2008年度公務労協情報 40 2008年7月23日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

第2次中央行動で職員福祉局長、給与局長と交渉−7/23
−両局長とも「作業中」として具体的回答を示さなかったことから、月末に再交渉へ−

 公務員連絡会は23日、2008人勧期の第2次中央行動を実施した。午後1時30分から、日比谷大音楽堂で行われた中央集会には、炎天の下、3千人の仲間が参加し、要求を実現する勧告を求めて最後までたたかう決意を固めあった。
 この中央行動を背景として行われた、職員福祉、給与両局長との交渉で人事院は、@勧告は8月上旬を目途に調整中A官民較差は算出作業中であり、一時金は予最終段階まで予断を許さない状況B本府省業務調整手当を創設C住居手当の見直しは諸般の情勢も見た上で最終判断C所定勤務時間の短縮については民調結果を踏まえて結論を出す、など本府省業務調整手当以外については明確な方向性を示さなかった。このため、公務員連絡会側は「今日は明確な回答が示されなかったのは不満である。月末に再度局長との交渉設定を要求する明確な回答を示していただきたい」として、人事院に対して勧告に向けて最後まで努力するよう求めた。
 公務員連絡会は、月末に再度局長との交渉を行った上で、勧告直前には委員長クラス交渉委員による人事院総裁との交渉を行い、ギリギリまで月例給と一時金の維持・改善と所定勤務時間の短縮勧告などを求め交渉・協議を強めることとしている。

 午後1時30分から日比谷大音楽堂で開かれた公務員連絡会の中央集会は、岡部副議長(自治労委員長)を議長に選出して始められ、冒頭挨拶に立った福田議長は、「生活関連物資の一斉値上げが国民生活を直撃しており、深刻な格差に追い打ちをかけている。公平、公正で安全な生活を国民の手に取り戻さなければならない。こうした情勢の下での人事院勧告のたたかいは公務員の課題に止まらない重大な意味を持っている。残された期間はわずかだが、要求の実現に向けて最後までたたかい抜こう」と、2008人勧期の最終盤の取り組みに決起することを訴えた。
 続いて激励挨拶に駆けつけた古賀連合事務局長は、「格差が拡大し、連帯の薄くなった社会を再構築していくためには公共サービスを確立しなければならない。公務員連絡会の皆さんの活動に期待したい。人勧は公務員のみならず、中小・地場産業に大きな影響がある。よりよい人勧とするため、連合も皆さんと一緒になって運動を進めてまいりたい。連合としてしっかりバックアップしていく」と力強い連帯の挨拶を行った。
 基調提起では、吉澤事務局長が、この間、福田政権が社会保障費の削減を継続し、公務員人件費の削減を強行していることに触れながら、「人事院勧告に対して財政的圧力や政治的介入があり、社会的に不安定な情勢の下にあるが、人勧は公務員労働者の唯一の生活改善の手段である。全力を挙げて対応を強化していく」との基調を提起した。
 構成組織決意表明には、日教組・石田大阪府教職員組合書記長、国税労組・熱田中央執行委員、全水道・伊藤関東地本委員長、税関労連・宮川副中央執行委員長が登壇し、要求実現に向け最後までたたかう決意をそれぞれ力強く表明した。
 集会を終えた参加者は、人事院前交渉支援行動と霞ヶ関一周のデモ行進に出発。「所定労働時間を短縮しろ」「一時金を改善しろ」「月例給を改善しろ」「住居手当の存続を検討しろ」「非常勤職員の処遇を改善しろ」と力強くシュプレヒコールを繰り返した。
 行動を終えた参加者は再び日比谷大音楽堂に結集し、書記長クラス交渉の報告を受け、最後まで2008人勧期のたたかいを進めるとの決意を込めた団結ガンバロウを三唱し、この日の行動を締めくくった。
 この日行われた人事院職員福祉局長、給与局長との交渉経過は次の通り。

<人事院職員福祉局長交渉の経過>
 人事院川村職員福祉局長との交渉は、午後2時15分から行われ、公務員連絡会側は書記長クラス交渉委員が臨んだ。
 冒頭、吉澤事務局長が「6月20日に総裁宛の要求を提出し、7月8日には職員団体審議官と交渉を積み上げてきたので、今日はわれわれの要求を踏まえた回答をお願いしたい」と局長の見解を求めたのに対して、川村局長は、以下の通り回答した。

