2005年度公務労協情報 9 2004年11月18日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

財務省に2005年度基本要求提出−11/18

 公務員連絡会幹事クラス交渉委員は、総務省・人事院(11月11日)に続き、18日午後1時30分から財務省主計局給与共済課、理財局国有財産調整課と交渉を行い、「2005年度賃金・労働条件に関わる基本要求事項の申入れ」(資料)を提出し、回答を求めた。
 交渉には、財務省主計局から飯塚給与共済課長、松村参事官ほかが、理財局からは中澤国有財産調整課長ほか、がそれぞれ出席した。

 冒頭、公務員連絡会が基本要求事項のポイントを説明し、見解を質した。
 これに対し、給与共済課は次のとおり見解を述べた。
(1) 給与改定財源については、一段と厳しい財政事情を鑑みれば、総人件費の抑制を含めた予算編成を検討をしていく必要があることを理解願いたい。人件費予算がどうなるかは現在作業中であり、申し上げられないが、今後の予算編成過程においても人事院勧告制度尊重の基本姿勢のもと、引き続き適正に対処していきたい。
(2) 級区分による旅費の支給基準については、旅費は実費弁済の性格を有しているものであるが、職員それぞれの職務・職位に基づいて支給されるものでもあることから、級に応じてある程度差が出るのはやむを得ないと考えている。
 実態に合った旅費、移転料については、これまで毎年実態調査を実施しており、見ている限りでは、民間においては全体で見れば下がってきている現状にあるため、今見直す時期にはないと考えている。今後も推移を見守って適正に対処していきたい。
(3) 共済年金制度については、基本的に厚生年金に準拠しており、基礎年金の財源についても年金制度全体の議論であると承知しており、全体の話については、立場上お答えできないことをご理解願いたい。
(4) 共済年金制度は、年金制度としての性格と公務員制度の一環としての性格の両方を有している。公務員制度の一環としての性格からは、職務の性格にふさわしい制度とすることによって職務の能率的運営に資すると考えている。今後ともそのことを念頭において考えていきたい。

 これらに対し連絡会は、「財政事情が厳しいからと言って、勤務条件に手をつけることは人勧制度尊重の姿勢からしても承服できない。今後、公式、非公式問わず、われわれとも十分議論すべきだ」とさらに質したところ、次の見解があった。
(1) 基本的に人事院勧告尊重の立場は例年と変わらない。そこにその時々の事情を総合勘案し判断していきたい。
(2) 国民の公務員に対する見方が重要であり、明らかにおかしなものは是正していかなければならないとと考えているが、いま具体的に考えているものはない。今後の予算編成過程で適正に対処していきたい。

 続いて国有財産調整課は、次のような見解を示した。
(1) 公務員宿舎は、宿舎法1条に基づき、公務のために設置しているのが大前提である。宿舎の確保については、総量的には足りていると認識しているが、老朽、狭隘の宿舎が多いということ等も認識している。限られた予算の中、緊急性の高いものから建替え・整備を行っている。
(2) 宿舎貸与基準の見直しは、慎重に行う必要があると認識しているが、C規格の面積改定を行うなど可能な努力を行っているところである。
(3) 現状回復費用については、昨年通達の改正を行い適切に運用されるよう、会議等で周知徹底を行っているところである。また、退去者に対するアンケート調査を行っており、このような資料を踏まえて、問題点があれば更に検討を行っていきたい。

 これらに対し公務員連絡会は、「宿舎使用料引き上げの際の最終交渉で、原状回復措置についての検討や入居基準を含む宿舎制度の抜本改革に向けた検討を行うとの見解が示され、その検討に当たってはわれわれの意見を聞くことを約束していたが、その後の検討状況はどうなっているか」と質したところ、理財局から、「現在、アンケートなどを集約・分析しながら問題点を検討している段階であり、引き続き検討していく。その際、職員の声を聞くことは当然」との回答があった。

 公務員連絡会側は、最後に、本日の申入れの実現に更に努力することを求め、この日の交渉を締めくくった。



別紙.財務省への基本要求書

2004年11月18日



財務大臣
 谷 垣 禎 一 殿

公務員労働組合連絡会
議 長 丸 山 建 藏



2005年度賃金・労働条件に関わる基本要求事項の申入れ


 日本経済は、景気の回復局面にあるといわれているものの、デフレ基調に変化はなく、勤労者の雇用と所得は一向に改善されていません。また、本年の給与改定については、月例給・一時金とも据え置きとなり、6年ぶりに年収が確保されることとなったものの、一方で「骨太方針2004」に見られるように、公務員の総人件費抑制政策が一段と強められており、公務員給与を巡る情勢は引き続き厳しいものがあります。
 こうした中で、公務員の処遇を確保・改善するための貴職の役割がますます重要となっています。
 そうした観点から、2005年度の賃金・労働条件改善に関わる基本的な要求事項を下記の通り申し入れますので、誠意を持って協議に応じ、諸課題の解決に全力であたられるよう要請します。




一、給与に関わる事項
(1) 2005年度予算編成に当たっては、総人件費抑制の観点からではなく公務員の処遇改善の観点にたって人件費予算等を確保すること。
(2) 通勤手当については全額非課税とすること。
(3) 超過勤務等に対する予算を増額するとともに、実態に見合った支給を行うこと。
(4) 級区分による旅費支給基準を抜本的に改めるとともに、実態にあった旅費(宿泊費、日当の増額など)が支給できるよう給付額を引き上げること。また、赴任旅費を含む移転料については、直ちに改善すること。

二、福利厚生施策等に関わる事項
(1) 公務員の福利厚生を勤務条件の重要事項と位置付け、職員のニーズ及び民間の福利厚生の正確な実態把握を行い、その抜本的な改善・充実を図ること。
(2) 2005年度の予算編成に当たっては、改定された「国家公務員福利厚生基本計画」の着実な実施を図る観点から、職員厚生経費をはじめ、福利厚生施策の改善に必要な予算を増額すること。
(3) 公務員宿舎を重要な福利厚生事項として位置づけ、宿舎使用料の見直し協議の際に約束した、入居基準を含む宿舎制度(必要十分な宿舎の確保、貸与基準、原状復帰のあり方)の抜本的な改善に向け、公務員連絡会と十分交渉・協議すること。

三、年金・共済制度に関わる事項
(1) 公的年金制度の安定と信頼回復をはかるため、基礎年金の全額税方式への転換を早期にはかること。
(2) 公務員制度の一環としての共済年金制度の基本的役割、機能を維持すること。

以上