2006年度公務労協情報 65 2006年9月12日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

人勧等の取扱いをめぐり総務省人事・恩給局次長と交渉−9/12

 公務員連絡会は、12日13時30分から総務省交渉を実施し、本年の人事院勧告・報告を受けて8月9日に政府に提出した要求に対する中間的な回答を求めた。本日の交渉は、本年の勧告において人事院が一方的に官民比較方法の見直しを強行したことから、公務員連絡会は「月例給・一時金の改定見送り措置は容認できない」として、政府に「改めてわれわれと十分交渉・協議し公務員給与を改善すること」や「育児の意見の申出等については直ちに実施すること」などを内容とする要求書を提出し、その実現を求めてきたが、その検討状況を質すため実施したもの。
 公務員連絡会からは幹事クラス交渉委員が出席し、総務省からは村木人事・恩給局次長らが対応した。
 冒頭、公務員連絡会が、「勧告後、総務大臣宛の要求書を提出してきたところであり、政府と十分意見交換をしていきたいと考えているので、要求事項に対する今の段階での見解を示していただきたい」と質したのに対し、村木次長は次の通り答えた。

1.給与勧告・報告の取扱いについて
(1) 人事院勧告制度は、国家公務員の労働基本権制約の代償措置の根幹をなすものであり、政府としては、同制度を尊重するとの基本姿勢に立って対処してきている。
(2) 本年度の人事院勧告についても、このような基本姿勢の下、国の財政状況、民間の経済情勢等、国政全般との関連を考慮しつつ、誠意をもって検討を進めていきたいと考えている。
(3) いずれにしても、人事院からの勧告の検討に当たっては、公務員連絡会の意見も十分に聞いていきたい。
2.育児の短時間勤務制度、自己啓発等の休業制度の意見の申出への対応について
 政府としては、人事院からの「育児のための短時間勤務制度の導入等についての意見の申出」及び「自己啓発等休業制度に関する法律の制定についての意見の申出」を踏まえ、それぞれ必要な法律案について鋭意検討している。
3.公務員給与に関する労使協議と政労トップ会談について
(1) 国家公務員の給与については、労働基本権制約の代償措置の基本である人事院勧告制度が定められ、人事院は専門・第三者機関としてその時々の経済・雇用情勢等を踏まえて勧告を行っており、政府としては同制度が実効を上げるよう最大限の努力をしなければならないと考えている。
(2) いずれにしても、人事院からの勧告の検討に当たっては、皆様方の意見も十分にお聞きしてまいりたい。
4.「専門調査会」審議について
(1) 専門調査会においては、今後の公務と公務員の在り方に関する国民意識等を十分踏まえつつ、労働基本権を含む労使関係の在り方について、幅広い観点から検討がなされるものと承知している。
(2) 総務省としては、公務員制度を所管する立場から、必要な協力を行ってまいりたい。
5.配置転換等に対する取り組みについて
(1) 総人件費改革の一環としての定員の純減を円滑に進めるに当たり、配置転換、採用抑制等により職員の雇用の確保を図ることは重要であると認識している。
(2) 先般、配置転換、採用抑制等に政府全体として取り組むための体制として、内閣に国家公務員雇用調整本部が設置され、各府省に対し必要な助言、調整、支援等を行うこととされたところである。
(3) 配置転換等を円滑に進めるためには、職員団体の理解と協力が必要であり、同本部において、職員団体と十分に意見交換が行われるものと思料している。
(4) 国家公務員の人事行政を担当する総務省としても、円滑に配置転換等が実施されるよう、積極的に取り組んでまいりたいと考えている。

