2006年度公務労協情報 9 2005年11月24日
公務公共サービス労働組合協議会

公共サービスと雇用の確立を求める11.22中央集会開催
−中馬行革担当大臣にも労使協議と雇用確保を申入れ−

 公務労協は22日、午後6時から日比谷大音楽堂で「国民生活の安定・安心を支える良質な公共サービスと雇用の確立を求める中央集会」を連合の後援を受けて開催、全国から4,500人の仲間が参加した。この集会は、14日に経済財政諮問会議が公務員の総人件費改革の基本指針を取りまとめ、政府が12月末までに基本指針に基づいた実行計画を閣議決定するという情勢を受け、それらの一方的な動向に反対し、十分な労使協議と雇用の確保を求めて実施されたもの。
 これに先立って公務労協の岡部議長らは、同日16時から、実行計画の取りまとめ責任者である中馬行革担当大臣と会い、総人件費問題についての@政労協議の場の設置A雇用確保の約束B労働基本権確立、などの実現を求めた申入れを行った。

 集会の冒頭、主催者を代表して挨拶に立った岡部議長は、「公務員はすべて悪いという風潮がはびこっている。小泉改革の正体は格差拡大と公共サービスの破壊だ。選挙後、政府の強権的・一方的姿勢が目立っている。われわれは、いまこそ良質な公共サービスの確立をめざし、打って出る決意を固めるときだ」と、公務労協として闘う決意を固めることを訴えた。
 続いて連合を代表して激励に駆けつけた高木会長は、「定員や給与は労働条件そのものであり、民間では労使の共同決定が原則だ。当事者の意見を聞かないで一方的・独善的に実行計画を決めることはとても許せることではない。この問題については、労働界あげてがんばりたい」と、連合としても先頭で闘う決意を表明した。
 続いて、民主党の赤松副代表が「組合の意見を聞かないで政府が一方的に政策決定することに大きな怒りを感ずる。民主党は、連合との協議を進めるとともに、総人件費問題や労働基本権確立に向け全力で取り組む」と、社民党の福島党首も「公共サービスと労働基本権確立に向けともに闘う」と決意を表明した。
 なお集会には、民主党・社民党の多くの国会議員が参加し、公務労協の闘いに対する激励の意を表した。集会に参加頂いた議員の氏名は下記の通り(敬称略)。
 民主党衆議院議員は赤松広隆副代表ほか、荒井聰、金田誠一、川端達夫(公務労働政策議員懇談会会長)、古賀一成、後藤斎、平岡秀夫、三谷光男、柚木道義。参議院議員は神本美恵子、郡司彰、高嶋良充、高橋千秋、辻泰弘、水岡俊一、山下八州夫。
 代理参加の民主党衆議院議員は、泉健太、大串博志、奥村展三、菊田真紀子、小平忠正、佐々木隆博、鈴木克昌、高木義明、田島一成、筒井信隆、中川正春、仲野博子、西村智奈美、伴野豊、古川元久、松木謙公、松野頼久、松本龍、三日月大造、山岡賢次、横路孝弘、山井和則、園田康博。参議院議員は足立信也、小川勝也、小林元、佐藤泰介、佐藤雄平、谷博之、富岡由紀夫、那谷屋正義、林久美子、峰崎直樹、梁瀬進。
 また、社民党からは福島党首ほか重野安正衆議院議員と近藤正道(代理参加)参議院議員の参加を頂いた。
 なおこのほか、奥村展三、山井和則、園田康博衆議院議員および朝日俊弘、富岡由紀夫、林久美子、福山哲郎、高橋千秋参議院議員から激励のメッセージが寄せられた。

 集会はこの後、山本事務局長がこの間の経過を報告しつつ、通常国会を見通し12月末の閣議決定を当面の焦点に取り組みを進めるとの方針を提起した。決意表明には、全印刷竹井書記長、国公連合・全農林山田中執、日教組島書記次長らが登壇し、力強く闘い抜く決意を表明した。最後に、国公連合藤本書記長の提案する集会決議(資料1)を満場一致で採択し、団結ガンバロウで集会を締めくくった。

