2006年度公務労協情報 36 2006年3月27日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

総務省「地方公務員の給与のあり方に関する研究会」が「報告書」を公表−3/27
−公務員連絡会地公部会はこれに対する「見解」を発表−

 総務省「地方公務員の給与のあり方に関する研究会」(座長・塩野宏東京大学名誉教授)は、3月24日に第20回の研究会を開いて「報告書」を取りまとめ、27日、公表した。これに対して、公務員連絡会地公部会は同日、別紙の通り「見解」を発表した。
 この研究会には、労働組合側から植本自治労副委員長、須賀連合総合労働局長が委員として参加し、公務員連絡会や連合の意見反映に努めてきた。
 報告書は、従来の「国公準拠」の考え方を刷新するとしているが、それにかわる考え方として制度面での国公重視、水準面での地域民間給与重視を打ち出すとともに、人事委員会機能の強化策として委員会相互の連携や全人連の強化などを打ち出している。
 地公部会は、給与水準低下に反対するとともに、人事委員会機能強化等を足がかりとして、賃金闘争の構築をめざすこととしている。

 研究会「報告書」PDF約1.5M

(別紙)
総務省「地方公務員の給与のあり方に関する研究会」報告書に対する見解


2006年3月27日
公務員労働組合連絡会地方公務員部会


1 総務省「地方公務員の給与のあり方に関する研究会」(座長・塩野宏東京大学名誉教授、以下、「研究会」という)は3月24日、第20回研究会において報告書をまとめ、27日に公表した。
 研究会は、2004年6月4日の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」で「地方公務員の給与等について、その適正化を強力に推進するとともに、地域の民間給与の状況をより的確に反映し決定できるよう、人事委員会機能の強化をはじめとしてその在り方を見直す。国はそのための参考となる指標を整備する」とされたことを受け、同年10月に設置され、給与のあり方について検討を行ってきたものである。その過程で、2005年3月に中間整理、同年8月に地方公務員の給与構造の見直しの基本的方向性を取りまとめている。
2 研究会は、発足の経過から、政治的圧力の下で給与引下げの議論になるのではないかと懸念された。公務員連絡会地公部会は、構成組織の書記長を中心とする「地方公務員賃金政策検討委員会」を設置して諸課題の検討を行うとともに、植本委員(自治労副中央執行委員長)、須賀委員(連合総合労働局長)を通じて研究会への対応、対策をはかり、地公部会として総務省との交渉・協議を行なってきた。報告書のとりまとめに対しては、給与水準の引下げを目的とするのでなく、分権時代にふさわしい自治体の自主的・主体的な賃金決定システムが確立されるよう追求してきた。また、過半数の自治体で給与カットが行われている事態についてもその解決方策の検討を求めてきた。
3 報告書は、地方公務員の給与の改革の方向として、以下のこと等を提言している。
@給与決定の考え方としての職務給の原則と均衡の原則を妥当なものとしたうえで、均衡の原則の従来解釈である国公準拠の考え方を刷新し、給与制度については国家公務員のそれを基本とし、給与水準については地域の民間給与をより重視すべき。
A地方公務員の給与構造に関しては、年功的昇給を見直し、給与カーブのフラット化と級間の重なりの縮減を行い、昇給や勤勉手当等についても勤務実績をより反映しやすくなるように見直すべき。
B人事委員会は、適切な給料表の作成、その妥当性の根拠等の説明を自らの責任で行なうべきとし、具体的には民間給与の調査対象とすべき企業の規模について、地域における比較対象となる民間事業の従事者の少なくとも過半数をカバーすることを目安として範囲を拡大する(規模要件を引き下げる)方向で見直すべき。
C人事委員会を設置していない地方公共団体は、都道府県の人事委員会の給料表等を参考にして、具体的な給料表等を整備すべき。
 さらに具体的取組みに向け、直ちに着手が可能なもの(給与構造の抜本改革の推進)、関係者の合意形成や取組みに一定の時間が必要なもの(人事委員会の機能発揮、説明責任の徹底、体制強化への取組み、民間給与の調査方法の見直しを含む)、法改正を含めた制度整備が必要なもの(より地方分権時代にふさわしい給与決定システムの整備、従来の国公準拠の考え方の刷新を含む)、の3つの柱で実施するとしている。
4 報告書は、従来の画一的な国公準拠の考え方の刷新と、人事委員会が賃金決定に果たす役割の拡大を提言している。しかし、自治体の自主的・主体的な賃金決定という本来あるべき方向を示すには不十分である。
 「国公準拠の考え方の刷新」が、画一的な国公準拠を、給与制度面での国公基本に、給与水準面での地域民間給与重視におきかえるにとどまったことは、地場賃金論に傾斜しているにすぎない。また、調査対象企業の規模要件の引下げが適切としたことは、地域給導入・給与制度見直しに続く官民比較方法見直しなどの人事院の対応と軌を一にしたものといわざるを得ない。
 この報告書は、現行の労働基本権制約を前提にした上での一般行政職員を念頭においた提言であって、教育職員や労働協約権が保障された公営企業職員・現業職員を対象としたものではない。しかし、その内容はこれらの職員にも大きな影響を与えることが懸念される。
 報告書は、総人件費改革の実行計画、行政改革推進法案の国会提出という流れの中で、政治の圧力を色濃く反映したものである。
5 今後、総務省の具体的措置の内容に焦点が移っていくことになるが、公務員給与削減という政治の圧力の下で、厳しい展開が予想される。報告書では同時に、人事委員会相互の連携した取組みや、モデル給料表の提示、全人連の機能強化が提言されており、これらを足がかりとした地方公務員賃金闘争の構築が必要である。
 公務員連絡会地公部会は、この報告書が地方公務員の給与水準の引下げとして機能することを阻止するとともに、分権時代にふさわしい自治体賃金闘争を中央・地方で追求していく。また、連合と政府の間で開始された政労協議において、労働基本権確立に向けた取組みの前進をはかっていく。

以上