1.所定勤務時間の見直しについて
 本年の民調結果も踏まえて結論を出すことにしており、現在、集計の最終段階にさしかかっており、現時点ではお答えできる状況にない。
 勤務時間の見直しを行う場合には、窓口業務や交替制勤務の職場をはじめとして、行政サービス・行政活動の水準を維持するとともに、仕事の進め方や働き方を改善する必要があり、職員団体においても十分に認識していただく必要がある。
2.超過勤務の縮減について
 超過勤務の縮減は、職員の健康維持、仕事と家庭の調和等の観点から喫緊に取り組む課題である。現在、政府全体として取り組んでいる在庁時間削減の取組の徹底をはかるとともに、他律的業務に係る超過勤務の縮減のための方策や早出遅出勤務の活用促進についても検討を進めたいと考えている。
3.高齢者雇用対策について
 明日の第13回の「公務員の高齢期の雇用問題に関する研究会」で中間とりまとめをご提出いただく予定となっている。人事院としては、このとりまとめの内容及び基本法において「定年を段階的に65歳まで延長することを政府において検討」とされていることなどを踏まえ、高齢期の雇用問題について検討を進めることとしたい。
 その際、役職定年制、再任用制度との組合せなどについて検討を行う必要があると考えている。

 これらの回答に対して、公務員連絡会側は、次の通り、局長の見解を質した。
(1) 所定勤務時間の短縮は、本年の最大の課題となっている。春の段階の総裁回答では、民間の実態をみて結論を出すとのことであったが、この姿勢に変わりはないのか。7月8日の交渉でも、「民間企業の所定労働時間の調査結果も考慮して、結論を出したい」との回答であった。勧告まで残り2週間である。現時点で明確な回答をお願いしたい。
(2) 短縮された時間の配分については、十分交渉・協議の上、各府省・職場段階で弾力的に設定できるようにしてもらいたい。また、実施時期について、「来年4月」ということを明記していただきたい。
(3) 「他律的業務に係る超過勤務縮減のための施策」とは、具体的に何を指すのか。われわれとしては、人事院規則で上限規制するぐらいの施策を打ち出さないと実効性はないと考えている。いずれにしろ、超過勤務の縮減の具体的対応については、公務員連絡会と十分に協議を行っていただきたい。
(4) 高齢者雇用については、年金と雇用の接続が重要と考えるが、人事院としてどう認識しているのか。高齢者の雇用施策については、公務員連絡会の「考え方」を示しているので、その実現に努力していただきたい。

 これらを受けて、川村局長は、次の通り、考えを述べた。
(1) 勤務時間の見直しについては、春の段階から、取り組む姿勢は変わっていない。勤務時間の見直しを行う場合には、民間の状況はもちろん、多くの方に理解をいただく必要がある。行政サービスを維持・改善する必要もあり、職員の理解も必要だ。民間の勤務時間を厳密に集計しているところであり、いずれしかるべき時に結論を出したいと考えている。
(2) 短縮時間の配分については、仮定の話になるが、各省庁がいろいろなことを考慮して決めることになるが、皆さんの意見を聴く機会も設けながら、検討をしていきたい。実施時期については、調査結果をよくみないといけないので、申し上げる段階ではない。
(3) 他律的業務に関しては、超過勤務の上限目安時間を一つとして考えている。また、超過勤務の縮減への具体的対応については、職員の皆さんの意見を伺いながら進めていきたい。
(4) 研究会では、(年金と雇用の接続が重要という)そういう認識にたって検討されており、私どもの方もそういう方向で検討を進めていきたい。

 最後に、吉澤事務局長が「本日の回答は、極めて不満である。月末の交渉では、所定勤務時間の短縮について、ぜひ明確な回答をいただきたい」と強く求め、交渉を終えた。

<人事院給与局長交渉の経過>
 人事院吉田給与局長との交渉は、午後2時45分から行われ、公務員連絡会側は書記長クラス交渉委員が臨んだ。
 冒頭、公務員連絡会吉澤事務局長が今日時点での局長の回答を求めたのに対し、吉田局長は、以下の通り回答した。

