2005年度公務労協情報 53 2005年9月28日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

政府が2005人事院勧告の取扱い方針閣議決定−9/28
−公務員連絡会は「給与構造見直し」勧告の実施に抗議する声明発表−

 政府は、28日午前9時45分から、第3回給与関係閣僚会議を開き、本年の人事院勧告を勧告通り実施する方針を確認し、その後の臨時持ち回り閣議で正式決定(資料1)した。退職手当制度見直し方針も決定された。総務省は、この閣議決定を受けて給与法改正法案や退職手当法改正法案作成作業に入り、来月上旬には国会提出する予定。
 公務員連絡会は、この閣議決定に先立って、27日、総務大臣と委員長クラスが最終交渉をもち、要求に対する回答を受けた。その後開いた企画・幹事合同会議で、人勧取り扱い閣議決定に対する声明を確認し、本日発表した(資料4)。
 この閣議決定により、2005秋季賃金確定闘争の焦点は、国会段階の法案を巡る取り組み、地方自治体や独立行政法人等の確定闘争に移ることとなる。
 なお、閣議決定に関する官房長官・総務大臣の談話は資料2、3の通り。


資料1−人勧取扱いの閣議決定内容

公務員の給与改定に関する取扱いについて

(平成17年9月28日閣議決定)

1 一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける国家公務員の給与については、去る8月15日の人事院勧告どおり平成17年度の給与改定を行うとともに、平成18年度から地場賃金の適正な反映、年功的な給与上昇の抑制、勤務実績の給与への反映等の給与構造の抜本的な改革を実施するものとする。
2 特別職の国家公務員の給与については、おおむね1の趣旨に沿って改定等を行うものとする。
3 1及び2については、平成17年度の給与改定は新たな追加財政負担は要せず、平成18年度からの給与構造の改革は総人件費の削減に資するものであるが、我が国の財政事情がますます深刻化している下で総人件費改革が求められていることを考慮すれば、行財政改革を引き続き積極的に推進し、総人件費を削減する必要がある。そのため、次に掲げる各般の措置を講じるとともに、本年秋までに総人件費改革のための「基本指針」を策定する。
(1) 地方支分部局等を始めとする行政事務・事業の整理、民間委託、情報通信技術の活用、人事管理の適正化等行政の合理化、能率化を積極的に推進する等の措置を講ずる。また、定員については、大胆な再配置を進めるとともに、純減目標を策定し、政府全体を通じた一層の純減の確保に取り組む。
(2) 人事院に対し、官民給与比較の方法について、調査対象民間企業の拡大や民間企業における人事・組織形態の変化への対応など、民間賃金の状況をより的確・精緻に反映させるための方策について、専門家の意見も踏まえて早急に総合的検討を行うよう要請する。
(3) 国家公務員の退職手当制度について、給与構造の改革と併せて、支給率カーブのフラット化、勤続年数に中立的な形で貢献度を勘案する部分の新設、在職期間長期化に対応する算定方式の特例の導入等の構造面の見直しを行う。
(4) 独立行政法人(総務省設置法(平成11年法律第91号)第4条第13号に規定する独立行政法人をいう。以下同じ。)についても、中期目標設定、評価等について役職員数も含めた一層の事務運営の効率化を図る。特に、平成17年度末に中期目標期間が終了する独立行政法人については、「今後の行政改革の方針」(平成16年12月24日閣議決定)等を踏まえ、中期目標期間の終了に伴う組織・業務全般の整理縮小、民営化等の検討を進める。さらに、特殊法人等についても厳しい定員削減を実施する。
(5) 独立行政法人の役職員の給与改定については、国家公務員の給与水準を十分考慮して適正な給与水準とするよう要請する。独立行政法人及び主務大臣は総務大臣が定める様式により、役職員の給与等の水準を毎年度公表することとする。また、特殊法人等の役職員の給与改定に当たっても、国家公務員の例に準じて措置されるよう対処するとともに、事業及び組織形態の見直しを通じた給与等の適正化を進めるものとする。特殊法人等の役職員の給与等についても、法令等に基づき、公表を進める。
(6) 地方公共団体に定員の増加を来し、人件費の累増をもたらすような施策を厳に抑制する。
(7) 地方公共団体の定員については、新地方行革指針(平成17年3月29日)に基づき、過去の実績を上回る総定員の純減を図るよう、引き続き要請する。
(8) 地方公共団体における地方公務員の給与改定に当たっては、現下の極めて厳しい財政状況及び各地方公共団体の給与事情等を十分検討の上、国と同様、行政の合理化、能率化を図るとともに、既に国家公務員又は民間の給与水準を上回っている地方公共団体にあっては、その適正化を強力に推進するため必要な措置を講ずるよう要請するものとする。
 また、国家公務員における給与構造の改革を踏まえ、地方公務員給与についても速やかな見直しを行うとともに、人事委員会機能を発揮することなどにより、地域の民間給与の状況をより的確に反映させるよう要請を行うものとする。


