2006年度公務労協情報 5 2005年11月10日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

2005年地方確定推進・地方財政確立を求める11.9中央行動実施

 公務労協公務員連絡会は11月9日、地公部会を中心に2005年地方確定推進・地方財政確立を求める中央行動を実施した。
 この行動は、11月7日〜18日の集中交渉ゾーンに向けて、情勢の確認と取り組みの意思統一を行うために実施されたもので、中央集会および国会議員要請行動のほか、総務省公務員部長交渉、委員長クラスによる各政党要請、書記長・幹事クラスによる地方6団体要請が取り組まれた。
 午後1時30分から社会文化会館で開かれた中央集会は、500人の参加のもとに、吉澤地公部会幹事の司会で進められた。
 はじめに主催者を代表して挨拶にたった佐藤地公部会議長は、@小泉政権の4年7ヶ月がもたらしたものは、弱肉強食・格差拡大による二極化であり、小泉政権の継続は、市場万能主義によってさらなる競争社会の徹底と財政再建のための社会保障費などを中心とした歳出カットである、A公務員賃金削減が与野党を問わず総選挙後の政治課題になっていることから基本指針を堅持した確定闘争とともに、問われている地公賃金の水準と決定方式についての方向付けが急がれている、などの現状を挙げ、「地公賃金闘争は、人事委員会勧告が10/21大阪府勧告によってすべて行われ、現在地公確定闘争が全国一斉に行われている。本日の行動を通じてさらに統一と団結を固め、賃金闘争を始めとする秋季年末闘争を大きく前進させよう」と訴えた。
 続いて公務労協山本事務局長が挨拶、公務労協の取り組みを中心に、総人件費改革についての経済財政諮問会議や政府・与党の動向を報告し、組織をあげた運動強化を要請した。
 次に岩本地公部会事務局長が基調報告(資料1)を行った。
 構成組織決意表明には、自治労・植本副委員長、日教組・小西書記次長、都市交・和多田副委員長、全水道・和田副委員長、自治労連・岸川書記長、日高教・小林書記長が登壇し、それぞれの取り組みを報告し、ともに闘う決意を述べた。
 最後に集会決議を浅野幹事が読み上げ、これを満場一致で採択(資料2)、岡部副議長の音頭で団結がんばろうを三唱して集会を締めくくった。

 中央集会終了後、参加者全員で共産党を除く全国会議員に対して、良質な公共サービスの確保、地方税財政の確立を求める要請行動を実施した。
 この日、中央集会に先立ち、地公部会委員長クラスにより公明党・民主党・社民党申入れを行った(自民党へは後日実施予定)。また、集会終了後、地公部会書記長クラスが全国知事会など首長3団体へ(市長会は8日に実施)、幹事クラスが全国都道府県議長会など議長3団体へそれぞれ要請を行った。
 これら要請行動の経過は以下の通り(総務省公務員部長交渉の経過は次号)。

<各政党要請の経過>
○公明党要請
 公明党への要請は、10時30分より衆議院第1議員会館で行われた。公務員連絡会からは、佐藤地公部会議長はじめ地公構成組織委員長が参加、公明党からは、井上義久政調会長(衆議院議員)、山口那津男政調会長代理(参議院議員)、桝屋敬悟政調副会長(衆議院議員)が対応した。
 申入れ(資料3)を受けて、井上政調会長は、「公明党も全てが全て小さな政府が良いとは思っていない。社会保障制度やセーフティネットは、政府がしっかり責任を持って維持していかなければならない。どこまで官が担うのか、国が担うのかなどの課題について、定員・給与削減ありきではなく、まずは仕事を見直して削減できるところは削減していくというのが望ましい」と応えた。
 桝屋政調副会長からは「地方は、新地方行革指針を受けて苦慮しながら集中改革プランを作成している段階。また、地方にはさらなる情報開示を進めて市民の理解を得ながら公共サービスを担っていくことなどが求められている。そんな中で、政府が必要以上の政策を地方に押し付けることは良くないことであるし、地方分権の趣旨にも反する」との意見が出された。

