2006年度公務労協情報 14 2005年12月19日
公務公共サービス労働組合協議会

市場化テスト推進室長と公務労協が交渉・協議−12/19
−使用者として雇用等に対して責任ある態度を示さず、再協議へ−

 公務労協山本事務局長ほか構成組織書記長は、19日午後1時30分から、内閣府の河市場化テスト推進室長と交渉・協議をもち、市場化テスト法の制度設計に当たって、制度が具備すべき条件について室長の見解を質した。この交渉は、16日の松田行革推進事務局長交渉で、「市場化テストについては、内閣府に設けられている市場化テスト推進室が窓口となるので、推進室と意見交換してもらいたい」として、交渉窓口が確認されたことを受けて実施したもの。
 冒頭、山本事務局長が、「この間、耐震構造の偽装設計、鳥インフルエンザ、BSE、アスベスト問題など、国民の生命・財産の安全・安心を確保するという政府の最も重要な機能が麻痺しているという厳しい批判があり、今進められつつある政策がこうした心配を増幅しかねないことを心配している。そこで、市場化テスト法の法制化に当たって、中馬担当大臣宛の申入れを提出するので見解をいただきたい」として、資料の通り申し入れた。
 この申入れに対し、河室長は、次の通り答えた。
(1) 公務員グループの使用者の立場としてということであるが、過大評価である。制度設計に携わっており、これから法案提出を担当する立場で対応をさせていただく。
(2) 「公共サービス効率化法」というネーミングで来年の国会に提出しようとしている法案の骨格は、今、公務員が担っている公共サービスについて、価格と質の両面で、より優れた主体に落札させ、落札の条件でより効率的に担ってもらうというものである。官と民では担い方は異なることになるが、民が落札した場合には、その事業を担っていた役所から委託されて担ってもらうことになる。価格と質の両面を評価するものであり、公共サービスの改革が目的である。したがって、「安かろう、悪かろう」ということではない。質の議論については、今公務員が担っている業務であることから、どういう点にウエイトを置くべきかなどの面でぜひご意見をいただきたい。
(3) 申入れ事項の1については、市場化テストに伴っていろんなことが起ることが予想され不安であるとのことだが、わたしはそれほど心配していない。公務員の権利や労働条件に影響するとのことだが、公務員が落札した場合には変わらないが、民が落札した場合には定員との関係で整理していくことが基本となる。その場合、本人の意向が前提となるが、民間企業にいけるようなサブシステムを設けられないかどうかを検討している。これを除けば、これまで同様、配置転換と新規採用の抑制で折り合いをつけることになる。なお、公であれ、民であれ、現行の労働関係の法令に従うことになるので過重な労働条件ということにはならないのではないか。
(4) 2点目については、公共サービスは世の中で必要とされ、なおかつそれを公務が担うということになっているが、時代の変化の中で必要でなくなったものがある一方、新たに必要になるものもあるかもしれないが、必要なものを提供していく際に、価格と質の両面でよりよいものを提供するためにはどうしていくかを考えたいということである。その際、質の維持が大事なポイントであり、官民競争入札を行うとき、こういうポイントが大事だという「要求水準」を作成しなければならないので、経験のある人に作ってもらわないといけないと思っている。
(5) 3点目については、公共サービスを存続するという判断に基づき、その事業の担い方をどうするかであり、労働者をどう扱うかということは課題ではない。そういう前提の中で、制度の議論はしていきたいが、雇用・労働条件については使用者でもないし、それを協議しろと言うことは理解できない。

 これに対し、公務労協側は@法案提出の時期はいつ頃か、A制度設計・運用は労働条件に影響を与えるので、使用者責任を明確にしてもらって、交渉・協議することを確認していただきたい、として室長の見解を求めたが、室長は、「21日には規制改革会議の第2次答申がまとめられ、年末までには政府として最大限尊重するという閣議決定を行うことにしているので、それを踏まえて法案化作業に入り、予算関連法案として2月中旬前後には提出できるよう作業を進めることになる」「当方は制度設計を担当しているのであって、使用者の立場には立っていない。また、民の落札により定員問題を生じたとしても、従来の枠組で対応する話であり、新たな仕組みを設けることは考えていない」として、雇用についての責任ある対応を示さなかった。
 こうした室長の誠意のない対応について、公務労協側は「今回の市場化テスト法は新たな仕組みであり、従来の定員問題への対応手法だけでは不十分であり、公務員の使用者としての責任を明確にした対策を講じる」よう強く迫ったが、室長は「本日は市場化テスト法について説明した。場合によっては定員問題になることは申し上げたし、その場合、従来同様配置転換と新規採用の抑制で対応することになるであろうことも申し上げた。制度の議論はするが、使用者の立場に立った雇用の話はできない」との見解を繰り返すことに終始した。
 このため、公務労協は「室長の見解は納得できないので、改めて議論することとしたい」として本日の交渉・協議を打ち切り、改めて交渉・協議の場を設けて、公務員の使用者としての政府の責任ある対応を求めることにした。



2005年12月19日

規制改革・行政改革担当大臣
  中 馬 弘 毅  殿


公務公共サービス労働組合協議会
議 長  岡 部 謙 治



市場化テスト法制化に当たっての申入れ


 日頃より公務公共サービス労働組合協議会(公務労協)の活動にご理解を賜り敬意を表します。
 さて、2005年度の「骨太方針」を支える柱として提起されている、「公共サービス効率化法(市場化テスト法)」の検討・整備が次期通常国会に向けて進められ、来年2月には規制改革・民間開放推進会議の決定を経て、法案閣議決定の予定とされています。
 市場化テストの概要は、9月27日の同会議の提言によれば、「透明・中立・公正な競争条件の下、公共サービスの提供について、官民競争入札を実施し、価格と質の両面でよりすぐれた主体が落札し、当該サービスを提供する制度」とされています。
 しかし、サービスの安定的供給、質と水準の確保と評価、公正競争の条件、雇用問題の解決、政府の責任とリスクマネジメントなど、これらの課題を担保する制度設計は全く示されていません。
 2005年の日本社会の重大ニュースの上位が、規制緩和・民営化のデメリットによってもたらされた国民の生命や健康に関わる事件であったことを深い悲しみと哀悼で想起せざるをえません。
 わたしたちは、すべての国民の生活の安心・安全に関わる、公共サービスに関する国民の関与と議論を欠いた法制化ありきの姿勢には強く反対するとともに、当該事項が公務公共サービスに従事する職員の雇用と労働条件に直接影響する事項であることを踏まえ、当面、下記の事項について十分な交渉・協議を申し入れます。




1.市場化テストの法制度設計に当たっては、職員の権利と雇用、労働条件の確保を明確に規定すること。また、市場化テストによって公共サービスを提供することとなる事業者において、社会的に公正な雇用・労働条件を確保するよう制度化すること。

2.公共サービスの安定的・継続的供給が確保されるための制度的保障を明確にすること。

3.公共サービス、雇用・労働条件に関わる諸課題について、使用者としての政府の責任体制を明確にし、交渉・協議の枠組みを確立すること。

以上