2006年度公務労協情報 17 2005年12月20日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

総務省、人事院と交渉し基本要求への回答引き出す−12/20

 公務員連絡会幹事クラス交渉委員は、20日、総務省人事・恩給局次長、人事院職員団体審議官と交渉をもち、去る11月7日に提出した本年の基本要求に対する回答を引き出した。しかし、総務省、人事院の回答は、いずれも総人件費を巡る厳しい情勢などを反映して具体性のない不十分なものに止まり、@総人件費削減に関わる雇用・労働条件の確保A官民比較方法のあり方の検討の方向性B勤務時間に関わる諸課題への対応、など重要課題については春季生活闘争の交渉に引き継がれることとなった。

<総務省人事・恩給局村木次長との交渉経過>
 総務省人事・恩給局村木次長との交渉は、20日午前11時から総務省内で行われ、公務員連絡会側が基本要求に対する回答を求めたのに対して、総務省は次の通り回答した。

1、公務員の総人件費について
 11月14日に行われた経済財政諮問会議において「総人件費改革基本指針」が決定され、現在、行革事務局において指針を踏まえた実行計画の取りまとめが行われているところである。また、実行計画の内容を含む「行政改革の重要方針」については、今月下旬の閣議決定を目指していると聞いている。総人件費改革の今後の具体的な進め方や体制については、未だはっきりとしておらず、現段階でお答えできないが、皆様が雇用問題について御懸念を持っていることは承知している。一般論として言えば、改革を進めるに当たって、職員に不安を与えることや、職員の士気が低下することのないよう努力することは必要と考えている。いずれにせよ、皆様の御意見については今後とも伺ってまいりたい。

2、給与について
 来年度以降の国家公務員の給与改定についても、総務省としては、労働基本権制約の代償措置を成す人事院勧告制度尊重の基本姿勢の下、国政全般との関連を考慮し、職員団体の皆様とも意見交換を行いながら、適切に対処してまいりたい。
 なお、退職手当法改正に係る政令については、1月中に公布したい。

3、ワークシェアリングの実現、労働時間並びに休暇について
 公務に雇用創出型・多様就業型の本格的なワークシェアリングを導入することについては、公務員制度の広範にわたり影響が出ること等を考慮した上で、慎重な検討を進めて行くことが必要である。一方で、職業生活と育児・介護など家庭生活との両立を支援するという観点は重要と認識している。現在、人事院において、育児・介護に充てる時間を拡充する方向での制度的検討が進められており、総務省としても、注視してまいりたい。国家公務員の労働時間短縮については、一昨年9月に見直した「国家公務員の労働時間短縮対策」に基づき、各府省において、様々な検討・取組みが進められているものと考えている。改定後の対策の着実な実施に向けて、各府省の実務担当者による連絡会議の場等を活用し十分な議論を行い、その推進を図ってまいりたい。

4、福利厚生施策等について
 福利厚生経費については、昨年、減額となったが、本年も増額要求をしているところであり、引き続き福利厚生経費の充実に向け努力してまいりたい。

5、在職期間の長期化並びに高齢者再任用制度について
 「国家公務員高齢者雇用推進に関する方針」に沿って、政府全体として高齢国家公務員の雇用を推進してまいりたい。なお、再任用職員の定員管理等については定員管理部局の問題となるが、皆様の御意見については、折に触れ当該部局にもお伝えしたい。

6、男女平等の公務職場の実現について
 人事管理運営方針において女性国家公務員の採用・登用等の促進を要請しているところであり、内閣府(男女共同参画局)及び人事院など関係行政機関と連携を図りつつ、引き続きその推進を図ってまいりたい。

7、公務員制度改革について
 公務員制度改革を進めるに当たっては、今後とも、政府と職員団体との間で意見交換を行っていくことが重要と認識している。今後の具体的な進め方については、来年1月から開始される人事評価の試行など、昨年12月に閣議決定された「今後の行政改革の方針」の進捗状況等も踏まえつつ、行政改革担当大臣を中心に、政府部内で検討されていくことになるものと考えている。

8、「新たな評価制度」の試行について
 第1次試行については、皆様方とも協議・調整等を行い、取りまとめた内容等で、1月から実施させていただきたい。試行後は、その結果を丹念に検証し、それを踏まえた改善を加えることとしており、新たな人事評価システムが、信頼性を高め、実効あるものとして仕上がるよう、今後とも皆様とは十分に意見交換等を行いながら取組みを進めてまいりたい。

