2007年度公務労協情報 3 2006年10月25日
公務公共サービス労働組合協議会

退職給付の水準維持で中央行動−10/25
−交渉で人事院は官民較差の状況が「厳しいことに変わりはない」との見解示す−

 公務労協は、25日、民間企業の退職給付の実態調査結果及び政府に対する意見表明について、人事院職員福祉局長交渉を実施するとともに、社会文化会館で「退職給付削減反対!公務労協10・25中央集会」を開催し、退職給付の総額確保に向けた行動を展開した。
 この取組みは、人事院がこの夏に実施した民間企業の退職給付の実態調査の集計作業が詰めの段階にあり、政府に対する意見表明の検討も開始されたことから、9月1日に提出した要求書に対する回答を求めるとともに、要求実現を迫るために実施したもの。
 人事院交渉は中央集会に先行して11時から、山本事務局長を始め公務員連絡会の書記長クラス交渉委員が人事院吉田職員福祉局長と交渉を行った。
 交渉の冒頭、山本事務局長は「いよいよ大詰めに来ており、9月1日の要求書に対する本日段階での回答をお願いしたい」として、要求書に対する回答を求めた。
 これに対し、吉田局長は、「本年4月28日の閣議決定によって、官房長官より人事院に対し、民間企業の退職給付・外国公務員年金制度の調査などの依頼があり、調査を行うとともに見解について検討を行ってきたが、現時点での見通しについてお話しする」として、次の通り答えた。

@ 検討状況について
 現在、調査の集計のチェックと詰めを行っているところであるが、調査結果と見解の具体的な日程については現段階では確たることはいえない。
 見解表明は、官房長官あての書簡の形ということになろう。
A 調査結果及び較差について
 民間企業の退職給付の調査については、60%を超える回収率となったことから、十分信頼できる調査結果が得られたものと考えている。
 この調査結果に基づいて、企業規模50人以上で、従来どおり勤続20年以上の退職者につき、公務員ウェイトでラスパイレス比較を行っている。
 現在、鋭意集計中であり、較差の見通しについては何とも申し上げられないが、民間の状況に明るさも見えるものの、基本的には厳しい状況には変わりはない。
B 見解の内容について
 民間の退職給付の調査結果、公務の実態、諸外国の公務員年金制度の調査結果、官民較差について回答することになる。
 また、公務員の退職給付の検討に当たって考慮すべき要素などについても人事院の見解を示すことを考えている。

 この回答に対し、山本事務局長が「これまで民間調査や官民比較の方法について交渉・協議を積み重ねてきたが、本日の局長の「マイナス較差が想定される厳しい状況」という回答については、極めて不満だ。正確な調査と比較を行えばこういうことにはならないはずであり、甚だ遺憾である。まだ最終作業中で時間もあると思うので、われわれが9月1日の要求書で申し上げたとおり、「共済年金の職域部分に代わる、新しい公務員制度としての仕組みを設計できる水準設定を行うとともに、退職手当の水準を変更しないよう、退職給付の総額を確保する」よう最大限の努力を要請したい。政府に提出する意見の内容についても、引き続き公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意するよう努力をお願いしたい」と、さらなる努力を求めた。
 これに対し局長は、「最終段階になってきているが、引き続き公務員連絡会の話を伺いながら作業を進めていきたい」と交渉・協議を継続していくことを約束したことから、これを確認し、この日の交渉を終えた。

 中央集会は、13時30分から社会文化会館に全国から800名の組合員を集め、福田副議長(国公連合委員長)を議長に選出して行われた。
 主催者挨拶で岡部議長は「衆院補選では、公務員バッシングのキャンペーンが行われたし、安倍政権も小泉構造改革、すなわち小さな政府、財政再建、歳出削減路線を受け継ぐことを明言している。そのため、公務員の総人件費削減政策の下で、定数削減やアウトソーシングを徹底していくということになる。政府・与党は、公務の年金や退職手当は優遇されていると決めつけて、切り下げを求めようとしている。本日はこうした厳しい情勢について認識を統一し、最後までしっかり闘っていく決意を固めよう」と訴えた。
 続いて山本事務局長が基調報告を行い、春以来の取組みの経過と午前中に行われた人事院職員福祉局長交渉の内容を報告するとともに、「本日の人事院回答は、当初予想したほどではないものの、官民較差の状況は厳しいとの内容であった。公務労協としては、今後も人事院に対しては正確な比較と合意に基づく意見表明を求めて交渉・協議を強めていく。その厳しい状況を踏まえつつ、職域部分に代わる新たな年金の制度設計や退職手当水準の確保を求め、取組みを進めていく」と、今後の取組みを提起した。
 続いての決意表明では、公務員連絡会を代表して自治労副笠見委員長が「新たな年金制度の設計と退職手当の現行水準維持を求めてきた。今後も、公務労協に結集して取り組みを進めていく」と、国営関係部会を代表して林野労組豊田書記次長が「国営部会は交渉権を持っているが、退職給付については人事院の調査結果と意見表明に大きく影響されることになる。削減反対、水準維持に向け、公務労協に結集してともにたたかっていく」と、それぞれ決意を述べた。
 最後に、佐藤全水道委員長の発声で団結ガンバロウを三唱し、取組みを強化する決意を固めあった。

以上