2007年度公務労協情報 21 2007年3月13日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

公務員連絡会が2007春闘中央行動実施−3/13
−書記長クラスが総務省・人事院の各局長と交渉し誠意ある回答迫る−

 公務員連絡会は、2007春季生活闘争の回答指定日を22日に控えた13日、春季要求の実現を目指した中央行動を実施した。午後1時30分から社会文化会館ホールで開かれた3.13中央集会には、全国の仲間1,000人が結集し、格差社会の中で公共サービスが切り捨てられ、公務員の雇用、労働条件に大きな影響を及ぼしている現状に対する認識を統一するとともに、民間賃上げ動向を踏まえた公務の賃金改善に向け、22日の回答指定日に向け闘う決意を固めあった。この日行われた書記長クラスと総務省・人事院の各局長との交渉では、公務員給与バッシングや政治の圧力に毅然と対応し、民賃を反映した給与改善を行うことを約束するよう求めたが、明確な見解は示されなかった。公務員連絡会では、ギリギリまで要求実現に向けて粘り強く取り組みを進めることにしている。

 午後1時30分から社会文化会館ホールで開かれた中央集会では、冒頭主催者を代表して挨拶に立った福田議長が「小泉・安倍政権の下で、日本社会は格差社会となり不安定化を極め、労働の規制緩和でワークルールも破壊されようとしている。また、公共サービスの切下げが続き、公務員の雇用や賃金、労働条件が脅かされている。公務員連絡会は、連合の「STOP! THE格差社会キャンペーン」に結集し、「良質な公共サービスキャンペーン」に全力で取り組むことにしている。自らの賃金についても今年こそ改善を実現しなければならない。今こそ反転攻勢の時である。連合・公務労協に結集し、しっかり闘っていこう」と全力で闘うことを訴えた。
 続いて激励挨拶に駆けつけた高橋連合副事務局長は、「2007年春闘は今晩から明朝にかけて山場を迎えるが、民間組合は昨年を上回る賃上げを獲得すること、不満な場合にはストを辞さないことを意思統一した。非典型労働者の均等処遇も大きな課題であり、パートの時給1,000円、最低賃金の大幅改善を実現しなければならない。そのためにも政治の力関係を変えなければならない。夏の参議院選まで一人ひとりが汗をかこう」と、国営部会の岩ア労働条件委員長(林野労組書記長)は、「国営部会は賃金改善を目指し、自主交渉・自主決着を基本に闘いを進めているが、民間や公務員の賃金が大きく影響する。年金一元化や新たな評価制度も大きな課題だ。公務員連絡会と連帯して闘っていく」と、それぞれ闘う決意を述べた。
 このあと基調提起に立った山本事務局長は、日本社会の深刻な状況、公務員制度改革を巡る政府・与党の動向などや本日午前中の総務省人事・恩給局長交渉の状況を報告しながら、2007年春季闘争における総務省や人事院との交渉・折衝経過に触れ、本日午後の人事院の各局長との交渉で誠意ある回答引き出しを目指す決意を述べ、22日の最終回答に向けた追い上げを図る方針を提起した。
 構成組織決意表明には、高倉国公総連中央執行委員、植本自治労副委員長、高橋日教組副委員長が登壇し、それぞれの組織が取り組んでいる課題を報告するとともに全力で闘い抜く決意を述べた。
 集会を終えた参加者は、人事院前に移動し、「公務員の賃金を改善しろ」「労働時間を短縮せよ」「非常勤職員の労働条件を改善せよ」とシュプレヒコールをあげ、人事院交渉を支援し、交渉終了後その場で交渉報告を受け、この日の公務員連絡会の行動を終えた。
 この日行われた総務省人事・恩給局長、人事院給与・職員福祉局長との交渉経過は次の通り。

