2006年度公務労協情報 42 2006年5月19日
公務公共サービス労働組合協議会

総人件費改革に伴う配置転換等全体計画で申入れ−5/19
−政府全体の責任ある体制確立、本人同意、労働条件維持などを求める−

 公務労協は、5月19日12時45分から、行革推進事務局に対して、総人件費改革の実施に伴う国家公務員の配置転換、採用抑制等の「全体計画」に関わる申入れ(別紙参照)を行った。
 この配置転換、採用抑制等の枠組みについては、3月31日に行政改革推進本部で了承されているが、月末にも行政減量・効率化有識者会議で純減数のとりまとめが行われ、政府としてはそれを踏まえ6月上旬にも純減数と配置転換等の全体計画の閣議決定を行う情勢になってきたことから申し入れたもので、公務労協は山本事務局長以下書記長クラス交渉委員が参加し、推進事務局は上田公務員制度等改革推進室長、川淵参事官らが対応した。
 公務労協側が申入書を手交し申入れ事項を説明、その実現を求めたのに対し、上田室長は次の通り現時点での見解を明らかにした。

(1) 申し入れ内容については大臣に確実に伝えるとともに、その内容を踏まえて検討を進めていくこととしたい。5%純減の数が決まったとしても、それは全体の仕事の10分の1ぐらいであり、残りのうち3〜4割は各府省の仕事をどう変えるかの話となるが、6〜7割が配置転換をどう進めるかであり、そこに相当のエネルギーが必要だと思う。気合いを入れて取り組んで参りたい。
(2) 申入れ事項「1」にある雇用調整本部の政府全体としての体制については、申入れ内容を肝に銘じて取り組んで参りたい。具体的にどうするかについては、3月の政労協議の経緯もあるので、次の政労協議の場(5月下旬に予定)で示せるようにしたい。
 地方推進協議会も個別のマッチングなどの機能をしっかりと果たせるようにしたいと考えており、場所は総務省の地方支分部局に設けることになろうが、中央省庁から人員を派遣して取り組みたいと考えている。
 地方段階の労働組合との意見交換、コミュニケーションを具体的にどういう形でやるかについては今後考えていくことにするが、何らかの形のものは実施していきたい。
(3) 申入れ「2」の本人の同意ということであるが、できる限り本人の得心が得られる異動となるよう努力していきたい。その意味で複数のポストを提示することは当然のことと考えている。
 地方公共団体等への移籍については、国が押しつけをしているということは避けなければならないので、いろいろな場で遠慮した発言をしてきているが、地域性の問題や仕事の親和性に関わるので、職員と自治体の双方のニーズがあるのであれば有力な選択肢であり、それを念頭に置いて今後設置される雇用調整本部の幹事会で議論していきたい。
 賃金・労働条件については、早期退職慣行を是正し定年まで勤務できるようにする取り組みが一方で進められていることから、平均の昇格ペースが落ちる面はあるが、維持できるよう、級別定数の問題も含めできる限り条件を整備していきたい。
 元の府省への復帰があってはならないということはないが、復帰することが原則ということにはならないので、対応が可能な府省があれば考えたらいいと思う。
 配転先の業務内容や人事等については、できる限り事前に明らかにしていきたい。 研修やカウンセリングは重要なことと認識しており、精一杯対応させていただきたい。
(4) 申入れ事項「3」の計画見直しについては、さらに意見を承りながら検討していくこととしたい。

 室長の見解に対し、公務労協側は@配置転換の実行性を確保するためには官僚任せにしないことが重要であり、申入れに沿って主要大臣を構成員とする雇用調整本部としていただきたいA地方自治体への受入れ要請については慎重な対応が前提ではあるが、条件が整えば対応していく必要があると思うので考えを聞かせていただきたいB賃金・労働条件はしっかり確保していただきたい。今回の配置転換で級・号俸が下がる、労働条件が低下することがあってはならないということを明確に約束していただきたい、とさらに室長の見解を求めた。
 これらの要請に対し、上田室長は@役人任せにしないことはその通りであり、調整本部としての機能を確保すべきであるという点は承るが、具体的な体制については後日回答させて頂くA自治政府としての立場も踏まえつつ、自治体・府県当局と組合が足並みをそろえて対応していただけるのであれば、国家公務員の配置転換に資するものであると受け止めているB早期退職慣行の是正に伴う条件の変化があって全体として、行った後、昇格等が遅くなることはあり得るということは皆さんの方からも周知していただきたいと思うが、行くに当たって処遇が下がったということは極力ないように全力を挙げて努力したい。本人が納得しないのに下がるということはないようにしていく、との考えを示した。
 最後に、山本事務局長が「閣議決定の前には、本日の申入れに対する最終的な回答を示してもらいたい」と、6月上旬に改めて回答するよう求めたのに対し、上田室長が「申入れ内容を検討し、改めて回答することとしたい」と約束したことから、これを確認し申入れを終えた。


(別紙)

2006年5月19日



行政改革担当大臣
 中 馬 弘 毅 様


公務公共サービス労働組合協議会
議 長  岡 部 謙 治



総人件費改革の実施に伴う国家公務員の配置転換、
採用抑制等の「全体計画」に関わる申入れ



 貴職におかれましては、常日頃から国民から信頼される行政の実現のため、奮闘されていることに敬意を表します。
 さて、昨年末の閣議決定に基づき、総人件費改革を実行するため、「行政減量・効率化有識者会議」等で国家公務員数の純減が検討され、6月上旬にも具体的な純減の実施計画と国家公務員の配置転換、採用抑制の「全体計画」が政府方針として決定されると聞き及んでいるところです。
 この総人件費改革は、公共サービスのあり方や公務員労働者の雇用や労働条件に重大な影響を及ぼすものです。具体化に当たっては、中馬大臣の「出血整理はせず、配置転換と採用抑制の枠組みで対処する」との約束を果たし、使用者としての政府が雇用と労働条件を確保することは当然の責務です。
 このため、「全体計画」の決定に当たって下記事項を申し入れますので、その実現に向けて最大限の努力を払われるよう強く要請します。




1.政府全体が責任を持つ体制を確立するため、速やかに内閣総理大臣を本部長とし全閣僚で構成する国家公務員雇用調整本部を設置し、公務労協と十分な交渉・協議を行うこと。また、地方ブロックごとに設置される地方推進協議会と当該労働組合の間で協議テーブルを設置すること。

2.配置転換に当たっては、本人の同意に向け最大限努力することとし、次の事項を実現すること。
(1) 配置転換を希望する国家公務員労働者が、その能力や経験、生活条件に応じて選択することが可能となるよう、複数のポストを提示すること。
 とくに、地域的なミスマッチを解消するため、国の機関以外にも地方公共団体等への移籍が可能となるよう具体的な取り組みを行うこと。その際、地方分権の観点から権限と予算の委譲、当該団体の労使関係にも十分配慮すること。
(2) 賃金・労働条件を維持・確保すること。
(3) 配置転換者が原府省への復帰を希望する場合には、できる限り復帰可能な受入れポストを確保すること。
(4) 受入れポストの業務内容の事前説明を丁寧に行うとともに、受入れ府省の人事・処遇等の状況を明示すること。
(5) 配置転換の円滑な実施のための予算措置、業務研修、公務員宿舎の確保等に万全を期すこと。 
(6) 配置転換者相互の情報・意見交換、アンケート調査、カウンセリングなど配置転換後のフォローアップを実施すること。

3.受入れポストや労働・生活条件等が未整備で、配置転換希望者の意向等と合致せず、計画に基づく配置転換に支障を生じた場合には計画の見直しを行うこと。

以上