2007年度公務労協情報 17 2007年2月19日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

人事院総裁に2007春季要求書を提出−2/19

 公務員連絡会は、19日、委員長クラス交渉委員が谷人事院総裁と会い、春季要求書を提出し、2007春季生活闘争を正式にスタートした。要求書では、昨年一方的に見直された官民比較方法の是正と公務員給与の改善、臨時・非常勤職員の雇用・処遇の改善などを強く求めている。今後、3月2日の幹事クラス交渉、3.13中央行動時の書記長クラス交渉などを節々で配置し、3月22日には回答を引き出すこととしている。
 人事院総裁交渉の経過は次の通り。

<人事院総裁交渉の経過>
 19日午前11時から行われた谷人事院総裁との交渉には、福田議長ほか委員長クラス交渉委員が出席し、春季要求書(資料)を手交した。
 要求提出に当たって福田議長は、次の通り述べ、昨年一方的に見直した官民比較方法の是正と公務員給与の改善や所定内勤務時間の短縮、さらに格差是正のために公務部内でも臨時・非常勤職員の雇用・処遇の抜本的改善を行うよう強く求めた。
(1) 日本経済は、いざなぎ景気を越えるとも言われ、大企業を中心に好調な業績が続いているものの、それが中小企業の業績や勤労者の所得に波及しない状態が続いている。また、政府が進める構造改革路線によって、格差と二極化が極限まで進行し、夕張市に見られるように地域社会はまさに崩壊の危機にある。
 こうした日本社会の危機とも言える状況を打開するためには、「格差問題」に正面から立ち向かい、行き過ぎた市場万能主義的な政策を抜本から変えていく必要があると考えている。連合は2007春季生活闘争において、ゆがんだ配分構造を是正するため、ベアを含む賃金改善はもちろんのこと、非典型労働者の雇用問題や「均等待遇」原則に基づく処遇改善、そしてワークルールの確立などを最重点に、取組みを進めている。
(2) 公務員を巡っては、政府が進める総人件費削減政策のもとで初年度の配置転換が進められる一方、昨年、われわれが強く反対したにもかかわらず比較対象企業規模の見直しが強行され、公務員給与が実質的に抑制されてきた。これは、労働基本権制約の代償機能を大きく歪めるものであり、われわれは決して容認することができない。
(3) 本年の給与改定にあたっては、この問題の是正を含め、民間相場を正確に反映した公務員給与の改善はもとより、公務内の格差問題の解決に向けて非常勤職員等の雇用・処遇の抜本改善に踏み出すことが最重要課題だと考えている。また、ワークシェアリングやワークライフバランスの観点から、所定内勤務時間の短縮や実効ある超過勤務縮減策を取りまとめることも重要な課題だ。
(4) ここ数年の経過からして、われわれは、人事院が労働基本権制約の代償機関としての役割を十全に果たしているかどうかについて、大きな疑念をもたざるをえない。相互の信頼関係を回復するためにも、「政治」の圧力に屈することなく、本年の勧告に向けて第3者専門機関として中立・公正な機能を発揮して頂くよう強く要請しておく。
(5) 公務員連絡会は、1月29日に開いた第1回代表者会議の決定に基づき、下記の通り2007年春季の要求を提出する。
 要求事項の重点は事務局長から説明させていただくが、本日の要求提出を機に、これから事務当局との交渉を積み重ね、3月22日には、総裁から直接、春の段階の誠意ある回答を頂きたい。
 続いて事務局長が要求の重点を説明、諸課題解決に向け十分交渉・協議するよう求めた。
 これに対して総裁は、「要求は承った。夏の勧告に向けていろいろ資料を集め、これから検討する段階だ。厳しい情勢であり、困難な課題もあるが、要求についてはこれからよく検討し、しかるべき段階に回答したい」と、今後、公務員連絡会と十分交渉・協議していくとの見解を述べた。