<総務省人事・恩給局長交渉の経過>
 公務員連絡会書記長クラス交渉委員と総務省人事・恩給局戸谷局長との交渉は、13日午前11時から総務省内で行われた。公務員連絡会側は、本日段階での総務省の見解を求め、局長は次の通り回答した。

(1) 2年度目の配置転換等について
 総人件費改革に伴う国家公務員の配置転換については、職員及び職員団体の御協力もあり1年目は目標を上回る内定を得たところである。2年目の取組については、3月2日に雇用調整本部において実施計画が決定されたが、総務省としても政府全体としての取組が円滑に進むよう、積極的に協力していく所存である。
(2) 2007年度賃金改善について
@ 給与関係
 総務省としては、平成19年度の給与改定に当たっても、従来同様、人事院勧告制度尊重の基本姿勢の下、国政全般との関連を考慮しつつ、職員団体とも十分に意見交換を行いながら、適切な給与水準となるよう対処して参りたい。なお、国家公務員の給与が適正であることについて、常に国民の理解が得られるよう努力していかなければならないが、当局としては、現時点で人事院に給与の引下げを要請するというような考えを持っている訳ではない。
 また、非常勤職員の給与については、一般職給与法に基づき、各庁の長が常勤職員の給与との権衡を考慮し、予算の範囲内で支給することとされており、各府省において適切に措置されるべきものと認識している。また、常勤職員の給与改定を適切に行うことを通じ、非常勤職員の給与も適切に措置されるものと認識している。
 非常勤職員の雇い止め関係
 非常勤職員の任用については、人事院規則8−14(非常勤職員等の任用に関する特例)、定員外職員の常勤化の防止の閣議決定(昭和36年2月28日)等の非常勤職員に係る各種のルールを踏まえつつ、各府省の予算の範囲内において、それぞれの業務の必要性も考慮しながら対応しているものと認識している。なお、民間で非正規職員に係る議論がなされていることは承知しており、その動向等も勉強して参りたい。
(3) 退職手当について
 国家公務員の退職手当の支給水準については、官民均衡を図る観点から、おおむね5〜6年毎に実施する民間企業退職金実態調査を通じ、民間企業の退職金の支給水準を調査し、これを参考に決定してきたところである。 
 平成18年11月に出された人事院の調査は民間企業退職金実態調査を兼ねたものであり、総務省としては、現行の国家公務員共済年金の職域部分(3階部分)に代わる新たな公務員年金制度(新3階部分)の議論の動向等を踏まえつつ、退職手当の支給水準についても必要な検討を行って参りたい。
 いずれにしても、退職手当は職員の重要な関心事項であり、検討に際しては職員団体からのご意見は十分伺って参りたい。
(4) 労働基本権確立、公務員制度改革等について
 公務員の労働基本権については、公務員の地位の特殊性と職務の公共性に鑑み、国民全体の共同利益の見地から一定の制約を免れ得ないものと認識しているが、その具体的な在り方については、国民意識を踏まえつつ、幅広い観点からの検討が必要と考える。
 現在、この問題については、行革推進本部専門調査会(以下専門調査会)において、今後の公務と公務員の在り方に関する国民意識等を十分踏まえつつ、労働基本権を含む労使関係の在り方について、幅広い観点から検討が行われており、総務省としては、専門調査会における議論を見守っていくとともに、調査審議に協力して参りたい。
 また、公務員制度改革については、総務省としては、新たな人事評価システムの構築に向けた試行の実施などの取組を進めているところである。
 能力・実績主義の人事管理の徹底等の観点に立った公務員制度改革は喫緊の課題であると認識しており、今後とも行政改革推進本部と連携協力して公務員制度改革の推進を図って参りたい。
(5) 労働時間、休暇等について
 平成18年8月の人事院からの意見の申出を踏まえ、育児休業法改正法案及び自己啓発等休業法案を今国会に提出したところである。今後は、育児短時間勤務制度及び自己啓発等休業制度の円滑な実施に向けた準備を着実に進めて参りたい。
 また、超過勤務の縮減については、幹部職員による超過勤務の状況把握等コスト意識を持った適切な勤務時間管理の徹底、早出・遅出勤務の積極的活用、業務の徹底した見直しを行うことが重要であると考えている。各府省において、「国家公務員の労働時間短縮対策について」に基づいた様々な検討・取組が進められているものと考えるが、今後、関係機関とも連携しながら、政府一体となって、さらに実効性のある取組を進めて参りたい。
(6) 天下り等と高齢対策について
 いわゆる「天下り」問題について、総務省としては、再就職の透明性を確保するため、再就職状況を取りまとめて公表するとともに、職員が公務内においてできるだけ長期間、活力を持って勤務できるような環境を整備するため、平成14年12月の閣僚懇談会申合せに基づき、政府一体となって勧奨退職年齢の段階的・計画的な引上げに取り組んでいるところである。今後とも、内閣官房、関係府省等と連携しつつ、早期退職慣行の是正に資するための制度面・運用面での諸方策の検討や推進状況のフォローアップを通じて、積極的に取り組んで参りたい。
 また、公務の高齢対策の推進について、総務省としては、「国家公務員高齢者雇用推進に関する方針」に沿って、再任用制度を高齢国家公務員雇用の基本的方策と位置付け、関係機関と緊密な連携を取りつつ、政府全体として、高齢国家公務員の雇用の推進を図るとともに、現状も踏まえつつ、引き続き高齢国家公務員の雇用の在り方について研究して参りたい。
(7) 新たな評価制度の試行について
 新たな人事評価システムは、能力・実績主義の人事管理を行う上での基盤的ツールとなるものであると考えている。本格実施までの間に、地方機関、専門職種などへも対象範囲を拡大して試行を行い、評価項目・評価基準等の検証や、職員の意識の定着を図って参りたい。試行を進めるに当たっては、引き続き職員団体とも意見交換をして参りたい。
 苦情処理システムについては、どのような機能を持たせ、職員団体や第三者の関与をどうするか、などの論点につき、民間・自治体事例や試行を通じて把握した苦情等の情報を踏まえ、意見交換を行って参りたい。