○民主党要請
 民主党に対する委員長クラスの要請は11時より衆議院第1議員会館で行われた。民主党からは松本政調会長、渡辺ネクスト総務大臣、加藤労働局長が対応した。
 佐藤地公部会議長から挨拶後、松本政調会長が「公務サービスは大きな節目を迎えている。公務サービスのあり方の議論をしていくことが課題となっている。党としては現場で働く人を大切に政策を打ち出していきたい。公務員制度、地方分権の課題は党として重要課題である」と基本的見解を述べた。
 要請に対して松本政調会長より、「地方公務員の方々は、国家公務員以上に賃金改定について努力されていることは承知している。賃金確定の労使交渉の尊重は、労働基本権の確立とセットの話と思う。ただ、一般企業として異なるのは、税の中での支払いということになる。中央と地方の事業(仕事)の仕分けが議論されているが、どう考えるかもある。国庫補助負担金制度についての考え方の認識は一緒である。国として最低保障のあり方は議論していかなければならい。交付税制度については財政調整が必要ではないか」「市町村合併について、党内には様々な意見がある。現行の市町村をベースに考えていくことが必要である」「労働基本権の問題については、基本権回復に向けて取り組んでいきたい」との見解が述べられた。その後、渡辺ネクスト総務大臣から「労働基本権について連合を軸に意見交換を進めていきたい。事業の仕分けについて、地方でやるべきと思われる事項について具体的に提起してもらうことが大事だし、地方における年度内予算の使い切りは問題があると思う。特殊勤務手当の廃止・見直しが進められているが、組合も積極的に指導性を発揮してほしい」と発言があった。
 これらの発言に対して岡部自治労委員長が、「交付税の減少はありうると思うが、2年前のようにいきなりカットでは自治体はもたない。交付税の財源保障は必要。事業の仕分けについては問題意識を持って検討していきたい。諸手当については歴史的経過があるが、見直すものは見直すべきと考える。自治体の財政危機は、何故、そのような事態になったかの検証が必要であり、給与カットのみの提案は納得がいかない」と述べた。
 最後に地公部会側が、「労働基本権の確立は、組合も責任ある労使交渉をすることが前提である。民主党には、次期通常国会に労働基本権を確立する法案を国会に提出してもらいたい」と要請、これに対して加藤労働局長より、「月内にも労働基本権について連合と意見交換をスタートさせる」との発言があった。

○社民党要請
 社民党に対する委員長クラス交渉委員による要請行動は、午前11時30分から社民党本部で行われた。社民党からは又市征治幹事長、日森文尋衆議院議員が応対した。
 はじめに佐藤地公部会議長(全水道)が挨拶し「確定・地財行動は毎年秋にやっている。予算編成に向け社民党のお力を是非頂きたい。経済財政諮問会議は財政赤字の原因と責任は明らかにせず一方的に公務員削減を打ち出している。今日、公務公共サービスは益々重要になり、自治体の役割は強まっているがこれに逆行する動きである。いま、確定闘争を進めているが、国は自治体に介入すべきではない。労働基本権確立へ社民党の一層のご支援をお願いしたい」と述べた。
 地公部会要請に対し、社民党側は次のように答えた。「今日の公務員攻撃は非常に重視している。郵政の次は矛先を国公・地公の公務員に向けているが、この目的は3点ある。@国際競争力を高めるために労働コストを切り下げようと公務員バッシングをし、さらに民間賃金を抑制するA巨額の借金を何とかしようとして社会保障や福祉、公共サービスを切り捨てるB自民党の言い出している消費税率を12〜15%に引き上げたい、というのが狙いだ」と述べた。さらに「社民党は公務公共サービス重視の立場からしっかり対応していく。地域住民には、誰が作った借金かをきちんと説明することが必要だ。官民の間を分断していこうとする狙いを止めるためにも前に出なければならない」と強調し、党として全力で努力することを約束した。
 最後に地公部会側から、引き続く協力を重ねて要請し行動を終えた。