<中馬行革担当大臣への申入れの経過>
 中馬行革担当大臣への申入れは、22日16時から内閣府大臣室で行われ、公務労協側から岡部議長、丸山副議長、森越副議長、国営部会を代表して長谷川全印刷委員長、公務労協山本事務局長が出席した。
 冒頭、岡部議長は、総人件費改革の基本指針が当該組合との交渉協議も意見聴取もなく、一方的に取りまとめられたことに遺憾の意を表明し、申入書(資料2)に即して「総人件費改革の実行計画」及び「行政改革の重要方針」取りまとめにあたっては公務労協との十分な交渉協議を行うこと、をはじめ4点について申入れた。
 これに対し、中馬大臣は「時代の要請に応えて大きく制度を変えていくことが大切だ。労使の対立を超えて、それぞれの役割を担っていくべきだ。そのための意思疎通は大切だ」との見解を示した。
 組合側は、さらに耐震基準審査書類の偽造問題に触れつつ「民でできることは民で」という考え方の問題性を指摘し、「公務員の定員削減を自己目的化せず、国民にとって必要な事務事業は何かを精査した上で、必要な定員は確保すべきだ。また、雇用労働条件はきちんと確保すべきだ」と求めたのに対し、大臣は「配置転換には応じてもらわねばならいと思うが、自分は少なくとも生首問題を生じさせるつもりはない。現場の皆さんからいらなくなった仕事などを内部から指摘してほしい。いずれにしても、よい制度となるよう改革したいので、話し合っていきましょう」と、協議に応ずる姿勢を示した。この大臣見解を受け、組合側は実効ある協議を重ねて求め、この日の申入れを終えた。

民主党「公務労働政策議員懇談会」総会開かれる−11/22

 民主党「公務労働政策議員懇談会」は22日、13時30分から総会を開き、この間の公務員制度改革等の取り組み経過と今後の取り組みを確認し、新役員体制を確立した。
 この議員懇は、公務員連絡会と連携しながら公務員に関わる課題について取り組みを進め、政府の公務員制度改革関連法案の国会提出を阻止する大きな力となってきた。その動向が一段落し、新たに総人件費改革問題などが緊迫した情勢を迎えたため、役員体制等を一新し、通常国会に向けた取り組み態勢を整えたもの。
 なお、議員懇は、総選挙後、新たに会員募集等を行い、民主党の衆参国会議員112名で構成されている。懇談会の新役員は以下の通り。
民主党 公務労働政策議員懇談会役員

2005.11.22

顧  問 羽田  孜
会  長 川端 達夫
副 会 長 荒井  聰
副 会 長 池口 修司
副 会 長 輿石  東
副 会 長 高木 義明
副 会 長 高嶋 良充
副 会 長 中井  洽
副 会 長 平野 博文
副 会 長 藤村  修
副 会 長 山岡 賢次
事務局長 梁瀬  進
事務局次長 後藤  斎
事務局次長 辻  泰弘
事務局次長 三日月大造
事務局次長 水岡 俊一