資料2−官房長官談話

内閣官房長官談話

(平成17年9月28日)

 政府は、本日の給与関係閣僚会議及びその後の閣議において、一般職国家公務員の給与改定について人事院勧告どおり実施することなどを内容とする本年度の公務員の給与改定の方針を決定しました。
 本年度の勧告は、民間の給与実態を反映し、平成17年度は俸給等を引き下げる一方、勤勉手当を引き上げることとし、また、平成18年度から地域における国家公務員給与の見直しを始めとした給与構造の抜本的な改革を実施することとするものであります。
 政府は、人事院勧告制度を尊重するとの基本姿勢に立ち、国の財政事情、民間の経済情勢など国政全般の観点から、国民の理解の得られる適正な結論を出すべく検討を行った結果、本日、勧告どおり実施することを決定したところであります。
 これらについては、17年度の給与改定は新たな追加財政負担は要せず、18年度からの給与構造の改革は総人件費の削減に資するものですが、政府としては、ますます深刻化している財政事情等にかんがみ、行財政改革を引き続き積極的に推進し、総人件費を削減する必要があると考えております。そのため、行政の合理化、能率化を一層強力に推進するとともに、定員については、純減目標を策定し、政府全体を通じた一層の純減の確保に取り組む所存であります。さらに、人事院に対しては、官民給与比較の方法について、民間賃金の状況をより的確・精緻に反映させるための方策の総合的検討を早急に行うよう要請することとしております。
 また、国家公務員の退職手当制度については、給与構造の改革と併せて、在職期間中の貢献度をより的確に反映できる制度となるよう構造面の見直しを行うこととしました。
 なお、地方公共団体においても、定員の純減や地域の民間給与の反映などの見直しに取り組むよう要請することとしております。
 公務員諸君は、今回の決定が現下の厳しい諸情勢の下でなされたものであることを十分理解し、今後とも、国民の信頼にこたえ、公務能率及び行政サービスの一層の向上を図るとともに、官庁綱紀の厳正な保持、公正な公務運営の確保に努めるよう強く期待するものであります。


資料3−総務大臣談話

総務大臣談話

平成17年9月28日


 政府は、本日の閣議において、一般職の国家公務員の給与について、人事院勧告どおり平成17年度の給与改定を行うとともに、平成18年度から給与構造の抜本的な改革を実施することを決定しました。
 この決定を踏まえ、総務省としては、今後、関係府省との連携を密にしつつ、早急に給与法改正法案を国会に提出するよう努力する所存であります。
 また、行政改革に積極的に取り組むことを基本とし、従来にも増して、行政事務・事業の整理、人事管理の適正化等行政の合理化、能率化を強力に推進するとともに、定員について純減目標を策定し、政府全体を通じた一層の純減の確保に取り組んでまいります。また、人事院に対し、官民給与比較の方法について早急に総合的検討を行うよう要請しております。
 国家公務員の退職手当制度については、給与構造の改革と併せて、構造面の見直しを行うこととしております。
 本年度の地方公務員の給与改定については、国家公務員の給与改定に準ずるべきものと考えます。また、地方公務員についても、国家公務員における給与構造の改革の内容等を踏まえ、速やかな見直しを行うよう、地方公共団体に対し要請してまいります。
 各地方公共団体においては、地方財政が引き続き極めて厳しい状況にあり、その健全化が重要な課題となっていること及び地方公務員の給与のあり方について国民の強い関心が寄せられていることを十分認識し、不適正な給与制度・運用等については、速やかに是正措置を講ずる必要があります。
 また、地方公務員の人件費の抑制については、新地方行革指針に基づき、徹底した行革の推進により進めていく必要があります。各地方公共団体においては、定員の一層の抑制に取り組むとともに、給与情報の徹底した開示を進めながら、給与制度・運用等の適正化を強力に推進するなど、自主的・計画的な行政改革の推進と簡素かつ公正を旨とした行政運営に一層努力を払われるようお願いいたします。