1.勧告日について
 例年どおり、8月上旬を目途に調整を始めたところである。
2.月例給の官民較差について
 国公実態においては、平均年齢が昨年と同程度の伸びを示しており、新規採用職員の減少もあって平均給与額は上昇している。
 官民較差については、現在鋭意算出作業中である。
3.特別給について
 特別給についても現在集計中であるが、今年の民間の夏季のボーナスについては、各種調査によれば昨年よりも上げ幅がかなり減少しており、マイナスの調査結果も出ていること、春闘交渉時よりも今夏交渉の結果の方が厳しい数字がでている調査結果もあることから、最終段階まで予断を許さない状況である。
4.本府省業務調整手当について
 給与構造改革の一環として、平成21年度から本府省業務調整手当を新設することとしている。その概要については、先日ご説明したとおりであるが、国家行政施策の企画、法令審査、国会対応、予算折衝など複雑さや困難性の高い本府省固有の業務を担う職員の職務の特殊性、困難性を踏まえ、また、近年各府省において本府省に必要な人材を確保することが困難になっている事情を併せ考慮して、本府省の補佐、係長、係員を対象とした手当を創設するものである。
 実施に当たっては、平成21年及び22年の2年間をかけ、給与構造改革の経過期間の最終年で完成させることとしている。
5.住居手当の見直しについて
 自宅に係る住居手当の廃止を含めた住居手当の見直しについては、昨年の報告で既に言及していることであり、今年の勧告で措置すべき事項であると考えているが、諸般の情勢もみた上で最終的に判断することとしたい。
6.特地勤務手当について
 特地勤務手当の基準の見直しについては、規則事項であることから勧告時報告においては特段の言及は行わない予定であるが、秋以降、基準案を提示し、鋭意検討作業を進めたいと考えている。
7.非常勤職員の給与について
 非常勤職員の給与決定に係るガイドラインについては、現在、職員団体を含む関係者から頂いたご意見・ご要望について検討を行っているところであるが、各府省における予算措置等との関係から、お示しした案で実施させていただきたいと考えている。
8.人事評価結果の給与等への反映について
 人事評価の評価結果の給与、任免等への活用に関しては、リハーサル試行の前提となる活用措置案を先日お示ししたところであり、今後リハーサル試行の結果も踏まえながら、関係者の意見を聴きつつ、活用に関する制度の詳細部分を詰めていきたい。
9.人事評価の施行に関わる勧告事項について
 評価結果の活用措置案でお示しした事項のうち、時間的制約のある法律改正事項について本年勧告を行うこととしたい。その内容は、@昇給に係る勤務成績判定期間等に関わる改正A勤勉手当の業績評価期間と勤務状況期間に関わる改正等Bこれらに関わる経過措置、である。

 回答に対し公務員連絡会側は、次の通り局長の見解を質し、要求実現を迫った。
(1) 勧告日については、昨年並みと考えていいか。
(2) 国公実態が上がったとのことであるが、官民較差への影響はどうか。
(3) 一時金について厳しい考えが示されたが、組合員の関心が強く、期待も大きいので水準を維持していただきたい。
(4) 配分について、昨年は十分な交渉ができず内容もなかったという問題を残したので、今年は十分な意見交換が行えるようにしていただきたい。
(5) 交通用具使用者の通勤手当については、ガソリン代の大幅な値上げがあり、地方で強い要望がある。較差外であるのでぜひ改善してほしい。
(6) 本府省業務調整手当については、到底認められない。本年の勧告には反対だ。行(二)に適用されないことや税務、公安で下がるなどの問題があるし、国会対応などの非人間的な超勤問題の解決が先ではないか。仮に新設する場合、「月例給の官民較差は使わない」ということでよいか。
(7) 自宅に係る住居手当については、諸物価高騰の折りでもあり、地公への影響も大きい。重ねて慎重な検討をお願いする。廃止ありきではなく、十分な交渉、協議に基づいて検討していただきたい。
(8) 非常勤職員については、給与決定ガイドラインに対する公務員連絡会の「意見」を実現していただきたい。さらに本年の報告で、非常勤職員の位置づけや雇用確保について本格的な検討の必要性を指摘してほしい。