 これらの回答に対し、公務員連絡会側は、次の通り見解を質した。
(1) 2年度目の配置転換等に関する取り組みにあたっては、さらに雇用情勢が厳しくなることを踏まえ、雇用確保にむけ最大限努力するとの姿勢を明確にするよう求めておきたい。
(2) 現時点において人事院に対して「給与の引下げ等」を要請する考えはないとのことであるが、中立・第三者機関たる人事院に対して使用者が「給与の引下げ」を要請することはあってはならない。また、官民比較方法など水準決定の枠組みの見直しもふくめ、考えていないと理解する。
(3) 総務省としては、各府省まかせでなく、非常勤職員問題は社会問題であるという認識を持って対応してもらいたい。
(4) 公務員制度改革・労働基本権の問題については、2006年3月の公務員制度改革等に関わる政労協議において「公務の労使関係を改善する」ことが確認されており、その認識に基づいて総務省としても対応してもらいたい。
(5)高齢再任用制度については、定員管理の問題等厳しい状況下にあっては、制度自体が機能しておらず、現行制度については限界であると考えている。雇用と年金との接続をはかることが大前提であり、高齢再任用の実態把握とともに、その結果を踏まえ、制度改正を含めた幅広い検討を開始する時期ではないか。
(6)新たな評価制度については、今国会に提出すべく検討作業が進められている法案では、評価結果を任用・給与に活用することを明記すると聞いている。現在試行中の新たな評価制度については、今後の行政改革の方針(2004年12月24日閣議決定)をうけたものであり、国公法の改正に関わる検討はこの経過をないがしろにするものである。総務省として、この間の経過をきちっと踏まえた法案作業とするよう関係機関に要請すべきではないか。また、この課題について、別途人事・恩給局長交渉の機会を設け、総務省として明確な見解を示していただきたい。さらに、新たな評価制度の試行にあたっては、苦情処理システムの協議の場において、公務員連絡会の意見を最大限反映するよう要請する。