9、その他(障害者雇用)について
 障害者の雇用については、各府省に対し「人事管理運営方針」において、適切な措置を講ずるよう要請しており、総務省人事・恩給局が主任である「公務部門における障害者雇用推進チーム」において、障害者雇用を促進する観点から、本年3月に「公務部門における障害者雇用ハンドブック」を作成・配付しているところである。こうした取組みを通じ、今後とも障害者雇用の促進を図ってまいりたい。

 これに対して公務員連絡会側は、@総人件費削減や市場化テストに伴う職員の雇用・労働条件の確保については使用者責任を明確にして特段の努力をA人事院の官民比較のあり方の検討に当たっては人材確保の面から必要な対応をB障害者雇用についてもさらなる努力を、などとさらに次長の見解を求めた。これに対して次長は、次の通り見解を示した。
(1) 雇用問題については、現在のところ具体的にどの部門にどの程度の問題が発生するのかわからないので具体的に考えにくい。所管部局でも、極力、雇用問題が発生しないよう努力しているのではないか。われわれも知恵を出し、対策を進めていきたい。
(2) 官民比較見直しの政府としての人事院に対する要請も低ければ低いほどいいというスタンスではない。現在公務員給与について強い批判があり、それに応えられるよう検討して頂きたいということだ。
(3) 障害者雇用については、政府全体としては2.1%と法定基準を満たしているが、一部未達成の府省があり、それらについては達成するよう総務省としても強力に働きかけたい。また、知的障害者雇用の拡大についても十分でないという指摘を踏まえ、検討していきたい。
 これらのやり取りをふまえ公務員連絡会は、「本日の回答は、全体的に見て具体性がなく極めて不満である。とくに、総人件費削減に関わる雇用・労働条件確保はわれわれの強い要求として受け止め、今後具体的な対応を行うよう強く求める。また、評価の第1次試行については、開示について極めて不十分であり、苦情処理システムについても第2次試行以降に先送りされており、不満な内容だ。しかし、現下の情勢を踏まえ、総合判断として組合としても第1次試行については対応する。今後、第1次試行の結果の検証や第2次試行の仕組み等について十分交渉・協議し、4原則2要件を充足したものとなるよう努力を要請する」とし、評価は内容について不満であるが、1月からの第1次施行に対応するとの見解を示した。さらに公務員連絡会側は、基本要求で明確とならなかった課題については、引き続き2006春季生活闘争段階で交渉・協議するよう求め、この日の交渉を終えた。

<人事院職員団体審議官交渉の経過>
 人事院鈴木職員団体審議官との交渉は、19日午後1時から行われた。
 冒頭公務員連絡会側が、11月7日の申入れに対する回答を求めたのに対し、審議官は「基本要求については、今後引き続き検討すべき事項が多いが、主な点について、現時点での検討状況を申し上げたい」として次の通り人事院の現段階の見解を示した。

1、給与に関する事項
(1)給与水準について
 公務員給与の改定については、情勢適応の原則に基づき、民間準拠により適正な給与水準を確保するという基本姿勢は変わらない。
(2)「給与構造の改革」に関わる具体的措置について
@来年4月実施の給与構造改革関係の規則等については、公務員連絡会の意見も伺いつつ細部の詰めを行っているところとなっている。近いうちに、規則等の発出を行う見込みである。
A復職時調整についての今回の改正は、現行の制度を4分割号俸方式に移し替えることを基本とするものなので、ご要望の点は、今後引き続きの課題としたい。
B中途採用者の初任給決定について改善することとしているが、これに伴い、既採用者との逆転防止も念頭に置きつつ、必要最小限の在職者調整ができるようにする方向で検討している。
C地域手当の官署指定については、調整手当で現行指定されているものは当面引き継ぐ方向で考えている。段階実施期間中は、原則として、それ以外の指定は行わない方向で考えている。
D勤務成績の判定についての改善にかかる規則等については、管理職員と一般職員で実施時期が異なることを踏まえ、一般職員の19年1月の昇給等については、現行の運用の延長上の当面の規定整備にとどめる方向で検討している。
E下位区分の判定が行われる場合には、基準のうちどの条項に該当したのかを職員に知らせることとする方向で検討している。
F人事院に対する審査申立ての手続き等に関する要望については引き続き検討する。
G来年以降の見直しについては、基本的に今年報告した内容及びスケジュールに沿って勧告や措置を行っていくことになるが、公務員連絡会の意見も伺いつつ毎年の具体的な勧告や措置の内容を検討し、決定することとなる。
(3)官民比較方法について
 官民比較方法については、人事院としては、比較企業規模を含め、現行方式を適当と考えて勧告してきているところであるが、民間企業の状況が大きく変化しているという指摘があり、また、公務を取り巻く情勢等を踏まえた検証・見直しを要請する意見も多いことから、専門家による研究会において、人事院の従来の考え方も含め、官民比較のあり方全般について、改めて、検証・検討をしていただいているところである。更に別途設ける予定の有識者による給与懇話会での意見も踏まえ、最終的には、代償機能を適切に果たす立場で、人事院として判断していくことになる。当然、並行して、公務員連絡会の意見もよく伺っていきたい。