<地方6団体要請の経過>
○全国知事会要請
 全国知事会に対する要請は、15時30分から行われた。公務員連絡会からは山本事務局長、地公構成組織書記長が参加し、全国知事会の石上事務局次長らが対応した。
 中村日教組書記長の挨拶に続き、山本事務局長が別紙要請書(資料4)に基づき8点について要請した。
 これに対し、石上事務局次長は「今の地方分権改革や構造改革を考える場合、『三位一体の改革』がまさにそれであり、これを進めていけば小さな政府ができる。国の仕事が地方に来ることになれば、地方の仕事が一定増えることになり、単純な一律の人減らしが先に来るのはおかしい。地方においてもムダがあるものを改革していくことは当然だが、国が小さくなって、地方がそれを吸収するのが本来のあり方。それがなかなか見えてこないのが現状だが、次の段階での課題となる。市場化テストについては、情報管理の問題なども含めて、中身の議論をしていかなければならない。地方交付税制度の堅持と総額の確保は絶対守らなければならないと知事会も考えている。ナショナルミニマムの確保が基本だが、それをスポイルするような議論がされているのは問題だ。市町村合併は、民主的・自主的なものでなければならないのは同じ考えだ。給与問題や公務員制度のあり方について、知事会として統一的な考えがあるわけではないが、政府も見直しの検討を始めており、その動向を踏まえて対応したい。意見交換・協議については、認識の共有が大事と考えている」と答えた。

○全国市長会要請
 全国市長会に対する申入れは、前日の8日、14時から行われた。全国市長会からは、園田行政部長ほかが対応した。
 地公部会の要請に対し、園田行政部長は、「全国市長会は自治体に対し、労使交渉関わる内容に直接働きかける立場にはないが、各市長からの要望と組合側の要望と重なる部分もあり、国に働きかける意味で相互に情報交換することは有意義と考える」とし、要請事項に関わる市長会側の見解を述べた。
 地公部会側から交付税の総額確保を強く求めたことに対し、市長会側は「景気回復にともない交付税原資は増加している。財務省より交付税を投資的経費を減らした分を一般行政経費等に使い回しているという指摘があるが、こうした指摘は交付税の趣旨を踏まえたものといえず、心外である。福祉など、地域が必要とするサービスに重点的に交付税を配分することが必要であり、そうした行政分野に交付税が必要と訴えていきたい」と述べた。
 また、生活保護に関する国庫補助負担金をめぐる問題については、市長会側は「生活保護はナショナルミニマムとして国の責任として行うべきであり、補助率の削減による地方への負担転嫁を許さない構えで臨んでいる。今後、地方六団体全体として国と地方の協議の中で強く訴えていく」と述べた。

○全国町村会要請
 全国町村会に対する申入れは、16時30分から行われた。全国町村会からは、関場事務局次長が対応した。
 要請に対し、関場事務局次長は、「国が地方の形をどのようにするかがなかなか見えてこない中で、地方公務員の定員や給与を単純に下げればよいという話にはならない。地方財政は厳しい状況が続いており、住民の関心も高いが、公共サービスの範囲についてほとんど議論されていないのが現状だ。三位一体改革は山場を迎えているが、分権という視点で見ればまだ端緒についたばかりだと認識している。国は財源をなかなか譲ろうとせず、権限委譲についても町村には不満がある。また、市町村合併によって町村の数が激減した。合併を希望しないところには強制すべきではないとの基本的な考えに変化はない。合併新法にはメリットがなく今後はあまり進展しないのではないかと考えている。合併により巨大な自治体が誕生しており、都道府県との関係も見直すべきだという意見もある。地方公務員制度の改革については基本的には一致した考え方だ。労働基本権は当然労働者に認められた権利であり、魅力ある自治体づくりに地方公務員の力は欠くことができない。公的サービスの範囲とナショナルミニマムはどの程度が妥当なのか今後議論が必要だと思う。経済財政諮問会議ではすでにミニマムが達成されていると認識しているようだ。地方の現状がなかなか理解されず、町村が切り捨てられているように感じる」と回答した。

○全国都道府県議会議長会要請
 地公部会幹事による全国都道府県議長会要請は、15時30分から行った。松岡亘調査一部長が対応した。岩本地公部会事務局長から7点にわたる要請項目(資料5)について説明し、その実現にむけた努力を要請した。
 それに対し、松岡部長は大要次のように答えた。
 1〜3項目については、議長会としても言い出しかねている課題だ。行革が進んでいないのはむしろ国のほうで、地方は一定程度すすめてきていると、常々言ってきた。
 特に4項目については、これからだと思う。今後政府段階の改革案が出てくるが、そのあとは交付税の論議に移ってくる。交付税の総額確保は骨太でも言っていることであり、きちんと守っていきたい。
 政府・与党内の結論も昨年とおなじペースで進んでおり、11月下旬が想定される。いわゆる3兆円の問題も平成18年度までは片付くこととされているが、19年度以降どうするかはこれからの課題だ。

