2007年度公務労協情報 42 2007年8月9日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

人勧取り扱いで官房長官、総務大臣、厚労大臣に要求提出−8/9
−勧告通り実施の閣議決定を行い法案を国会に提出すること等を要求−

 公務員連絡会の委員長クラス交渉委員は、8日の人事院勧告を踏まえ、8〜9日にかけて給与関係閣僚である官房長官、総務大臣、厚生労働大臣との交渉を行い、@勧告通り実施する閣議決定を行い、早期に給与法改正法案を国会に提出することA人事評価制度の構築に向け、評価結果の開示や職員代表等が参加する苦情処理制度を整備することB公務員の労使関係の抜本改革に着手すること、などを求める要求書(別紙)を提出した。
 各大臣への要求提出の経過は次のとおり。

<厚生労働大臣への要求書提出の経過>
 柳沢厚生労働大臣への要求提出は、8日の午後6時40分から行い、福田議長ほか委員長クラス交渉委員が出席した。
 冒頭、福田議長が「人事院勧告は、労働基本権制約の下で唯一の代償措置であることを踏まえ、勧告通りの閣議決定を行い、法案を国会に提出すること」など要求の趣旨を説明し、厚生労働大臣の尽力を求めた。
 これに対して柳沢厚生労働大臣は、「勧告は、様々な角度から真剣かつ慎重な検討が加えられ、出されたものと認識している。給与関係閣僚会議では、人事院勧告制度を維持・尊重すべきであるとの立場で発言したい。公務員制度の検討については、労使関係を所管する立場から内閣官房等と連携していく」との見解を述べた。

<総務大臣への要求書提出の経過>
 総務省への要求提出は、菅総務大臣に対して、9日10時30分から、福田議長ほか委員長クラス交渉委員が出席して行われた。
 福田議長は、次の通り、要求書の趣旨を説明し、大臣の見解を求めた。
(1) 月例給・一時金の勧告については、直ちに勧告通り実施の閣議決定を行い、法案を国会に提出していただきたい。また、報告を踏まえ、非常勤職員の処遇改善、勤務時間短縮の準備、超勤縮減、高齢雇用の促進に積極的に対応してほしい。
(2) 国公法改正法案成立を受けての人事評価制度の整備に当たり、評価結果の開示と職員代表等が参加する苦情処理制度の構築が不可欠だ。合意の上で作業を進めてもらいたい。
(3) 総理の下の公務員制度の総合的な改革に向けた懇談会では、公務員労働者の声を聞いてもらいたいし、労働基本権確立を含む労使関係の改革が必要だ。
(4) 勧告通りの実施は使用者としての政府の責任であり、担当大臣として最大限の努力をお願いしたい。なお、政府方針決定前に、要求に対する回答をいただきたい。
 これに対して菅大臣は、次の通り見解を述べた。
(1) 政府は、昨日、人事院勧告を受け取ったところであるが、総務省としては、速やかに給与関係閣僚会議の開催をお願いし、その取扱いの検討に着手したいと考えている。
(2) 人事院勧告制度は、労働基本権制約の代償措置の根幹をなすものであり、政府としては、同制度を尊重するとの基本姿勢を堅持してきたところである。国の財政事情をはじめ国家公務員給与を取り巻く環境には極めて厳しいものがあるが、総務省としては、従来からの基本姿勢の下、国民の理解を得られるような結論を得るべく国政全般との関連を考慮し、誠意をもって検討を進めていきたい。
(3) 当然のことながら、皆様方の意見も十分にお聞きしながら、検討を進めてまいりたい。
(4) 人事評価制度や専門調査会における検討については、総務省としても、行革推進本部に必要な協力を行ってまいりたい。
 これらの見解を受けて、福田議長は、再度勧告通りの実施への最大限の努力を求め、交渉を終えた。