 これに対し、公務員連絡会側はさらに次長の見解を質した。
(1) 本年の勧告で人事院が比較企業規模を50人以上に拡大し、その結果、月例給・一時金とも据え置きとなり、公務員連絡会は人事院に対し「認められない」という態度を表明し、政府と交渉を行うことにしたが、この比較方法の見直しについて政府としてはどう受け止めているのか。政府の要請の趣旨は受け入れられたと考えているのか。
(2) 「最大限尊重する」というのは、どんな勧告でもそうするのか、それとも政府の要請が受け止められたからなのか。
(3) 官民比較方法の見直しによって公務員給与のコンセンサスが得られると考えているのか。
(4) 企業規模を50人以上とすることについて人事院は「民間給与をより広く把握する」ためと説明しているが政府としてはどう考えているのか。
(5) 本年の勧告で比較企業規模の見直しが行われたことにより、「基本方針2006」で指摘された課題はすべて達成され、政府として、公務員給与について残された課題はないと理解してよいか。
(6) 給与関係閣僚会議の見通しはどうか。
(7) 国会の閉会中審査で桜田副大臣は政府の要請に沿った勧告と答弁しているが、はじめからそうだったのではないか。今回の人事院の対応は代償機関として極めて問題が多かったと考えるが、政府としてはどう考えているのか。また、地方では人事委員会が勧告をしても財政事情で実施できないということがある。この際、公務員の給与決定の際、財政事情をどう見るのかが重要であり、給与決定のあり方の根本に踏み込んだ検討が必要ではないか。
(8) 育児のための短時間勤務制度及び自己啓発等のための休業制度の意見の申出について、内容を含めてどう受け止めているのか。また、いつ実現する段取りで進めようとしているのか。われわれの長年の要求であるし、組合員の期待も強いので是非とも来年4月からの実施をめざしていただきたい。また、中身についても議論させていただきたい。
(9) 府省間配転に対するこれまでの努力については評価するが、これからミスマッチが生じたとき政府が手厚い措置をするかどうかが大事である。引き続き努力していくという姿勢で政府全体として取り組んでいただきたい。実質的にやめざるを得ない者がひとりも出ないようにしていただきたい。

 これらの質問・要望等に対し、村木次長は次の通り見解を示した。
(1) 比較企業規模については、政府の方からも人事院に要請をしたところであるが、低ければ低い方がいいということではない。公務員に高い士気で働いてもらうことも必要と考えているが、国民の皆さんにも理解してもらわないといけない。公務員の給与水準について国会やマスコミでいろいろな議論があったので、人事院に対し、国民の理解と納得を得られるようなものにしてほしいということで要請を行った。
 人事院は、政府からの要請以前から検討を行っていたと聞いているし、要請は要請として受け止めながら、中立第三者機関として独立性を保った自主的判断で今回の勧告を出されたものと受け止めており、その勧告は最大限尊重すべきものであると考えている。そういう立場で政府の方針を決定していきたい。
(2) そもそも人事院勧告は最大限尊重されるべきというのが政府の方針であるし、加えて政府の要請を踏まえた勧告という意味でも最大限尊重したいということである。
(3) 国民の理解を得るための勧告であると受け止めている。
(4) 同種・同等比較の原則の下で、なるべく多く民間従業員と比較した方がいいということではないか。とは言え、あまり小さな企業では公務に見合う職種は少なく、技術的に見て把握することが可能かという状況も見て、50人以上で線を引かれたものと思っている。
(5) 公務員給与の今後の課題についてどうするかは、人勧取扱いを決める際に決めることになるのではないか。いまの段階でその点について予断を持って言うことはできない。
(6) いつ人勧取扱いを決めるかについては、政権交代を目前にした今の内閣で行うことは難しいと考えている。事務的には、臨時国会中の法案提出・成立をめざして対応していくことになる。
(7) 政府は政府の考え方で比較方法の見直しを要請したが、人事院は人事院として自主的に判断したものと考えている。公務員の給与決定をどうするかは、結局のところ労働基本権の問題になってくる。掘り下げた議論については専門調査会の場での議論となる。
(8) 人事院の意見の申出は熟考されたものであり重いものであると受け止めて対応している。法律改正(自己啓発休業は新たに制定)が必要になるが、特別職を含めた検討や並立任用、兼業許可、休業で仕事をしていない人をどう考えるかなど中身を詰める時間をいただきたいと思っている。臨時国会では厳しいと思われるので、通常国会をめざして作業をしていくことになると思うが、公務員連絡会の早期実施の要望も踏まえ努力していきたい。中身については相談しながら進めて参りたい。
(9) 府省間配転については、引き続き真摯に対応して参りたい。

 以上のように総務省側からは、本年勧告における官民比較方法の見直しについて納得できる見解は示されなかった。このため、公務員連絡会側は最後に「本年の勧告は、第1に世間では賃金が上がっているときに比較方法の見直しで公務員の給与が据え置きとなり士気が確保できるのかどうか、第2に人事院が政府の言うがままであれば人事院勧告制度は形骸化するのではないか、第3に弥縫策を繰り返しても公務員批判は収まらないのではないか、という疑問と危惧を持っている。いずれにしても、本日の給与に関する見解は不満であり納得できないので再考し、改めて納得できる説明を行うよう強く要望しておく。また、本年の給与決定については引き続き議論をさせて頂きたい」と念押しし、交渉を締めくくった。

以上