提出し、今日まで交渉・協議を積み上げてきた。本日は、閣議決定も迫っているので、政府の人事院勧告取扱い方針について、大臣から直接説明してもらいたい」とし、回答を求めた。
 これに対して大臣は、次の通り政府方針を説明した。
(1) 本年の人事院勧告の取扱いについては、去る8月15日に提出を受けて以来、各府省間で検討を進めてきたところである。総務大臣としては、国の財政事情をはじめ国家公務員給与を取り巻く環境には極めて厳しいものがある中、給与関係閣僚会議等においては、労働基本権制約の代償措置の根幹をなす人事院勧告制度を尊重するとの立場で意見を申し上げてきた。
(2) その結果、明日、第3回目の給与関係閣僚会議が開かれることになり、そこでは、勧告どおり平成17年度の給与改定及び18年度からの給与構造の抜本的な改革を行う旨の決定がなされるものと期待している。また、給与構造の改革と併せて、国家公務員の退職手当制度について、構造面の見直しを行うことについても決定がなされるものと期待している。給与関係閣僚会議で決定がなされれば、その後の閣議において政府としての取扱い方針が決定されることになる。
(3) 本年度の給与改定、給与構造の改革等は、職員の皆様にとって厳しい内容となる。職員の皆様には、何卒御理解願うとともに、今後とも、国民の信頼に応え、公務能率及び行政サービスの一層の向上に努めていただきたい。

 この回答に対し丸山議長は次の通り見解を述べ、「給与構造見直し」勧告の実施に遺憾の意を表明するとともに、十分な交渉・協議を尽くさなかったことに強く抗議した。
(1) 明日予定の閣議決定のうち、給与改定の勧告通りの実施は、人事院勧告制度尊重の政府の基本姿勢からして当然のことである。
(2) しかし、給与構造見直しに関わる勧告の取り扱いについて、われわれが慎重な検討を要求したにもかかわらず、それを無視し、閣議決定することについては、極めて遺憾である。多くの問題がある勧告内容にも関わらず、使用者としてわれわれの理解と納得を得る努力を十分行わなかったことについては、強く抗議せざるをえない。さらに、閣議決定で、政府として人事院に官民比較方法の見直しを要請する、ということだが、この点についても「政治」が中立第三者機関に圧力を加えるものであり、甚だ遺憾である。
(3) また、退職手当制度見直し内容についても、これまでの協議の到達点として確認するが、給与構造の見直しを前提とし、その対応に終始する内容に止まったことは問題として指摘せざるを得ない。今後も、引き続き十分交渉・協議し、使用者としてわれわれの納得を得る努力を行うよう強く要請する。

 また、総人件費削減や評価の試行の検討に関わって、次の通り総務大臣の特段の努力を求めた。
(1) 今後、経済財政諮問会議で公務員の総人件費改革の基本指針の議論が本格化し、取りまとめられると聞いている。総人件費全体の削減数値目標や定員純減目標の設定が検討され、公務員給与水準の引下げも議論されていると伝えられている。従前から申し上げているように、これらは国民に対する公共サービスのあり方に直結する問題であり、単に財政の論理だけで議論する問題ではない。また、われわれの雇用と生活に直接関わる問題でもある。にもかかわらず、労使関係上の問題としても取り扱われず、諮問会議とも話し合えない状態が続いている。われわれとしては、この際、労働基本権確立を含む公務員制度の抜本改革を行い、しっかりとこれらの問題について労使で話し合うべきだと考える。大臣には、諮問会議でより一層ご努力頂くようお願いするとともに、総人件費問題について責任ある政府代表とわれわれが話し合えるようご努力頂きたい。
(2) 評価の第1次試行についていま話し合っている最中だが、いくつかの問題で難しい局面にあると聞いている。是非、われわれ被評価者が納得でき、積極的に試行に参加できる仕組みとなるよう、開示や苦情処理について総務省として努力してもらいたい。

 これに対して総務大臣は、「諮問会議で総人件費の議論を行うのであれば、行政サービスをどうするのかを合わせて決めてもらわないとならない。ただ一律に定員を減らせということはできるものではない、という点を主張していく」と、歳出削減だけの視点で総人件費の議論を行うことには反対していくとの見解を示した。また、評価の試行については、「民間と異なり、公務の評価はなかなか難しいので、うまいやり方を考えていく必要がある。納得性を高めるためには、開示等も大事であり、真摯に検討していく問題だ」とし、納得性を高めるための仕組みについて検討していきたいとの見解を示した。
 最後に丸山議長は「総人件費については、是非、地に着いた議論をお願いしたい。また、われわれは評価は避けて通れないと考えている。勤務評定のようなものではなく、お互い努力して、いいものにしていきたい」と述べ、大臣交渉を終えた。

以上