○全国市議会議長会要請
 全国市議会議長会要請は、16時から行い、小泉昇三政務第一部長が対応した。地公部会の要請に対し、小泉部長は、次のように答えた。
 要請内容の7項目のうち、1〜4項目については、地方6団体でも取り組んでいる最中の課題だ。総務省等との間で、地方交付税制度の堅持をはじめ、意見交換を進めているところだ。
 5〜6項目の内容については検討させていただきたい。
 11月14日には6団体の決起集会を3,000名規模で、NHKホールで開催する。その後、出席団体等には個別に運動を展開してもらうことにしている。

○全国町村議会議長会要請 
 全国町村議会議長会に要請は、9日16時30分から行い、廣瀬始政務・議事調査部副部長が対応した。地公部会の要請に対し、廣瀬副部長は、次のように答えた。
 1〜3項目の自治体サービス、公共サービスのあり方については、とりわけ小さい町村、山間部では高齢者化が進んでおり、公共サービスの確保・向上にポイントを置くことはそのとおりだと思う。6項目目の町村合併についてのご要請はそのとおりだ。
三位一体の改革も必要だが、個人的には早急すぎる改革と思う。皆さんの要請は預からせていただいて、会長や議長方へ渡したい。


資料1.中央集会基調
11.9中央集会基調報告


T 自治体を巡る情勢の特徴と基本的取り組み課題
(1) 自治体を取り巻く情勢の特徴は、骨太方針2005に示されるように、政府の徹底した規制改革・アウトソーシング方針の下で、民営化等業務の外部委託および「総人件費改革」という名の定数・賃金削減の推進です。昨年末の行政改革の基本方針についての閣議決定をうけて、総務省は3月に新地方行革指針について自治体に通知し、2005年度から2009年度までの5年間の「集中改革プラン」の策定を求めています。集中改革プランでは、5年間で4.6%(過去5年間の減員実績)以上の定数削減を盛りこむよう求めています。
 加えて、政府は11月中にも「総人件費改革」をまとめ、2006年度予算・地方財政計画から人件費削減を具体化するとしています。「総人件費改革」の標的はボリュームの大きい地方公務員賃金であり、十分な警戒と対応が必要です。
 公務・公共部門の縮小は、事業の規制緩和・民間開放として進められており、2006年の通常国会で「公共サービス効率化法」(市場化テスト法)を国会に提出するとしています。これは、公共サービスを企業の金儲けの道具にし、国民に公正で安定的・継続的にサービスを提供するという政府の役割を否定するものです。公務・公共サービスの質、量ともに確保する国民的な取り組みが必要となっています。
(2) 人事院は、政府や経済財政諮問会議の強い圧力を受けて、2006年4月から地域給の導入・給与制度見直しを勧告しました。総務省は9月28日に事務次官通知を出し、「地方公務員の給与についても・・国家公務員における制度改革の実施時期を踏まえた速やかな給与制度の見直しを行うこと」を求めました。2006年度からは、国が「調整手当」を全て「地域手当」に切り替えることから、地方自治法の関係規定も同様に改正するため、自治体で「調整手当」の支給根拠がなくなることも、その理由としています。このため、多くの人事委員会においては十分な検討や労使交渉のないまま、国に準じた勧告を行っています。
(3) 地方財政危機が一層深まっており、自治体サービスの質量の維持、職員の定数・給与水準の確保にとって厳しい状況です。
 2006年度をとりあえずの終期とする三位一体改革においては、3兆円の補助金廃止と税源移譲が焦点になっていますが、補助金廃止・削減の具体化が進まず、また税源移譲の姿も明らかになっていません。補助金改革では、地方の自由度を高めることが基本であり、地方への負担転嫁であってはなりません。また、税源移譲による新たな財政力格差に対する適切な手当も必要です。昨年11月26日の政府与党合意で、「地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税、地方税などの一般財源の総額を確保する」とされていますが、政府予算編成において、地方財政計画の圧縮や交付税が削減される危険性もあります。分権・自治を支える地方税財政の確立が急務です。
(4) 昨年の地公法改正により従来の給与、定員の公表に加え自治体の人事行政情報についても公開が義務づけられました。また、骨太方針2005において比較可能な形で一覧・分析を可能とする給与情報の公表システムを2005年度中に構築することとされ、現在総務省において作業中です。
 地方公務員の組合活動規制、政治活動規制の政治的圧力が強まっています。第1に、自民党は、地方公務員の政治活動を、憲法違反の疑いがある国家公務員法の規制と同様に規制するとして、議員立法で関係法律の改正を通常国会に上程しようとしています。第2に、組合活動の基盤を弱体化させるため、時間内組合活動の規制を強化するとして全国での調査・監視を強めており、これを受けて総務省は実態調査を行っています。民主主義と労働組合権の根幹にかかわる重大な攻撃と認識する必要があります。
 公務の労使関係が置かれている社会的・政治的環境が大きく変化し、説明責任が求められていることを十分認識し、取り組みを進めます。

