2006年度公務労協情報 50 2006年7月5日
公務公共サービス労働組合協議会

雇用調整本部発足を受け中馬副本部長に申入れを実施
−「本人希望の最優先」「中央・地方で交渉・協議、合意」を要請−

 公務労協は、7月5日、13時30分から、国家公務員雇用調整本部に対する申入れを行った。これは、6月30日に、「国の行政機関の定員の純減について」及び「国家公務員の配置転換、採用抑制等に関する全体計画」が閣議決定され、同日、第1回国家公務員雇用調整本部(本部長:安部官房長官)が開かれ、「運用指針」「平成19年度実施計画」等が決定され、具体的な作業が始まったことから、「雇用確保」と「当事者の理解と納得に基づく実施」を求めて行ったもの。
 申入れは内閣府内の大臣室で行われ、公務労協側が丸山副議長(国公連合委員長)ほか委員長クラス交渉委員と山本事務局長、当事者である星全開発委員長が参加し、雇用調整本部側は中馬副本部長(行革担当大臣)、上田内閣官房行政改革推進室次長(行政改革推進本部事務局公務員制度等改革推進室長)らが対応した。
 冒頭、丸山副議長は申入書(別紙)を手交した上で、「問題は約2900名の府省間配転であり、条件を整備していわゆる手上げ方式で実施していくことについて確認させていただきたい」として次の2点を要請した。
(1) これまでの府省間配転は受入れ側がメニュー(ポスト)を提示して、希望する職員が応募し、面接した上で、内示があり、実施するという形を取ってきた。問題は本人の理解と納得に基づいて配置転換が行われるかどうかだ。受入数として初年度は728名が予定されているが、ミスマッチを起こさないようにしないといけない。手を挙げても成立しないということがないようにしていただきたい。
(2) 今年は1年目であり、いろいろと問題が出てくると思うだけに、公務労協と雇用調整本部との間でしっかり交渉・協議を行うことにさせていただきたい。また、地方で問題が生じたときに、地方推進協議会とわれわれの地方組織との間で具体的な課題について十分な議論ができるようにしていただきたい。

 これに対し中馬副本部長は、次の通り見解を示した。
(1) これまでのお役人に任せできた体制から民間にできることは民間ができるようにするという大きな流れがあり、公務員には企画立案や基準を作ってしっかり守らせるということを担ってもらうということになる。市場化テストもあり民間に行く人も出るなど、公務員の仕事は相対的に減ってくるが、それをただ切ってしまうということではなく、雇用を確保していくために、国家公務員雇用調整本部を設置した。本人の希望を尊重してほしいということであるが、情報を与えることによって気持ちも変わってくるということもあるので民間へ行くことも含めて幅広く選択できるように十分配慮して参りたい。また、研修もしっかり行って参りたいので、どういう研修をしたいのかについての希望等を聞かせていただきたい。
(2) 地方推進協議会は、連絡調整機関であり決定機関ではないので、交渉と言うことではなく、十分意見をお聞きする場であることをご理解頂きたい。当事者・地方の意見を踏まえ中央を主体に協議を進めていきたい。

 これに対し、公務労協側は次の通り更に副本部長の見解を質した。
(1) 雇用調整本部と地方協議会の関係は中央から命令や連絡が下りていくという形かもしれないが、組合の方の中央・地方の関係はそれだけではないので、その溝をどう埋めていくかが課題となる。地方でも丁寧な対応をお願いしたい。
(2) 職員は生活の拠点を動かしたくないという気持ちが強い。そういう中で、最初からこれしかポストがないということではうまくいかない。ブロック機関に出るにしても、全国ベースで動くにしても戻りたいという人が多いので復帰できるようにして欲しい。この間の議論では難しいとのことであるが、元の役所に戻ることは難しいにしても、最初から全然だめということでは手も挙げにくい。柔軟に対応していただきたい。
(3) 研修は一般研修のみならず実務研修をやって欲しいという意見が強い。事前研修と共に配置転換後の研修の両方を是非お願いしたい。
(4) 道内には雇用の場がなく、本州に配置転換先を求めざるを得ないが、その場合、北海道では中央とのつながりがないので、地方で議論できる場を設けていただきたい。本州出身の者も多く、本州に戻ってもいいという希望者もいるが、これまでの府省間配転の経験でもそうであったように、それまでの業務経験がいかされないということがあって、必ずしもマッチするとは限らない。是非、職員の希望に沿い、経験が生かせるようなポストを用意していただきたい。

 これに対し雇用調整本部側は次の通り答えた。
(1) 地方でも然るべきところと話をさせてほしいということであるので、地方でもお互いの意思が通じるように努力して参りたい。
(2) これまでの配置転換で移った人の気持ちや意見を聞かせていただいて、参考にしていきたい。
(3) 配置転換先のポストについてはできるだけ希望に沿えるものを用意しないといけないと思っており、十分に配慮して参りたい。

 最後に、丸山副議長が、受入れポストが明確になった段階で進捗状況を踏まえた大臣との交渉・協議を求めた上で、「純減数や府省間配転数はすでに決まっており、お互いにいがみ合っても仕方ないと思う。「対話と共生」でソフトランディングができるよう政府としての努力をお願いしたい。今般の事態は、事務事業を大胆に見直すという政府の政策の結果であり、個々の職員に責任があるわけではない。移った職員のモチベーションが低下しないようにするためには、本人の理解と納得を得ていくことが重要だ。国鉄以来の人員削減であり、これが前例になっていくと思うので、細かい点にも十分に配慮して進めていただきたい」と要請した。
 これに対し、中馬副本部長は今後の進捗状況を踏まえ交渉・協議に応ずることを表明し、「本日の要請を踏まえつつ、十分に配慮して取り組んで参りたい」と答えたことからこれを確認し、本日の申入れ交渉を締めくくった。


(別紙)

2006年7月5日

国家公務員雇用調整本部
 本部長  安 倍 晋 三 様

公務公共サービス労働組合協議会
議 長  岡 部 謙 治


国家公務員の配置転換等の全体計画の実施に関わる申入れ


 貴職におかれましては、常日頃から公務員の雇用確保に向け、奮闘されていることに敬意を表します。
 さて、政府は6月30日、5.7%以上の国の行政機関の定員純減方針と国家公務員の配置転換、採用抑制等に関する全体計画を閣議決定しました。また、同日、第1回目の国家公務員雇用調整本部が開かれ、運用方針や平成19年度の実施計画等を決定しました。
 このことにより、国家公務員の雇用調整は、計画の段階からいよいよ実施の段階に入ることになります。これまでも再三指摘してきたように、国家公務員の雇用責任は使用者たる政府にあります。配置転換等に当たっては、本人の希望を最優先に、理解と納得のもとで行われるよう最大限の努力を尽くす責務があります。
 ついては、発足した雇用調整本部が公務員の雇用確保に向けて万全の機能を発揮するよう、下記事項を申し入れますので、その実現に向け最大限の努力を払われるよう要請します。




1.実施計画の具体化に当たっては、本人の希望を最優先し、理解と納得に基づいて配置転換等が行われるよう最大限努力すること。

2.国家公務員雇用調整本部と公務労協、地方推進協議会と該当地方組織との交渉・協議関係を確立し、施策の内容について合意すること。

以上