資料4−閣議決定に対する公務員連絡会の声明

本年の人事院勧告の取扱い閣議決定に対する声明


(1)政府は、本日の第3回給与関係閣僚会議で本年の人事院勧告を勧告通り実施することを確認し、その方針を臨時閣議で正式に決定した。また、退職手当制度見直し方針も正式決定した。
(2)公務員連絡会は、8月15日の人事院勧告を受け、政府に対して給与改定の勧告通りの実施と「給与構造」見直し勧告の実施見送り、などを求める要求書を提出し、その実現をめざして諸行動や総務省との交渉・協議を積み重ね、昨日、総務大臣と委員長クラスが最終的な交渉を行った。
 本日の閣議決定のうち、給与改定の勧告通りの実施は、人事院勧告制度尊重の政府の基本姿勢からして当然のことである。しかし、地域給与・給与制度見直しに関わる勧告の取扱いについては、われわれの要求を無視し、一方的に閣議決定したものであり、極めて遺憾である。多くの問題がある勧告にも関わらず、使用者として十分交渉・協議し、われわれと合意する努力を怠ったことについては、強く抗議せざるをえない。さらに、政府として官民比較方法の見直しを人事院に要請しているが、これは中立第三者機関としての人事院に「政治」が圧力を加えるものであり、決して認められない。
 また、退職手当制度見直し方針についても、われわれが求めてきた抜本的な見直しに踏み込むことなく、「給与構造」の見直しを前提とし、その対応に終始する内容に止まったことは問題である。
(3)政府は、本日の閣議決定を踏まえ、給与法改正法案や退職手当改正法案作業に入り、10月上旬にも国会提出する予定である。
 これらの法案を巡っては、与野党を問わず公務員の総人件費削減を総選挙後の重要政治課題と位置づけるなど、予断を許さない厳しい情勢にある。われわれは、こうした厳しい情勢を認識するとともに、あくまで地域給与・給与制度見直しに対する公務員連絡会の基本方針を堅持し、引き続き国会段階の取り組みを進めていくこととする。
 また、これから山場を迎える地方自治体や独立行政法人等の確定闘争についても、基本方針を堅持し、統一闘争態勢のもとに取り組みを進めることとする。とくに、人件費削減のターゲットとされている地方公務員の給与については、公共サービスの充実を図る中で、説明責任を果たしつつ、労使交渉による決着を求めていく。
(4)2005秋季闘争においては、総人件費改革の基本指針や市場化テスト法案に対する取り組みなど、重要課題が山積している。本年の人事院勧告やその確定を巡る闘いは、これから本格的に繰り広げられる小泉構造改革と総人件費削減に対する闘いの「入口」にすぎない。
 与党が圧倒的な多数を占める政治状況の中で、今後、政府がより強権的な形で小泉構造改革の具体化を図ろうとすることは必至である。われわれは、国民生活の安心・安定のための公共サービスの確立と公務員制度の抜本的改革、雇用・生活・権利の防衛など、あらゆる領域にわたる闘いが正念場を迎えることを覚悟し、全力を挙げて取り組みをすすめるものである。
2005年9月28日

公務員労働組合連絡会


以上