U 取り組みの課題と進め方
1.2005年確定等の取り組み
(1) 人事委員会勧告に対する取り組み
@ 取り組みの基本
 人事院が地域給与・給与構造の見直しの勧告を行うことが必至となった情勢のもとで、地公部会は7月28日、2005年人事委員会勧告に対する基本方針を、ア.今年の勧告では2005年度の給与公民較差に基づく水準調整にとどめ、イ.人事院の地域給与導入に反対するとともに、構造見直しや地域の民間給与をより的確に反映する課題については「地方公務員の給与のあり方に関する研究会」の結論を踏まえて対応するよう求めること、ウ.教育職給料表について、全人連が示すモデル給料表はあくまでも参考資料であって各人事委員会の主体的判断で活用すること、について確認しました。
A 人事委員会勧告の状況
 別記「人事委員会勧告の状況」参照。
(2) 確定闘争の課題と取り組みの基本
@ 2005年給与水準勧告への対応
 本年度の給与改定については、国のマイナス改定を上回らない改定を求めて当局交渉を行います。人事委員会の水準勧告において、自治体間格差が拡大し、職務給の原則が崩れていくことが懸念されます。職務給の原則による水準確保めざして取り組みます。
 特殊勤務手当等の見直し課題については、手当の必要性や正当性を検証し、労使交渉で解決します。
A 給与構造見直しへの対応

「給与構造見直し」における人事院の措置

1.公務員給与に地域賃金を反映させるための地域間配分の見直し
・俸給表水準の4.8%引下げ、地域手当の新設(広域異動手当、本府省手当)
2.年功的な給与上昇の抑制と職務・職責に応じた給与構造への転換
・昇給カーブのフラット化(*高齢層の俸給水準の7%引下げ)
・級構成の再編と級の新設
・枠外昇給制度の廃止、号俸延長
・昇格時の号俸決定方式の見直し
3.勤務実績の給与への反映
・号俸の4分割
・査定昇給(普通昇給と特別昇給の廃止)
・勤勉手当への実績反映
・55歳定期昇給ストップの廃止と昇給抑制
 給与構造見直しについては、基本方針を堅持して取り組みます。
 自治体における給与構造の見直しについては、2006年4月見直しの義務づけに反対し、積極的な労使交渉・協議により、給与制度改革をはかります。
 自主的な取り組みが原則であり、当面それが困難であって国の給与構造見直しの取り組みを参考とする場合においても、画一的に国に準拠するのではなく自治体の実情に即して、労使交渉・協議により進めます。
B 退職手当制度の見直しについて
 今回の退職手当の見直しと条例改正の課題について、総務省交渉を行います。
(3) 交渉ゾーン
 自治体における、集中交渉ゾーンを11月7日から18日に設定し、地公共闘を強化し交渉を進めます。地公部会として、情報の把握等連絡・調整に努めます。