 これらの点について、総務省側は次の通り考え方を示した。
(1) 総務省としても、取り組みを緩めるつもりはない。2年度目にあたり要望が出てくれば議論し、必要な措置を講じるべく努力していきたい。
(2) ご指摘の点を含め現時点においては考えていないということである。
(3) 非常勤職員の範囲は幅広く、その仕事に見合う形で各府省が予算の範囲内において対応している。民間企業における非正規職員に係る議論がなされていることについては承知しているが、現時点における対応については、その動向を勉強していくという段階である。
(4) 総務省としては、もとより良好な労使関係の確立が大前提であり、今後、専門調査会における議論の動向を見守りながら、各論点につき相互で意見交換を行いたいと考えている。
(5) 単純に定員を増やせばいいということにはならないので、現行の枠組みの中で努力し、その上で制度的なものも含め対応すべき課題があるかどうか研究していきたい。
(6) 現在実施されている新たな評価制度の試行についても、活用していくことを念頭に進めてきている。評価制度については、皆さんとの議論なくして定着するものとは考えていない。今後とも様々な機会において意見交換をお願いしたい。

 これらの回答に対し、公務員連絡会側は、「いまの試行は活用を前提にして始めたものではなく、あくまで評価のシステムをどう成熟させるかというものだ。仮に活用するということであれば、今の試行は中断し、改めて提起してもらい、どのようなシステムを作れば活用できるのかどうかを徹底的に議論しなければならない」と、重ねて見解を迫ったが、局長からは明確な見解は示されなかった。
 そのため公務員連絡会は、「3月2日の幹事クラス交渉の見解の域を出るものでなく、不満である。22日の総務大臣交渉の際には、われわれの納得いく前向きな回答を示すよう引き続き尽力いただきたい」と強く要請し、本日の交渉を終えた。


<人事院給与局長との交渉経過>
 公務員連絡会書記長クラス交渉委員は、15時から、出合給与局長と交渉を行った。
 冒頭、山本事務局長が「2月19日に総裁に要求書を提出し、3月2日には幹事クラスの交渉を行った。今日は総裁回答に向けて、今日段階の局長回答を伺いたい」と見解を求めたのに対し、出合局長は次の通り考え方を示した。