資料1− 11.22中央集会決議
集 会 決 議


 公務労協は、昨年11月24日「国民の安定・安心を支える良質な公共サービスの確立を求めるキャンペーン開始宣言中央集会」を開催して以降、連合の支援・協力の下に、都道府県単位のシンポジウムや新聞意見広告の実施等「良い社会をつくる公共サービスキャンぺーン」に取り組んできました。
 一方、小泉内閣は「小さな政府」のかけ声のもと、私たちの運動を上回る勢いとスピードで公務・公共サービスを解体する政策を進めており、9月総選挙における自民党の圧勝により郵政民営化法案を成立させるなど、これを加速させています。
 小泉内閣が進める「小さな政府」とは、市場原理万能主義に基づく規制改革の徹底、行政業務の民間開放による企業参入の自由化、人件費の削減、医療・介護・年金等社会保障費の抑制など、徹底した歳出削減にあります。
 経済財政諮問会議は、11月14日、公務員定員の5%以上の純減や賃金削減を内容とする「総人件費改革の基本指針」を決定し、これを受けて政府は、年内に削減の実行計画を作成するとしています。総人件費改革は、増税政策への転換に向けた政府の歳出削減アピールとして位置づけられています。
 政府の責任と役割、公共サービスの質と量および提供主体のあり方について十分な議論を抜きに、定員の削減を自己目的化した人件費削減は本末転倒であり認めることができません。また、労働組合の意見を聞くことなく、労働基本権制約の代償としての人事院勧告制度を無視した賃金引下げは、公務労働者の権利を否定する暴挙です。
 また政府は、行政サービスのコスト削減、民間開放のための市場化テスト法案(仮称)を通常国会に提出しようとしています。市場化テストは、サービスの質や水準の担保がなく、事業主体の変更等により重大な雇用問題を引き起こすことは明らかであり、そもそも公共サービスを営利追求の対象とすることは許されません。
 わたしたちは、政府の総人件費改革、市場化テスト法案の国会提出に反対し、公共サービスと雇用の確保のために全力をあげて取り組みます。
 わたしたちは、労働基本権の確立、公務員賃金のあり方について引き続き社会的合意を再確立する取り組みを進めます。
 わたしたちは、最低賃金の底上げ、格差解消と均等待遇の実現を自らの課題と位置づけて積極的に取り組みます。
 これらの取り組みを含め、公務労協は、連合が掲げる「活力ある労働を中心とした福祉社会」の実現をめざし、良い社会をつくる公共サービス確立のために広く国民に訴え、全国隅々からの運動をさらに前進させます。
 以上、決議します。

2005年11月22日
国民生活の安定・安心を支える良質な公共サービスと雇用の確立を求める中央集会



資料2−行革担当大臣への申入書

2005年11月22日


規制改革・行政改革担当大臣
  中 馬 弘 毅  殿

公務公共サービス労働組合協議会
議 長  岡 部 謙 治


「総人件費改革の実行計画」及び「行政改革の重要方針」取りまとめに係る申入れ


 貴職には日頃より公務公共サービス労働組合協議会に対し、ご理解を賜り敬意を表します。
 さて、政府の経済財政諮問会議は、11月14日、国・地方の公務員の定員純減目標、給与制度改革、その他の公的部門の見直し等を網羅的に掲げた「総人件費改革の基本指針」を正式決定しました。
 公務労協は、基本指針取りまとめに当たって、賃金労働条件は労使間で取り決められる労働契約であり、ILO勧告でも指摘されているとおり公務員にあっても労使対等の立場で決定することは国際的にも確立された原則であることから、当該労働組合として意見反映の機会を求め、交渉・協議の場の設置を再三求めてきました。更に、定員削減問題等は、ナショナルミニマムとして保障されるべき公共サービスの水準、量、質、供給主体と形態、行政の役割などについての検討の結果明示されるべきものであり、一部財界人と学者の意見によって拙速に決定されるべきではなく、関係者との協議、国民的論議に基づくべきことを重ねて求めてきました。
 しかし、こうした求めはことごとく受容されませんでした。このことは公務関係労働者に雇用や生活設計に対する深刻な不安を広げ、働く士気にも大きな影響を与えています。私たちは、「総人件費改革の基本指針」取りまとめに至る手順、内容の両面に対し、強い憤りと遺憾の意を表明せざるを得ません。
 つきましては、貴職の下で12月中下旬までに「総人件費改革の実行計画」及び「行政改革の重要方針」を取りまとめ閣議決定するとの政府方針を踏まえ、以下の点を実現されますよう申し入れます。



一、「総人件費改革の実行計画」及び「行政改革の重要方針」取りまとめにあたっては公務労協との十分な交渉・協議を行うこと。そのために「政労協議の場」を設置すること。
一、「総人件費改革の実行計画」及び「行政改革の重要方針」取りまとめにあたっては、行政活動の人的基盤である公務員の定員・人件費削減を自己目的化せず、雇用・労働条件を確保すること。
一、ILO国際労働基準に基づき労働基本権を付与し、国民・市民への説明責任を果たす公務労使関係制度確立を含む透明で民主的な公務員制度への改革を進めること。
一、公共サービスを企業利益追求の手段とし、国民や市民の参画とコントロールが効かない民営化への横断的手法となる市場化テストの導入や法制化を行わないこと。

以上