2.地方公務員の給与の在り方見直しへの対応
(1) 総務省「地方公務員の給与のあり方に関する研究会」への対応
 骨太方針2004を受けて、総務省公務員部は「地方公務員の給与のあり方に関する研究会」を設置し、@地方公共団体における給与決定の考え方、A人事委員会機能のあり方、B地域の民間給与の状況を的確に反映するための参考となる指標のあり方、C給与構造の見直しの方向性等をテーマに地方公務員給与のあり方について検討を行ってきています。
 研究会は本年3月に論点整理を行い、まとめに向けた検討を行ってきましたが、国の給与構造見直しの具体化という状況を受けて、8月11日「地方公務員の給与構造の基本的見直しに関する基本的方向性について」を緊急にとりまとめ、公表しました。いま、最終報告(2006年3月予定)に向けた議論に入っています。各論点に対する地公部会の意見集約を行い、委員を通じて意見反映を行います。
 また、ア)地方公務員の給与水準の根拠の在り方、イ)給与制度をどう構築するか、ウ)給与決定制度の改革、エ)全国的な賃金闘争の再構築、オ)地方財政と地方公務員給与、等の課題について、政策の確立をはかります。
(2) 全国的意思統一と賃金闘争の推進
 当面の運動のポイントを、賃金引下げ反対に置いて取り組みます。
 2006年3月には「研究会」の結論が出されることから、公務員連絡会と調整し、春闘期に討論集会の開催を検討します(4月予定)。

3.総人件費改革に対する取り組み
 11月中には「総人件費改革の基本指針」が出される状況にあります。財務省の地方公務員給与引下げキャンペーンだけでなく、政治の側からも人件費削減攻撃がいっそう強まることが想定されるため、人件費削減に反対する公務労協・公務員連絡会全体の取り組みに結集します。
 この場合地方公務員の人件費が焦点となることから、政府、国会議員、地方6団体、各自治体当局への対応を行います。
 行政サービスのあり方や行政需要の検討を抜きにした定員削減の自己目的化や、政治的賃金引下げには断固反対するとともに、人件費削減を提起するに至った原因と責任を明らかにさせ、労使交渉による解決を求めます。

4.地方公務員制度改革の取り組み
(1) 公務員制度改革の取り組み
 総人件費改革ともかかわって、公務員制度改革の議論が浮上することが考えられます。また、主体的に労働基本権確立の取り組みを強化することが求められます。連合・西尾研究会の報告を基本に制度改革を求め、連合・公務労協の取り組みに結集します。
(2) 能力・実績を重視する人事・給与等地方公務員制度改革の取り組み
 総務省を中心に国家公務員における評価制度の試行が開始される状況にあります。
 国が試行に入れば、自治体における評価制度構築の取り組みは新しい段階に入ることになります。評価制度の未試行の自治体においては、労使交渉・協議によって4原則2要件を満たした制度構築を図るとともに、評価制度の十分な試行期間を確保するよう求めます。すでに評価制度が試行又は部分的に導入されている自治体においても、同様に納得性・信頼性の高い評価制度の確立に向け、引き続き取り組みを強めます。
 評価制度の信頼性が確立しない限り、給与には活用しないことを当局に求めます。

5.規制改革・アウトソーシングへの対応
(1) 行政サービスや公共サービスを巡る最大の課題は、規制改革・アウトソーシングへの対応です。
 自治体においては、従来の事業の民間委託に加え、自治法改正による指定管理者制度の導入、地方独立行政法人法の制定が行われるなど、自治体業務のアウトソーシングの受け皿が準備されました。
 また、政府は「市場化テスト法案(仮称)」を通常国会に提出する予定であり、自治体においても導入が強制される可能性があります。公正入札基準などを確立するとともにこれを対置し、法案阻止の取り組みを公務労協とともに進めます。
(2) こうした状況を踏まえ、行政サービスや公共サービスを確立する運動を展開します。
@ 公務労協が進める、「良い社会をつくる公共サービスキャンペーン」に結集して取り組みます。
A 構成組織が取り組んできた政策・提言活動をいっそう強化します。また、成果物については、組織内だけでなく広くアピールします。
B 個別自治体におけるアウトソーシングについては、自治体の住民に対する行政責任を果たす立場から業務の直接執行を求める取り組みを強めます。この場合、住民やNPOとの連携を重視して取り組みます。

6.地方財政の確立の取り組み
 昨年11月26日の政府与党合意で、「地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税、地方税などの一般財源の総額を確保する」とされていますが、政府予算編成において、地方財政計画の圧縮や交付税が削減される危険性もあり、対策を強めます。
 数字あわせの補助金廃止ではなく、真に地方分権と地方財政確立に資する地方税財源の確保等の制度改革を求めます。とくに財源保障が最大の課題となっており、地方交付税の総額が確保されるよう求めていきます。2006年度で三位一体改革の課題を終わらせるのではなく、引き続き分権・自治を支える地方税財政の確立に向けた取り組みを強めていく必要があります。