1.春闘情勢について
 本日の新聞に民間春闘の記事が出ているが、経営側は依然として国際競争力の強化を最重要課題とし、引き続き賃上げには慎重な姿勢で、全体としてなかなか難しい状況になっている。いずれにしても、人事院としては、これから経営側からの回答が示されるので、その動向に注目していくこととしている。
2.本年勧告に向けての基本姿勢について
(1) 民間給与実態調査により民間給与の実態を精確に把握し、民間給与の実態を適切に公務員給与の水準に反映させるという基本に立って今年も勧告作業を進めていきたい。
(2) 配分については、例年、皆さんと具体的なお話をした上で人事院として判断し決定してきたが、本年勧告における給与構造見直し実施分の具体的内容を含め、配分の問題については、これまでと同様、勧告に向けて皆さんの意見も十分に聞きながら検討していくこととしたい。
(3) 勤務成績反映については、管理職について本年1月から実施しているが、皆さんの意見を伺いながら適切に運用されるよう努めたい。
(4) 給与勧告をめぐっては、昨年、一昨年と大きな改革があったが、現時点で、昨年、一昨年のような基本的な見直しがあるとは考えておらず、勧告に向けての作業は、例年ベースで進めている。今後、給与をめぐってどのような展開になるかはわからないので、そのような情勢の変化に対して適切に対応する必要があると考えている。
3.比較企業規模について
 比較企業規模については、昨年は研究会の報告や関係者の皆さんのご意見を伺って慎重に検討し、人事院として判断したが、総裁からも回答しているとおり、昨年の見直しにより、公務と民間で同種・同等の業務を行っている者同士を比較するという民間準拠方式の下、民間企業従業員の給与をできるだけ広く把握し反映させることができたものと考えている。この点については、ぜひご理解をたまわりたい。
4.一時金のラスパイレス比較について
 特別給については、民間給与の実態調査において、4月の月例給に加えて年2回分の特別給の支給額を個別に調査することは困難である。また、民間企業の特別給は企業全体の業績と個々人の実績に応じて支給されており、同種・同等比較になじまない側面もあるのではないかと考えている。また、抽出した個人について個別の台帳で調べることになるが、それには個人の成績も入っており、民間企業もそこまでは協力してくれないのではないか。したがって、当面、事業所単位で調査を行っている現行の枠組みは維持することとしたい。特別給の官民比較方法については、皆さんの意見もあるので引き続き研究を行いたい。
5.非常勤職員について
 非常勤職員については、任命権者が求める様々な業務を行っており、その業務に基づいて任命権者が給与・手当を決めている。皆さんから4点のご提案をいただいているが、この問題は勤務条件面だけでなく、任用や予算とも関係する非常に複雑な問題である。人事院としては、皆さんの提案も含めて今後の具体的な課題として取り上げることができるのかどうか、さらに慎重に検討していきたい。

 回答に対し、公務員連絡会側は、次の通り局長の見解を質した。
(1) 官民比較の方法については、昨年の一方的な見直しは納得できないので、公務員賃金に対する社会的な合意を確立していくという観点から、今後とも引き続き議論をさせていただきたい。また、今年の勧告では、比較方法など基本的な見直しを行うことはないことを明確にしてほしい。
(2) 本年の給与勧告に当たっては、民間では全体としてベースアップが実現すると考えており、その実態を正確に反映して公務の賃金改善に結びつけてほしい。
(3) スタッフ職俸給表について、検討状況を報告していただいて、公務員連絡会と十分な意見交換を行って勧告に臨んでいただきたい。。
(4) 非常勤職員について均等処遇の原則に基づく抜本的改善を求め、4点について具体的に提案しているので、格差問題が社会的な問題になっていることや公務としても放置できないこと、むしろ積極的に範を示す立場で具体的な検討を強く求めておきたい。

 これに対し局長は次の通り答えた。
(1) 今の段階で基本的な見直しがあるとは考えていないが、公務員給与を巡る状況は時々刻々変わっているので、それを踏まえて8月に向けて検討していく。4月になれば民調の枠組みについて報告できるので、それを見ていただきたい。また、昨年の今頃には研究会を開催し中間報告がなされ、懇話会も設置されていた。大きなことを行う場合には準備が必要だが、今年はそういうことはない。仮にどこからか議論が起こった場合には、第三者機関の立場で毅然として物を言う場面もあるかもしれないし、皆さんと認識が異なる場合には話し合いをさせていただく。
(2) スタッフ職俸給表については、一昨年の勧告で導入することを報告し、今、各府省とも話を進めているが、職員に使いやすく、国民の理解が得られるものにしていくことが大事だ。「お手盛り」といわれない制度にしないといけない。皆さんとも議論を行い、勧告に向けて検討を深めて参りたい。
(3) 非常勤職員の問題は非常に難しい。歴史的にもいろいろある。パートについて国会でいろいろ議論がなされ、社会的にもいろいろ議論されているので、それらを踏まえながら、どういう取組がいいのか、部内的にも議論を深めて参りたいし、皆さんの意見も踏まえていきたい。

 最後に山本事務局長が「民間ではしばらくぶりにプラスのベアになりそうなので組合員の期待は大きい。そこで物差しが変われば大変なことになる。仮に情勢の変化があったとしても中立第三者機関として毅然として対応してもらいたい。総裁の回答では明確な見解をお願いしたい」と強く要望し、給与局長交渉を終えた。


