2007年度公務労協情報 25 2007年4月20日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

人事院と民調作業方針をめぐって交渉

−例年通り連休明けから民調実施。通勤手当、勤務時間、時間外割増率調査に特徴−

 人事院は、本年の民間給与実態調査に関する方針が固まったとして、公務員連絡会・労働条件専門委員会にその骨格を提示した。
 この民間給与実態調査は、夏の人事院勧告に向けた基礎作業として例年5月の連休明けから実施されており、公務員連絡会は4月にその内容を確認する交渉を行ってきたことから、本年もその提示がなされたものである。
 冒頭、人事院の松尾参事官は「勧告に向けた作業は例年通り進んでおり、民調作業の内容もほぼ固まった」として、次のとおり基本的な骨格を明らかにした。

1.調査期間については、5月1日(火)〜6月15日(金)の46日間(昨年は47日)。
2.調査対象事業所は、企業規模50人以上で、事業所規模50人以上とする母集団約54,000事業所(昨年は約53,000事業所)から抽出した約10,200事業所(昨年も約10,200事業所)。
3.調査方法は、人事院と、47都道府県、17政令市、特別区、熊本市、和歌山市の67人事委員会が分担し、職員が直接事業所を訪問して調査を行う。調査員は、約1,200人(昨年約1,100人)である。
4.調査職種は78職種(昨年は76職種)で、そのうち初任給関係19職種(同18職種)。昨年に比べ職種が増えたのは、学校教育法の改正により大学の助手が「助手」と「助教」に分かれたことに対応したためである。
5.調査項目については、初任給調査、個人別給与調査、事業所単位の賞与等の支給状況や給与の支給総額、事業所における給与改定の状況などを調査する。
 初任給調査について、本年は、採用がない場合でも初任給を設定している場合には月額を記入してもらうことにしている。
 調査項目の概要は次のとおりであり、昨年に比べて新しい調査項目は、@通勤手当(交通用具使用者:ガソリン代の値上がりへの民間企業の対応を把握)A単身赴任手当B時間外労働に対する賃金(割増率)Cスタッフ職俸給表新設に関わってのコース別人事管理の状況・給与の決め方等である。
(1) 本年の給与改定
 ベース改定、定期昇給の状況等、冬季賞与(定率部分と考課査定部分に分けて把握)の支給状況
(2) 家族手当  手当の支給状況、制度の見直し状況等
(3) 住宅手当
 借家借間に対する手当の支給状況等
(4) 通勤手当
 交通用具使用者に対する通勤手当の支給状況等
(5) 単身赴任者の手当
 単身赴任を理由に支給する手当の支給状況等
(6) 人事制度
 コース別人事管理の実施状況等
(7) 雇用調整
 採用の停止・抑制、業務の外部委託、部門の整理、解雇、賃金カット等の状況
(8) 労働時間  所定労働時間の状況等

 以上のように、人事院は、調査対象の比較企業規模を50人以上とすることを前提に、本年の民間給与実態調査の骨格を提示、説明した。
 これに対して、公務員連絡会側は、「比較企業規模50人以上とすることは反対であるとの基本的立場は変わらない。民調を含め以後の勧告作業に当たっては、そのことをしっかり念頭に置いて作業を進めてもらいたい」との基本姿勢を表明した上で、「民間の春の賃上げ結果を見ると大手企業を中心に実績が上がっているので、そうした給与実態を正確に調査していただきたい」と要請し、本日の交渉を終えた。



国家公務員の自己啓発等休業に関する法律案及び地方公務員法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 政府及び人事院は、次の事項について、十分配慮すべきである。
1 自己啓発等休業の運用に当たっては、各任命権者及び職員に制度の趣旨を十分周知し、これを取得しやすい職場環境を整えること。
2 任命権者は、職員が自己啓発等休業から復帰した際、その休業によって得た能力を十分発揮できるよう、適切な人事管理に努めること。
3 各任命権者は、自己啓発等休業制度の趣旨にかんがみ、職員が自己啓発等休業から復帰した後、早期に離職するようなことがないよう、職員との十分な意思疎通に努めること。
4 地方公共団体における自己啓発等休業制度の運用に当たっても、以上の趣旨に則り、必要な助言を行うこと。