資料2.中央集会決議

集会決議


 2005年自治体確定闘争は、本格的なたたかいの段階を迎えています。
 本年の人事委員会の給与勧告は、国のマイナス較差を上回るマイナスの公民較差となっており、生活水準の確保にとって極めて厳しい状況にあります。公民較差が自治体間で拡大する傾向にあり、職務給の原則に基づく賃金水準の確保が大きな課題です。一方、都道府県人事委員会の多くが国の地域給与・給与制度見直しに追随する勧告を行いました。
 また、今後の地方公務員の給与制度、水準にかかわる議論を行っている総務省「地方公務員の給与のあり方に関する研究会」は、来年3月に結論を出す予定になっています。
 こうした情勢を踏まえ公務員連絡会地公部会は、国のマイナスを上回らない2005年賃金改定と地域給導入反対、十分な労使交渉・協議に基づく給与構造見直しを基本に、各級における地公共闘態勢を強化し、11月7日から18日を集中交渉ゾーンとする2005年確定闘争に全力をあげます。
 マスコミなどによる公務員バッシングと賃金引下げキャンペーンが引き続き執拗に展開され、そのターゲットは地方公務員の賃金に当てられており、十分な警戒と対応が必要です。
 政府は、「総人件費改革の指針」を11月中に策定、2006年度予算・地方財政計画から反映させるとし、自民党行革推進本部は国・自治体の定員を「10年間で20%純減」させる計画をまとめましたが、これらは定員・賃金の削減を自己目的化したものであり、認めることはできません。
 また政府は、行政サービスを民間に開放するために、市場化テスト法案を通常国会に提案する予定ですが、公共サービスを企業利益追求の道具とすることは許されません。サービスの質と水準の確保の担保がなく、しかもサービスについての住民の関与が否定される上に、新たな雇用問題を招くものであり、自治体における市場化テスト導入に強く反対します。
 国の歳出削減の中で、地方財政はいっそう厳しさを増しています。三位一体改革は、地方の自由度を高めるとともに行政サービスの水準を確保することが前提であり、また交付税制度は、財政調整機能とともに財源保障機能を堅持し交付税総額が確保される必要があります。関係諸団体などと連携した分権型社会にふさわしい税財政制度確立のための運動の強化をはかります。
 わたしたちは本日の集会を契機に、地方確定推進・地方税財政確立に向けた今秋季年末のたたかいにさらに総力をあげて取り組みます。
 以上決議します。

2005年11月9日
2005年地方確定推進・地方財政確立を求める中央集会



資料3.政党への申入書

2005年11月9日

           様

公務労協公務員連絡会地方公務員部会
全日本自治団体労働組合
中央執行委員長 岡部謙治
日本教職員組合
中央執行委員長 森越康雄
日本都市交通労働組合
中央執行委員長 山岸 晧
全日本水道労働組合
中央執行委員長 佐藤幸雄
全国自治団体労働組合連合
中央執行委員長 玉野一彦
日本高等学校教職員組合
中央執行委員長 早川良夫


地方公務員の賃金と地方財政確立等に関する申入れ


 貴職の地方自治確立、地方公務員の賃金・労働条件の改善に向けたご努力に敬意を表します。
 2005年の人事委員会勧告が出され、自治体の賃金確定は山場を迎えていますが、行政サービスに従事する地方公務員の賃金水準の確保と、労使自治を尊重した賃金確定が求められています。
 また、政府の骨太方針2005では、国・地方の総人件費の削減を図るとしており、公共サービスのあり方についての議論を抜きにした定員・賃金の引下げが懸念されます。また、国の歳出削減策は地方財政計画の圧縮、交付税の大幅削減により、自治体サービスの縮小や質の低下を招くおそれがあります。
 いま、雇用、所得、生活の地域間格差が拡大し、地域の二極分化を招いています。こうした中にあって、少子高齢社会における社会保障の水準確保や教育、環境、防災など地域における住民ニーズに適切に対応する自治体の役割強化が求められています。
 貴職におかれましては、下記事項の実現に向けてご尽力頂きますようお願いします。