<人事院職員福祉局長との交渉経過>
 公務員連絡会書記長クラス交渉委員は、同日15時30分から、吉田職員福祉局長と交渉を行った。
 冒頭、公務員連絡会山本事務局長が「2月19日に総裁に要求書を提出し、3月2日の幹事クラスの交渉を経ており、本日は局長段階の回答をいただきたい」と見解を求めたのに対し、吉田局長は「要求事項のうち職員福祉局関係の検討結果について説明したい」として次の通り考え方を示した。
1.所定内労働時間の短縮について
 職員の週所定勤務時間については、昨年の勧告で報告したように、勤務時間の短縮が各府省の行政サービスに与える影響等についても分析し、各府省との間で引き続き意見交換を進める必要がある。本年の民間給与実態調査においても引き続き民間の動向把握をするという方向で考えている。
2.超過勤務の縮減について
 超過勤務の縮減については、現行制度の下で勤務時間制度の運用面の改善を図ることに加えて、各府省のマネジメント・管理、予算、国会待機のあり方などにメスを入れるなど、腰を据えた取組みが必要と考えている。各府省当局や関係省庁とも十分意見交換し、一歩でも進むよう、鋭意検討を進めていきたいと考えている。その際には職員団体のご意見や具体的提案をよく伺っていきたいと考えているので、ご協力をお願いしたい。

 以上の回答に対し公務員連絡会は、次の通り局長の見解を質した。
(1) 勤務時間については、民間調査を行った結果を踏まえて、勤務時間を短縮するという意見の申出を実現していただきたい。
(2) 超過勤務の縮減については、建前と実態が乖離している典型である。法外な超勤実態があるのにいっこうに改善されない。各府省が横並びで申合せを行っているが強制力がない。人事院として、厳格な勤務時間管理と効果の上がる縮減策を提言してほしい。
(3) 所定内勤務時間短縮に対する組合員の期待感は強い。今日の回答では慎重になっているとの印象であるが、民間は概ね1日7時間45分になっており、積極的に対応していただきたい。
(4) 育児短時間勤務制度、自己啓発等休業制度に係る人事院規則等の検討に当たっては、十分交渉をさせていただきたい。

 これらの質問に対し、局長は以下の通り答えた。
(1) 民間の勤務時間調査を行うことが正式に決まっているわけではないが、昨年に引き続き行いたいと思っている。ただ、今までは閉庁と合わせて勤務時間の短縮を進めてきたが、これからはそうではないので各府省の行政サービスの体制について慎重に意見交換をする必要があると思っている。したがって、調査結果が出たからといって、その平均の数字をそのまま意見の申出を行うということではない。
(2) これまでもいろいろ超勤縮減策を講じてきたが、問題が解決していないのは、この問題が難しいということだ。実態に即した知恵を出していきたい。縮減は個別の労務管理、人事管理の話になってくるので、人事院と各府省が協力して行う必要がある。そこは横並びということで申合せをしてきた。さらに規制を強化しようというのであれば人事管理の問題になるので、実態把握が重要だ。いずれにしても最後は各府省がどういう人事管理をするかということになるが、皆さんとも意見交換をしながら検討を進めて参りたい。
(3) 今の時点では、一方で行政サービスへの影響を、他方では民間の状況を把握しながら検討していくことになる。短縮に向けた問題意識は引き続き持っている。
(4) 育児短時間勤務、自己啓発等休業制度についてはすでに法案が国会に提出されており、なるべく早く意見交換を行って規則制定に向けた準備をして参りたい。

 最後に、山本事務局長から「総裁回答では、一歩も二歩も前向きな回答をいただけるよう努力願いたい」と申入れ、職員福祉局長交渉を締めくくった。

以上