2008年度公務労協情報 29 2008年5月22日
公務公共サービス労働組合協議会

渡辺大臣が労働基本権について"法案成立後、関係当事者の意見を聞く場で、速やかに検討し結論を得る"と答弁−5/21
−民主党佐々木隆博議員らが労働基本権などに関わる問題点を追及−

 国家公務員制度改革法案の衆議院内閣委員会での審議が、14日に引き続いて、21日行われた。質問に立った民主党佐々木隆博議員らは、労働基本権などの問題に関わって、政府の姿勢を追及し、今後の取組みの足がかりとなる確定的な答弁を引き出した。
 当面、衆議院内閣委員会では、22日に参考人質疑を行っているが、その後の日程は未定となっている。その一方で、与党と民主党間で法案の修正協議が行われることとなっており、その協議の結果が今国会での法案の取扱いに影響を与えることとなる。公務労協としては、佐々木議員らが追及し引き出した答弁を踏まえ、引き続き、連合と連携しながら、民主党等を通じて、「協約締結権の付与」の明記などを求めて取組みを強めているが、政府・与党の姿勢は極めて固く、修正協議のゆくえは予断を許さない状況だ。

 内閣委員会での佐々木議員らが行った新人事評価制度、労働基本権に関わる質問と、渡辺行革担当大臣の答弁は次のとおりである。

<民主党・佐々木隆博議員>
(1) 新たな人事評価制度については、準備不足であり、被評価者、国民が納得できるものにするため、基準の明確化、開示の徹底、苦情処理システムの整備が必要ではないか。
(2) 協約締結権について12条に書いておきながら2条の基本理念のところには書いていない。協約締結権の付与は専門調査会報告でも強く述べられているところであり、2条に明記すべきではないか。
(3) 4条に「5年を目途に検討」とあるが、5年はあまりに長すぎる。大臣の政治決断にかかっており、1年くらいが適当ではないか。
(4) 協約締結権の付与を具体化するため、有識者、労働者、使用者の3者よる検討を行うべきではないか。
(5) 使用者機関については、権限のある一元的機関の確立が必要だ。政治の場面で、はっきりした意見を示すべきである。
<渡辺大臣>
(1) 人事評価制度が公正で透明性の高いものとなるよう各府省や職員団体と十分意見交換をし、検討を進めていく。
(2) 法案の基本理念のところに労働基本権について盛り込むべきとのご意見があった。大変貴重なご意見であり、前向きに検討すべき課題と考えている。
(3) 5年をかけて検討することを前提にしているのではなく、基本法成立後、速やかに検討を開始し、結論を得ることにしたい。
(4) 検討体制は基本法成立後の課題だが、有識者懇談会の答申はすでに出されているので、次の検討のメンバーは当然関係当事者の意見を聞く場になろうかと思う。 
(5) 総務省、人事院その他の国の行政機関が人事行政について担っている機能について、内閣人事庁がその担う機能を実効的に発揮する観点から必要な範囲で移管することにしている。協約締結権について検討する際には、交渉当事者たる使用者のあり方についても検討がなされると理解している。

<民主党・川内博史議員>
(1) 労働基本権の付与について「骨太方針2007」では、「改革の方向で見直す」としていたが、本法案12条では「検討」となっている。将来的には協約締結権を付与される職員の範囲は拡大すると考えていいのか。
(2) 検討期間はどれくらいを考えているのか。
<渡辺大臣>
(1) 専門調査会報告において、「一定の非現業職員へ協約締結権付与」「人事院勧告廃止」「コスト等への留意」「全体像を示して国民に理解」等と記載されており、これら趣旨をふまえ、基本法案を立案したところである。
(2) 成立後速やかに、議論に取りかかり、専門調査会の議論が一年半で結論が出たので、当然、そのあたりの時間感覚を考えながら、検討することになる。

以上