<官房長官への要求書提出の経過>
 塩崎官房長官への要求提出は、9日13時40分から総理大臣官邸で行い、福田議長ほか委員長クラス交渉委員が出席した。
 冒頭福田議長は次の通り要求書の趣旨を説明した。
(1) 昨日人事院勧告が行われたが、公務員労働者にとって労働基本権制約の唯一の代償措置であることを踏まえて、勧告通り実施するとの閣議決定を行い、法案を国会に提出していただきたい。
(2) 国公法改正法案が成立し、能力・実績主義が導入されることになり、そのため透明で信頼される人事評価制度の構築が重要だ。とくに、評価結果の本人開示と職員代表等が参加する苦情処理制度が不可欠だ。
(3) 公務員制度の総合的な検討を行う懇談会に公務員労働者代表の意見を反映していただくとともに、専門調査会の報告を踏まえ、労働基本権の確立を含む労使関係の抜本改革に着手していただきたい。
 これに対して官房長官は、次の通り答えた。
(1) 昨日、人事院勧告が行われ、その内容は久しぶりの改定勧告になっている。公務員の労働基本権制約の代償措置である人事院勧告を尊重するというのが政府の方針である。公務員をめぐっては国民的な議論があるので国民の理解が得られるようにしなければならない。早急に結論が得られるよう、国の財政事情、民間の経済情勢等、国政全般との関連を含めて、誠意をもって検討を進めてまいりたい。
(2) 公務員制度改革では色々議論があったが、優秀な人がやる気を持って働いてもらうのが国や国民にとってプラスであり、透明で信頼される人事評価にしていくことが大切だ。民間でも360度評価などをやっている。評価は難しいし、手間は掛かるがきちんとやった方がいいというのが私の考えだ。職員団体の皆さんと十分話し合ってよい制度にしていきたい。
(3) 総理の下の懇談会には、専門調査会の佐々木座長に入ってもらってつなぎをしてもらうなど、労働基本権の問題に結論が出ないと、新しい公務員制度は作れない。懇談会には連合の高木会長が入っているし、公務員の皆さんの意見も反映できるのではないか。大きな話をしたいと思っているので、ご意見を出してもらって検討してまいりたい。
 これらの回答を受けて公務員連絡会側は「公務員は人も減っている中、頑張っているので、完全実施に向け努力していただきたい。また、本年勧告は、昨年、政府要請に応えて人事院が比較企業規模を引き下げた上での結果であることも踏まえていただきたい」と、重ねて勧告通りの実施を要請して、申入れを締めくくった。


資料−要求書

2007年8月 日



         殿


公務員労働組合連絡会
議 長 福 田 精 一


本年の人事院報告・勧告に関わる要求書


 常日頃、公務員労働者の処遇改善にご努力頂いていることに心から感謝申し上げます。
 さて、人事院は8日、月例給を1,352円、0.35%、一時金の月数を0.05月引き上げることを中心とする本年の報告・勧告を行いました。
 本年の給与勧告については、民間賃金の実勢からみて当然のことであり、人事院勧告が労働基本権制約の代償措置であることを踏まえ、直ちに勧告通り実施すべきものと考えます。また、本年の報告では、@非常勤職員の処遇改善に向けた指摘A所定労働時間短縮に向けた準備B勤務時間管理の徹底と超過勤務縮減C高齢者雇用の促進、などについて言及していますが、これらはすべて公務員の使用者としての政府自らが積極的に取り組むべき課題でもあり、一刻も早い課題解決を強く求めます。
 いま、公務員労働者の仕事や生活を取り巻く環境は、劇的に変化しようとしています。国公法等改正法案の成立により、人事評価の本格実施とその活用が2年以内に開始されることとなりますが、その円滑な運用のためには透明で信頼される人事評価制度を構築することが不可欠です。また、公務員制度の総合的な改革に向けた懇談会の審議も開始されています。公務員制度の抜本改革のためには労働基本権の確立を含む公務における労使関係の改革が必要であることはいうまでもありません。秋に予定される「専門調査会」の報告を尊重し、政府として積極的に取組みを進めるよう改めて要請します。
 総人件費削減政策の実施や公務員バッシングの中においても、公務員労働者は、日々、国民に良質な公共サービスを提供すべく懸命の努力を続けています。貴職におかれては、以上の点を十分認識し、下記事項の実現に向けて最大限努力されるよう要請します。



1、本年の給与改善勧告については、直ちに勧告通り実施する閣議決定を行い、早期に給与法改正法案を国会に提出すること。

2、透明で信頼される人事評価制度の構築に向け、評価結果の開示や職員代表等が参加する苦情処理制度を整備することとし、政令策定に当たっては公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意すること。

3、「公務員制度の総合的な改革に関する懇談会」において公務員労働者代表の意見を聴取するとともに、秋に予定される「専門調査会」の最終報告を踏まえ、速やかに公務の労使関係の抜本改革に着手すること。

以上