2、多様な勤務形態に関する研究会報告の具体化、勤務時間と休憩・休息時間のあり方について
@多様な勤務形態に関する研究会の最終報告を受け、勧告時の報告で述べたように、人事院として勤務時間の多様化・弾力化、超過勤務の縮減、勤務時間管理の厳正化等について総合的な検討を進めているところである。
Aこのうち、育児・介護を行う職員の短時間勤務制については、引き続き関係省庁と調整しているところであり、早期意見の申出に向け引き続き最大限の努力をしていきたい。
B勤務時間の弾力化、修学、社会貢献等のための自発的休業制度の導入については、勧告時の報告の内容に沿って検討を進めているところである。
C超過勤務の縮減については政府全体として取り組むべき重要な課題であるが、人事院としても、勤務時間管理の厳正化、超過勤務命令の明確化、超過勤務の内容の把握、確定の方法等について検討を進め、実効ある超過勤務の縮減を図っていきたい。
Dまた、適正な勤務時間管理の一環として、休憩・休息時間については先般提案させていただいているが、公務員連絡会の意見や職場の状況等を伺いながら検討を進めていきたいと考えている。

3、男女平等の公務職場実現に関わる事項
@公務における男女共同参画の実現を目指して、採用・登用指針のフォローアップを通じて各府省の取り組みを促し、支援するなどの施策を推進しているところである。
A本年は「女性国家公務員の採用・登用に関する指針」の改定年に当たったが、公務員連絡会からも意見を伺いつつ検討を進め、本日改定指針を発出したところである。
B男性職員の育児休業の取得については、本年2月の両立支援に関する指針で活用モデルを示すとともに、パンフレットを作成・配布するなど取得促進に取り組んでいるところである。
C次世代育成支援に関しても、2月に両立支援の指針を発出し、3月にはこれに関する各省連絡協議会を設けたほか、9月には育児休業中の職員の研修受講等について通達を発出するなどの取り組みを進めているところ。

4、新たな人事評価制度について
 新たな人事評価制度の整備に当たっては、中立・公正な人事行政や勤務条件を所管する立場から、引き続き、必要な役割を果たしてまいりたい。

5、再任用制度について
 再任用制度の円滑な運用を確保することにより、雇用と年金の連携を図るとともに、職員の長年培った能力・経験を有効に発揮できるよう、高齢対策担当者会議等を通じて各省を指導し、その取り組みを促進している。今後とも各府省が積極的に再任用できるよう、環境の整備について検討していきたい。

 これらの回答に対して公務員連絡会側は、「全体として、個別課題に対する具体的な提起がないのは不満である。来年度に向けて基本政策をどのように進めていくかについて、秋の段階で十分議論するために基本要求を提出しているので、きちんと対応していただきたい」と要望した上で、次の通り人事院の見解を質した。
(1) 給与構造の見直しについては、十分議論をさせてもらったが、下位区分の成績判定基準のDについては、人事院の姿勢が依然として固いこと、また、審査請求制度の見直しについては明確な回答がないことは不満であるが、規則等の発出の時期が迫っているので、その部分はこれまでの議論を踏まえ対応していただくことにするが、継続協議となっている事項については引き続き議論をさせていただきたい。
(2) 官民比較方法については、人事院として現行の枠組について適切であると考えており、それに対する国民等の理解と納得を一層高めるために研究会等で検証をするということであれば理解するが、現行の枠組が適切かどうかを含めて検証するというのであれば、これまでに総裁から示されてきた基本姿勢と異なり納得できないので、そこを明確にしていただきたい。
(3) 勤務時間の問題については、休憩・休息時間のみを取り上げるのではなく、勤務時間制度全体の見直しとして検討するよう求めてきており、今の回答の中で「総合的な検討を進めている」という考えが示されたことは評価するが、育児・介護職員の短時間勤務や自発的休業制度、超勤縮減についていつやるのか具体的にされていないので、この際、時期を明らかにしていただきたい。
(4) 「超過勤務命令の明確化、超過勤務の内容の把握、確定の方法等について検討を進め」るとのことであるが、具体的にはどのようなことを行うのか。
(5) 勤務成績の下位区分の判定結果について、どこまで通知するつもりか。本人に自覚がない場合があるので理由を含めて知らせるようにすべきではないか。
(6) 審査制度の見直しは引き続き検討していると受け止めるが、成績判定結果の給与への反映については給与法21条の審査申立があるからといって、行政措置要求(国公法86条)を排除しないことを確認しておきたい。
(7) 休憩・休息時間の見直しに関しては職場で不満が高まっている。特に育児・介護職員にとっては深刻な問題になるので、ぜひ職場の意見を踏まえた対応をお願いしたい。
(8) いよいよ本府省における人事評価の第1次試行が始まるが、苦情処理は引き続き検討とされ、人事院としても本年報告でその重要性を指摘した評価結果の開示が統一方針にならなかったため、不満を残したままの試行となっている。人事院としては、中立・公正な人事行政機関としての役割を積極的に果たすよう要望しておきたい。

