2007年度公務労協情報 41 2007年8月9日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

2007人勧を受けて地公部会が全人連に申入れ−8/9

 公務員連絡会地方公務員部会は、8月9日午前10時5分から、2007年人事院勧告を受けて全国人事委員会連合会(全人連)に対する申入れを行った。公務員連絡会側は、地公部会の武田議長(都市交委員長)、中村企画調整委員(日教組書記長)、岩本地公部会事務局長、吉澤次長と地公部会幹事が出席、全人連側は、内田会長(東京都人事委員会委員長)はじめ、都道府県人事委員会のブロック代表及び政令市人事委員会の代表者が対応した。
 冒頭、武田地公部会議長は、要請書(別紙)を手交し、「昨日人事院勧告が行われ、昨日夜には厚生労働大臣と交渉し、勧告通りの実施を要請してきたところである。今回の人勧は、民間の賃上げ動向を見れば当然である。ただ、比較企業規模50人以上の固定化には明確に反対する。公務員給与への注目は集まっており、地方公務員の給与改善に向けた勧告をお願いしたい。『地場民賃に準拠』という政治や財務省による地方歳出、地方交付税圧縮の圧力は、地方公務員法の趣旨と違うものであり、容認できない。さらに、この間、現業職員に対する給与引下げ圧力も強まっているが、現業職員は協約締結権があることを踏まえた対応を総務省には求めてきている。人事委員会による今後の勧告にあたっては、地公法第24条第3項を踏まえた改善勧告を行うよう求めたい。そのための全人連の役割発揮を期待している。勧告の完全実施を圧力に屈することなくお願いしたい。今後とも、意見交換を密にさせていただきたい」と申入れの趣旨を述べた。
 引き続き、岩本地公部会事務局長が要請書の内容を説明し、全人連の努力を求めた。
 こうした地公部会の要請に対し、内田会長は以下の通り回答した。

<全人連会長回答>
 ただいまの皆様からの要請につきましては、確かに承りました。早速、全国の人事委員会にお伝えいたします。
 さて、既にご承知のとおり、昨日(8日)、国会及び内閣に対して、人事院勧告が行われました。
 本年の官民較差は、ベースアップを実施した事業所の割合が昨年に比べて増加しているなどとして、1,352円、率にして0.35%、民間給与が公務員給与を上回るとしております。
 この較差を埋めるため、初任給を中心に若年層に限定した俸給月額の引上げ、子等に係る扶養手当の500円引上げが勧告されました。
 特別給につきましても、民間の支給割合と均衡するよう、0.05月引き上げることとしております。
 また、人事院は、行政の多様化、複雑・高度化に対応するとともに、早期退職慣行を是正し在職期間の長期化に対応する観点から、新たに専門スタッフ職俸給表を、来年度から新設することとしております。
 詳細につきましては、これから人事院の説明を受けるところです。各人事委員会にとりまして、人事院の勧告は、必ずしも、直ちに、これに従うべきものではありませんが、今後の各人事委員会の勧告作業に影響を及ぼすものと考えられます。
 現在、各人事委員会では、秋の勧告に向けて、鋭意、作業を進めているところであります。今後は、皆様からの要請の趣旨も十分考慮しながら、それぞれの人事委員会が、各自治体の実情を踏まえ、主体性をもって対処していくことになるものと考えております。
 教員給与につきましては、本年も、各自治体の主体的な取組を支援していくため、全人連としての取組を進めてまいります。
 公務員の給与を取り巻く環境は、引き続き厳しい状況ですが、各人事委員会におきましては、本年も、中立かつ公正な第三者機関として、その使命を十分に果たしてまいる所存でございます。

(別紙)全人連への要請書

2007年8月9日

全国人事委員会連合会 
 会長 内田公三 様

公務労協公務員連絡会地方公務員部会
全日本自治団体労働組合
中央執行委員長 岡部謙治
日本教職員組合
中央執行委員長 森越康雄
日本都市交通労働組合
中央執行委員長 武田 茂
全日本水道労働組合
中央執行委員長 佐藤幸雄
全国自治団体労働組合連合
中央執行委員長 川田直彦
日本高等学校教職員組合
中央執行委員長 小林政至


2007年度地方公務員の給与勧告等に関する要請書


 貴職の地方公務員の給与・労働条件の改善に向けたご努力に敬意を表します。
 人事院は8月8日、政府と国会に対して、2007年度の国家公務員給与改定について、月例給を改善することなどの勧告を行いました。これは民間の給与水準引上げ動向を反映したものですが、私たちが強く求めた比較企業規模の復元については、これを行いませんでした。
 地方公務員の給与について、地域の民間給与を反映すべきだとする引下げ圧力が一層強まっている状況にありますが、地方公務員の給与は職務給の原則を踏まえ地公法24条の趣旨に基づいて決められるべきものであります。
 地方公務員においては、連年にわたる引下げ勧告による給与水準の低下に加えて、厳しい財政事情のもとで特例条例等による給与減額が行われており、生活水準の低下を余儀なくされています。
 貴職におかれましては、これから本年の地方公務員の給与勧告に向けた本格的作業を開始されることと思いますが、地方公務員の生活を守るという人事委員会の使命を十分認識され、下記事項の実現に向け最大限の努力を払われますよう要請します。



1.民間給与実態を精確に把握し、地方公務員の生活を改善するための賃金水準を確保すること。
 (1)人事院勧告における措置を最低とした月例給の引上げおよび一時金の支給割合の引上げ勧告を行うこと。
 (2)配分については職員団体と十分交渉・協議すること。

2.勧告にあたっては、地公法第24条第3項の規定の趣旨を踏まえて対応すること。

3.公立学校教職員の給与について、引き続き、各人事委員会が参考としうるモデル給料表を作成、提示すること。その際、主幹教諭等の新設にも対応した内容とすること。モデル給料表の作成に当たっては、関係職員団体との十分な意見交換を行う こと。

4.人事院報告において指摘された所定勤務時間について、労働基準法の適用関係や国と自治体の取扱いに関わる経過の相違等を踏まえ、直ちに短縮する措置をはかるよう対応すること。

5.各人事委員会の勧告やそのための作業に当たっては、職員団体との十分な交渉・協議、合意に基づき進めること。

以上