 これに対し吉田局長は、次の通り、見解を示した。
(1) 昨年並みの日程に間に合うように事務作業は行っているということだ。
(2) 国公実態がどう影響するのかについては、ラスパイレス比較なのでやってみないとわからないということだ。
(3) 官民較差については、月例給、特別給(一時金)も非常に微妙な段階、すなわち上がるとも下がるとも言えない状況にある。
(4) 配分については、数字が見えてこないと議論できない側面がある。数字以前にお互いに見直す必要があるところ、改善すべきところなどについて前広に問題意識を持って議論していくこととしたい。
(5) 民間の通勤手当は調査結果を精査しているところだ。どう扱うかは、官民較差がどうなるかなど、勧告全体と関わってくる。較差外であるだけに、国民に改善の必要性、予算措置などを含め、合理的で説得力のある説明をしないといけない。
(6) 本府省業務調整手当については、給与構造改革で段階的に生み出される原資を使うものであり、ベア原資をあてにしたものではない。本省勤務の特殊性を数値化することは難しいが、所管行政の中心として、いわば本社機能を担っており、それを評価することは業務の面でも職員配置の面でも可能と考えている。超勤縮減、超勤手当の確保はしっかりやっていくが、そのことと切り離して本省業務の特殊性そのものに対して、給与上の措置をとりたいということだ。
(7) 自宅に係る住居手当については、財形の融資条件ということで引き続き検討することにしてきたが、廃止しても較差内なので他の手当等に活用はできる。この2〜3年、皆さんの意見を伺ってきたが、今年判断するかどうかは今の時点では何とも言えない。
(8) 非常勤職員の問題については、今回の給与決定ガイドラインの策定によって一歩の前進と認識している。位置づけや雇用の問題は政府全体の課題でもあるので、どう言及するか、現在検討中である。

 さらに、各構成組織書記長から@地方機関でも国会対応のため待機しており本府省だけというのは納得できないA通勤手当は実費弁償が基本であり、ガソリン代が大幅に上がっているのだからぜひ引き上げてほしい、などと地方や職場の実態に基づいて訴えたが、吉田局長からは明確な見解は示されなかった。
 最後に、吉澤事務局長が「本日は納得できる回答が示されず不満である。再度交渉設定を求める。次回の交渉では明確な回答をお願いしたい」と強く求め、交渉を締めくくった。


地公部会は人勧期要求実現を求め7・23中央集会実施


 公務員連絡会地方公務員部会は、公務員連絡会第2次中央行動にあわせ、午前11時から、日比谷大音楽堂で中央集会を開催、約2千人の仲間が参加した。集会は、地方公務員の重点課題である@給与・一時金の水準改善A定数・給与引下げの強制反対B自宅に係る住居手当廃止反対C交通用具使用者の手当引上げD非常勤職員の処遇改善E実効ある超勤縮減策の取りまとめと所定勤務時間短縮、などを行動目標に設定し、前段に総務省への申入れを実施するとともに、闘う決意を固めた。
 主催者挨拶に立った、佐藤地公部会議長は「地公賃金を巡っては政治圧力の下で新たな局面を迎えているという認識に立って、中央行動を配置した。賃金水準の改善をはじめとした重点課題の解決に向けて、人勧期から確定期にしっかりと取組みを引き継いで、中央・地方一体で積極的に闘おう」と訴えた。
 激励挨拶では福田公務員連絡会議長が「公務員連絡会は本日を人勧期闘争最大の山場に設定し、書記長交渉で具体的回答を引き出す。地方公務員を取り巻く情況は、大阪府の人件費削減に見られるように厳しさを増している。組合員の期待に応えるため要求実現に向けてしっかり闘い抜こう」と力強く語った。
 このあと、情勢報告では藤川地公部会事務局長が集会前段に行われた総務省給与能率推進室長との交渉経過について「地方公務員給与に対する総務省の姿勢は、住民の理解と納得を得られる適正な内容ということが基本、住居手当の見直しについては、国に準じたものとするこれまでの姿勢を主張するにとどまった。一方で、非常勤職員の給与等への対応については、確定した国家公務員のガイドラインを見て、適切に助言を行っていきたいとの回答が示されたが、総体的には極めて不満な内容であり、引き続き交渉を継続したい」と報告した。
 決意表明では、神奈川県教職員組合・吉田執行委員と、自治労広島県本部・田津執行委員が各組合の取組みを報告し、人勧期から確定期に向けて全力で闘い抜く決意を表明、最後に中村日教組委員長の音頭で団結ガンバローを三唱し、集会を終えた。

以上