2008年度公務労協情報 5 2007年10月29日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

人事院勧告の一部不実施(指定職)を明日決定へ
−委員長クラスが総務大臣交渉で強い遺憾の意を表明し、給与法早期改正を要請−

 公務員連絡会福田議長他委員長クラス交渉委員は、29日16時45分から、先週25日の交渉に続く二度目の増田総務大臣交渉をもち、8月9日に提出した人勧取扱いに関する要求書に対する最終的な回答を求めた。これに対して大臣は、明日(30日)、第4回給与関係閣僚会議を開いて、指定職のボーナス及び地域手当を除いて、一般の職員については勧告通り実施することを確認、その後の閣議で正式決定する見通しであるとの見解を示した。
 本年の勧告の取扱いについては、安倍前総理の突然の辞任による政治空白や与党の政治的思惑により、取扱いの決定が先延ばしされてたが、臨時国会会期末も迫ってきたことから、ようやく決定されることになったもの。
 公務員連絡会は、大臣回答に対し、指定職とはいえ勧告を不完全実施としたことや決定を先延ばししてきたことに遺憾と不満の意を表明し、今後は給与法改正法案の早期国会提出と会期内成立をめざすよう要請した。交渉終了後、公務員連絡会は企画・幹事合同会議に経過を報告し、明日(30日)、閣議決定された場合は声明を発し、全国統一行動として、@時間外職場集会を実施し、閣議決定・声明の内容を報告し、今後の秋季闘争の決意を固めるA各級機関ごとに総理大臣、総務大臣宛に「2007人勧不完全実施に対する遺憾の意の表明」「給与法改正法案の早期国会提出と会期内成立、年内差額精算を求める」文書行動(電報、レタックス)を実施する、ことを決定した。合わせて@給与法改正法案の早期国会提出と会期内成立A山場を迎えつつある地公や独法等の賃金確定など、今後の秋季闘争を強めていくとともに、B専門調査会報告を踏まえ、公務労使関係の抜本改革実現に取り組んでいく、との方針を確認した。

 交渉で増田総務大臣は、次の通り政府方針を説明した。
(1) 本年度の人事院勧告の取扱いについては、去る8月8日に勧告を受け取って以来、関係府省間で検討を進めてきたところであります。これまで3回(8月10日、10月18日、10月26日)の給与関係閣僚会議が開催されました。この間、総務大臣としては、労働基本権制約の代償措置の根幹をなす人事院勧告制度を尊重すべきとの立場で意見を申し上げてまいりました。
(2) その結果、明日、第4回目の給与関係閣僚会議を開いていただくことになり、そこでは、指定職のボーナス及び地域手当の支給割合の改定を除き、勧告どおり実施する旨の決定がなされるものと思います。給与関係閣僚会議で決定がなされれば、その後の閣議において政府として取扱方針が決定されることになると思います。
(3) 今回、指定職の改定の見送りを行うのは、厳しい財政事情や現下の社会経済情勢の下で、公務員の給与を引き上げることについて国民の理解を得る観点からは、行政運営に極めて重い責任を有する幹部職員の中核たる指定職の給与改定を見送ることもやむを得ないと考えたものであります。しかしながら、労働基本権制約の代償機能を果たす人事院勧告制度を尊重するという政府の基本姿勢は今後とも変わりがありません。
(4) 職員の皆様には、何とぞ御理解願うとともに、今後一層、国民の信頼にこたえ、服務規律の厳正な保持及び公務能率・行政サービスの向上に努めていただきたいと思います。
(5) なお、取扱方針決定後は、臨時国会の会期末も迫っていることから、早急に必要な法律案を提出してまいりたいと思います。

 この回答に対し福田議長は次の通り見解を述べた。
(1) 所管大臣として、この間、完全実施に向けて努力していただいたことには感謝申し上げたい。
 ただいま大臣が示した回答内容は、たとえ指定職に限られるとはいえ、1997年以来の人事院勧告の不完全実施を政府が決定するということである。それは、政府自ら労働基本権制約の代償措置として人事院勧告制度を大きく傷つけ、現行の賃金決定制度としての役割を否定したものであり、極めて遺憾である。
 また、本年の勧告の取扱いについて「国民の理解が得られるかどうか」という政治的な思惑や視点からのみ検討を重ね、いたずらに今日まで態度決定を引き延ばしたことについても、われわれに対して納得いく説明が行われておらず、使用者責任の面から大きな問題があり、極めて不満である。
(2) 以上申し上げたとおり、われわれは本日の閣議決定に強く遺憾の意を表明するものであるが、本年の勧告の実施が格差拡大で疲弊する地域経済に好影響を与えること、公務員労働者が給与改善に強い期待を持っていることなどを踏まえ、政府に対して給与法改正法案の一刻も早い国会提出と会期内成立に努力するよう要請する。
(3) また、ここ数年の経緯を見ても、もはや公務員の賃金・労働条件決定システムとしての人事院勧告制度は歴史的・制度的に大きな限界を迎えていることは明らかである。その点を踏まえ、政府として直ちに、専門調査会の報告も踏まえ、公務労使関係の抜本改革に着手し、団体交渉で賃金・労働条件を決定するシステムを確立するよう強く要求する。

 これに対して総務大臣は、「私としては、当面、一刻も早く給与法改正法案を国会に出し、成立できるよう最大限の努力をしていく。ご要望・意見は承ったので、全力を尽くしてまいりたい。いずれにしろ、今後、建設的な議論をしていきたいと思っているので、よろしくお願いしたい」との考えを示した。
 最後に福田議長が「ただいまの大臣の回答は、組織に持ち帰って報告し、公務員連絡会としての態度を決定する」ことを表明し、大臣交渉を終えた。

以上