 これらの質問・要望に対し鈴木審議官は次の通り見解を示した。
(1) 官民比較方法については、12月8日にも申し上げたように、今まではこういう方法が適当であると信じて行ってきたが、民間の状況も大きく変わってきているとの指摘もあることから、専門家に検討してもらうべく研究会を設けた。この機会に、民間の状況の変化を踏まえながら官民比較方法を検証することが、公務員給与、人事院勧告制度に対する国民の理解と納得を得ていく上でプラスになると考えている。専門家に検討をお願いしている段階なので、人事院として現行制度が正しいとは言い切れず、カッコに入れて検討していただいているということである。さらに懇話会での議論も踏まえ、最終的には代償機関である人事院として判断する。
(2) 短時間勤務等の問題については、研究会の最終報告も踏まえ勧告時の報告で、検討し、できるものからできるだけ早く実施していくという方針を明らかにしており、それに基づいた作業を進めている。ただ、人事院が規則・通達等を改正すれば済むものもある一方、実効確保のためには関係者と十分調整した方がよいものもあり、進捗状況はそれに応じて異なることになるので理解願いたい。また、現時点では、いつまでに実施するということはいえない。
(3) なるべく具体的な超勤命令を出していただき、それに基づく超勤になるようにしていきたいと考えており、それがどう実施されたかをできるだけ早く把握して、その中身について本当に必要な仕事だったのかそうでなかったのか確定するということであり、ITの利用も含め、各府省と議論していくということである。
(4) 下位区分の勤務成績の通知については、D、Eとなった根拠条項を給与明細書等で示すことにしており、条項該当の理由については本人が説明を求めればいいのではないか。
(5) 法的には特別法(給与法)優先ということになるが、行政措置要求がなされた場合、給与法21条の方が適切であれば、そのように指導することになるし、そうでなければ措置要求ということになる。地方公務員の場合、そもそも給与法21条に相当する規定がないので、それを踏まえた対応をすればいいのではないか。
(6) 早出遅出勤務制度はまだ十分に活用されていないので、是非利用していただきたい。なお、休憩・休息時間との関わりでは、育児・介護等への対応と本来の勤務時間をきちっと働くこととは別問題ではないか。
(7) 人事評価の試行については問題意識を持って対応しており、今後ともそのように対応して参りたい。

 以上のように、審議官の重ねての回答も明確ではなかったため、@休憩・休息時間問題については、人事院が2006年度までに育児・介護の短時間勤務制度の意見の申出、勤務時間管理の厳格化や超勤縮減等の具体策を取りまとめるよう最大限努力することを前提として、年明け以降具体的な協議を行っていくこと、A下位区分の成績判定結果の通知の手法については納得できないので、再検討すること、を強く求めた。これに対し、審議官は「@については公務員連絡会の意向は伺ったので、人事院としては報告事項の実現に向け最大限努力していく。Aについては公務員連絡会の意向を原局に伝え検討したい」と、応えたことから、最後に岩岬副事務局長が「本日の回答は極めて不満であったし、受け止められない部分もある。成績判定の下位基準の通知方法は別途検討結果を回答してもらい、その内容を見て、1月の人事院規則についての対応を判断する。官民比較方法や休憩・休息時間の問題を含め、残された課題については、年明けからの個別協議や2006春季生活闘争段階の交渉に引き継ぐことを前提に、基本要求に関わる交渉はこれで区切りを付ける」として、本日の交渉を打ち切った。

以上