2008年度公務労協情報 7 2007年11月6日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

給与法改正法案が衆議院総務委員会で採択−11/6
−「勧告制度尊重、完全実施」などを求める附帯決議も採択−

 政府は、10月30日の人事院勧告取扱いの閣議決定後、給与法改正作業を進め、11月2日の臨時閣議で改正法案を決定し、同日国会に提出していたが、本日午前中の衆議院総務委員会で趣旨説明と審議が行われ、全会一致で採択され、あわせて別紙の附帯決議も行われた。今後、会期延長がなければ、8日午前中の衆議院本会議で可決され、参議院に送付され、参議院では同日午後の総務委員会で審議、9日本会議で可決されることになる見込みであり、会期延長の場合には来週にずれ込むことになる。
 衆議院総務委員会では、民主党の寺田学、森本哲生、逢坂誠二の各議員、社民党の重野安正議員らが、本年の人事院勧告不完全実施や人勧制度の問題点を追及した。そのうち森本議員は、以下の通り、本年の人事院勧告「不完全実施」や政府の人事院に対する「民間給与のより一層の反映のための更なる方策の検討」要請などを追及した。

<森本議員>
 人事院勧告制度の意義と「不完全実施」に対する見解を伺いたい。
<増田総務大臣>
 人事院勧告は尊重されるべきとの基本姿勢に変わりはないが、現下の社会経済情勢、財政事情、国民の理解を勘案し、幹部職員の中核たる指定職職員の改定はギリギリの判断として見送ることにしたことはやむを得ないと考えている。
<谷人事院総裁>
 政府が勧告尊重の姿勢で努力されてきたことは承知しているが、結果として一部の勧告が実施されないこととなったのは遺憾である。
<森本議員>
 政府は、民間給与のより一層の反映のための更なる方策の検討を人事院に要請しているが、昨年、比較企業規模を100人以上から50人以上に見直したばかりであり、また見直しを求めるのは問題だ。第三者機関への政治的介入ではないか。
<増田総務大臣>
 地域によっては地場賃金と比べ公務員賃金が高いのではないかとの指摘があることから、人事院に対し検討をお願いした。政府としては検討が必要と考えているが、人事院は独立性の高い機関であるので、主体的な検討が行われるのではないか。政治的なプレッシャーを掛けることはありえない。
<谷人事院総裁>
 現在、国会における議論などを踏まえ、給与構造改革を段階的かつ着実に実施しているところであり、まずは現在進めている改革を着実に実施していくことが肝要と認識しているが、政府から要請があったことを受け止めながら、適正な公務員給与の確保に向けて必要な検討を進めて参りたい。
<森本議員>
 総務事務次官通知で地方公務員給与のあり方を指導することはやめるべきではないか。
<増田総務大臣>
 地方での給与決定に当たり国家公務員給与は重要な要素であり、判断に資するものとして通知している。それをどう受け止めるかは自治体の判断である。


資料−衆議院総務委員会の附帯決議

一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議


 政府及び人事院は、次の事項につて、十分配慮すべきである。

一、政府は、人事院勧告制度が労働基本権制約の代償措置であることにかんがみ公務員の給与改定については、勧告制度を尊重する基本姿勢を堅持し、完全実施するよう努めること。

二、政府及び人事院は、専門スタッフ職制度については、公務能率の向上と早期退職慣行の是正に特に配意しつつ、複線型人事管理の円滑な導入に資するものとなるよう、適切な運用に努めること。

三、政府及び人事院は、非常勤職員の位置付けと給与等の処遇の在り方について民間の状況や職務の実態も考慮しつつ、早急な検討に努めること。

四、政府は、公務員制度改革については、労働基本権の在り方を含め、職員団体等の意見を十分聴取し、国民の理解を得るよう最大限努力すること。