2007年2月19日


人事院総裁
 谷  公 士 殿


公務員労働組合連絡会
議 長 福 田 精 一


要  求  書


 日本経済は、大企業を中心に好調な業績が続いているものの、それが中小企業や勤労者の所得に波及しない状態が続いています。また、政府が進める構造改革路線によって、格差と二極化が極限まで進行し、夕張市に見られるように地域社会はまさに崩壊の危機にあります。2007年春季生活闘争においては、こうした格差を是正するため、ベアを含む賃金改善と非典型労働者の「均等待遇」原則に基づく処遇改善、そしてワークルールの確立などが求められています。
 公務員を巡っては、政府が進める総人件費削減政策のもとで初年度目の配置転換が進められる一方、われわれが強く反対したにもかかわらず比較対象企業規模の見直しが強行され、公務員給与が抑制されてきました。これは、労働基本権制約の代償機能を大きく歪めるものであり、われわれは決して容認することができません。
 本年の給与改定にあたっては、民間相場を正確に反映した公務員給与の改善はもとより、公務内の格差問題に正面から立ち向かい、非常勤職員等の雇用や処遇を抜本改善することが最重要課題となっています。
 公務員連絡会は、1月29日に開いた第1回代表者会議の決定に基づき、下記の通り2007年春季の要求を提出いたします。貴院におかれては、その実現に向け最大限の努力をいただきますよう要求します。




1.2007年度賃金要求について
(1) 社会的に公正な官民比較方法の確立について
 官民給与の比較方法のあり方については、社会的に公正な仕組みとなるよう抜本的に改善することとし、2007年度においては比較対象企業規模を100人以上とすること。また、一時金についても、月例給と同様に、同種・同等比較を原則とするラスパイレス比較を行うこと。

(2) 2007年度の賃金改善について
@ 2007年度の給与改定に当たっては、民間賃金実態を正確に把握し、公務員労働者の給与水準を改善すること。また、水準・配分・体系等について公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意すること。
A 「給与構造の改革」の一環としての勤務成績判定の運用状況の点検及び残された課題であるスタッフ職俸給表の新設、地域手当等の制度移行期間中の勧告内容などについては、公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意すること。また、本府省手当は新設しないこと。
B 非常勤職員及びパート職員等の処遇については、「均等待遇」の原則に基づき抜本的に改善することとし、国に雇用される労働者の最低賃金を行政職(一)表高卒初任給並みに引き上げること。また、国が民間事業者等に業務委託等、事務・事業の実施を委ねる場合においては、公正労働基準の確保に努めること。

2.労働時間、休暇及び休業等について
(1) 公務に雇用創出型・多様就業型の本格的なワークシェアリングを実現することとし、常勤職員の短時間勤務制度の検討を開始すること。
(2) ワーク・ライフ・バランスを図るため、年間総労働時間1,800時間体制を確立することとし、次の事項を実現すること。
@ 民間実態調査に基づいた意見の申出を本年の勧告時に行い、公務の所定内勤務時間を1日7時間45分に短縮すること。
A 超勤命令の徹底等厳格な勤務時間管理、超勤上限時間の設定強化等により、超過勤務を縮減すること。
B 超過勤務に対しては、手当を全額支給すること。
(3) 新たに制度化される自己啓発等休業制度の周知・徹底や条件整備に努め、その活用を促すこと。また、引き続き総合的な休業制度の検討を行うこと。

3.男女平等の公務職場の実現について
(1) 公務職場における男女平等の実現を人事行政の重要課題として位置づけ、必要な施策の確立を図ること。
(2) 取得率の数値目標を明確にした育児休業及び育児のための短時間勤務の男性取得の促進、次世代育成支援対策推進法に基づく「行動計画」の着実な実施に向け、条件整備や必要な指導を行うこと。
(3) 改定された女性職員の採用・登用拡大の指針の実現に向け、必要な取組みを行うこと。

4.その他の事項について
(1) 新たな人事評価制度の整備に当たっては、中立・公正な人事行政や勤務条件を所管する立場から、必要な役割を果たすこと。
(2) 民間における高齢者雇用の進展や年金支給開始年齢の段階的引上げを踏まえ、高齢再任用制度の定着・拡大施策を推進するとともに、抜本的な制度改善を含めた検討を開始し、雇用と年金の接続を確保すること。
(3) 公務職場に外国人の採用、障害者雇用を促進すること。そのために必要な職場環境の整備を行うこと。
(4) 公務遂行中の事故等の事案に関わる分限については、欠格による失職等に対する 特例規定を設けること。

以上