1.自治体賃金の確定に当たっては、労使の交渉を尊重すること。

2.公共サービスのあり方や給与決定方式の検討を抜きに定員・給与削減を自己目的化する「総人件費改革」の策定を行わないこと。

3.公共サービス分野の規制改革については、公共サービスを企業利益追求の手段とすることなく、公共サービスの質と水準の維持・向上を基本とすること。地域における公正で安定的・継続的サービスを提供する自治体の責任と役割を踏まえ、公共サービスの利用者である市民の関与と統制が効かない市場化テストの導入や法制化を行わないこと。

4.国庫補助負担金制度の改革、税源移譲など安定した地方税財源を確保するための制度改革を急ぎ、地方分権の推進、地方自治の確立を図ること。国庫補助負担金制度については、国としての最低保障のあり方や国と地方の役割分担を踏まえ、個々の事業を精査し必要な改革を進めること。また、交付税制度を堅持し、交付税総額の安定的確保をはかること。

5.住民自治の観点から、強制による市町村合併は行わないこと。

6.地方公務員制度の改革にあたっては、労働基本権を確立し、地方自治の本旨を踏まえ分権型で開かれた民主的な公務員制度とすること。


資料4.首長3団体への要請事項

1.自治体サービスの確保・向上のため、地方公務員の賃金水準が確保されるよう取り組むこと。

2.自治体における給与構造見直しに当たっては、国の地域給は導入せず、十分な労使交渉・協議に基づいて進めること。

3.公共サービスのあり方や給与決定方式の検討を抜きに定員・給与削減を自己目的化する「総人件費改革」の策定を行わないこと。

4.公共サービス分野の規制改革については、公共サービスを企業利益追求の手段とすることなく、公共サービスの質と水準の維持・向上を基本とすること。地域における公正で安定的・継続的サービスを提供する自治体の責任と役割を踏まえ、公共サービスの利用者である市民の関与と統制が効かない市場化テストの導入や法制化を行わないこと。

5.国庫補助負担金制度の改革、税源移譲など安定した地方税財源を確保するための制度改革を急ぎ、地方分権の推進、地方自治の確立を図ること。国庫補助負担金制度については、国としての最低保障のあり方や国と地方の役割分担を踏まえ、個々の事業を精査し必要な改革を進めること。また、交付税制度を堅持し、交付税総額の安定的確保をはかること。

6.住民自治の観点から、住民の意向を無視した強制による市町村合併は行わないこと。

7.地方公務員制度の改革にあたっては、労働基本権を確立し、地方自治の本旨を踏まえ分権型で開かれた民主的な公務員制度とすること。

8.地方財政を確立し地方分権を推進するために、共同した取り組みをめざし意見交換・協議を進めること。


資料5.議長3団体への要請事項

1.自治体サービスの確保・向上のため、地方公務員の賃金水準が確保されるよう取り組むこと。また、自治体賃金の確定に当たっては、労使の交渉を尊重すること。

2.公共サービスのあり方や給与決定方式の検討を抜きに定員・給与削減を自己目的化する「総人件費改革」の策定を行わないこと。

3.公共サービス分野の規制改革については、公共サービスを企業利益追求の手段とすることなく、公共サービスの質と水準の維持・向上を基本とすること。地域における公正で安定的・継続的サービスを提供する自治体の責任と役割を踏まえ、公共サービスの利用者である市民の関与と統制が効かない市場化テストの導入や法制化を行わないこと。

4.国庫補助負担金制度の改革、税源移譲など安定した地方税財源を確保するための制度改革を急ぎ、地方分権の推進、地方自治の確立を図ること。国庫補助負担金制度については、国としての最低保障のあり方や国と地方の役割分担を踏まえ、個々の事業を精査し必要な改革を進めること。また、交付税制度を堅持し、交付税総額の安定的確保をはかること。

5.住民自治の観点から、住民の意向を無視した強制による市町村合併は行わないこと。

6.地方公務員制度の改革にあたっては、労働基本権を確立し、地方自治の本旨を踏まえ分権型で開かれた民主的な公務員制度とすること。

7.地方財政を確立し地方分権を推進するために、共同した取り組みをめざし意見交換・協議を進めること。

以上